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Queen”Don’t stop me now”という不思議な曲

2024年9月5日、フレディー・マーキュリーが存命であれば78歳。というわけで78年発売のアルバム”Jazz”収録のこの曲について。

シンプルで爽快なんだけど、実に不思議な曲。

まず作曲の面。
フレディーにしては珍しく、1小節にコード1つというコードチェンジの少なさ。シンプルにI-IIIm-VIm-IIm-V〜といった進行で進む。テンションコードもなし。Killer QueenやBohemian Rhapsody なんかでふんだんに出てくる分数コードやディミニッシュの類いも皆無。なので、ギターで弾き語ろうとすると1番やりやすい曲の1つだろうか。
(フレディーが珍しくギターを弾くCrazy Little Thing Called Loveもオープンコード多いけど、意外とコードチェンジのタイミング等、アコギ一本だとリズムを作るのが難しい)
ちなみにキーはF(ヘ長調)。ピアノだと黒鍵はシ♭のみで、弾きやすい調と言える。

アレンジメント。
ギター
2サビ以降のソロからしか入っていない!(ピアノの盛り上げ方次第ではギター入れなくてもアレンジ成り立ってそうでもあるけど)
このギターソロはまず音域の狭さが凄い(C4〜C5の1オクターブにおさまる)。
が、これで起承転結を見事に表現している。フレーズ自体も個人的にはトップ10に入るくらいには好き。

なので、もちろんブライアンお得意のギター・オーケストラは無し。シングル曲でここまでギターが少ないのはこの曲とWe will rock youくらいか。
オーバーダブ自体コーラスくらい?

ベース
コードネームをなぞるだけになりがちなルート弾きにおいてもしっかりと名演を残している。さすがジョン・ディーコン。
1番のサビ直後のシ♭の跳躍が印象的だけど、Bメロ、F7のセブンス音ミ♭の高音弦での連打において強くなるタッチ、D7でのファ♯-レの繰り返しも演奏にドライブ感を与えていて存在感あり。

ドラムス
ロジャー・テイラーのドラムセットはピッチが低い。そのドスドスがこの曲を締めていると言える。
そしてタイム感。ハードロックあがりらしからぬジャストさ。嫌々叩いてたという”Another one bites the dust”なんかもハマってたのはこのタイム感が要因かと。

ピアノ
全体像は、すごくざっくり言うと、ピアノトリオに多重コーラスとギターソロを載っけました、くらいのアレンジなので、基本のコード感とウワモノはピアノが担っている。

エルトン・ジョンみたいなピアノトリオ然としたことやりたかったのか?曲調は全然違うけど。

歌のバッキングの勢いそのままにピアノでソロを取る構成(ベン・フォールズ・ファイブみたいな)でのカバーを試してる人は絶対いると思う。

それにしても最初のモチーフはどこのメロディ?歌い出しのようなスローバラード調だったのか(ただし、歌い出しはAメロを変形したモチーフにも聴こえる)?そこからのテンポアップ、当時出始めのパンクの影響か?高速で”Little Queenie”をやりたかったんだろうか?

ちょっと考え出すと色々な想像ができる名曲。


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