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なにかしらのロボット
野良ロボットが公園をギシギシと歩いていた。
薄汚れて苔むした身体をなんとか回転させて。
おもわず手を差しのべようと近づく。
背中に貼られた注意書きが目に入る。
野良ロボットは公園からギコギコと出ていく。
ひび割れた頭からファンファーレを鳴らして。
くもりのちポテトフライ
パラパラパラパラパラ。
夜が雨に包まれる。
しばらく降りつづきそうな勢いだ。
きょうの天気予報をたしかめる。
くもりのマークのとなりにポテトフライがある。
目を閉じて耳を澄ます。
パラパラパラパラパラ。
たしかに油で揚げられているようにも聴こえる。
あたりに降りそそぐ無数のポテトたちが。
巨大な紫色のなにかと
森の向こうから電車の音が聴こえる。その姿は見えない。串焼きをつまみに酒を呑みながら耳を澄ます。きっと車窓からは麦わら帽子の少女が森を見つめているにちがいない。そして一瞬だけ。森の向こうと目が合うのだ。串刺しにした村人たちを喰らいながら酒を呑む巨大な紫色のなにかと。彼女はすこし驚いてから微笑んで手を振る。はじめまして。さようなら。
少年は壁にボールを投げる
きょうも少年は壁にボールを投げつづける。遠くから響くその汚れなき音を聴きながらベッドに横たわる男がまたひとり安らかに目をとじる。永遠に。よし。これで989人目。少年はあしたも壁にボールを投げる。念願の1000人をめざして。