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今週のフラクタル15 ((0.9+0.5i)(con(z)+1/con(z))+c)

どうも、108Hassiumです。

今回は$${(0.9+0.5i)(\text{con}(z)+\frac{1}{\text{con}(z)})+c}$$に関するフラクタル図形をお届けします。

この記事は記念すべき(?)50本目の記事ですが、内容はほぼいつも通りです。

(0.9+0.5i)(con(z)+1/con(z))+c

☝(0.9+0.5i)(con(z)+1/con(z))+cのマンデルブロ集合(z_0=1,x=-2~2,y=-2~2)
☝(0.9+0.5i)(con(z)+1/con(z))+cのマンデルブロ集合(z_0=1,x=-20~20,y=-28~12)

マンデルブロ集合は$${\text{con}(z)^2+c}$$等で見られる$${\text{con}}$$系特有の特徴を持っていますが、そんなことよりも縦方向への異常な細長さが目を引きます。

☝(0.9+0.5i)(con(z)+1/con(z))-0.74-0.3iのジュリア集合
☝(0.9+0.5i)(con(z)+1/con(z))-0.29-1.9iのジュリア集合
☝(0.9+0.5i)(con(z)+1/con(z))+1.26-6.07iのジュリア集合(x=-2~8,y=-7~3i)
☝(0.9+0.5i)(con(z)+1/con(z))-1.07+1.25iのジュリア集合

$${\text{con}}$$系のジュリア集合には解析関数では見られない外見的特徴(後述)がありますが、$${(0.9+0.5i)(\text{con}(z)+\frac{1}{\text{con}(z)})+c}$$のジュリア集合はそれとは若干異なった独特なフォルムになるようです。

☝(0.9+0.5i)(con(z)+1/con(z))-1.13-1.02iのジュリア集合
☝(0.9+0.5i)(con(z)+1/con(z))-1.15-1.08iのジュリア集合

マンデルブロ集合上で左方向に飛び出している部分の値に対応するジュリア集合は、普通の$${\text{con}}$$系ジュリア集合と同じような形になるようです。

☝(0.9+0.5i)(con(z)+1/con(z))-0.8+1.95iのジュリア集合
☝(0.9+0.5i)(con(z)+1/con(z))-1.9+6.3iのジュリア集合

$${(0.9+0.5i)(z+\frac{1}{z})+c}$$のジュリア集合はめちゃくちゃ派手なカラーリングが特徴でしたが、$${(0.9+0.5i)(\text{con}(z)+\frac{1}{\text{con}(z)})+c}$$だと同じ彩色関数を使っても似たような見た目にはならないようです。

※☟$${(0.9+0.5i)(z+\frac{1}{z})+c}$$に関する記事

☝(0.9+0.5i)(con(z)+1/con(z))+2.49-12.74iのジュリア集合(640周期)
☝(0.9+0.5i)(con(z)+1/con(z))+4.43-18.23iのジュリア集合(648周期)
☝(0.9+0.5i)(con(z)+1/con(z))+1.08-5.46iのジュリア集合(852周期)
☝(0.9+0.5i)(con(z)+1/con(z))+3.8-17.73iのジュリア集合(960周期)
☝(0.9+0.5i)(con(z)+1/con(z))+2.54-12.91iのジュリア集合(1104周期)

いつものやつです。

con系ジュリア集合あるある

既にいくつかの記事で触れていますが、改めてcon系ジュリア集合(解析関数$${f(z)}$$を用いて$${f(\text{con}(z))}$$と表せる関数のジュリア集合)の特徴をまとめます。

まず、以下の2枚の画像は$${z^2+c}$$と$${\text{con}(z)^2+c}$$のジュリア集合のうち似たような形をしたものです。

☝z^2-0.97-0.25iのジュリア集合
☝con(z)^2-0.7+0.07iのジュリア集合

どちらのジュリア集合も収束領域が集まったZ字型の塊が中央にあります。

しかし、$${z^2-0.97-0.25i}$$のジュリア集合がZ字型が同じ向きでつながった形をしているのに対し、$${\text{con}(z)^2-0.7+0.07i}$$の方はZ字とS字が交互に繋がっています。

☝Z字型が連続
☝ZとSが交互

$${z^2-0.97-0.25i}$$のジュリア集合のZ字型の塊どうしの接点は渦巻き型になっていますが、$${\text{con}(z)^2-0.7+0.07i}$$のZ字とS字の接点はアーチ状の曲がり方をしています。

☝渦巻き型
☝アーチ型

また、$${\text{con}(z)^2-0.7+0.07i}$$ではわかりにくいですが、$${\text{con}(z)^2+c}$$のジュリア集合では収束領域の接点や収束領域内の目玉状の模様が2つずつ向かい合うような配置で現れることがあります。

☝con(z)^2+0.25+0.51iのジュリア集合
☝con(z)^2-0.58+0.03iのジュリア集合

以上のような「ZとSが交互」「アーチ形接点」「向かい合い」というのが$${\text{con}}$$系ジュリア集合でよく見られる特徴で、以下のように他の関数でも似たような特徴が現れることがよくあります。

☝con(z)^3/3-con(z)^2/2-0.34+0.64iのジュリア集合
☝con(z)^3/3-con(z)^2/2-0.36+0.66iのジュリア集合
☝con(z)^3/(con(z)+0.1i)-0.57-0.01iのジュリア集合
☝1/con(z)^2+1.6iのジュリア集合

※臨界点が複数ある関数や収束領域が密集するタイプのジュリア集合の場合、con系じゃないのにcon系っぽくなったり逆にcon系の特徴が出ないといった例外が発生することがあります。

さて、ここで改めて$${(0.9+0.5i)(\text{con}(z)+\frac{1}{\text{con}(z)})+c}$$のジュリア集合を見てみましょう。

☝(0.9+0.5i)(con(z)+1/con(z))-0.29-1.9iのジュリア集合
☝(0.9+0.5i)(con(z)+1/con(z))+1.26-6.07iのジュリア集合

Z字やらS字とかとかけ離れた形をしているのはさておき、収束領域の塊が2個つながっている箇所の曲がり方が他のものとは異なります。

解析関数と同じ渦巻き型ではないものの、アーチ型とは曲がり方が真逆の「ハの字型」になっています。

$${\text{con}}$$系ジュリア集合はまだあまり調べていないのですが、このようなハの字型の接点は$${c(\text{con}(z)+\frac{1}{\text{con}(z)})+d}$$という形の関数でしか見たことが無く、もしかしたら珍しいものかもしれません。

ちなみに、調査済みの関数だと$${\frac{c}{\text{con}(z)^2-1}+1}$$のジュリア集合がもっと変な特徴を持っていて、どうやら$${\text{con}}$$系の性質と2周期発散性が組み合わさると訳の分からないことになるようです。

参考

$${\text{con}}$$系ジュリア集合を取り扱っている既存の記事です。

  • $${\text{con}(z)^2+c}$$

  • $${\frac{\text{con}(z)^3}{3}-\frac{\text{con}(z)^2}{2}+c}$$、$${\frac{c}{\text{con}(z)^2-1}+1}$$

  • $${c(\text{con}(z)+\frac{1}{\text{con}(z)})}$$、$${\frac{c}{\text{con}(z)^2-1}+1}$$、$${c(\frac{\text{con}(z)^2}{2}+\frac{1}{\text{con}(z)})}$$

※今回説明したものとは別の性質について解説しています。

  • $${\frac{1}{\text{con}(z)^2}+c}$$