スペイン史(とサッカー) #2

可能な限りスペインサッカーに触れながらスペインの歴史を紐解いていくシリーズ。第2回目です。
古代の最終回になるつもりです。

① 最古の都市 カディス

スペイン南部アンダルシア自治州、ジブラルタル海峡の西に位置する港湾都市カディス
海に迫り出した半島の先端に位置する変わった立地と美しい海岸が特徴的な街です。

この街に本拠地を置くカディスCFは一般的なスペインサッカーのイメージとは大きく乖離した堅守速攻で2強を撃破するなど個性的なフットボールを展開しています。

ジブラルタル海峡の西側に位置するカディス
半島先端部に位置するカディス。
古くは大陸からは独立した小島だったとも。

そんなカディスはスペイン最古の都市とされ、紀元前10世紀頃、優れた技術を持ち地中海を闊歩していたフェニキア人によって築かれた貿易拠点がその起源とされます。
中世にはイスラーム勢力の支配下に入り、アルフォンソ10世のレコンキスタ(再征服運動)によりキリスト教勢力により奪還され、以後スペインの支配下として現代に至ります。
イベリア半島東岸都市とは異なり、ジブラルタル海峡の西に位置するためか、ローマ時代以降出番が減ってしまうカディスですが、広い大西洋に開かれた立地でもあり、中世末期には、スペイン王の支援を受けたコロンブスの遠征の拠点となったことでも知られています。

フェニキア人って...?

フェニキア人は、紀元前に地中海交易の中心となった地中海東岸の都市フェニキア(現在のシリアなど)を拠点として活動した人々。
・最先端の航海技術に高い文化性を有し、アルファベットの元となったフェニキア文字を考案した。
・ローマとポエニ戦争で激闘を繰り広げた北アフリカの植民市カルタゴなど地中海各地に植民市を建設した。

② 英雄の地 カルタヘナ

日本代表、岡崎慎司が所属することでも知られる、セグンダ・ディビシオンのカルタヘナ
そのホームスタジアムの名前は、Estadio Cartagonova(エスタディオ・カルタゴノヴァ)
古代ローマ史が好きな人、世界史を高校時代に履修した人なら聞き覚えのある名前かもしれません。

カルタヘナは、アンダルシアとバレンシアに挟まれたムルシア自治州の中心都市で、地中海に面する非常に歴史ある海港都市です。

イベリア半島南東部に位置するカルタヘナ

カルタゴノヴァ、古くはローマ時代にそう呼ばれたカルタヘナの起源は紀元前3世紀、フェニキア人(前章で解説)の植民市として建設され、フェニキア人の植民都市の中で最も繁栄した街、カルタゴの支配下に入りました。
古代ローマの歴史における最大級の激闘として名を残す第二次ポエニ戦争の際、アルプス越えで有名なカルタゴの英雄ハンニバルはこのカルタゴノヴァから出陣しました。
カルタゴノヴァはこの戦争でローマの名将大スキピオによって征服され、ローマによる属州支配の拠点として繁栄しました。

中世以降1度は荒廃したものの、中世末期には再建されそれ以降ムルシア地方の中心都市として繁栄してきたカルタヘナ。ローマ時代の遺構が街の中に残る古代都市において、スタジアムの名前から過去の繁栄を偲ぶことができます。

ということで今回は、北部地域を紹介した第1回とは異なり、古くから歴史に登場する南部の2都市を紹介しました。
スペインの歴史から世界史へ視点を広げるきっかけになっていたら歴史を学ぶものとして嬉しいです。

※今回も地図はGoogleマップから引用しています。

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