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あか牛と草原

熊本に行くと必ず「あか牛」を食べます。
いうまでもなく美味しいあか牛を、焼き肉はもちろん、ステーキ、すき焼きと、いろんな食べ方を楽しみます。
なかでも、あか牛丼は一番好きでよく食べています。

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熊本・阿蘇のあか牛は、阿蘇の大草原を活用して放牧で肥育されます。
放牧の季節になると、あか牛が気持ちよさそうに草を食んでいます。

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草原は放牧をするために野焼きが行われます。
阿蘇の野焼きは山をまるごと焼いてしまうほどの大規模なもので、
日本最大級の野焼きと言われています。
春の野焼きが終わると、みごとに草が芽吹きをはじめ、真っ黒だった山肌は、放牧のはじまる頃になると美しいみどり色に生まれ変わります。

阿蘇の大草原は森林限界による草原とおもわれていることが多いのですが、
そうではなく、この野焼きによって維持されているものです。
村の人たちが生きていくために、千年も前から続いている生活文化です。


約30メートルほどの大きな火柱をたてながら山肌を焼いていく野焼きは、
危険を伴うことはもちろん、何十リットルもの水を背負って山を昇り降りするなど、体力も必要とする大変な作業です。
放牧が終わった晩秋から準備を行い、春になると村の畜産農家の方や村の人たちが阿蘇の大草原を焼いていきます。最近は高齢化や畜産農家の減少などもあり、野焼きの研修を受けたボランティアの力も借りているそうです。

わたしは野焼きを手伝うことはできません。
手伝いを申し出ても「本当に危ないから」と断られます。
動画の様子を見てもわかるように簡単にできるようなものではないのです。


人が野焼きを行い、阿蘇の自然が草を育み、その草をあか牛が食む。
そのことによってもたらされる恩恵は、他の動植物はじめ、畜産農家の村人だけでなく、世界中から訪れる観光客、観光業に携わる人など、たくさんの人や自然もうけています。

わたしもそのひとりです。
美しい草原の景色に癒され、カメラにおさめ楽しんでいます。

野焼きの手伝いはできない私ができることは、あか牛を食べること。
あか牛のいのちをいただくこと、育てるひと、草原をまもる人、
いろんなものことに感謝して、これからもずっと素晴らしい阿蘇の大草原が維持されていくことを願って。

今日も思いを込めてあか牛をいただきます!
たけまるでした。


<阿蘇の草原資料>
阿蘇の草原について案内した環境省発行のパンフレットがあります。
PDF形式になっています。URLはこちらです。


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