五人囃子が2セット!?
実家の母から電話があった。
久しぶりである。
相変わらずのマシンガントークが、まずは30分。
ようやく、一息ついたようなので、母の話を要約してみた。
「つまり、お雛さんの残りを、ひ孫に送りたいってことやねんな。
ほんで、ひな壇がないから、ネットで探して注文してってことで、
あってる?」
わたしが子供の頃に飾っていたお雛さん。
当時は、段飾りのものが多く、我が家も例にもれず。
だから、お雛さんのころになると、家がさらに狭くなったもんやった。
それが、お内裏様とお雛様と三人官女だけ、ひ孫の家に届いている。
昔ながらの七段飾りを飾るような場所はないから、
主要メンバーだけいただいたというわけだ。
でも、実家の母としては、
家の広さとか、ひ孫の母である孫娘の意向には関係なく、
とにかく残りのお仲間も送りたいんやそうな。
よくよく聞いてみると、普通の乗用車には詰めないくらいの、大きな段ボールに2箱分。
荷造りも大変やから、シルバー人材センターの方にお願いするらしい。
えっ?
ちょっと待って。
ダンボール2箱分て?
乗用車に詰めないくらい大きい箱って?
いったい中には何が入ってるんや?
それを確認するのに、またマシンガントークを30分聞く。
主な内容は、認知症サポーター講座に参加してきたことについて。
これについても、つっこみどころは満載。
サポートするのか、されるのか、かなり微妙なところにあるとは思うけど、
まあ学ぶ内容は一緒やからなあ。
それに、ここにつっこんでいたら、お雛さんの話からまた遠ざかってしまう。
落ち着け、わたし。
ようやく、お雛さんの話にもどったところで、
箱の中身を確認してみた。
「えっ?
だから、のこり全部やん。全部やんか。」
でも、残りと言っても、うちの場合は、
五人囃子に右大臣左大臣。
それに、牛車とかひし餅とかの雛道具類。
それで、ダンボール2箱分?
車に積めないほど?
いやいや。
ないない。
どういうことなん?
と、次の質問をしようとすると、またもやマシンガントーク30分コースに突入しかけるので、
すかさず、
「そんなにいらんやろ。
送ってもらわんでもいいよ。」
と、ちょっと強めの口調で言うと、
そこにはすぐさま反応してきた。
「なんでやのん。全部ないと、ひ孫がかわいそうやないの。」
「いやいや。かわいそうなことはないよ。
だいたい、なんでそんな大荷物になるんか、さっぱりわからんわ。」
「そらそうやろ。全部、2セットずつあるねんから。」
「えっ?2セットずつ?何が?」
「だ~か~ら~。
五人囃子が2セット。右大臣左大臣も2セット。他のも2セットずつあるねんから、そら、大荷物やろ。」
「えっ?ひ孫の元にあるお雛様とお内裏様と三人官女は1セットやで。
だいたい、なんで他のものが2セットもあるんや?」
「何言うてんの。
昔から、2セットずつあったやろ。
えっ?なに?なかった?
そやったか?
なかったか?
でも、2セットあるねん。なんでか。
まあ、いっぱいあった方が、お金持ちみたいでいいやん。
昔は、お金持ちの家は、8段飾りのところもあったんやで。
お金持ちの人が言うてたわ。
その時、なんか、お金持ちの人にいばられて嫌やってん。
2セットずつあったら、8段飾りにも負けへんやろ。
せやから、いっぱい飾ったらいいやんか。なっ。」
なっ。
やあらへん。
もう、いろいろと、突っ込みどころはありまくりやけど、とりあえず、
そんなにたくさん送ったら、孫もひ孫も寝る場所がなくなり、立って寝なあかんようになる
という理由で、いったんは納得してもらい、荷物を送るのはやめてもらった。
認知症サポーターの講座って、ほんまのところは、どうやったんやろう。
サポートされる側の講座やったってことは、ないんやろか。
これは、近々実家に行って確認やな。
う~~ん。
電話でのマシンガントークもかなりのものやけど、対面となると、これをかわすことはかなり難しい。
どんなプロテクターを身に着けても、受けきれないトークの球。
とりあえず、
1.ひ孫の写真
2.母の好きなきんつば
3.スーパーへの買い物連れ出し
の、3点セットを用意して訪問するか。
それにしても、謎の五人囃子たちである。