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水滸噺 21年8月【光を友に】

あらすじ
豹子頭一家 親戚の名は知らず
青面獣一家 妻子への愛を刻む
遊撃隊一家 史家村に襲来し
新遊撃隊共 本気の大反省会

すいこばなし 注意書き
北方謙三先生水滸伝何でもありな二次創作です。
・水滸伝の原典ネタは日常茶飯事、スマホにPCなど電子機器も飛び交うし、あの人が梁山泊で元気に生きていたりする、異世界からお届けします。
・原作未読の方でも楽しめるように、ネタバレを極力避けていますが、薄々感づいてしまう個所が垣間見えますので、その点はご注意ください。
楊令伝編で出てくる好漢は、すなわち水滸伝を生き残った者ということですので、未読の方はその点ご留意いただいた上でお読みください。
・作者のtwitterにて連載しています。
・今月号、バックナンバーのご意見ご感想、リクエスト等々、こちらまで
 お寄せいただけると、とても嬉しいです!いつも助かっています!
・原作に興味を持たれるきっかけになったらこれ以上の喜びはありません。



それでは行ってみましょう!

梁山泊

梁山泊…夏にふさわしい祭りがあるというが…

遊撃隊

遊撃隊…実家におけるジェネレーションギャップは大きいらしい。

人物
史進(ししん)…祭りで脱がんのはおかしい!
杜興(とこう)…祭りで憎まれ口をたたかんのはおかしい!
陳達(ちんたつ)…祭りで跳躍力を競わんのはおかしい!
施恩(しおん)…祭りで遮られるのはおかしい!
穆春(ぼくしゅん)…祭りで替天行道を暗唱しないのはおかしい!
鄒淵(すうえん)…祭りで山の獣にならないのはおかしい!

1.
史進「済州で夏祭りがあるらしい」
陳達「そうなのか」
鄒淵「行ってみるか?」
史「史家村の夏祭りを思い出すな」
鄒「どんな夏祭りだったんだ?」
史「村一番の夏漢を決める儀式があってな」
鄒「夏漢?」
史「夏漢に選ばれるのが、史家村の男達の憧れだったのだ」
陳「やってたな、そんな祭り」

史「父上も夏漢を決める季節になると、人が変わったかのように厳しくなられてな」
陳「そうだったのか」
鄒「夏漢になるとどうなるんだよ?」
史「この夏漢の着物を纏う栄誉を与えられる」
鄒「結局そういう祭りじゃねえか!」
陳「実質裸の着物なんだよな」
史「明と暗を司る史家村の神を讃えるのだ」

鄒「史家村まとめてそういう村だったのか?」
史「史家村の保正は代々その神に仕えていたといっても過言ではない」
鄒「お前の親父も?」
史「この厳しい顔をした写真を見てくれ」
陳「単なる素っ裸の爺じゃねえか」
史「爺さんも、そのまた爺さんもそうだったという」
鄒「…行ってみるか、史家村に」

史進…里帰り計画のプランを立ててみた。
陳達…史家村は避けて通れと言われた意味が分かってきた。
鄒淵…史進のルーツを探る旅になりそうだ。

2.
鄒淵「史家村が近いのか?」
陳達「ついでに少華山も寄って行こうぜ、史進」
史進「ああ、そうだな…」
鄒「感慨にふけっているのか?」
史「そりゃそうだ、鄒淵」
陳「俺たちは、この村と少華山から始まったようなもんだからな」
鄒「なるほどな」
史「何もかもが懐かしい…」
村人「!?」
史「おう」

村「若!」
村「なんだと!」
村「この季節に帰ってきたのか!」
史「久しぶりだな、お前ら!」
鄒(軒並み脱いでいるのはなぜなんだ?)
村「法螺貝♪〜」
村「なんだ!」
村「史進殿!」
史「史延はいるか?」
鄒(どうして脱いでんだよ、どいつもこいつも…)
陳(俺はこんな村を通ろうとしていたのか…)

村「お前は少華山の跳澗虎!」
陳「そうだが」
史「水に流せ。今は遊撃隊の仲間だ」
鄒「いつの間に脱いでんだよ」
史「史家村のドレスコードだ」
史延「史進殿!」
進「殿はやめろ、史延」
陳(こいつも脱いでら)
延「夏祭りの季節に来たということは?」
進「今年の夏漢はどいつだ?」
班明「俺だ!」

史進…史家村の面々のもてなしを受けて懐かしい。
陳達…史家村の裸の男たちに囲まれて暑苦しい。
鄒淵…ちょっとだけ、来るんじゃなかったと思い始めてきた。

史延…史進のいとこ。数少ない良識派だけど、やっぱり脱ぐ。
班明…今年の史家村夏漢。牧場からやって来たらしく、馬術の名手。

3.
史進「今年の夏漢の実力を見せてもらおうか」
班明「任せろ」
陳達「なにが始まるんだ?」
鄒淵「嫌な予感しかしねえ」
班「!」
史「おう」
陳「結局そういうのかよ」
史「いや、陳達。よく見てみろ」
鄒「!?」
班「!!」
史「光を友にしているな、班明」
班「ようやく俺も光を理解できたぜ、史進」

史「夏漢の着物の着こなしも見事だ」
班「すっかり史家村の居心地がよくなっちまったよ」
史「俺も技を見せてもよいか?」
班「見せてくれ、史進!」
史「陳達!鄒淵!」
陳「俺たちもやるのか…」
史「史家村の郷に従え」
鄒「業じゃねえのか?」
史「!」
班「さすがの着脱だ!」
陳「!」
鄒「!」

史「史家村に帰ると裸一貫になれるな」
班「見事な技だ、三人とも!」
陳「まあな」
鄒「お前が少華山から来た理由が分かったぜ、陳達」
陳「ところで村の女はなにしてるんだ?」
史「今年の夏女はどいつだ?」
班香「私だよ史進!」
史「おう、威勢の良さそうな女だ」
香「班明なんかにゃ負けないよ」

史進…着物は着ていないが、きちんと隠せているのはさすが。
陳達…そうか…呉用殿は俺のことを分かった上で遊撃隊に…
鄒淵…そうとしか思えねえぞ。

班明…馬術と着脱の名手。この祭りが終わったら牧に帰る予定。
班香…威勢の良い女。史家村の夏女とは一体?

4.
史進「ありがたく史家村の恵みをいただこう」
班香「腕によりをかけたよ!」
陳達「なんという美味さだ…」
鄒淵「さすが史進の実家」
班明「…」
陳「なにを凝視してるんだよ、班明」
明「どういう順番で飯を食えばいいか、真剣に考えているのだ」
鄒「冷めちまうから早く食おうぜ」
明「待て鄒淵!」

明「食事とは、食材とのしたたかなのだぞ!」
鄒「なに言ってやがるんだお前」
明「史進に代わって史家村での食事をレクチャーしても良いか?」
史「いいぞ、夏漢」
陳「食材とのしたたかって…」
明「例えばこのソーセージ!」
鄒「わざとか班明」
明「食うまで視覚、嗅覚、聴覚をフルに開くのだ!」

明「それは女とのしたたかで、目と目を合わせるのと同様!」
陳「なるほど…」
鄒「分かるのか、陳達」
明「視覚を閉じ、味覚と舌の触覚を全開だ!」
香「私はこの人の食いっぷりに惚れたのよ」
史「見事な食べ盛りだ」
明「食材と一つになる。さながら女とのしたたかで一つに…」
鄒「アウトだ班明」

史進…健全なネタだからな、皆。
陳達…美味そうに食う漢だ、班明。
鄒淵…まるで俺が間違ったこと言ったみたいな空気じゃねえか…

班明…夏漢は大食感。食事はしたたかがモットー。
班香…班明の妻だった。料理上手な良妻らしいが、本領は…

5.
史進「おや、その犬は?」
史延「史家村の飼い犬です」
犬「…」
陳達「いい目をしているな」
進「ちんちん!」
鄒淵「やっぱりか」
犬「!」
進「おう、賢い犬だ」
班明「ちんちん!」
進「俺のも!」
班香「粗末だな、史進」
進「粗末…」
陳「違いない」
鄒「もっと言ってやってくれ、姐さん!」

史進…思わぬ直言にガッカリ。
陳達…まさか粗末じゃないと思っていたのか?
鄒淵…面白え夫婦だ。

班明…裸の付き合いが出来そうな良い友ができたぞ。
班香…毒されたら承知しないよ。
史延…史進の下ネタに眉一つ動かさない人格者。それはそれであかんと思う。

6.
史進「史家村でお前らのような夫婦と出会えるとは」
班明「おう、俺も良い友ができて嬉しいぞ」
班香「あんたの光の技にも磨きがかかったね」
明「いかにも!」
陳達「本当に見えそうで見えない完璧なアングルだ」
鄒淵「光の化身だな班明は」
明「倅ができた時は、光と付けるつもりだ!」
香「まあ」

明「また会えるか、史進?」
史「お互いまた会うために、全力を尽くそう」
香「いい村だったよ史進」
陳「俺たちもそろそろ帰るか」
鄒「杜興になんて言い訳しようか?」
史「道中考えればいい」
明「あばよ史進!」
香「元気でね!」
史「さらばだ!」
陳「…あいつらの奥に見える山が、少華山だ」

史「…」
陳「…」
鄒「行かねえのか?」
史「来てみたら、気が変わったよ」
陳「眺めるだけでいいな」
鄒「そうか」
史「じゃあ梁山泊に帰るとしよう!」
史延「史進殿、これを!」
進「なんだ?」
延「父上の纏った夏男の衣装です」
進「…ありがとよ」
鄒(茶化すのはやめたいが)
陳(本当に着たのか)

史進…杜興にネチネチ言われたが、誘わなかったかららしい。
陳達…史家村からの帰り道も賑やかだった。
鄒淵…独竜岡にも招待したいな。

班明…史進から渡された替天行道にインスパイアされた。
班香…酒豪で軒並み少華山の男たちを骨抜きにした。

史延…実は冬男の際どい衣装もあるらしい。

水軍

水軍…李俊が水軍大将になると言われた時のリアクション。

人物
李俊(りしゅん)…当然だろう?
張順(ちょうじゅん)…俺より潜れるのかよ…
阮小七(げんしょうしち)…俺より船動かせるのかよ…
童猛(どうもう)…俺より湖底を読めるのかよ…
項充(こうじゅう)…俺より飛刀投げれるのかよ…
阮小二(げんしょうじ)…俺より泳げるのかよ…

7.
阮小五「李俊殿は水軍を率いるのですか?」
李俊「ゆくゆくはそのつもりだ」
阮「確かに水軍の大将が欲しいとは思っていました」
李「お前の操船の腕はなかなかのものらしいな」
阮「塩を扱っていたもので」
李「俺は海で培った」
阮「俺は河水です」
李「…」
阮「…」
李「勝負するか」
阮「のった」

阮「操船の勝負じゃないのか、李俊殿」
李「塩の産地を特定する勝負の何がおかしい?」
童威「また日和やがった」
童猛「文字通りしょっぺえ勝負だ」
阮「別に塩なんてどれも同じだろうが」
李「甘いぞ阮小五!」
阮「塩だ」
李「産地に応じた風味を使いこなしてこそ、塩商人として名が上がるのだ

李「一皿目!」
阮「…」
李「…」
童「産地は?」
阮「益州の塩か?」
童「正解!」
李「なに!」
阮「盧俊義殿の所で舐めたことがある」
李「舐めやがって…」
童「李俊殿も舐めてるだろうが」
李「二皿目!」
阮「北の岩塩だな」
李「なぜ分かるんだ、阮小五!」
阮「…分かんねえのか、李俊殿?」

李俊…色々しょっぱい結果に終わってしまった。操船も勝てる気がしなかったという。
阮小五…指揮力は認めるが、なんかせこいな…
童威…砂糖混ぜても分かんねえんじゃねえか?
童猛…ありえるぜ。

重装備部隊

重装備部隊…硬いものや、頑丈なものに目がないセクション。

人物
李応(りおう)…ダイヤモンドより硬い鉄はないか。
解宝(かいほう)…卵鉄も衝車も鉄が柔らかい気がしてならない。

8.
李応「卵鉄の破壊力も中々のものだが」
解宝「正直もっと強くできる気がする」
湯隆「俺の鉄だとこれが限界だ」
李「間違いなく宋国一の兵器に違いないが」
解「まだ何かできる予感がするのだ」
湯「それは俺が前々から目をつけていた…」
李「そうだ湯隆」
解「あいつはちょろいから任せろ、李応殿」

鄒潤「何をしやがる!」
解「お前のこぶは攻城兵器になりうる可能性を秘めているのだ、鄒潤」
李「一度卵鉄の鉄の代わりになってくれ」
鄒「人のやることじゃねえぞ!」
解「まずこの岩と衝突させてみよう」
李「こぶに力を入れろ、鄒潤」
鄒「何言ってやがる!」
解「卵鄒潤」
李「出撃!」
鄒「!?」

李「岩が木っ端微塵だ」
解「鄒潤のこぶはなんともない」
鄒「…俺は全身打撲しているが?」
李「やはりこのこぶは無限の可能性を秘めている」
解「安道全と組んで共同研究しよう」
湯「俺もなんとかこぶを削ぎ落とす小刀を作ってみる」
鄒「頭突きの調練をしろよ!」
李「それは人ではないぞ、鄒潤」

李応…次は衝車の先端にしようと思ってる。
解宝…鄒潤のこぶの秘密を知りたくなってきた。
湯隆…三徹しても、納得のいく切れ味にならない。

鄒潤…こぶは頑丈だが、人体の方は普通。

二竜山

二竜山…新兵同然に色恋に疎い連中も、本隊なみに鍛えられはするらしい。

人物
楊志(ようし)…桃花山以下の色恋だったのに、このリア充ぶり。
秦明(しんめい)…桃花山の兵をも下回る色恋だったのに、この団欒ぶり。
解珍(かいちん)…色恋に疎すぎる連中をからかうのがライフワーク。
郝思文(かくしぶん)…家庭内では気が利かなかったけど、最近皿洗いを自発的にするようになった。
石秀(せきしゅう)…揚雄にぞっこんだった女の子が恐くてしかたない。
周通(しゅうとう)…済仁美の未練は断ち切ったつもり。
曹正(そうせい)…最近プロポーズしたけど、ソーセージ臭くてふられた。
蔣敬(しょうけい)…仕事が忙しすぎて女の子の相手もできない。
李立(りりつ)…嫁がいるが全然相手に出来ない激務っぷり。
黄信(こうしん)鎮三山とか名乗ってるわりに、登山ですぐに休みたがる。
燕順(えんじゅん)…王英の尻拭いをしすぎたおかげか、妓楼から頼りにされている。
鄭天寿(ていてんじゅ)…イケメンすぎて女性人気が凄すぎる。
郭盛(かくせい)…女性人気は普通。ど真ん中を行けばモテそうだけどね。
楊春(ようしゅん)…コーデすればイケメンだけど、いかんせん地味。
鄒潤(すうじゅん)…こぶでおしゃれをしてみたけど、夜道のイルミネーションにしかならなかった。
龔旺(きょうおう)…虎の刺青で女性人気がでそうだけど、著作権的にアウトなのが惜しい。

9.
楊令「父上は」
楊志「なんだ、令?」
令「母上にどのように求婚されたのですか?」
済仁美「まあ」
志「それは」
令「どうやって?」
済「私も聞かせてください」
志「待て」
令「父上!」
済「旦那様がみるみる赤面獣に」
志「…言わないとダメか?」
令「ダメです!」
済「…」
令「父上、早く!」

志「いつからそんなおませさんになったのだ」
令「内緒です、父上」
済「…」
志「仁美…」
済「もう一度聞かせてください」
志「…」
令「…」
志「私はあなたのすべてを愛し、慈しむ」
済「はい」
志「ともに幸せになろう、仁美」
済「合格です、旦那様」
志「どうだ、令!」
令「父上かっこいい…」

楊志…すごく照れ屋さんだが、乗り越えると本領を発揮する。
済仁美…今日は美味しいものを作ろう…
楊令…済仁美と一緒に見ていたドラマで覚えたらしい。

10.
楊令「秋ですね、父上」
楊志「秋の色だなあ」
令「秋とは何ですか、父上?」
志「難しい問いだ」
令「…」
志「秋とは、令の温もりだ!」
令「!」
済仁美「私の温もりはいらないのですか、旦那様?」
志「…仁美の温もりは、また後だ」
令「なぜです、父上?」
済「令も分かる日がきます」
志「…」

楊志…嫁と息子の温もりが暖かすぎた。
済仁美…旦那様の温もりを独り占めにしよう。
楊令…父上!赤面獣ですね!

聚義庁

聚義庁…好漢の死域体験談を出版しようと根回し中らしい。

人物
晁蓋(ちょうがい)…塔を背負っている時に死域になったな。
宋江(そうこう)…実は兵の家族へのお手紙を書く時は死域。
盧俊義(ろしゅんぎ)…燕青の死域体験のおかげで今がある。
呉用(ごよう)…深夜残業のスタミナは実質死域。
柴進(さいしん)…死域に入ってみたいけどキツいのは嫌。
阮小五(げんしょうご)…死域にはまあまあ入れる。器用すぎる。
宣賛(せんさん)…各地を放浪中の時は死域どころではなく、死にものぐるいだった。

11.
宋江「死域に入ったことはあるか、呉用?」
呉用「ありません」
宋「一度死域に入ってみたいな」
呉「危険です」
宋「しかし子午山の王進殿はありとあらゆる事で死域に入っていたぞ」
呉「それは?」
宋「硬めの肉を咀嚼するのに死域に入ったり」
呉「…」
宋「李逵の香料をかけるので死域に入ったり」

宋「死域に入るために李逵の料理のフルコースを依頼した」
李逵「宋江様のためならな!」
宋「ただし、死域に入れなかった者は厳しい罰が待っている」
李「タダで食わすわけにはいかねえ!」
宋「我こそはという者はこの晩餐会に参加しろ」
呉用「宋江様は入れるのですか?」
宋「入る所存だぞ、呉用」

宋「それでは食うぞ、皆の者!」
武松「…」
林冲「…」
史進「…」
宋「美味いぞ、李逵!」
李「当然さ」
史「」
宋「史進?」
史「」
宋「死域判定!」
薛永「!!」
史「何だ!」
宋「未到達!」
史「舌鼓の音色を選びながら死域に…」
宋「ならば薛永の丸太は防げまい」
史「!」
宋「連れて行け」

宋「まだ死域に入らぬのか…」
林「…」
武「…」
宋「おかわりだ、李逵」
李「宋江様は入らねえのか?」
宋「何にだ?」
李「…もう聞かねえ」
宋「死域に入るのだぞ、二人とも」
林「!?」
宋「林冲死域判定!」
薛「これは」
林「」
薛「!!」
林「!?」
宋「死域か林冲?」
林「喉に詰まらせて…」

宋「結局我ら三人の食卓になったな」
李「いつものだ」
武「…」
宋「黙々と食っているな、武松」
武「…」
李「兄貴?」
宋「これは!」
薛「!!」
武「…」
宋「丸太を食らってもなお黙々と」
李「兄貴は飯のたびに死域に入ってたのか!」
武「…」
宋「武松の勝ちだ」
李「…宋江様は?」
宋「?」

宋江…うまかったぞ、李逵!
呉用…残業中は実質死域。
李逵…色んな意味で自分のことはどうでもいいんだな、宋江様…

史進…李逵の香料の実を一日すり潰す罰。
林冲…李逵の食器の洗い物をいいと言われるまでやる罰。
武松…いつも通り食べてただけ。
薛永…死域判定人。彼の丸太は避けられない。本当に。

養生所&薬方所

養生所&薬方所…現場ではなく臨床研究も大事な仕事。

人物
安道全(あんどうぜん)…死域のメカニズムを解析する論文を執筆中。
薛永(せつえい)…自分の身体の免疫系を研究中。
白勝(はくしょう)…資料探しや論文探しはお手の物。おまえ盗人だったよな?

12.
鄒潤「俺のこぶがどうしたって?」
安道全「この硬度は人体ではありえない硬度なのだ、鄒潤」
薛永「もしかしたらお前のこぶで、新しい素材が開発できるかもしれないんだ」
鄒「そいつは光栄だ」
安「だからお前のこぶを切り取って、培養しようと思うのだが」
薛「協力してもらえないか?」
鄒「断る」

薛「!」
鄒「!!」
安「さすがに薛永の丸太など粉砕するか」
鄒「いきなり何しやがる!」
安「お前のこぶを分けてもらえないか?」
鄒「どうやってだよ!」
薛「二つ目は作れないか?」
安「後頭部のあたりはどうだろう?」
鄒「一つで充分だ!」
安「どうしたものだろうか、薛永」
薛「弱ったな…」

安「よくよく考えたら、湯隆の刃が立たないほどの硬度だな」
薛「最強の防御力じゃないか」
鄒「頭突きのために拵えたこぶだ」
安「それがどうしてここまで…」
鄒「頭突きの調練をしてみたらどうだ?」
安「嫌だ」
鄒「諦めろ」
薛「鄒潤、その指のタコは?」
鄒「ペンだこだが?」
安「これなら!」

鄒潤…実は絵を描くのが好きで、指にも相当な硬度のペンだこがあった。
安道全…ペンだこも切り落とせないほど硬かった。
薛永…鄒潤のこぶの再現を湯隆にお願いした。

朱貴・朱富のお店

朱貴・朱富のお店…先代首領がいなくなってすっかり風通しが良くなった。

人物
朱貴(しゅき)…昔の王倫を知っている分、正直ちょっと複雑。
朱富(しゅふう)…今の梁山泊は本当にいいところです!

13.
宋万「なんとか林冲と渡り合えるようになれんだろうか」
杜遷「私もお前の稽古に刺激を受けて、年甲斐もなく鍛え始めてしまったぞ」
焦挺「体術ならいい勝負はできますが、槍は全然です」
朱貴「すっかり元通りだなお前ら」
陳麗「とても生き生きされてます」
宋「首領が変わればこうも変わるのだな」

杜「奥方の病は完治したのか?」
陳「はい!」
朱「奇跡は起きるものだよ」
宋「しかし陳麗殿の力が…」
陳「なにか?」
焦(俺でもあの樽を二樽持ち上げられるかどうか…)
朱「細かいことは気にするな、宋万」
宋「こんなに溌剌とできる日が来て、生きていて良かったと思うぞ」
杜「まったくだな」

王倫「…」
焦「チッ」
宋「相手をするな焦挺」
杜「朱貴、清めの塩を人数分」
朱「決して入れないように盛ってあるはずだが」
陳「おとといいらっしゃいませ〜」
王「!?」
宋「強烈だな陳麗殿」
焦「死んでもなお恨まれる生き方はごめんですね」
杜「死んだら語り継がれたいものだな」
宋「全くだ!」

宋万…林冲と一合渡り合えるようにはなったぞ。
杜遷…公孫勝と同じくらい走れるようにはなったぞ。
焦挺…燕青と互角の勝負が出来るようにはなりました。
朱貴…酒のレシピに凝り始めた。
陳麗…某所に行って病を治して帰ってきたら力持ちになった。

王倫…もう仲良くするの諦めろよお前は。

林冲さん家

林冲さん家…いつの間に増えた大家族だが?

14.
林冲「…」
張藍「林冲様、お醤油取って」
林「おう…」
張藍の父「婿殿。楊枝を取ってくれ」
林「はい…」
張藍の母「婿様。私もお醤油を」
林「どうぞ…」
張藍の弟「義兄上!俺も楊枝を!」
林「…ほら」
張藍の従兄弟「義兄者!楊枝!」
張藍の親戚「俺も」
林「貴様らいつの間に何人いるのだ!」

弟「義兄上!この楊枝使いにくい!」
林「自分で仕入れろ!」
母「薄口のお醤油はないの?」
林「実家が濃口だったもので…」
母「もう!」
張「どうしてこうなったのでしょうね?」
林「俺の台詞だ!張藍!」
張「別に私は望んでない…」
父「そんな!張藍!」
張「家族ならまだしも…」
戚「楊枝!」

張「あなた誰ですか?」
林「顔も知らない親戚が我が家の敷居を跨ぐな!」
戚「俺だよ張藍!」
林「貴様馴れ馴れしくするな。頭を捻じ切るぞ」
弟「初めて聞いたぞ!」
父「本当に言うのか、婿殿」
林「遊びで言っているのではありませぬ。舅殿」
戚「親父さん!甥の王小三だ!」
林「失せろ!偽物!」

林冲…二世帯住宅になったものの、ほとんどの部屋をいつのまにか占拠されていた。
張藍…ここまで家族が増えると二人の時間が減って不満。
…楊枝が詰まった。
…醤油が気に入らない。
…林冲に憧れてる。
従兄弟…林冲が苦々しい。
親戚…誰だお前。

15.
林冲「なんだこのタワーは」
張藍「李雲殿に作っていただいた、キャットタワーです」
林「色々と仕掛けがあるな」
張「猫ちゃんの運動用です」
林「どれ」
張「!?」
林「さすが李雲。俺が乗ってもびくともせん」
張「猫ちゃん用なんですけど」
林「それ!」
張「…」
林「楽しいではないか、張藍!」

李雲「調練場にもっと大きいのを作れと林冲から依頼があった」
湯隆「豹子頭タワーか」
白勝「あいつも嫁の前じゃ猫みてえなもんだからな」

林「楽しいだろう!張藍」
張「俊敏すぎます!林冲様!」

公孫勝「…」
李「おう公孫勝」
湯「どうした?」
白「お前も遊びたいのか?」
公「バカを言え…」

林「ウスノロが俺のタワーに来るんじゃない!」
公「ならばそのウスノロを追い払ってみろ」
林「野郎!」

李「結局こうなるじゃねえか」
白「予定調和だ」
張「二人とも猫みたいな身のこなしですね」
湯「そりゃ騎馬隊長と致死軍隊長だからな」
張「猫よりも楽しそうじゃない」
白「拗ねるな張藍殿」

林冲…キャットタワーのトンネルがお気に入り。
張藍…猫の耳でもつけてやろうかしら。

李雲…調練場に調練用アスレチック計画の企画書を作成中。
湯隆…怪物みてえな奴らが本気で遊んでやがる。
白勝…俺も遊びてえな。

公孫勝…夜な夜な致死軍と飛竜軍が遊んでるらしい。

青州軍

青州軍…辛い戦もあったが楽しい時もあった。

16.
秦明「溌剌と指揮をするな、楊志」
楊志「この国にこんな軍があるとは思いませんでした」
花栄「お前の部下の掌握も大したものだな」
孔明「俺も見習うところが山ほどありましたよ!」
黄信「…」
孔亮「潔く負けを認めた方がいいんじゃないですか?」
秦「お前のような部下がいたら、青州も安泰だ!」

秦「なぜよりによって青州軍に?」
楊「高俅将軍によってです」
花「呼び捨てでいい、楊志」
明「あんなのが将軍だったら、俺だって天才軍師だ!」
楊「孔明だものな!」
秦「久しぶりに愉快な酒だ!」
黄「…」
亮「いい加減水に流しましょうよ、黄信殿」
秦「愚痴ってみろ」
黄「…楊志は」
楊「?」

黄「嫁はいないのか?」
楊「生憎まだです、黄信殿」
花「黄信に殿などいらん」
秦「むしろ黄信が楊志に殿をつけるかもしれんぞ?」
黄「そんな!」
楊「気にしませんから…」
黄「花栄はまだしも秦明殿も独り身ではないですか」
秦「私はどうでもいい」
明「秦明将軍はまだしも…」
黄「なんだ孔明」

秦明…会計の時に女性の店員さんに手が触れてすごく緊張してしまった。
花栄…嫁にまた家事を禁じられたばかり。
黄信…妓楼でも嫌がられる愚痴の達人。
孔明…意外にモテる。
孔亮…意外にモテない。
楊志…青州軍でウキウキの頃。

雄州

雄州…将軍と軍師よりを付き従える女傑とは?

17.
関勝「郝嬌様!宣賛が!」
宣賛「自業自得だ、関勝殿」
郝嬌「でも関勝殿を泣かすことないでしょう」
魏定国(大人ってあんなにフルパワーで泣けるんだな)
単廷珪(俺らもあれだけ泣ける日が来るのだろうか…)
関「また俺を落とし穴に落としたのだ!」
宣「また私の家に奇襲しようとしたからでしょう!」

郝「父上に判断してもらいます」
関「待ってくれ郝嬌様」
宣「待たなくていい、郝嬌様」
魏(雄州で一二を争う男をあの齢で手懐けてやがる)
単(俺らだって呆気ないものだろうな)
郝思文「また落とし穴か、関勝殿」
宣「聞いてくれ、郝思文」
関「聞かなくていい!」
嬌「父上、あのね」
郝「やれやれ」

郝「裁定として、関勝殿に宣賛の家の掃除を命じよう」
嬌「妥当なところね」
関「そんな!」
宣「良いザマです」
郝「そのかわり宣賛も関勝殿の宅を掃除しろ」
嬌「両成敗ね、父上」
宣「私の罰が重いではないか!」
関「同じ罰だろう、宣賛」
嬌「決定よ!」
魏「関勝殿の家掃除か」
単「絶対に嫌だ」

関勝…やったらやったで結構きちんと掃除できる。
宣賛…四角い部屋を丸く掃くタイプ。
郝思文…陳娥の厳しいチェックをクリアしてください。
魏定国…俺の家は火薬の匂いがするぞ。
単廷珪…俺の家は熱帯魚だ。
郝嬌…多分雄州の男たちなら軒並み御せるポテンシャル。

青蓮寺

青蓮寺…李師師様の筆が躍りすぎると?

人物
袁明(えんめい)…朝起きたら妙に身体がシャープだった。
李富(りふ)…流石の緊張感に絶句。
聞煥章(ぶんかんしょう)…武術耐性がないもんで、しばらく引きずってた。
洪清(こうせい)…朝起きたら異様に身体が重かった。
呂牛(りょぎゅう)…さすがに盗み聞きするのをやめようと思った。

18.
洪清「…」
袁明「…」
洪(袁)「入れ替わってしまったな、洪清」
袁(洪)「はい」
洪(袁)「なぜかな」
袁(洪)「分かりませぬ」
洪(袁)「そうか」
袁(洪)「すると洪清」
洪(袁)「…」
袁(洪)「戻り方も分からぬな」
洪(袁)「はい」

李師師「洪清殿✖︎袁明様のかけ算です!」
郝元「それはなりませぬ」

洪(袁)「そういう訳だ、皆」
袁(洪)「…」
李富「なんと」
聞煥章「威圧感が倍以上だ」
呉達「袁明様」
洪(袁)「なんだ」
袁(洪)「なんだ」
呉「…」
洪(袁)「洪清」
袁(洪)「…殿に入れ込みすぎてしまいました」
洪(袁)「よい」
袁(洪)「…」
聞「報告事項は」

師「誰もが考えます!」
郝「しかし」

洪(袁)「洪清の身体は逞しいな」
袁(洪)「…」
洪(袁)「私の身体では到底できない体術の技を使いこなすことができる」
袁(洪)「はい」
洪(袁)「私の身体でできるか?」
袁(洪)「しからば」
洪(袁)「…」
袁(洪)「!…」
洪(袁)「洪清?」
袁(洪)「可動域不足です、殿」
洪(袁)「そうか」
袁(洪)「…」

袁明…戻ったな、洪清。
洪清…なぜでしょう。

李富…大丈夫か聞煥章。
聞煥章…仕事の隙を突かれると同時に急所を突かれて医務室へ。
呉達…さすが洪清殿。

李師師…嫌々袁明✖︎洪清にした。
郝元…李師師様とて許せませぬ!

禁軍

禁軍…フレッシュマンだろうと軍人だろうと健康管理は怠れない。

人物
童貫(どうかん)…健康診断は毎度素晴しい数字。調練の成果。
趙安(ちょうあん)…健康診断そこそこだが、体臭がキツい。

19.
公順「…」
趙安「どうした公順」
公「…歯が痛くて」
何信「見せてみろ」
公「いや、それは…」
趙「よもやフレッシュマンが虫歯を作ったのではなかろうな!」
公「…」
何「私の歯茎を見よ!」
趙「私の歯茎もだ!」
公「私の歯茎だって!」
何「虫歯だ!」
公「しまった!」
趙「捕まえろ、何信!」


趙「歯医者に行くぞ、公順!」
公「嫌です!」
何「そんなことではフレッシュマンの大敵、歯周病になるぞ!」
趙「お前を総入れ歯にしてやろうか!」
公「それも嫌です…」
趙「なら観念しろ!」
公「でもこの辺の歯医者って…」
何「やむなしだろう、公順」
趙「我らでは引っこ抜くことしかできない」

王黼「オウ!フレッシュマンズ!」
公「まだ生きてたのかこいつ」
趙「お願いします」
公「お前で大丈夫なのか?」
王「アイアムデンテスト!」
何「治療はどうするのですか?」
王「ペンチを使うあるよ!」
公「我らと同レベルではありませんか!」
王「痛かったらハンズアッププリーズ」
公「!」

趙安…すごい勢いで抜けたな。
公順…それ、隣の歯です…
何信…私の歯茎をもっと強くしてくれ。

王黼…胡散臭いビジネスの次は歯医者になった。こいつで大丈夫なわけがない。

楊令伝

黒騎兵

黒騎兵…なんでもない日だって祝っていいではないか。

人物
楊令(ようれい)…真顔だけど内心とても嬉しい。
郝瑾(かくきん)…素直に喜びを表現する。
張平(ちょうへい)…ちょっとひねくれた喜び方をする。
蘇端(そたん)…喜びのあまり絶叫する。
蘇琪(そき)…黙ってるけどしっかり嬉しい。
耶律越里(やりつえつり)…嬉しくて吠えたら山が呼応した。

20.
張平「楊令殿をお祝いしたいのだ、蘇琪」
蘇琪「なぜ?」
張「なぜでもだ」
蘇「気持ちは分かるが」
張「しかし、何でお祝いしたらいいのだ」
蘇「お誕生日は?」
張「分からんそうだ」
蘇「黒騎兵の記念日?」
張「まだ先だ」
蘇「お前と出会った日というのは…」
張「それだ!」
蘇「重いぞ、張平」

楊令「…」
張「またのんびりと散策されている」
蘇「楊令殿の気のエリアには入るな」
張「分かっている」
楊「…」
張「なんとしてもサプライズお祝いを成功させるぞ」
蘇「今のうちだな」
楊「張平」
張「!?」
楊「この童にフリスビーを教えてやってくれ」
張「いいですけど!」
蘇「任せろ、張平」

楊「随分力が入っていたな、張平」
張「はい…」
蘇「楊令殿!」
楊「!」
張「!?」
蘇(躱された!?)
楊「蘇琪からパイを投げる気を感じていた…」
張「…」
楊「どういうことだ、蘇琪」
蘇「それは…」
張「今日は私と会った記念日です!楊令殿!」
楊「それは明日だ張平!」
張「!?」
蘇「仲良しか」

楊令…結局張平からパイを食らってしまった。
張平…楊令からも蘇琪からもパイを食らってしまった。
蘇琪…逃げきれず楊令からパイを食らってしまった。

遊撃隊

遊撃隊…これはアウト。

人物
班光(はんこう)…すみませんでした。
鄭応(ていおう)…反省しています。
葉敬(しょうけい)…次に生かします。

21.
史進「…」
班光「…」
史「…」
班「…」
史「俺たちの対立は楊令殿に禁じられた」
班「そうですな」
史「すると俺とお前は何をすればよいのだ、班光?」
班「…調練?」
史「本編と行間で嫌というほどやっているだろう」
班「すると末恐ろしいくらい、何も思いつきません…」
史「俺もだ」
班「…」

班「我らの破廉恥な振舞いによる対立をおもむろに禁じられると、することが一切なくなりますな」
史「曹正を知っているか?」
班「兵站の」
史「あいつはかつて、曹正のソーセージというネタで一世を風靡した男だった」
班「そうなのですか」
史「しかしそのネタが切れるや否や、出番を失って久しい」

班「我らも出番を失う危機であるということですな」
史「そうだ、班光」
曹正「貴様ら俺を一発屋の芸人のような扱いにしやがって」
班「ソーセージなら私でも作れます!」
曹「なに!」
史「俺はお前のソーセージで酷い目にあったことがある」
曹「自業自得ではないか」
史「いいから引っ込んでろ!」

史進…新規軸の産みの苦しみに直面中。
班光…最近調練しかしてなかったことに改めて驚いた。

曹正…ソーセージバブルで大儲けした過去がいまだに忘れられない。

22.
班光「…」
花飛麟「どうした班光」
班「父のことを思い出していました」
花「どんな父だったのだ?」
班「牧の人曰く、光を友にした男だと言ってました」
花「光を友に?」
班「私もその話を聞いたのは、亡くなってからなので」
花「光を友にするとはかっこいい父上ではないか」
班「そう思います!」

花「しかし、光を友にするとはどういう意味だろうな?」
班「それを聞くと皆、口をつぐむのです…」
花「なぜだろう」
史進「班光。この技をどう思う?」
班「鏡ですか?」
史「太陽の光をこの角度から当て脱ぐ!」
班「光で汚物を隠すとは!」
史「何が汚物だ!」
班「訴えますよ!」
花「…史進殿」

史「なんだ花飛麟」
花「今の技は光を巧みに使うのですか?」
史「おう!光を友にする技だ!」
班「どうされました花飛麟殿?」
花「光を友にだぞ、班光?」
班「?」
花「分からないならいい」
史「更に技がある!」
班「もういいです!」
史「指の間から覗くなスケベ!」
班「目に光が!」
花「…」

史進…俺よりも光を友にした男のことを思い出した。
班光…なんだかんだで史進の芸のことは大好き。
花飛麟…偶然の一致、だよな…

23.
史進「遊撃隊没ネタ選手権を行う」
班光「…」
史「まずは俺から」
鄭応「…」
史「ひとり乳首相撲」
葉敬「…」
史「はっけよい…」
班「…」
史「のこった!」
鄭「…」
史「のこった!のこった!」
葉「…」
史「のこった!のこった!」
班「…」
史「捻じ切りで、右の勝ち!」
班「帰りましょう」

史進…調練中に思いついてしまった。
班光…一人で寝てる時にやってみた。
鄭応…一人で身体を洗う時にやってみた。
葉敬…一人で妓楼の待ち時間の時にやってみた。

24.
班光「遊撃隊没ネタ選手権」
史進「…」
班「陥没乳首マン」
鄭応「…」
班「乳首を陥没させてやろうか!」
葉敬「…」
班「陥没!」
史「…」
班「陥没!」
鄭「…」
班「陥没!」
葉「もとい!」
班「!?」
葉「本当の姿は」
班「何奴!」
葉「剥き出し乳首マン!」
班「おお」
葉「我ら表裏一体!」

史進…班光の刺激が嫌らしかった。
班光…二度とやりませんからね。
鄭応…呆気に取られていた。
葉敬…よもやのコンビ芸。

25.
鄭応「遊撃隊没ネタ選手権」
史進「…」
鄭「手首足首」
班光「…」
鄭「乳首!」
葉敬「…」
鄭「手首足首」
史「…」
鄭「乳首!」
班「…」
鄭「手首足首」
葉「…」
鄭「乳首!」
史「それしかないのか」
班「もういいです」
葉「苦し紛れにも程があるぞ」
史「没ネタの没ネタだな」
鄭「…」

史進…次は没ネタ選手権お尻の部だ。
班光…まだやるんですか。
鄭応…泣きながら帰った。
葉敬…もうやめましょう。

本隊

本隊…遊撃隊の煽りを喰らいがちな二世ども。

人物
花飛麟(かひりん)…美の化身。色々美しすぎる矢の名手。
呼延凌(こえんりょう)…普通の顔してえげつない才能の持ち主。
李英(りえい)…尖った性格がいい時もあれば災いする時もしばしば。

26.
花飛麟「たまには違う銭湯に行くのもよいな」
呼延凌「班光は誘わないのか?」
花「誘うものか」
呼「俺はよく分からんが」
花「分からなくていい」
呼「さっさと入ろうか」
花「そうだな」
呼「…」
花「…」
商人「!?」
花「入るぞ」
呼「おう」
花「いい湯ではないか」
呼「全くだ」
商「…あの」

花「…なにか?」
商「私は果物を商っている浦文英という商人なのですが」
花「はい」
商「あなたのご尊名を賜ってもよろしいでしょうか」
花「…なぜ?」
商「ぜひあなたに果物を贈呈したいのです」
花「どうして私に?」
商「梁山泊の軍人の方に私の果物を食べて欲しくて」
呼「良いではないか花飛麟」

花「結局なんなんだ、あの商人は」
呼「貰えるものは貰っておけ」
班光「花飛麟殿!」
花「なんだ?」
班「花飛麟殿宛に小包が届いています」
花「商人からか」
呼「何が入っているのだ?」
花「…桃だ」
班「果飛麟?」
呼「桃の銘か?」
花「私の名の桃?」
呼「どういう意味だ?」
班「えっちな…」

花飛麟…どうして私の名をつけるんだ?
呼延凌…美味いな。

班光…これは花飛麟殿のお尻だ…

twitterにて連載中!

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今号も、お読みいただき、誠にありがとうございました! 

これからもすいこばなしを、どうぞよろしくお願いします!

中学生の頃から大好きだった、北方謙三先生大水滸シリーズのなんでもあり二次創作です!