見出し画像

【展覧会】石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか

東京都現代美術館で開催されている企画展「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」を観覧してきました。
見応えあるのでちゃんと朝ご飯食べていこうね。

+++展覧会DATE
会期 2020年11月14日(土)〜2021年2月14日(日)
会場 東京都現代美術館
時間 10:00〜18:00(最終入場時間 17:30)
休館日 月曜日 
11月24日、12月28日~2021年1月1日、1月12日
※ただし11月23日、2021年1月11日は開館
観覧料 一般 1,800円
大学生・専門学校生・65 歳以上 1,300円
中高生 700円
小学生以下 無料
https://www.mot-art-museum.jp/

画像1

石岡瑛子さんについては、今回の展覧会で初めて知りました。
グラフィックデザイナー、アートディレクターであり、舞台映画の美術衣装、ひいてはオリンピックの衣装など国際的なエンターテイメント分野にまで広く活動されたすごい方です。

どうだろう?
この方の人生は、全クリエイター、デザイナーの夢の人生じゃないでしょうか?!

わたしがグラフィックデザイナーでもがき、舞台クリエイティブに苦しめられつつ、その先へいきたいなと思ってる同じ世界の片隅人だからでしょうか?

展示は、就職したての頃のグラフィックの仕事から始まり、次第に世界的活動が広がり、エンターテイメントに流れ着くという、紙で仕事していたものが立体になり動き出す構造で、明らかにダイナミックになっていく仕事にわくわくします。

あからさまになる自分の現在地

展示室に入り、最初のチャプターで石岡瑛子さんの指示書きがびっしり書かれた色稿やスケッチが展示されており、コンピュータのない時代のグラフィックデザインの作り方が垣間見えてとても興味深かったです。
1960とか70年代だからおそらくコンピューターどころかコピーも一般の手の届く場所にはなかったんではないでしょうか。イラストは手書き、タイポグラフィも手書き、おそらく配置などは切り貼りか、コンピューターを持っている印刷会社のオペレーターがやっているんだろうか?
今ではめっきりやらなくなった「色稿」という試し刷りの原稿にびっしり書かれた石岡瑛子さんの尖った指示から、指示を出すプロ、指示を受け作業するプロ、写真のプロ、印刷のプロの存在が見えてきます。
それに比べ私の仕事の仕方だと、素人たった一人で、パソコンでデザインし色稿や印刷屋さんとの細かいやり取りもなく、あっというまに出来上がってしまいます。
こうやって作業を分解して見ると、昔はそれぞれの作業がこだわり抜いたプロフェッショナルが担当していた中で、私なんかはなんの知識もないただの素人で、この中で担当するとしても雑用ぐらいしかできないよなぁ。と理想とはかけはなれた自分の現在地を確認することとなりました。

しょっぱなから自分の浅はかさを思い知ったむき身のわたしは、変なひねくれ心がとれて軽やかになり、その後の夢のような展開を物語として入り込んで楽しむことが出来ました。

デザインとは架け橋

石岡瑛子さんは、広告のアートディレクターで活躍したのち舞台美術や衣装、映像の世界に活動を拡げます。
多くの人の場合デザイナーとは絵を描く仕事のように思っていると思います。予想ですが、石岡瑛子さんは衣装や舞台美術の仕事をしてますが、縫製をやるわけではないだろうし、木工などされないだろうと思います。
物を作る作業はそれはそれでプロフェッショナルが担当するところであり、私の思う「ものづくり」とは、手工芸というよりは発想・空想することだと思っています。大抵はイラストやら造形やらまでも担当できる方が多いですが、その場合は物づくり「も」できる人なんだと思います。
おそらくデザイナーの理想とは、石岡さんのようにジャンルを限定することなく、デザインの架け橋を使って森羅万象を渡り歩けることなんです。

展示の終わりに

石岡瑛子さんの展示を振り返ると、後半の大きな仕事になるにつれ、日本のものがほとんどないように見えました。
デビューからしばらくの広告の仕事は日本ですが、その後映画や舞台の仕事は海外で作られた物だし、ソルトレイクシティオリンピック、北京オリンピック。
展示にないだけなのかもしれませんが、もしかしたら、よく言われるように日本ってアートするにはやりにくい土地だからなのかな?とも勘ぐりました。

ここまで、紙の上の仕事から始まって、ため息でるほどのスケールの大きな仕事を見て、夢ごこちになっていたところで、最後の展示。その大きな夢の出どころは、小さな箱に込められたオルゴールだった、というような結末でした。舞台のフィナーレのような感動を覚え、自然とスタンディングオベーションをしながら会場をあとにしました。


.。゚+.(キョウハココマデ)゚+.゚。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?