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またしても空から「バッテリーがなくなりました。まもなく停止します」と聞こえてくる。「至急…
あの日の風。時が戻る。 あの日の君がとなりで微笑んでいる。 このまま二人でまたずっと生き…
いつものレストランへ行くと店主が変わっていた。 「レシピは変わらないのでご安心を」 そう…
野良ロボットが公園をギシギシと歩いていた。 薄汚れて苔むした身体をなんとか回転させて。 …
パラパラパラパラパラ。 夜が雨に包まれる。 しばらく降りつづきそうな勢いだ。 きょうの天…
森の向こうから電車の音が聴こえる。その姿は見えない。串焼きをつまみに酒を呑みながら耳を澄…
長い旅の途中。 白い霧に包まれる。 ある者は進み、ある者は戻り、 みんな消えてしまった。 彼は恐怖のあまり動けない。 立ちつくしたまま悩みつづける。 結局どうすべきかはよくわからない。 その場で崩れおちるように座りこむ。 空を見上げ、風に吹かれ、 鳥と歌い、花を紡ぐ。 いつまでもひとり 幸せに暮らす。
彼は遺言書に「おぎゃあ」と記す。 おでこには「続」の文字を刻んで。 To be continued. 乞…
「ここはどこ。わたしはだれ」 そう問いかけながら世界をさまよい続けた点Pがなにかを悟った…
空襲警報が鳴りひびく。 爆撃機から雨のように マシュマロが降りそそぐ。 人々は我先にと竹…
見渡すかぎりだれもいない。 まっしろな平原にポツンと置かれた 椅子にひとり。 おもむろに立…
きょうも少年は壁にボールを投げつづける。遠くから響くその汚れなき音を聴きながらベッドに横…
街に青い毛が激しく吹いていた。そのせいで作業場に入ってきた彼女も青い毛まみれだった。「い…
Tシャツが道端に落ちていた。どこかのベランダから飛ばされてきたのだろうか。心のやさしいだれかが木の枝にかける。胸元に大きく描かれた見知らぬおじさんの顔が風に揺れる。持ち主は現れない。街ゆく人々は来る日も来る日もTシャツを見上げる。いつしか見知らぬおじさんの顔は街のシンボルになる。いまさらもう言いだせない。それがどこのだれで、なぜ脱ぎすてられていたのかなんて。