【FX】これからFXを始める人のためのFX基礎講座
FXの世界へようこそ。
あなたは今、情け容赦ない弱肉強食の世界に足を踏み入れようとしている。あるいは、すでに足を踏み入れ、大ケガをしているのかもしれない。
FXは市場にある資金を奪い合うマネーゲームだ。強き者だけが生き残り、弱き者が明日の陽を浴びることはない。
「その差はどこからくるのか?」
その答えは『知識』にある。
一枚の絵を見たとき、一般人は「綺麗だ」とか「色味が明るい」くらいしか理解できない。だが、同じ絵を美術家が見ると「チーズとワインの配置が黄金比になっている」とか「衣服のほつれ具合が極貧時代の様子を物語っている」といった理解ができるのだ。
知識に差があるだけで、一つのものから得られる情報量が全く違ってくる。
FXとは、人食い鬼が住まう洞窟から財宝を奪ってくるようなものである。鬼に襲われたり、他の参加者からの妨害を受けたりしないために必要となってくるのが知識だ。
「赤い鬼は6週間に1回暴れる日があるからその日は洞窟に近づかないでおこう」
「このポイントに集まった参加者同士は互いに協力することが暗黙の了解となっている」
正しい知識さえ知っていれば、有利に生き残ることができるのだ。そして、生き残ってさえいれば、長期的に鬼からたくさんの財宝を奪ってくることもできる。
「そんな装備で大丈夫か?」
そんな神の声に導かれて、こんな辺鄙なところまでたどり着いたのだろう。
「もう大丈夫だ。この記事さえ読めば問題ない。」
知らないだけで損をしないために必要な『FX初心者が絶対に知っておくべき知識』がこの記事にはまとめられている。この記事を読み終えるころには、FXの世界で生き残るための最低限の装備が整っているはずだ。
それではこれから、あなたがまだ知らないFXの世界へとお招きしよう。
※わかりやすさに重点を置いているため、厳密な解説にはなっていない箇所がある。その点には注意して読み進めてほしい。
1.外国為替証拠金取引
「あなたはこれから、一体どんなゲームに参加しようと言うのか?」
自分が参加するゲームのことを知らないというのは、暗い闇の中を懐中電灯なしで進むようなものだ。周りが見えず、どこを進んでいるのか、何が起きているのかもわからない状態だ。
生死を賭けたFXの世界で、そんな愚を犯すべきではない。暗闇の中でうろたえる参加者は、手練れの参加者たちにとっての恰好の的でしかないのだ。
初心者がまずやるべきこと。それは、ゲームの仕組みやルールを根本から理解することである。
家電製品の取扱説明書はプロが書いた説明書だ。本来であれば対象の製品を買ってすぐ読むべきものであるが、多くの人は読まずに製品を使う。
生死が賭かっていなければそれでも問題ない。
だが、FXの世界では、知らないことが死に直結する。一から説明書を読むのは面倒だとは思うが、まずはFXがどんなものか、理解するところから始めよう。
(1)FX
「FXとはなにか?」
FX(foreign exchange)を直訳すると『外国為替』になる。だが、日本では『外国為替証拠金取引』を指す用語として一般化されている。
漢字の羅列があまりにも過ぎるので、それぞれの意味を分解して解説していきたい。
もともと、為替には『現金の代わりに小切手や証書などで決済する方法』の意味がある。ただし、現代ではデジタル化が進んでいるため、小切手や証書の取扱いがすべてデジタル上で完結する。
そのため、外国為替とは『異なる通貨同士をそれぞれの国の銀行決済システムをとおしてデジタル上で交換(決済)すること』となる。端的にいうのであれば、外国為替は『異なる通貨同士の両替』なのだ。
以下の例をイメージしてもらえると幾分かわかりやすいと思う。
アメリカに旅行に行くので日本円をドルに両替する
ゲームセンターに来たので日本円をメダルに両替する
さて、次は証拠金について解説していこう。
FXにおける証拠金とは『外国為替の取引を行うために必要な担保金』のことだ。取引したい金額の一部を証拠金として預けなければ、取引そのものができない仕組みになっている。
つまり、『取引をするための許可証』のようなものだ。グレードの高い許可証であればより多くの金額を取引できるが、グレードの低い許可証だと少ない金額でしか取引できない。
これまで解説してきた内容をまとめると、FXとは何であるかを理解できる。FXとは『担保金で許可された分の金額内で異なる通貨同士を交換する取引』である。
FXをする人の多くは、利益を得るためにFXをする。私自身もそうだし、おそらくこの記事を読んでいるあなたもそうだろう。
FXから得られる利益は以下の2種類だ。
為替差益(キャピタルゲイン):通貨の価値の差から得られる利益
スワップ収益(インカムゲイン):通貨の金利差から得られる利益
為替差益とは、1ドルが100円の時に100万円分のドル(1万ドル)を買い、1ドルが150円の時に手元にある1万ドルを売り、そのとき得られる50万円の利益を指す。
スワップ収益とは、上記の例で日本の金利が0%かつアメリカの金利が10%だった場合、ドルを持っている間、その金利差(10%)から得られる利益を指す。ちなみに、スワップ収益は1日ごとに得ることができる。その計算方法は以下のとおりだ。
スワップ収益=為替レート×保有数量×金利差÷365日
スワップ収益よりも為替差益の方が大きくなることが多いため、FXでは為替差益を狙っていくのが一般的だ。
(2)外国為替市場
「FX取引はどこで行われているのだろうか?」
その答えは『外国為替市場』である。
外国為替市場とは、その名のとおり『外国為替取引が行われる市場』である。
だが、実際にはFX会社や銀行などがデジタル上で個別に取引を行うため、物理的な場所は存在しない。外国為替市場とは、異なる通貨同士を両替する金融機関や会社などの集合体(ネットワーク)であり、概念的なものなのだ。その様子は、さながら電脳世界のようだ。
外国為替市場は世界各国に存在し、それぞれ為替取引が集中している都市の名前がついている。
アメリカ:ニューヨーク市場
イギリス:ロンドン市場
日本:東京市場
これらの市場は『三大市場(マーケット)』と呼ばれており、それぞれの市場での取引額の割合は以下のとおりとなっている。(2022年時点)
ロンドン市場:38.1%
ニューヨーク市場:19.4%
日本市場:4.4%
上記の取引額の割合を見て、勘の良い人は気づいたかもしれない。取引額が大きい市場が開いている時間帯の値動きは大きくなりやすく、その分為替差益も大きくなりやすいということに。
主役のいない時間帯に舞台へ足を運ぶのではなく、主役のいる時間帯に足を運ぶべきだ。主人公のいない演劇は、見るに堪えない。取引するのであれば、取引額の大きいロンドン市場とニューヨーク市場が重なる時間帯をおすすめする。
三大市場が開いている時間(日本時間)はそれぞれ以下のとおりだ。
ロンドン市場:15時~深夜1時ごろ
ニューヨーク市場:21時~翌朝6時ごろ ※冬時間は1時間遅れる
東京市場:9時~17時ごろ ※冬時間は1時間遅れる
※市場が概念的である以上、上記の時間はあくまでも目安である。
世界的にみると、外国為替市場では24時間365日休みなく取引が行われている。だが、土日祝日は主要なマーケットが休場となるため、取引に適さないということも併せて覚えておきたい。取引額が小さいと値動きも小さくなる。ゆえに為替差益も小さくなるからだ。
土日祝日(特に欧米の祝日)は、次の戦いに備えて有意義な休日を過ごすべきだ。しっかり汗をかいて、美味しいものを食べて、友人や家族と遊んで、たくさん寝ておこう。趣味に没頭するのも良い。英気を養おう。
ちなみに、ロンドン市場が開き始める時間帯に参加してくるロンドン勢のことを『アーリ―ロンドン』と言う。そして、このアーリーロンドンは、とにかく過激で相場が大きく動くことが多い。ロンドン市場が開き始める時間帯で取引を行う際は特に注意しておこう。
(3)為替レート
「日本円をドルに両替したい。」
そんなときに必要となってくるのが『為替レート』だ。為替レートとは『異なる通貨同士が交換(売買)される際の交換比率』のことを言う。
ドルと円の為替レートを例に挙げると以下のようになる。
100円/ドル(1ドル=100円)
※見方は『基軸通貨/決済通貨(=円/ドル=1ドルあたり○円)』である。
1万円をドルに両替したいとき、為替レートを確認することで100ドルに両替できることが見てとれる。
為替レートは誰かが一方的に決めるわけではなく、市場における需要と供給のバランスによって決められる。たくさんの人が欲しがる通貨はその価値が上がり、逆に要らない通貨はその価値が下がるのだ。
ドルと円の視点からこの関係性をみていこう。
100円/ドルの時点から、円の価値が上がってドルの価値が下がり、為替レートが50円/ドルになったとしよう。
「あれ?円の値段安くなってない?」
と、ここで思わずツッコミたくなった人もいるだろう。
確かに、見た目上の値段は安くなっている。だが、値段ではなく価値の面から考えてみてほしい。今までは1ドルと交換するには100円必要だったものが、50円でよくなった。
これはつまり、今まで1本1ドルのアメリカンコーラを買うのに100円かかっていたのが、1本50円で買えるようになったということだ。
100円あれば2本買える。この変化を『円高ドル安』という。
高い、安いと表現するせいで少しわかりづらくなっている。が、これはもう変えようがないので、以下のように置き換えて理解しておきたい。
高い:価値が上がった(表示上の数字は減る)
安い:価値が下がった(表示上の数字は増える)
ちなみに、100円/ドルの時点から、円の価値が下がってドルの価値が上がり、為替レートが200円/ドルになった場合の変化のことは『円安ドル高』という。
これまでドルと円を例にして為替レートについて解説してきた。
だが、為替レートには、ドルや円以外にもユーロやポンドといった通貨の為替レートも存在する。ユーロドルやポンド円といったものだ。
FXでは、このような通貨の組み合わせのことを『通貨ペア』と呼ぶ。通貨ペアは以下のように呼ばれることが一般的であり、FX上級者になるにつれ通貨ペアの関係性も意識するようになるため、必ず頭に入れておきたい。
ドルストレート:ドルが入る通貨ペア
クロス円:円が入る通貨ペア(ドル円以外) ※米株に強く連動する
その他:ドルも円も入らない通貨ペア
クロス円は『ドル円×ドルストレート』の計算式で求めることができる。
そのため、クロス円を買うべきはドル円とドルストレートが両方とも上がっているとき、クロス円を売るべきはドル円とドルストレートが両方とも下がっているときになる。
FXでは上記で説明してきた通貨ペアにより取引が行われる。が、いつの日か、このように考えた天才がいた。
「一日の為替レートが決まっていれば楽じゃね?」
一日の為替レートが決まっていれば、レートが上がろうが下がろうが関係なく決まった金額で両替ができる。そのため、取引のたびに為替レートを確認する必要がなくなるのだ。
この固定された為替レートのことを『仲値』という。
仲値は『金融機関が外国為替を取引する際の基準となるレート』であり、よほど大きな為替変動がない限り、その日一日の間で適用される。
各市場における仲値を決める時間は以下のとおりとなっている。仲値が決まる前はチャートが独特な動きをするため、その前提知識として仲値が決まる時間はしっかりと覚えておきたい。
ロンドンフィックス(ロンドン仲値):24時 ※冬時間は1時間遅れ
東京仲値(基準レート(TTM)):9時55分
ニューヨーク市場:ドルが基軸通貨であるため仲値なし
2.注文
「細けぇことはわかった。早速取引だ。」
そう息巻いてFXの取引画面を見るとゲンナリする。ワケのわからない用語や数字が羅列されているからだ。
これでは市場に参加できない。目の前に扉があるのに、その扉を開けることができないのだ。
市場に参加するにあたり、外側から扉を開ける方法と内側から扉を開ける方法を知っておく必要がある。そして、自分が辿った道のりや手段を把握して、その経験を次回参加する際に役立てよう。
FXの取引を始めるために…いや、もっと言うと、始める前に必ず理解しておかなければならないことをこの章で解説していく。
(1)建玉(ポジション)
FXにおける注文とは『建玉(ポジション)の新規注文または決裁注文』を指す。そして、建玉とは『未決済の取引』のことだ。
FXは売ったら買わないといけないし、買ったら売らないといけない取引である。そのため、ドルを買ったのであれば、ドルを売らなければ取引終了とならないのだ。
上記の例でいえば、『新規注文(エントリー)』でドルを買い、買ったドルが『建玉』である。そして、『決裁注文』でドル(建玉)を売ることで取引が完了する。
ちなみに、通貨ペアの売買(取引)が成立することを『約定(やくじょう)』という。新規注文が成立したとき、決済注文が成立したときは、それぞれが約定したと言い換えることができる。投資の世界では頻出する言葉であるため、建玉とあわせて覚えておきたい。
さて、注文の際にもう一つ覚えておきたいことがある。それが『Ask(買値)』と『Bid(売値)』だ。個人トレーダーは、注文画面で買いたいときに『Ask』、売りたいときに『Bid』を選ぶ。
が、実は『Ask』と『Bid』はFX業者視点の用語なのだ。FXの本質は交換であり、買いたければ売る人が、売りたければ買う人が必要になる。そのため、『買値(Ask)』はFX業者が売る価格、『売値(Bid)』はFX業者が買う価格なのだ。
売り手と買い手が揃わない取引を、FX業者が間に入ることで、いつでも取引できるようにしているのである。大変ありがたい存在だ。
ただし、FX業者は100%善意でこのようなことはしていない。詳しくは後述するが、しっかりと個人トレーダーから手数料をとって運営されている。
(2)注文方法
FXの注文には、さまざまな注文方法が存在する。取引するうえで利用者にとってありがたい注文方法が多い。その主な注文方法は以下のとおりだ。数もあまり多くないため、すべて覚えて使い倒していくことをおすすめする。
成行注文:現在のレートですぐに注文
指値注文:希望条件での予約注文(安く買う、高く売る注文)
逆指値注文:指値の逆(高く買う、安く売る注文)
IFD(If Done)注文:新規注文と決済注文を同時に発注する予約注文
OCO(One Cancels the Other)注文:2種類の注文のいずれか一方の注文が成立したらもう一方の注文がキャンセルされる予約注文
IFO(IFD+OCO)注文:新規注文と2種類の決済注文を出し、決済注文のずれか一方の注文が成立したらもう一方の注文がキャンセルされる予約注文
実際に注文する際、これらの注文方法と同時に設定しなければならない項目がある。その主な項目が『通貨量』と『レバレッジ』だ。
通貨量とは『通貨の取引量』のことである。そして、この通貨量の単位を『ロット』と呼ぶ。
FX業者による違いはあるが、国内では1ロットが1,000通貨または10,000通貨であることが多い。ちなみに、ロットの計算式は以下のとおりだ。
ロット=証拠金÷為替レート×レバレッジ
もう一つの項目であるレバレッジは『てこの原理』のことを指す言葉である。FXでは、少ない資金で多額の取引ができるようになる投資手法のことを指す。
レバレッジが25倍であれば、証拠金4万円で100万円までの取引を行うことができる。レバレッジは直接設定するものではなく、ロット数(通貨量)の調整により希望するレバレッジでの取引ができる仕組みになっている。レバレッジの計算式は以下のとおりだ。
レバレッジ=為替レート×通貨量÷証拠金
FXが小額から大きな資産を築けるという所以は、このレバレッジからきている。が、あまりにも無謀なレバレッジをかけた取引は、『ロスカット』や『追加証拠金(追証(おいしょう))』の危険性を孕むことになるため注意したい。
ロスカットとは『損失が膨らんだポジションの強制的な自動清算』である。ロスカットは、ポジションを持っている状態で含み損が広がり、FX業者が設定する証拠金維持率が特定の割合を下回ると強制執行されるものだ。
また、追加証拠金とは『追加で入金しなければならない証拠金(またはその状態)』である。追加証拠金も、FX業者が設定する証拠金維持率が特定の割合を下回ると発生するものだ。
「証拠金を追加してください。さもなくば死だ。」
と、銃口を突き付けられるのだ。
これら二つのシステムは損失拡大を防ぐ目的で利用されている。が、FX業者が個人トレーダーからお金を取り損なうことのないように設定されているとも言える。
ちなみに、ここまで頻出してきた証拠金維持率は以下の計算式で計算される。
証拠金維持率(%)=時価評価総額(未決済損益を含む)÷必要証拠金×100
前述してきたとおり、証拠金維持率は個人トレーダーの命であるともいえる。FX業者が指定しているパーセンテージとの差を逐一チェックしておきたい。
(3)ズレ
FXはマイナスサムゲームであるとよく言われる。ゼロサムゲームが『参加者の損得の合計値がゼロになるゲーム』であるため、マイナスサムゲームは『参加者の損得の合計値がマイナスになるゲーム』を表す。
その原因として挙げられるのが『スプレッド』だ。スプレッドとは『買値(Ask)と売値(Bid)の差』である。端的にいうと、FX業者の手数料だ。
スプレッドは『pips(ピップス)』という単位を使って表される。pips(percentage in point)は『通貨の共通単位』のことである。円を含む通貨ペアでは『1pips=0.01円(1銭)』、円以外の通貨ペア(ドルストレート)では『1pips=0.0001ドル』と表示されているはずだ。
FX業者は、このスプレッドを収益とするため、買値(Ask)は売値(Bid)よりも高く、売値(Bid)は買値(Ask)よりも低く設定される。そのため、トレーダーは取引をするたびに手数料を払うことになるのだ。
ちなみに、スプレッドは通貨の流動性が著しく低くなると広がる傾向にある。買い手も売り手もいない場では、トレード相手を探したとしても希望の金額でトレードできないからだ。
金額的には微々たるものではあるが、扱う金額が大きくなるにつれて無視できなくなる。そのため、スプレッドは常に注視しておきたい。
そしてもう一つ知っておかなければならない『ズレ』がある。
それが『スリッページ』だ。スリッページとは『注文価格と約定価格のズレ』である。ドルを100円で買う指値を出していたのに、急激な値動きがあったがために101円で買うことになることがある。このズレがスリッページだ。ラグとも言える。
スリッページは、トレーダーの注文がFX業者のサーバーに到達し、約定するまでの間にレートが変動した場合に起こるものだ。つまり、FX業者のもつサーバーの処理速度や使用している回線が遅い場合、流動性が著しく高いときなどに発生しやすい。
FX業者を選ぶ際には、スプレッドの金額やスリッページの起きやすさ(約定力があるかないか)などを加味して選ぶ必要がある。
3.チャート分析
FXのチャートは『通貨ペアの値動きをグラフ化したもの』だ。FXをするのであれば、チャート分析は必修科目であろう。
「売り買いの大局がわからない。」
「エントリータイミングがわからない。」
「損切りポイントをどこに置けばいいかわからない。」
チャートを分析することで、多くのわからない問題が解決するからだ。
すると、FXで勝つ確率が大幅に上がる。訳も分からないまま売買しているよりも、市場参加者たちの多くと同じように売買すれば、その波に乗ることができるからだ。
チャート分析には、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の2種類がある。この章では、この2種類の概要について解説していく。
(1)ファンダメンタルズ分析
ファンダメンタルズとは『経済活動の状況を示す要因』である。
そのため、ファンダメンタルズ分析とは『経済活動の状況を示す要因から相場の動きを分析すること』だ。
ファンダメンタルズは値動きの発端となることが多いため、ファンダメンタルズ分析を行うことで相場の大局(環境)を知ることができる。つまり、チャートが上がるか下がるかの方向性を理解できるようになるということだ。
それは、相場のトレンドを知ることに繋がる。そして、このときのトレンドの強さに関しても、ファンダメンタルズの強さによって決定されるのだ。
例えば、日本が1億ドルを売るという情報が出回ったとしよう。すると、ドル円のチャートはものすごい勢いで落ちていくことになるだろう。ドルが売られるということは、ドルの価値が下がるからだ。
ちなみに、トレンドの終盤では、ファンダメンタルズが不安定となることが多い。これからどうすればいいのか、要人たちの意見が分かれるからだ。そのため、チャートの動きも落ち着かなくなる。乱高下して動きの読めない、エントリーしづらい環境になるのだ。
トレンドの終盤では、値動きに騙されず鉄の意思でエントリーしないことをおすすめしたい。
さて、ここまでファンダメンタルズ分析の大枠について解説してきた。詳細なファンダメンタルズ分析の解説は以下の記事を参照していただきたい。
(2)テクニカル分析
テクニカル分析とは『過去のチャートの値動きから相場を分析すること』である。
過去のチャートの動きをもとに未来の値動きを予測する分析手法であるため、その性質は統計学に似ている。
値動きがあって、その値動きをもとに分析が行われるのだ。つまり、テクニカル分析は値動きの結果として表されるものであるといえる。
ここでは、テクニカル分析の結果から最新の値動きが決まるのではなく、最新の値動きからテクニカル分析の結果が決まるということを理解してほしい。
一般的に、テクニカル分析はエントリーポイントや利確・損切りポイントを絞るために使う。前述した
ファンダメンタルズ分析で大局(売り買いの方向性)を判断し、テクニカル分析で注文を入れるのが王道だ。
例えば、ドル円でファンダメンタルズが買い、テクニカルでも買いのサインが出ていたとしよう。その状況であれば、ドル円を買うべきだ。100%当たるということはないが、ドル円が上昇する可能性が高いからだ。
相場の動きを100%当てることは誰にもできない。だからこそ、これら二つの分析手法を組み合わせて、その確度を少しでも上げていこう。数多くあるテクニカル分析を複数組み合わせるのもいいだろう。
さて、ここまでテクニカル分析の大枠について解説してきた。詳細なテクニカル分析の解説は以下の記事を参照していただきたい。
4.自己管理
FXはすべて自分一人で決めなければならない。それゆえに、FXは自分との闘いとも言える。
「エントリーしたいけどどうしようかな。」
「利確・損切りのポイントをずらそうかな。」
自分の行動をコントロールできるのは自分だけなのだ。そのため、己を管理することはとても重要となる。
どんな体調で、どんなリスクを負って、どんな取引をしたのか。これを理解したうえで、勝ち負けの理由を特定したい。そして、その理由から改善につなげていくことで、成長していかなければならない。
そうすれば、必ずFXの世界で勝ち続けることができるようになる。
(1)メンタル管理
人の心は山の天気のように変わりやすいものだ。
「嬉しいことがあればいい気分になる。」
「嫌なことをされればイラっとする。」
感情が激しく動いている状態というのは『冷静』ではない状態だといえる。
だが、FXは感情的にやっても勝てない。前述してきたチャート分析は、分析しなければならないがゆえに、論理的に行わなければならないからだ。
論理的にチャート分析を行うためには『冷静』でいる必要がある。FXで取引するうえでは、『冷静』な状態が適切な状態なのだ。そのため、自分自身がネガティブすぎる(体調が悪い、精神が不安定)ときや、ポジティブすぎる(喜びの舞を踊る)ときの状態は適さない。大人しく寝るか、趣味に没頭するかしていよう。
ちなみに、FXでポジションを取っている最中にお金の勘定をする行為は、大きな利益を得る嬉しさや利益を失う不安を助長する行為だと言われている。まだ自分のものとなっていないお金を勘定することで、それが感情を変化させるからだ。
感情のバランスを失う行為は、特に取引中はおすすめしない。
(2)リスク管理
FXは『リスク管理ゲーム』であると言われている。とれるリスクが、稼げる利益とイコールであるためだ。
つまり、1万円稼ぎたければ、1万円を失うリスクを負わなければならないということだ。とれるリスクが増えれば増えるほど、稼げる利益もそれに伴って増えていく。
このことから、FXは一撃で大金を稼ぐというよりも、コツコツ地道に稼いでいくということがわかる。
また、投資の世界には『損小利大』という言葉がある。その言葉のとおり、損は小さく、利益は大きくという意味だ。簡単ではないが、これができれば利益を積み重ねることができることは自明の理である。
そのためにできることで、特に優先すべきは『損を小さくする』ことだ。これは一回の取引のロット数を低くすることで対応できる。
また、建玉を建てる際には必ず利確・損切りポイントを設定しておくべきだろう。
利確ポイントは欲しい利益を確実に得るために、また大きな利益を狙いすぎて損をしないために必要だ。そして、損切りポイントは相場が荒れて会心の一撃を食らわないために必須なのだ。
上記にあわせ、エントリーを複数に分けておくこともおすすめだ。
チャートの動きは予測不可能であるため、エントリーを小分けにし、設定したポイントごとに利確・損切りをしていけばリスクはグンッと下がるからだ。
一方、『利益を大きくする』点については、そこまで意識しない方がいい。より多くを望み過ぎても大抵いいことにはならないものだ。
『二兎を追う者は一兎をも得ず』である。利益の大きさは相場次第として、多くのリターンがあった時はラッキーだったと思おう。
さて、ここでさらに損を小さくするために知っておきたい有名なルールについて解説していきたい。『2%ルール』である。
2%ルールとは『1度の取引におけるリスクを証拠金の2%以内に抑えるという投資ルール』である。
100万円の証拠金があれば、損切りポイントを2万円以下に抑えるのが2%ルールだ。このルールに則って取引をしていれば、証拠金が0になることはない。とれるリスクが証拠金の割合だからだ。
100万円から減らして90万円の証拠金になったのであれば、とれるリスクは1万8千円。もっと減らして、証拠金が10万円になったとしても、金額的には少ないが2千円のリスクまではとることができるのだ。
この2%ルールは、証拠金によってとれるリスクが変動するため、毎回計算する必要がある。
面倒ではあると思うが、毎回ざっくりとでも計算する癖をつけたい。
(3)取引記録
前述してきたメンタル管理とリスク管理をしたうえで、自身の取引を一つ一つ分析することをおすすめする。FXで成長するためにはこれが一番効くとされているからだ。
良い取引か悪い取引かを判断し、その理由を突き止め、今後の取引を改善していくことで成長する。この作業を行うためには、取引(トレード)記録をつけることが必要不可欠だ。人が忘れる生き物であるためだ。
『エビングハウスの忘却曲線』というものがある。エビングハウスの忘却曲線とは『時間の経過と記憶の関係を表した曲線』のことだ。
上図のとおり、記憶のほとんどが時間の経過とともに失われていくことがわかる。20分経てば約4割、1日経てば7割以上も忘れているのだ。そのため、記録として書き残しておくことがとても大切になってくる。
取引したという経験は、忘れ去られていけば身にならない。一つ一つの取引を経験値として取り込み、レベルアップにつなげる必要がある。そのために、自身の血肉として消化するために、取引記録は忘れずにつけていこう。
なお、取引記録に記録しておきたい項目は以下のとおりである。自己流にアレンジして記録してもらえれば幸いだ。
取引通貨ペア
エントリー理由
エントリー日時
エントリー額
損切り額
利食い目標額
決済理由
決済日時
決済額
トレード分析(2か月後を目安)
5.さいごに
これまで、知らないだけで損をしないために必要な『FX初心者が絶対に知っておくべき知識』を網羅的に解説してきた。
これで、FXの世界で生き残るために必要な最低限の装備は整ったはずだ。
―――神の声が聞こえる。
「そんな装備で大丈夫か。」
でも、今は自信をもって答えられるはずだ。
「大丈夫だ。問題ない。」
整えた装備は、使わなければ意味がない。実践に使ってこそ意味をなす。そして、FXで勝つためには成長し続けることが必要だ。
この記事をハンドブックとして持ち歩き、何度も読み返し、理解を深めていただければ幸いである。
なお、このハンドブックはアップデートを続けていく予定である。
自己の成長とあわせ、このハンドブックの成長も楽しみにしてもらえると嬉しい。
参考文献
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