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第18回 「チャットGPTは世の中を変える!」〜コンピューター科学者の坂村健さんに聞く

 今回のゲストはゲストは、コンピューター科学者の坂村健さん。
 1984年にTRON(トロン)プロジェクトを開始。あらゆるモノがネットにつながるIoTのコンセプトをこのプロジェクトでいち早く実現した。2017年4月から東洋大学情報連携学部の学部長を務めている。
 トロンの電脳住宅は100坪ぐらいのコンピューター制御された住宅。外気温に合わせて、エアコンを制御するだけでなく、窓を開けて風を通すなどの機能を実現。 トイレメーカーとは尿を自動分析する装置付きのトイレを開発した。組み込みコンピューターが今後、どんどん入ってくることを示すために、IoTの先駆けである住宅で組み込みコンピューターを使った。
 TRONプロジェクトはオープンアーキテクチャの考え方を採用。80年代からソースコードを公開していた。IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)から今年、IEEE井深大コンシューマー・テクノロジー賞を受賞。 組み込み型コンピューターのOSとしてTRONは、デファクトスタンダードになった。  ChatGPTはAIの歴史において革新的な存在であり、技術的なジャンプをもたらす。以前のAIは認識系であったが、現在は生成系に移行しており、すでにあるものを分析するだけではなく連想によって、新しいものを作り出せるようになった。 最近のAIは人間の脳をベースにしており、人間と同じ程度の知能を持てるようになった。ただ、自意識を持つまでには発達していない。
 「AIに自意識を持たせることは可能と言われているが、そこまではやらない方が良いと思う」と坂村さん。AIについてはリスクや倫理的問題も考慮しなければならない。また、テクノロジーを実装していくためには技術だけではなく、支える制度の整備や人材育成も重要。

<プロフィール>坂村健(さかむら・けん)1951年東京生まれ。 INIAD(東洋大学情報連携学部)学部長、工学博士、東京大学名誉教授。 IEEEライフ・フェロー、ゴールデンコアメンバー。 2002年1月よりYRPユビキタス・ネットワーキング研究所長。 オープンなコンピュータアーキテクチャTRONを構築。現在TRONはIoTのためのIEEE(米国電気電子学会)標準組込OSとして世界中で多数使われおり、2023年「TRONリアルタイムOS ファミリー」 がIEEE Milestone として認定された。 2015年ITU(国際電気通信連合)創設150周年を記念して、情報通信のイノベーション、促進、発展を通じて、世界中の人々の生活向上に多大な功績のあった世界の6人の中の一人としてITU150Awardを受賞。2022年 IEEE Masaru Ibuka Consumer Technology Award受賞。他に2006年日本学士院賞、2003年紫綬褒章。著書に『DXとは何か』、『IoTとは何か』(角川書店)、イノベーションはいかに起こすか』(NHK出版)など多数。

 キャスターは町亞聖&相川浩之。
「翔べ!ほっとエイジ」は、YouTube(動画)と主要Podcast、stand.fm(音声)で配信。

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