【OAK】なんとかなりそうなクリスチャン・パチェ
パチェの打撃をそこまで心配していない
今シーズン正CFを任されているクリスチャン・パチェですが、疑問視されていた打撃ではまだ通用していません。
「通用していない」というのはまだオブラートに包んだ表現を選んでいる方で、実際にはFanGraphs算出のオフェンス貢献度ではメジャーワーストを記録しています。現状、メジャーで最も打てない打者と言っても過言ではありません。
オルソンとのトレードで加入する前はATLのNo.1プロスペクトを張っていたパチェですが、マイナーにいた頃から打撃は疑問視されてきました。
打撃開眼までは時間が必要なことを承知の上での獲得であり、そしてレギュラー起用ですから、このスタッツはある意味必然と言えるかもしれません。
ただ、いくらプロスペクトだろうが打撃が疑問視されていようが、こんな選手が将来的にまともな打者になるのかという声もあると思います。これはそのレベルのスタッツです。
個人的には、今年のパチェは改善点もたくさんある一方で、希望的な兆候も示していると思います。
※全てのデータは5/28時点のもの
球界で最も運に恵まれていない打者のひとり
パチェは意外なスタッツでリーグのトップ(ワースト?)に立っています。
それはexpected statsと実際のスタッツとの差。つまりは打球の質から期待される期待値指標に対して、実際の成績が大きく下回っているということです。
実はこのパチェ、打球の質は想像以上に優秀なのです。
パーセンタイルで上位20%に食い込む打球速度は90.8mph
ハードヒット率は45.1%
といずれもパチェの実際のスタッツを考えればかなり優秀なスタッツです。
今の成績は流石に”出来ていなすぎ”であり、シーズンを終えば揺り戻しが来る可能性も十分に考えられます。
少なくとも、パチェは我々が思うよりも悪い打者ではなさそうです。
速球系への対応が改善中
移籍前までのパチェはメジャーレベルの速球系に対して明らかに対応できていませんでした。
全スウィング中の空振り率を示す”Whiff%”では4割近い数値を叩き出しており、x-statsを見てもほとんどまともな打球を飛ばせていなかったことが分かります。
しかし、2022年に入ってからは明らかな改善を見ています。
Whiff%はそれ以前までと比べると半減し、実際のスタッツには現れていないものの、x-statsは希望を抱くには十分な数字です。
もはや速球はかつてほど多用される球種ではなくなりましたが、依然として半分近い割合を占め、さらに球速も日進月歩の上昇を見せています。速球系への対応の改善は、パチェがマイナーリーガーから一端のメジャーリーガーにステップアップする上では大きな手がかりとなるはずです。
今後の改善点①: 変化球に弱い
ここからは今後の改善点についても書いていきます。
あちらを立てればこちらが立たずとでも言うのか、速球にはそこそこついていけるようになったパチェの目下の課題は変化球対策です。まぁそれまでは速球も変化球も打っていなかったので、、、
パチェは変化球に対して脆いのが現状です。カッター以外の全ての変化球に対して40%を超えるWhiff%を記録、打率は.147に過ぎません。
ここらへんの対応は場数を踏んでトライ&エラーを繰り返していくほかにないでしょう。
ただ、ひとつパチェを擁護できる点があるとすれば、それは「変化球は誰も打てていない」ということです。
投手の技術の進歩は著しく、今シーズンのMLBは”投高打低”の傾向が極まっています。
スライダーであれば90mph近く、カーブであればRPM3000を超えるような”エグい球”はどんどん横行し、さらに前述の通り投手は速球を減らして変化球の割合を増やしていっています。
今年のリーグ全体の変化球(4シーム/シンカーを除く全球種)に対する打率はわずか.219なのです。つまり、打てていないのはパチェだけではありません。
今シーズンの対4シームのRun Valueトップの球界最高のファストボール・ヒッター、ジャレッド・ウォルシュでさえ、スライダーに対しては打率.214/Whiff 39%というスタッツです。
このままパチェが速球対応を向上させ続ければ、変化球に対する脆さをカバーすることは十分可能でしょう。ましてやパチェはタイトル級の打撃を期待されているわけではないのですから。
今後の改善点②: ゴロが多い
せっかく打球が速いのにも関わらず、ゴロ打球が多いせいでいまいちバレルが少ないというのは要改善です。(打球が速くなりやすいゴロが多いから打球速度が優秀っていうのもあるかもしれないですが。)
優秀な打球速度にあぐらをかいてゴロばっかり打ち続けると、うだつの上がらないままFAイヤーを迎える可能性があります。
なんとか直してほしい所です。
パチェのこれから
成績的には十分ではないかもしれませんが、シーズンここまでのパチェのプレーぶりには満足しています。見ていて楽しい、エネルギッシュな選手です。
アスレチックスがプレーオフ争いに戻ってくる2,3年後には、打撃が好調な時のジャッキー・ブラッドリー・ジュニアのような選手になってくれているのではないでしょうか。
その他のトピック
リリーバーの顔ぶれが変わる
ブルペンに3人の新顔が加わりました。
1人はオースティン・プルイット。TBでのピッチングを覚えている人も少なくないでしょう。今季はマイナー契約でA'sに加入し、22イニングでわずか2四球の好投を見せ、40人枠入りを勝ち取りました。
ロングリリーフ役としてブルペンに厚みをもたらす存在になりそうです。
そしてもうひとりはドミンゴ・タピア。昨年は主にKCでプレーし、ERA2.64の活躍。今年は不調でDFAを受けましたが、正直このレベルの投手をウェーバーから拾えたのは僥倖です。
先日のHOU戦でも早速99.4mphを計時していました。
最後に紹介するパーカー・マーケルはこの中の面々では最も知られていない選手ですが、一番アップサイドを感じる投手です。今季AAAではERA1.89、K/9 13.26を記録。平均95mphの4シームに回転数豊富なブレーキングボールを織り交ぜます。似たようなスタイルで活躍しているザック・ジャクソンとダニー・ヒメネスに続くかもしれません。
そして、一連のトランザクションで先発ローテの一角だったザック・ローグがオプションされました。中日の関係でしばらく先発を4人でも回せるというのもあるでしょうが、このままローグはマイナーの誰かしらと入れ替わりそうです。
候補として挙がるのはマナエアの対価であるエイドリアン・マルティネスか、28歳の苦労人左腕ジャレッド・ケイニグです。ケイニグは打者有利のAAAでもずば抜けたパフォーマンスを見せているので、ここらで昇格してほしいなと個人的には思います。
ジョナ・ブライドとブレット・ハリスがそれぞれ一階級昇格
俺が信じたジョナ・ブライドがAAA昇格です。昇格後のAAAでも1B/3B/Cの複数ポジションをこなしながら、打率6割と早速”格”を見せています。今季中の昇格もかなり濃さそうです。
俺が信じたブレット・ハリスがAA昇格です。ブライド同様、アプローチの良さは上のクラスでも相変わらず。AAでも打率5割の活躍を見せています。ゴールドグラブ級とも言われる三塁守備にも注目のプロスペクトです。
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