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【OAK】ドラフト1日目のアスレチックス

ドラフト1日目は、クマー・ロッカー(TEX)とケイド・ホートン(CHC)の予想外の躍進など、波乱含みの展開になりました。見ていて楽しかったです。
A'sはその中で3つの指名を行い、全ての指名権を野手に費やしました。終わってみて、個人的にはそれなりに満足しています。

1.19 ダニエル・スーザック(Daniel Susac) C/大

1巡目全体19位ではダニエル・スーザックを指名しました。

スーザックはMLB.comのドラフトプロスペクトランキングでは12位に位置する選手で、A'sが19位で確保できたのはスティールと言ってもいいのではないでしょうか。

ダニエル・スーザックは攻守を両立させたハイレベルな人材です。
もう一人、NYMに11位で指名されたケビン・パラダという捕手もいますが、打撃が売りのパラダはコンバートが濃厚視されており、純粋な捕手という観点ではスーザックが今ドラフトNo.1ではないかと思っています。

スーザックは攻撃面ではハードヒットを量産できるのが強みです。193cmの大柄な体躯を活かして鋭い打球を飛ばし、なおかつ打球をスイートスポットに入れるのにも長けています。トラッキング系指標では昨年の全体1位指名のヘンリー・デービスにも負けていません

また、高校時代はクォーターバックを務めるなど身体能力は高く、それは捕手守備にも存分に活かされています。公式が"60"評価を与える強肩と併せて、インディーズのメディアが集計しているDRSでは主要な捕手ドラフティーを凌駕しています。

苦手だったフレーミングも改善させたとのことですが、スーザックがMLBに到達する頃には自動判定が導入されていることが予想されるため、下手だったとしても気にすることではないでしょう。

スーザックの問題は、今シーズン四球の2倍以上の三振を喫したアプローチにあります。
コンタクトスキルは優秀なものの、早打ち傾向にあり、特に変化球を追いかけてしまう悪癖があるようです。
思うにスーザックのアプローチの未熟さは、今シーズンに右打席に絞るまでスイッチヒッターだったスーザックにとっては、右投手が投げる変化球に対応する経験が乏しい故ではないかと。バットに当たらないということはないので、経験さえ積めばアプローチにも改善の目はあると思います。


A's側の思惑とは

A's側の思惑としては、とにかく「残っている中でベストの選手を獲った」という所に尽きると思います。

個人的にはドリュー・ギルバート(HOU)あたりを高く買っていたので、わざわざ人手が足りている捕手でアプローチの拙いスーザックに行かんでもと思いました。
ただ、スカウティング・ディレクターのエリック・クボタ曰く、あの状況ではスーザックが頭が一つも二つも抜きん出た選手だとA'sは評価していたとのこと。であれば、納得できる決断です。

A'sはこれまでも三振の多いプロスペクトを育て上げてきました。しかし、彼らに共通するのは空振りが多くとも、ボール球は振らないということでした。スーザックはその点真逆ですから、どのようにして育てるのか気になるところです。

また、前述の通り、A'sの組織は今や捕手王国の様相を呈しています。

MLBにはショーン・マーフィーがおり、AAAではシェア・ランガリアーズが昇格間近、AAではJJ シュワルツとカイル・マッキャンがバウスバックシーズンを送り、A+には至宝タイラー・ソダーストロム、Aには昨年のドラフトで指名したCJ ロドリゲスとシェーン・マクガイアがソリッドなデビューシーズンを送っています。カウントするべきかはともかく、InFAでも捕手の人材が多く、かなりポジティブになれますね。

ジョナ・ハイムの時にも痛感したことですが、捕手のプロスペクトをメジャーレベルにまでしっかりと育て上げてトレードチップにできたら、かなり有利に立ち回れると思います。
まずはショーン・マーフィーのトレードいくぞ!


個人的な所感

個人的にはスーザックのスイングはクリス・ブライアントを思い起こします。
エリック・クボタは同じ大柄な捕手としてボブ・メルビン元監督を比較対象に上げていました。

正直、スーザックは19位の前に買い手がつくだろうと思っていたのと、残っていても捕手は獲らないのかなと思っていたのもあって、スーザックはノーマークに近い存在でした。
ただ、指名後に色々リサーチしていく内に洗脳され、秒で信者になりました。去年までスイッチだったからアプローチは経験次第でなんとかなるという楽観論を展開しているのもそれ故です。

あとスーザックのベストツールは顔ですね。男前なブランドン・バリエラ(TOR)とは対照的なベビーフェイス。wFaceという観点でも貢献は大でしょう。ベビーフェイスの捕手ということで、球界ではバスター・ポージーの穴を埋める存在への成長が期待されます。

余談ですが、スーザックは北カリフォルニアのサクラメント出身なんですね。

早速インタビューでは「地元っ子だし、A'sを見て育ったから嬉しい」とコメント。
また、ソダーストロムとは出身が近く同期だということもあり、親交があるそう。

今シーズンに入ってからソダーストロムの捕手に対するモチベーションがやや低下している様子も見受けられるので、盟友スーザックの加入でついにソダーストロムも一塁手メインになっていくんじゃないかと思います。

スーザックは、インタビューで自分という選手についてこう語っていました。

自分を形容する一番の言葉は”リーダー”だ。僕は自分自身だけでなく、チームメイトからも最大限の能力を引き出すようにしているんだ。

とても感銘を受けるメイクアップの持ち主です。


2.56 ヘンリー・ボルティ(Henry Bolte) OF/高

2巡目最初の指名権では高校生を指名しました。

ヘンリー・ボルティは高校生らしくハイシーリングな逸材です。プラスのローパワーとダブルプラスのランツールのコンビネーションは、フィールドを小さく錯覚させてしまうほど。ただ、想像の通りまだまだ荒削りなのは仕方がないところです。打撃では空振りの多さが懸念されています。

ボルティは公式ランクでは40位に位置するなど多くのサイトで40位前後に置かれるプロスペクトです。A'sの指名順より前に高校生好きな球団が持っていくのかなと思っていたので、ここで指名できたのは僥倖です。
2巡目でも大学生だろうなと半ば確信していたので正直ボルティのことはノーマークだったのですが←、調べる内に良い選手だな~としみじみしました。

ハイシーリングな高校生というと、時々ベニー・モンゴメリー(COL)やギャビン・ターリー(#107)のような、野球の上手い下手でいうと下手の方に触れかねない選手が散見されるのですが、ボルティはそんなことはない方の選手でした。打撃はもちろん、守備でもダイナミックなCFになれると思います。

この美しいスウィングをぜひ見てほしいです。


A'sの思惑

1巡~2巡相当の大学生野手が厚いクラスとの印象から、2巡目もなんとなく大学生と決めつけていましたが、見事に裏切られました。

確かにあの時点で残っていた選手のことを考慮すれば、ボルティのアップサイドに賭けるのは良い選択だったと思います。

A'sは昨年、デンゼル・クラークを4巡目で指名し、クラークは順調に成長しています。それに1巡目のマックス・マンシーもHRを量産しています。
同じハイシーリング型のクラークとマンシーで上手くいっていることに自信を得たのか、今後もハイシーリングなタイプを上位で確保する方針は継続してほしいですね。


2.69 クラーク・エリオット(Clark Elliott) OF/大

2巡目のあとに行われるコンペティティブ・バランス・ラウンドBでは、クラーク・エリオットを指名しました。自分のお気に入りのスリーパーが贔屓に指名されるとやっぱり嬉しいものです。

クラーク・エリオットはスーザックやボルティとは違い、ハイフロアー型のタレントです。
ヒッティングツールとアプローチの良さに高評価を得、比較対象はマイケル・ブラントリー
ドラフトイヤーの今シーズンはやや積極的になり、キャリアハイのシーズン16HRを放つなど長打力も伸ばしました。決して体格に恵まれているわけではありませんが、引っ張り方向に効率的にハードヒットを打てるのも魅力的ですね。
60評価のランツールも兼ね備え、CFも守れそうですが、肩が弱いためLFがメインになりそうです。


A'sの思惑

昨年のドラフト2巡目のザック・ゲロフやドラフト7巡目のブレット・ハリスを彷彿とさせる指名です。
スーザックやボルティのような天井の高いプレイヤーと同時に、抜け目なく戦力になる可能性が高い選手も確保することができました。こういうのでいいんだよ、こういうので。


2日目以降について

1日目の指名の中では、2巡目のボルティはサイナビリティーが低く、契約金が高騰しそうな選手です。
スーザックもエリオットもほとんどフルスロット持っていきそうなため、2日目以降でやや倹約志向の動きを見せるかもしれません。

例年の傾向からいくと、既に高卒のハイシーリングなタレントを確保しているので、ここからは大学生の指名に徹する可能性があります。期待しましょう。

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