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水滸噺 21年9月【護国の猫】

あらすじ
豹子頭林冲  張藍の掌の上
梁山泊五虎将 武器交換調練
金国蕭珪材  護国をもふり
遊撃隊馬鹿共 破る十八の禁

すいこばなし 注意書き
北方謙三先生水滸伝何でもありな二次創作です。
・水滸伝の原典ネタは日常茶飯事、スマホにPCなど電子機器も飛び交うし、あの人が梁山泊で元気に生きていたりする、異世界からお届けします。
・原作未読の方でも楽しめるように、ネタバレを極力避けていますが、薄々感づいてしまう個所が垣間見えますので、その点はご注意ください。
楊令伝編で出てくる好漢は、すなわち水滸伝を生き残った者ということですので、未読の方はその点ご留意いただいた上でお読みください。
・作者のtwitterにて連載しています。
・今月号、バックナンバーのご意見ご感想、リクエスト等々、こちらまで
 お寄せいただけると、とても嬉しいです!いつも助かっています!
・原作に興味を持たれるきっかけになったらこれ以上の喜びはありません。

それでは行ってみましょう!

梁山泊

梁山泊…秋も深くなってくると、紅葉が見ごろになる。史進のお尻も真っ赤っか。

騎馬隊

騎馬隊…隊長の気まぐれも困ったもので…

人物
林冲(りんちゅう)…俺の顔を見てひそひそ話をするな!
索超(さくちょう)…そんなこと言ったってな。
扈三娘(こさんじょう)…あれはないです。
馬麟(ばりん)…こっちの身にもなってくれ。
郁保四(いくほうし)…旗上げならぬ、お手上げです。

1.
林冲「騎馬隊の連中が俺を避けるのだ」
張藍「まあ」
林「なぜだ」
張「調練が厳しいから?」
林「戦なら当然」
張「もしくは…」
林「なんだ」
張「索超殿と馬麟殿の根回しを無視したり」
林「…」
張「扈三娘に変な気を使ったり」
林「…」
張「郁保四殿に無茶を言っていませんか?」
林「…してた」

林冲…とりあえず張藍にお詫びのお食事会を開いてもらった。
張藍…そういうところは直しましょうね。

索超…調練計画をガン無視されてた。
馬麟…調練場の確保をガン無視されてた。
扈三娘…また林冲にプライドを逆撫でされるようなことされた。
郁保四…旗をもっとデカくしろと言われて困ってた。

致死軍&飛竜軍

致死軍&飛竜軍…レクリェーション企画はもっぱら劉唐。他の奴は企画力が皆無。公孫勝は無表情なだけで、めっちゃ楽しんでる。

人物
公孫勝(こうそんしょう)…滅多に遊ばないが、遊ぶ時のエネルギーは無尽蔵。
劉唐(りゅうとう)…遊び上手。博打は無敵。公孫勝だろうと容赦はしない。
楊雄(ようゆう)病関索はポーカーフェイスが得意。でも顔色は操れない。
孔亮(こうりょう)…はったりを使うのが得意。しれっと嘘をつく。
樊瑞(はんずい)…妖術と見間違うような手品を習得中。
鄧飛(とうひ)…博打になると意外に冷静。目も静かになる。
王英(おうえい)…勝ち始めると目が泳ぎ始めるのが弱点。
楊林(ようりん)…淡々と確実に勝つのがモットー。

2.
劉唐「致死軍・飛竜軍VS公孫勝殿が劣勢だ」
楊雄「今のところ、かくれんぼもドッヂボールも我らの負けです」
孔亮「倒立勝負も崖上りも勝てる気がせんぞ」
樊瑞「どうしてこんなに公孫勝殿が有利な種目ばかりなのだ」
王英「残りは博打?」
楊林「プログラムを組んだのはお前か、劉唐?」
劉「知らん」

楊「公孫勝殿と劉唐殿が博打で勝負とは」
孔「これもある意味勝敗が決まっているのではないか?」
王「何で勝負するんだ?」
林「双六勝負だと」
公「四」
楊「一回休みです」
公「…」
劉「六」
楊「相手を更に一回休みにする」
公「!」
劉「四」
楊「相手を振り出しに戻す」
公「劉唐」
劉「さて?」

公「…」
劉「…」
楊(公孫勝殿を徹底的におちょくっている)
孔(後で知らんぞ劉唐)
劉「あとは俺がゴールにたどり着けば」
公「劉唐」
劉「はい」
公「私に勝ちを譲れ」
劉「そういう訳には」
公「のめば、今日一日お前を弟だと思おう」
劉「是非もありません」
孔「おい」
劉「他の連中は調練ですな」

公孫勝…チョロい男だ。
劉唐…口元が緩みまくり。
楊雄…調練で顔色が更に黄色くなった。
孔亮…調練で更に酷薄になった。
樊瑞…調練で更にマッチョになった。
王英…調練で足をつり更にチビになった。
楊林…調練で更に地味になった。

遊撃隊

遊撃隊…史進の誕生日月らしい。作者の誕生月は関係ないぞ。断じて。

人物
史進(ししん)…誕生日プレゼントにアホには見えない着物をもらって大喜び。
杜興(とこう)…アホには見えない着物を仕立てた。お前もアホだな。
陳達(ちんたつ)…アホには見えない着物を一緒に着た。お前もアホだ。
施恩(しおん)…二回目の替天行道オフ会を主宰した。
穆春(ぼくしゅん)…眼帯をつけたがらないが、穆弘のいないところでこっそりつけてる。
鄒淵(すうえん)…アホには見えない着物を売った。お前もアホだ。

3.
史進「今日は何をしても良いという許しを宋江殿から得た」
陳達「そうか」
史「なんでもするぞ!」
杜興「好きにすればいい」
史「脱いでも!」
鄒淵「…」
史「全裸で奇声を上げて走り回ることも!」
陳「それはいつもと何が違うのだ?」
史「…何も変わらん」
杜「どうする?」
史「着物を着る…」

史進…出オチ。
陳達…雑なネタだ。
杜興…もうお役御免だな。
鄒淵…引っ込め史進!

二竜山

二竜山…ずいぶん暑苦しい山になってしまったらしい。なぜだろう…

人物
楊志(ようし)…青痣に吹き出物ができた。
秦明(しんめい)…ソーセージを食べすぎるとお腹に持たれる。
解珍(かいちん)…ソーセージと相性がいいタレを模索中。
郝思文(かくしぶん)…ソーセージを食べる時は野菜も一緒に食べるよう、嫁にしつけられている。
石秀(せきしゅう)…致死軍のウォーミングアップのランニングですら周回遅れになってしまった。
周通(しゅうとう)…桃花山の新兵にすらかけっこで完敗した。
曹正(そうせい)…最近姿を見つけられないらしい…
蔣敬(しょうけい)…算盤をはじく指が太くて参ってる。
李立(りりつ)…魚肉ソーセージはカロリー控えめだぞ!
黄信(こうしん)…三皿平らげたら鎮三皿とからかわれた。
燕順(えんじゅん)…ソーセージを食べすぎて口臭が気になる。
鄭天寿(ていてんじゅ)…ソーセージはあまり体質に合わない。
郭盛(かくせい)…食べ盛りだからソーセージ盛りはいつも特盛。
楊春(ようしゅん)…ソーセージよりも野菜と魚肉饅頭が好き。
鄒潤(すうじゅん)…ソーセージの肉のミンチする時に、瘤が重宝するらしい。
龔旺(きょうおう)…ソーセージを食べたら力が湧いてきた。

4.
公孫勝「石秀」
石秀「…はい」
公「そのだらしのない体型はどういうことだ」
石「…」
公「言え」
石「豚の…」
公「…」
石「曹正のソーセージが腐るほど在庫があり…」
公「…」
石「腐ったソーセージも多数あるのですが…」
公「私の問いに答えろ」
石「…ソーセージを、食べすぎました」
公「…」

公「致死軍にいたら処断だ、石秀」
石「…この有様は、私だけではありません」
公「…続けろ」
石「楊志殿」
楊志「…」
公「…肥えたな、楊志」
楊「」
公「吹毛剣でソーセージも斬れんのか」
楊令「…」
石「お前も豚の被害者か、楊令」
令「…食べないと、父上に意地悪すると曹正殿に言われたので」

公「二竜山の現状は?」
志「曹正のソーセージの在庫を処理すべく、二竜山の全員でたらふく食った結果がこれだ」
公「…」
志「我らの調練を上回るカロリーなのだ、公孫勝」
周通「皆が迷惑している」
公「…ならばその諸悪の根源は?」
志「曹正」
曹正「なんだ」
公「兵糧の袋かと思っていた、曹正」

公孫勝…二竜山に致死軍の候補はいないかとやって来たが…
石秀…二竜山全員が肥満体型になりました…
楊志…ソーセージが美味いのが悪い。
楊令…父上にどんな意地悪をされるか分からなかったのでたくさん食べました…
周通…小覇王も四面ソーセージだ。
曹正…自力で歩けないほどでっぷりと肥った。

5.
楊志「曹正のせいで肥ってしまったな」
楊令「全くです、父上」
志「痩せなければ二竜山の指揮官でいられなくなるかもしれん」
令「そしたらまた父上が落ち込みますね」
済仁美「ならば二人ともソーセージをおやつで食べるのをやめなさい」
志「あと一本だけ!」
令「父上ズルい!」
済「お預けです」

志「令。共に走ろう」
令「白嵐も一緒に!」
白嵐「…」
志「お前まで肥ったのか」
白「!」
令「走るぞ!白嵐!」
白「!」
令「嫌がるな!」
白「!」
志「ならば令は私が独り占めしてやる」
白「!」
志「なんだ、やるのか白嵐」
白「!」
志「面白い。剣をとれ」
白「!!」
志「今日は負けぬ!」

志「…勝ったと思うなよ、白嵐」
白「!!」
令「すごく暑苦しい立合いでした」
済「身体を洗ってらっしゃい」
志「まだ走ってないが」
済「とても汗臭いです、旦那様」
志「!!」
済「肥って汗臭い旦那様なんて、嫌です」
志「すぐに身体を洗うぞ、令!」
令「はい!父上!」
白「!!」
済「全く」

楊志…肥満したせいで身体も吹毛剣のキレも最悪。
楊令…肥満したせいで近隣の女の子の評価も最悪。
済仁美…自分にひどいことした役人を思い出すから最悪。
白嵐…飼い主に肉を売られそうな予感がして最悪。

6.
楊志「令に故事を教えよう」
楊令「よろしくお願いします」
志「四面楚歌」
令「どういう意味ですか?」

周通「…くそう、この小覇王様ともあろう者が、情けねえ」
済仁美「小覇王様、気を落とさずに」
周「虞や虞や汝をいかんせん…」

志「…」
令(父上怖い)

済「私はどこまでも小覇王様と共に…」

石秀「おい脂肪」
曹正「子房だ」
石「その醜い豚バラをグラム辺りいくらで売るつもりだ?」
曹「愚や愚やテメエをどうしてやろうか…」
石「国士無双と戦か?」
曹「俺の股をくぐらしてやろうか?」
石「楚の人間は猿しかいないというが、韓の人間は豚しかいないのだな」
曹「野郎…」
志「劇をしろ」

周「俺は戦に負けたのではない!天が俺を滅ぼそうとしているのだ!」

令「周通殿かっこいい」
志「どこがだ」

周「四面楚歌とは!四方八方を塞がれてどうしようもない有様を言うのだ!楊令!」
令「よく分かりました!周通殿!」
周「これで俺も小覇王から大覇王!あばよ!楊令!」
令「項羽すごい…」

楊志…劉邦役は生理的に無理だった。
楊令…しばらく周通を見る目が変わった。

周通…項羽役。小覇王でもやるときはやる。
済仁美…虞美人役。楊志が拗ねるのが楽しかった。
石秀…韓信役。劇の後楊志に絞られた。
曹正…張良役。劇の後楊志に断食を命じられた。

双頭山

双頭山…風流喪叫仙のライブメンバーの活躍を裏で支えているのが、双頭山古参兵。バックコーラスとかダンサーとか意外と多い。

人物
朱仝(しゅどう)…髭を振り乱す踊りが得意。よく絡まらないな。
雷横(らいおう)…ブレイクダンスが得意。跳躍からのダイナミックな動きはさすが插翅虎
董平(とうへい)…バンドリーダー。ドラムの名手はさすが双槍将
宋清(そうせい)…バンドマネージャー。兵站の仕事も兼務で激務すぎる。
孟康(もうこう)…兵站の運搬に通じてるから、機材運搬もお手の物。
李忠(りちゅう)…リズム感はあまりないけど、踊るのは楽しいな。
孫立(そんりつ)…ギロの練習をしてたら、楽大娘子に大根でもすっててと言われた。
鮑旭(ほうきょく)…ギター担当。血化粧のあるなしでスタイルが全然変わる。
単廷珪(たんていけい)… スタジオセット担当。水の演出の巧み。
楽和(がくわ)…ボーカル担当。鉄笛担当の馬麟とのコラボも抜群。

7.
董平「次の風流喪叫仙のライブは?」
宋清「開封府だ」
鮑旭「大丈夫ですか?」
董「燕青からもらった腕輪がある限り、俺たちには手が出せない」
馬麟「その腕輪は?」
董「楽和に渡したぞ」
楽和「腕輪」
董「渡したよな?」
楽「…あの腕輪ってそんなに貴重な物なんですか?」
董「無くしたのか?」

楽「姉さんが勝手に持って行ってしまい…」
董「…」
楽「金策に困っていたのか…」
鮑「…」
楽「北京の質屋に持って行って…」
宋「…」
楽「大金をせしめたと…」
董「大至急燕青に連絡を取れ」
鮑「盧俊義殿の系列店ならなんとかなりそうですが…」
馬「傷一つつけてはいけないと言っていた…」

燕青「私たちの店にはなかった」
楽「姉さん…」
董「開封府のライブをキャンセルするわけにはいかないか?」
宋「それはできない」
馬「金大堅に偽装させられないか?」
鮑「印鑑と腕輪では難しいだろう…」
董「どうしたものか」

楽大娘子「シャンパン持ってきて!」
呂牛「…李師師の腕輪だと?」

董平…悩ましい問題だ…
宋清…もうやるしかないぞ。
鮑旭…退路を確保しましょう。
馬麟…もしもの時は、開封府を襲撃するぞ。
楽和…義兄さんも頼りにならないしな…
燕青…どこの質屋に売ったんだ?

楽大娘子…豪遊して三日で使い切った。
呂牛…とんでもない宝が舞い込んできたものだ。

流花寨

流花寨…的を射るという言葉も、的外れという言葉も花栄のためにある言葉だな。

人物
花栄(かえい)…弓は万発万中。会話は的外れが後頭部に刺さるも同然。
朱武(しゅぶ)…軍師の癖に意外と短気。陣形をディスる奴は石兵八陣に叩き込む。
孔明(こうめい)…顔は恐いくせに意外と温厚。逆に何したら怒るんだろう?
欧鵬(おうほう)…鉄槍の名手。槍は重めが性に合う。
呂方(りょほう)…方天戟の名手。真っ赤が似合う。
魏定国(ぎていこく)…火攻めの名手。ボヤ騒ぎには敏感。
陶宗旺(とうそうおう)…石積みの名手。崩れそうで崩れないが、崩れる時は崩れる。

8.
朱武「これが九天八卦陣だ、花栄」
花栄「…」
朱「どうだ、花栄」
花「すごいのは分かる」
朱「?」
花「しかしだな、朱武」
朱「なんだ?」
花「私が大将を射れば九天八卦陣だろうが関係ないぞ?」
朱「」
孔明(今キレたな、朱武)
朱「…分かった、花栄」
花「?」
朱「陣形の恐ろしさを教えてやる」

花「あれが九天八卦陣か」
孔「呑気すぎるぞ、花栄殿」

朱「全員で花栄を袋叩きにしろ」
欧鵬(調練で死ぬかと思った…)
呂方(朱武が鬼のようだ…)

花「朱武を射ればこの調練は終わりだ」
孔「そんな上手くいきますか?」
花「それ!」

呂「!?」
欧「すげえものを見た」
朱「使えん」

花「惜しい」

花「もう一発!」

欧「危ねえ!」
朱「小李広め」

花「よし突撃!」
孔「朱武の思う壺では?」

朱「バカめ!花栄!」
欧「やれやれ」

花「いかん!孔明と逸れた!」
欧「覚悟しろ!」
花「!!」
欧「…すげえものを見た」
花「エア弓矢を使ってしまった」
朱「そこまでだ花栄」
孔「!」
朱「!?」

花栄…これが孔明の罠だ!朱武!
朱武…悔しすぎて夜も眠れなかった。
孔明…俺の機転なんですけどね。
欧鵬…すげえ調練を受けさせられた!
呂方…まだ射られた腹部が痛む。

聚義庁

聚義庁…梁山泊の福利厚生とは?

人物
晁蓋(ちょうがい)…ジムで筋トレし放題だ!
宋江(そうこう)…お昼寝スペースも完備!
盧俊義(ろしゅんぎ)…仕事量に応じて給金は弾むぞ!
呉用(ごよう)…福利厚生は完備したくせに全く使わない。
柴進(さいしん)…ご飯が上手いぞ!
阮小五(げんしょうご)…釣りもできるぞ!
宣賛(せんさん)…飲み会も多いです!

9.
呉用「…」
晁蓋「どうした呉用?」
呉「…ちょっと肩が凝って」
晁「どれどれ」
呉「晁蓋殿?」
晁「!?」
呉「どうしました?」
晁「硬すぎるぞ呉用」
呉「誰かが書類仕事を貯めなければ、もう少し柔らかいと思うのですが」
晁「そういう問題ではない」
呉「じゃあ何ですか」
晁「鄒潤の瘤より硬い」

鄒潤「聞き捨てなりませんな」
晁「おう、独角竜」
鄒「失礼、呉用殿」
呉「なんだ」
鄒「…確かに硬いですな」
晁「鄒潤の瘤にショルダータックルだ、呉用!」
呉「私の肩で遊ばないでください」
鄒「呉用殿の肩に頭突きして硬度を競いましょう」
晁「よし!」
呉「何を言って…」
鄒「!」
呉「!?」

鄒「…」
呉「何かしたか、鄒潤?」
晁「なんと…」
鄒「」
晁「鄒潤!」
呉「なぜ鄒潤が倒れているのですか?」
晁「脳震盪だ」
呉「なぜ?」
晁「独角竜を養生所に!」
呉「何をふざけている、鄒潤!」
晁「少し黙れ呉用!」
呉「…」
鄒「…瘤が爆発したのかと」
晁「養生所だ」
呉「…なんなんだ」

晁蓋…呉用の肩は何でできているのだ…
呉用…無自覚の肩こり。ちなみに背中も相当硬い。
鄒潤…瘤に亀裂ができたのを白勝に発見された。

養生所&薬方所

養生所&薬方所…色々な事情を持った患者も多い。

人物
安道全(あんどうぜん)…患者相手のカウンセリングならそこそこできる。コミュ障のくせに!
薛永(せつえい)…薬草がゆは養生所でしか食べれない逸品。
白勝(はくしょう)…養生所の事務局長は、呉用の次に忙しいらしい。

10.
李逵「馬麟の笛を聴いてみてえ」
馬麟「…気が向いたらな」
李「なんだつまんねえ」
馬「今日は用事があるから、またな」
李「どこに行くんだよ?」
馬「養生所に部下がいる」
李「俺も行ってもいいか?」
馬「なぜ?」
李「そいつを励ましてやりてえ」
馬「…好きにしろ」
李「おう」

安道全「馬麟か」
馬「あいつは?」
安「うなされているよ」
李「何かあったのか?」
馬「そいつが友を失ってな…」
李「そういうことか」
安「心を落ち着かせてやりたいのだが、薬だけでは難しいな」
馬「分かった」
李「どこ行くんだよ、馬麟?」
馬「…」
李「見舞いに来たんじゃねえのか?」

安「ちょっと静かにしてくれ、李逵」
李「…すまねえ」
安「おや?」
李「どうした?」

♪〜鉄笛〜♪

李「なるほどな」
安「鉄笛仙か」

♪〜鉄笛〜♪

李「いいな」
安「そうだな」

李逵…来てよかったな。
馬麟…鉄笛の音色?気のせいだ。
安道全…たまに吹きに来てくれるんだ。

11.
安道全「林冲は泣いたことはないのか?」
林冲「ないな」
安「本当か?」
林「叔父上との稽古の時に泣くことを禁止されたからな」
白勝「道理でそんな強えわけだ」
林「お前はいつ泣いた?」
安「私が泣くわけないだろう」
白「…おい」
安「なんだ白勝」
白「忘れたのか、お前」
安「!」
林「?」

安「泣いてないぞ、断じて」
林「しかし狼狽えているではないか」
白「…」
林「そんなに恥ずかしいことで泣いたのか?」
安「腑分けをした時に、つい…」
林「いつもウキウキしているではないか」
安「うっかり手を切ってしまった時に」
林「喜んで血止めをするではないか」
安「…どうでもいい!」

林「ならばなぜ嘘をつくのだ」
安「それは」
白「そのへんにしてやれ、林冲」
林「なぜだ」
白「お前が今俺たちを罵れるのも、俺たちのおかげだからだよ」
林「…違いない」
安「…」
白「安道全?」
安「…冗談じゃない」
林「何が冗談じゃないんだ?」
白「お前、また思い出して!」
安「違う!」

林冲…なぜ泣いている、安道全。
安道全…黙れ!張藍殿に言いつけるぞ。
白勝…しょうがねえバカだな、二人とも。

練兵場

練兵場…将校が集まると、武術談議に花が咲くものだ。

人物
徐寧(じょねい)…戦術に精通しているが、やっぱり鎧がうるさい。

12.
呼延灼「おう、凌振か」
凌振「…」
呼「凌振」
凌「…」
呼「凌振!」
凌「…」
呼「おい!」
凌「なんだ!」
呼「…たまに会ったのだから、挨拶くらい」
凌「今大砲で忙しいのです、呼延灼殿」
呼「…そうか」
凌「失礼」
呼「…本当に失礼な奴だな」
韓滔「小さいのう」
彭玘「気にしたら負けだぞ」

呼「よくも飽きないで毎日ぶっ放せるものだ」
韓「にぎやかだのう」
彭「これでもっと破壊力があればな」
韓「いつか大砲が主力になるかもしれんの」
彭「船に大きな大砲を積めるようになるかもな」
呼「そんな馬鹿な」
韓「そこがお前の小さい所だ、呼延灼」
彭「空想が本当になるかもしれんだろう」

!!!

呼「この音だけは堪らんな」
韓「お前の愚痴の方が堪らんぞ」
彭「おまけに女々しい」
呼「なんだと」
韓「めそめそ泣くもんな」
彭「俺らが死んだらどうなることやら」
呼「双鞭を喰らわしてやろうか」
韓「わしの棗木槊を忘れるな、呼延灼」
彭「俺の三尖両刃もな」
呼「爺に負けるものか」

呼延灼…双鞭で韓滔と彭玘二人を相手に立合った。
韓滔…棗木槊という棗の枝の長い鉾が武器。
彭玘…三尖両刃という槍が武器。

凌振…やかましい連中を大砲で狙い撃ちにする癖がある。

13.
関勝「この面子が集まるのも珍しいな」
林冲「そうだな」
秦明「錚々たる面子だ」
呼延灼「俺たちが揃えば最強ではないか?」
董平「違いない」
林「この五人なら誰が一番強い?」
秦「勝るとも思わんが」
関「劣るとも思わん」
呼「武術でも負けたくないが」
董「軍の指揮でも負けたと思いたくない」

秦「野戦で負けるとは思わんが、防衛戦なら絶対に負けない自信があるぞ」
林「俺の騎馬隊ならどんな軍だろうと破ってやるさ」
呼「俺だって騎馬隊の指揮で遅れをとるつもりはない」
関「俺は歩兵だ」
董「俺の槍騎兵だってな」
秦「一概に比較できんな」
関「そういうものだ」
林「武術ならどうだ?」

秦「狼牙棒」
関「大刀」
呼「双鞭」
董「双槍」
林「そして俺の槍か」
関「交換してみないか?」
董「面白そうだ」
呼「おれは双槍を試す」
董「ならば双鞭は俺が」
林「狼牙棒を借りるぞ」
秦「大刀を借りよう」
関「…」
林「関勝?」
関「蛇矛はないのか?」
林「槍じゃだめか?」
関「つまらん」

関勝…蛇矛はしっくりこなかった。
林冲…狼牙棒は先端が重すぎた。
秦明…大刀は分厚すぎた。
呼延灼…双槍を使うには長すぎた。
董平…双鞭は握りが太すぎた。

工房

工房…なんだかんだでエンジニアが多いが、いかんせん我流。

人物
凌振(りょうしん)…大砲の扱いは全部我流。
湯隆(とうりゅう)…鉄の配合は全部我流。
李雲(りうん)…建造物の木の組み方は全部我流。

14.
林冲「なんだこの乗り物は?」
李雲「李応の衝車を参考に作ってみた。車という乗り物だ」
索超「乗れるのか?」
李「運転もできる」
林「運転させろ、李雲」
李「もちろんだ、林冲」
百里風「…」
林「ヤキモチを焼くな、百里」
李「鍵だ」
林「これで動くのだな」
李「動かし方は…」
林「発進!」

李「…すごい速度で行ってしまった」
索「これだから林冲殿は…」

林「どうやって止まればよいのだ?」

百「!」
索「乗せてくれるのか、百里?」
百「…」
索「ギアまで用意しているのか」
李「フルスロットルだ、索超」
索「行ってくる!」

林「止まらん!」

宋江「あれは?」
李逵「危ねえ!」

林「李逵!」
逵「俺は死なねえ!」
宋「李逵!」
索「林冲殿!」
百「!!」
林「!?」
宋「おう、百里風の蹴りが炸裂した」
雲「宋江殿!大丈夫か!」
宋「私よりも、林冲の心配をしてやれ」
逵「林冲なら大丈夫だ」
林「…」
逵「な?」
林「突然と出てきた空気の入った袋は?」
雲「エアバックだ」

林冲…ちょっと首を痛めた。
李雲…運転するのも許可が必要だと裴宣に指摘された。
索超…しかしすごい乗り物だ。
百里風…車を木っ端微塵にしてやりたかった。

宋江…何回李逵に守られたかな?
李逵…百八回目くらいじゃねえか?

朱貴・朱富のお店

朱貴・朱富のお店…オフ会の予約は相談してね。

人物
朱貴(しゅき)…次のオフ会は黄門山の会か。
朱富(しゅふう)…顧大嫂と孫二娘の予約が最大の難関。

15.
施恩「第二回替天行道オフ会を行います」
宋江(今回は泣きながら読んで予習してきたから大丈夫だ)
A「Bは?」
C「外せない任務があるそうだ」
D「無事を祈ろう」
魯達「新顔がいるな」
E「よろしくお願いします」
F「施恩殿のブログを拝見して入山しました」
施「嬉しいな」
F「…しかし心配があって」

施「それは?」
F「私の拙い解釈を施恩殿や宋江様にお聞かせするなんて…」
宋「F」
F「!!」
宋「替天行道は、一人一人の心の中にあるものだ」
F「」
宋「拙い解釈や巧みな解釈などない」
F「」
宋「Fが読んでどう思ったのかが重要なのだ」
F「…心拍数が」
宋「是非Fがどう思ったかを聞かせてくれ」

F「直答しても、よろしいのですか?」
宋「私は帝ではないぞ、F」
F「私の一番心に残った部分の話をしても、よろしいのですか?」
魯「もちろん」
施「ぜひ聞かせてくれ」
E「話し過ぎるなよ、F」
宋「構わん。時間はたっぷりあるからな」
施「Eも話してくれ」
E「夢のようだ」
宋「それでは始めよう」

宋江…自分で読んで泣いた話が大受けした。
魯達…書き写して泣いた話でみんな泣いた。
施恩…幹事として優秀。

速読のA…本隊騎兵。下級将校に昇進。
暗唱のB…致死軍。十人隊長に昇進。
記憶のC…文治省。部下ができた。
修繕のD…大工。弟子ができた。
音読のE…歩兵新兵。
解釈のF…水軍漕手。

東渓村

東渓村…もはやしまったが時報。

16.
呉用「しまった!」
晁蓋「…」
阮小五「…」
呉「…」
晁「…」
阮「…」
呉「しまった!」
晁「…」
阮「…」
呉「…」
晁「…」
阮「…」
呉「しまった!」
晁「…」
阮「…」
呉「しまった!」
晁「…呉用」
阮「…」
呉「…」
晁「そんなに構ってほしいのか?」
呉「違います!」

呉用…何がしまったかというと…
晁蓋…それは。
阮小五…マズイですね…

林冲さん家

林冲さん家…また惜しげもなく惚気る。

17.
林冲「待て、張藍」
張藍「…」
林「そこ、は…」
張「…」
林「敏感なのだ、もっと手心を…」
張「…」
林「あっ…」
張「…感じやすすぎるのですね」
林「しょうがないではないか」
張「私はもっと感じさせたくなりました」
林「やめろ!張藍!」
張「…」
林「ああっ!」

馬麟「…」
扈三娘「…」

張藍…耳かきしているだけですよ?

馬麟…俺らのいるところで始めなくても。
扈三娘…張藍の目が獣でした。

林冲…(耳は弱いのだ、耳は)

掲陽鎮

掲陽鎮…伝説の男、張礼様とはいったい…

18.
穆弘「祭事用の眼帯がない!」
穆春「もうつけてるぞ、兄者」
弘「いかん」
春「そのパターンが多すぎるのではないか?」
弘「仕方がない」
春「なんの祭事なのだ?」
弘「張礼様の…」
春「張礼様のか…」
弘「お前も来い、春」
春「ついに俺も行くのか…」
弘「お前も眼帯を」
春「それはいらん」

張横「…」
張順「…」

李俊「…」
童威「…」
童猛「…」

弘「…」
春(すごい面々だ)

横「これより、張礼の三回忌を…」

李(穆弘)
穆(なんだ式典中に)
李(眼帯が表裏だぞ)
穆「バカな!」
春(兄者!)

横「…静粛に」
順「…」

弘(なんともないではないか)
李(騙されやがって)
弘「混江竜!」

横「静粛に」

弘「…」
李(バカめ)
童(やめろ、李俊殿)

順「混江竜、生簀の鯉を捧げよ」
李(容易い)
童(大丈夫か?)

李(!)
横「…」
李(くそっ)
順「…」
李「いかん!」
弘「…下手くそめ」
李(捕まえたぞ、鯉め)
順「とどめをさせ」
李「!?」
春「反撃されてらw」
李「黙れ、小僧」
弘「あ?」

穆弘…没遮攔の目に火がついた。
穆春…隅っこで震えてた。

李俊…やべえ!
童威…言わんこっちゃねえ!
童猛…ズラかるぞ!

張横…うどんとワンタンを用意した。
張順…官憲に二人の裏取引を垂れ込んだ。

黄門山

黄門山…欧鵬の地元近くの山の名前。山賊がいるらしい。

19.
欧鵬「陶宗旺の石積みはすげえな」
陶宗旺「そんなことないですよ」
蔣敬「どうやって会得したんだ?」
陶「畠を作る時にたまたま発見したんだよ」
蔣「偶然だったのか」
陶「一回目は偶然だったんだが、二回目を再現するのが大変だった」
欧「なるほど」
馬麟「それは、分かるな」
蔣「そうなのか?」

馬「鉄笛で一度気に入った音が出せても、二度出せるとは限らない」
欧「鉄笛仙でもそうなのか」
馬「適当に吹いてるからな」
蔣「私の仕事は絶対に正しい値を出さないとダメだから、ちょっと羨ましいな」
陶「欧鵬兄貴はそういうのないのか?」
欧「李逵兄貴に習った料理がそういうのかもしれねえ」

欧「どうしても兄貴に初めて食わしてもらった雑炊の味が再現できねえんだよ」
蔣「そういうのいいな」
欧「腹ペコだったのもあったんだが旨かったな」
陶「五臓六腑に染み渡りますよね」
馬「…良かったな」
欧「馬麟は一度も食わなかったもんな」
馬「…惜しいことをしたかな」
陶「いつか食えるよ」

欧鵬…流花寨一の料理上手なのも李逵のおかげ。
蔣敬…神算子のスキルに磨きがかかったのも盧俊義のおかげ。
馬麟…だいぶ素直になったのも鮑旭のおかげ。
陶宗旺…農夫が欠かせない人材になったのも宋江のおかげ。

雄州

雄州…火と水だったら水の方が有利なのは、カードゲームだけなのだ。

20.
単廷珪「水攻めできねえかな…」
魏定国「どこに水源があるんだよ」
単「…お前は、火攻めだもんな」
魏「何が言いたい」
単「火攻めなんて燃やすだけじゃねえか」
魏「」
単「なんだ、魏定国」
魏「水攻めは、あれだよな」
単「何が言いたい」
魏「面倒くせえ準備のわりに、地味な作戦だよな」
単「」

単「沈めてやろうか、魏定国」
魏「燃やすぞ、単廷珪」
郝思文「どうした?」
単「火攻めだけの能無しをおちょくっただけです」
魏「出来もしない水攻めの妄想しかできねえ野郎なんて相手にしてません」
郝「…どっちが強いと思う?」
単「何がですか?」
郝「火攻めと水攻め」
魏「試させてください」

魏「ありったけの瓢箪矢をあいつの陣にぶち込め!」
兵「汚物は消毒ですな!」

単「ありったけの水をお見舞いだ!」
兵「はちきれんばかりですな」

郝「…」
関勝「どっちも逸っているな」

兵「ちょっと一服」
魏「馬鹿野郎!」

兵「!」
単「切る綱はそれじゃない!」

関「…」
郝「両成敗です」

単廷珪…堰を落とす順番を誤って死にかけた。
魏定国…煙草の火が引火して死にかけた。
郝思文…所詮私の手のひらの上ですよ。
関勝…お前の密偵が混ざっていたのか…

禁軍

禁軍…ろくな調練をしていない。

人物
童貫(どうかん)…思いついて口に出した調練を実行する段になって後悔することがある。
趙安(ちょうあん)…フレッシュ!

21.
童貫「死ぬ調練を行う」
鄷美「死の調練!?」
畢勝「我らに重大な落ち度が!?」
童「違う。死ぬ調練だ」
鄷「…」
畢「…」
童「行くぞ」
鄷「恐れながら、元帥」
畢「どのような調練ですか?」
童「死にに行くのだ、鄷美、畢勝」
鄷「…死の調練との違いはなんですか?」
童「死ねば分かる」
畢「…」

童「この賽をふれ」
畢「病死、溺死、衰弱死…」
鄷「戦死はないのですか?」
童「ない」
畢「それは犬死にではないですか!」
童「死ねばそれまでの命だ、畢勝」
鄷「…ならば」
畢「…元帥が、範を示していただけませぬか」
童「よかろう…」
鄷「では賽を」
童「!」
畢「なんだ!」
童「転落死か…」

鄷「あの崖の薬草を取りに行ってください」
畢「縄はありません」
童「不要」
鄷「死ぬ調練!」
畢「開始!」
童「…」
畢(淡々と降りていく)
童「…この薬草だな」
鄷(元帥にはぬるかったか?)
童「よし」
畢(足場が…?)
童「!」
鄷「元帥が!」
童(元帥、やるだろう)
畢「元帥!」
童「なんの!」

童貫…運良く生えていた蔓草に捕まって急死に一生。
鄷美…溺死。銀の鎧を纏って遠泳をして急死に一生。
畢勝…餓死。10日間水も飲めず急死に一生。途中からお経を唱え始めた。

22.
童貫「笑いをとる調練を行う」
鄷美「審査員は?」
童「私だ」
畢勝「元帥が!?」
童「いかにも」
李明「厳しい調練になるぞ」
童「一人目」
馬万里「私が!」
童「馬万里」
馬「…」
童「…」
馬「千里の道も一歩から!」
鄷「…」
馬「万里の道はババンバ馬万里!」
童「死」
馬「」
畢(生き急いだな)

鄷「もう我らしかいない」
畢「今日の元帥の笑いのツボはどこだ…」
李「どう考えても我らの実力では…」
童「!」
李「元帥?」
童「…」
鄷「どう考えても、我らで笑いは取れぬ…」
畢「同感だ」
童「!」
李(こんなんで)
童「…」
鄷「あと一息!」
畢「たたみかけろ!」
李「童顔元帥!」
童「!」

童「見事」
鄷「次は元帥が我らを」
畢「笑わせてください」
童「よかろう…」
李「…」
童「カンカンカンカン」
鄷「?」
童「宦官」
畢「…」
童「カンカンカンカン」
李「…」
童「カン高い声」
鄷「元帥」
童「カンカンカンカン」
畢「もういいです」
童「宦官」
李「馬万里殿と大差ありません」

童貫…カンカンカンカン…
鄷美…童貫ではないのか、そこは。
畢勝…同感だ。
李明…変顔が得意。

馬万里…万里走っている最中。

楊令伝

遊撃隊

遊撃隊…またこの項目を書かなければならないのか。

人物
班光(はんこう)…梁山泊むっつりスケベの部、第一位。
鄭応(ていおう)…梁山泊頭悪いの部、第三位。
葉敬(しょうけい)…梁山泊インスパイアの部、第二位。

23.
史進「また出たと思っただろう、班光」
班光「出たではありませんか!」
史「出してない。しまっている」
班「当たり前でしょう!」
史「俺は出してないと言った」
班「…」
史「一体何を出したと思ったのだ、スケベ班光」
班「知りません」
史「まあ実際履いて…」
班「♪〜」
花飛麟「!」
史「!?」

史進…危うく花飛麟に射殺されるところだった。
班光…茂みの中は覗かないようにしましょう。
花飛麟…史進破廉恥阻止隊隊長。禁を犯した者は容赦なく射る所存。

24.
班光「どうしたものか…」
花飛麟「何を悩んでいる、班光?」
班「私の出番がめっきり減ってしまったのです」
花「出番?」
班「史進殿と破廉恥に興じたばかりに…」
花「…今更」
班「酷いですぞ、花飛麟殿!」
花「自分の所業を振り返るのだな」
班「私が何をしたというのですか」
花「無自覚とは」

史進「班光の破廉恥臭気を嗅ぎつけてやってきたぞ!」
葉敬「ハンハラ警報発令!」
班「なぜ来るのですか!」
史「花飛麟への破廉恥は俺が許さん」
班「ご自身の破廉恥を棚に上げて何を言っているのですか!」
史「お前の破廉恥はさらに上の棚だ、班光!」
花「どっちが上でもいいです」
葉「最低だ」

班光…どうやら破廉恥街道を行き着くところまで行ってもまだ行き足りないようだ。
史進…班光とどっちが破廉恥なのだろうか。
葉敬…史進へのリスペクトがだいぶ冷めてきた。

花飛麟…遊撃隊から離れた宿舎にしてもらう手続きがなぜかいつまでも終わらない。

25.
史進「悪しき史進がいる気がする」
班光「あなたのことでは?」
史「違う。俺は良い史進だ」
班「自分で良いという時点で信憑性を疑いますね」
史「ならば俺を悪い史進であるという証明をしろ!」
班「悪魔の史進殿の証明ですか?」
史「…なぜ俺を誰も良い史進だと信じてくれないのだ」
班「涙を…」

?「騙されるな!」
班「あなたは!」
史進「あいつは偽史進だ!」
班「あなたが本物である証明は?」
史「めんどくさい奴め」
史「俺が本物だ、班光!」
班「ならばご自身が本物であることをPRしてください」
史「俺が本物である証として棒術を披露しよう」
史「俺でもできる!」
班「ならば史進殿」

班「私のお尻の黒子の数を答えてください」
史「班光?」
史「何を言っている?」
班「これを答えられなければ、本物と認めるわけには…」
史進「知らん」
史「やや!」
史「本物だ!」
班「!?」
偽史進A「撤退!」
偽史進B「御免!」
班「消えた…」
史「班光」
班「」
史「貴様の尻の黒子の数は?」

班光…偽史進殿とは一体?
史進…23個か。

偽史進A…ちょっとお腹がだらしない。
偽史進B…ちょっとお尻が綺麗。

26.
史進「…」
班光「ハッピバースデー史進殿〜」
史「…」
鄭応「ハッピバースデー史進殿〜」
史「…」
葉敬「ハッピバースデーディア史進殿〜」
史「…」
班「ハッピィバースデートゥ〜」
史「野郎!」
鄭「しまった!」
史「一人!」
鄭「!?」
史「二人!」
葉「!?」
班「撤退!」
史「逃がさん!」

史進…遊撃隊誕生会は緊張感があるのだ。
班光…持参のパイを全身に受けた。
鄭応…持参のパイを顔に痛いくらい受けた。
葉敬…持参のパイを急所を中心に受けた。

27.
班光「遊撃隊の思い出」
史進「…」
班「史進殿に脱がされたこと二十三回」
鄭応「…」
班「史進殿のお尻を見せられたこと数知れず」
葉敬「…」
班「本日、我ら三人は」
史「…」
鄭「遊撃隊を」
葉「卒業します」
史「それで?」
班「我らは第二遊撃隊を結成します!」
鄭「史進殿ピンの方が強いし」

史「お前らがいなくなったところで、屁の突っ張りにもならんが」
班「…」
史「誰が隊長なんだ?」
班「それはもちろん」
鄭「俺が」
葉「俺だ」
班「二人とも何を言っているのですか?」
鄭「…」
葉「…」
班「すでに私は旗を作っているのですが」
鄭「俺は鎧を作っている」
葉「俺は兜を」
史「…」

班「私を使いこなせるのですか?」
鄭「俺の指揮を受けないのか?」
葉「俺より弱いだろうが!」
班「どう考えても私が隊長です!」
鄭「小僧に使われるものか!」
葉「馬鹿にも使われたくねえ!」
班「ならば史進殿に決めてもらいましょう!」
鄭「そうだな」
葉「史進殿!」
史「結局その程度かよ」

史進…結局俺に依存しているではないか。
班光…そんなつもりは…
鄭応…脱史進殿を図るつもりが…
葉敬…やはり史進殿につこう。

28.
史進「遊撃隊総選挙を行う」
班光「…」
史「誰がこの三人の中で第二遊撃隊隊長にふさわしいかを皆に決めてもらおう」
鄭応「…」
史「さあ自己PRをしないか!」
葉敬「…いや、ちょっと恥ずかしくて」
史「なんだその消極性は!」
班「いや、史進殿に決めてもらえると思っていたので」
史「舐めるな」

班「ならば史進殿が第二遊撃隊も率いられれば良いのでは?」
鄭「それだ!」
史「俺は遊撃隊を率いているのだが?」
葉「第二遊撃隊もいけますよ!」
史「俺が二人いるわけではあるまいし」
史進「ここにいるぞ!」
班「あ!偽史進殿!」
鄭「これで万事解決だ」
史「誰だ貴様は!」
偽「気にするな」

偽B「俺は第三遊撃隊を率いるぞ!」
葉「よろしくお願いします!」
史「貴様ら。それでいいのか?」
班「偽史進殿でも、我らには史進殿ですから!」
史「名を名乗れ!」
偽「張…史進だ!」
史「今張と言いかけなかったか?」
偽「言ってない」
班「小さいですぞ、史進殿」
史「俺が誤っているのか?」

史進…もうこの屑どもの相手はせん。

班光…偽史進殿!肩をお揉みします!
鄭応…偽史進殿!茶をくんできます!
葉敬…偽史進殿!ご命令を!

偽史進…史進ではないことは確か。一体何者なのだろうか。

29.
楊令「遊撃隊が活発だな」
張平「何があったのでしょう」
史進「何もない、楊令殿」
楊「史進?」
張「今の遊撃隊の調練は?」
史「俺の偽物が率いている」
楊「偽物が?」
張「史進殿は本物ですか?」
史「張り倒すぞ張平」
楊「偽史進とはなんだ史進?」
張「物好きがいますね」
史「俺が知りたい」

偽史進「やい班光」
班光「なんですか」
偽「酒を持って来い」
班「調練中です」
偽「史進の言うことが聞けねえのか!」
班「あなた偽史進殿でしょう?」
偽「ああ」
班「じゃあ言うことを聞く義理はありませんよね」
偽「…ならばなぜ、俺の指揮に従っているのだ?」
班「調練の時は史進殿ですから」

偽「言ってることが分からん」
班「なぜ分からないのですか?」
鄭応「どうした班光?」
班「偽史進殿が訳の分からないことを言っているのです」
葉敬「なんだ?」
班「偽史進殿のくせに言うことを聞けって言ってきた」
鄭「聞く訳ねえだろ」
葉「調練の指揮は別だが」
偽「なんでそこだけ聞くんだ?」

史進…偽史進の頭を叩き割ってやろうか。
楊令…偽史進に会いに行こう。
張平…楊令殿も物好きだな。

班光…頭が悪いですね、偽史進殿。
鄭応…俺より頭悪いな。
葉敬…指揮は良いのにな。

偽史進…偽物なのに遊撃隊の調練を受け持っている。大丈夫か?

30.
史進「もっとフォロワーがほしいのだ、班光」
班光「はあ」
史「だからえっちな絵を投稿しようと思う」
班「急展開すぎます」
史「例えばこのえっち絵師のフォロワー数を見てみろ」
班「108万人!?」
史「これがえっちの持つ力だ、班光」
班「花飛麟殿のえっちな絵なんて投稿したら…」
史「大惨事だ」

史「しかし、俺は生まれてこの方絵なんて描いたことがない」
班「私もです」
史「えっちな絵なんて尚のことだ」
班「大事業になりそうな予感がします」
史「えっちな絵を鑑賞したことはあるが、自分で描くとなると大変なことだな」
班「私が花飛麟殿を描いても生涯納得できなさそうです」
史「スケベ」

史「えっちな絵を描く前に、人体のデッサンから始めよう」
班「私も挑戦します」
史「モデルになれ」
班「史進殿もモデルになってくださいよ」
史「同時にモデルになるか」
班「名案です」
史「脱ぐぞ、班光」
班「モデルですからな」
史「筆を取れ」
班「はい!」

楊令「あれは?」
張平「見るな!」

史進…班光のムダ毛がすごく気になった。
班光…史進の竜がすごく難しかった。

楊令…裸の絵を描いているのか?
張平…興味持たないでください!

31.
史進「ようやくえっちな絵を描けたぞ、班光」
班光「どれどれ…」
史「ん師師という」
班「言いにくいですね」
史「Gカップだ」
班「作者の好みではないでしょうな」
史「ウエストは59cm」
班「審議が必要です」
史「綺麗なお尻」
班「花飛麟殿には劣ります」
史「しかし、投稿するのに勇気がいるな」

班「顔は…」
史「力をいれたぞ」
班「どことなく誰かに似ているような…」
史「ほっとけ」
班「投稿するのに十八歳以上の禁を設定しないと」
史「この世界は全年齢対象だ、班光」
班「しかしおっぱいが丸出しではありませんか」
史「ミロのビーナスだって丸出しではないか」
班「どこで見たんですか」

史「投稿!」
班「あ!」
史「ゾクゾクするな」
班「早速センシティブ判定が」
史「その程度笑止だ」
?「史進」
史「何奴!」
班「九紋竜が喋ってます!」
九紋竜「十八の禁を破ったな」
史「それがどうした!」
九「この世の掟を破った者は罰を与える」
史「消える!」
班「私まで!」
九「愚かな」

史進…大慌てで投稿を削除した。
班光…御竜子が九紋竜を制御できなくてとばっちり。
九紋竜…全年齢対象であることを忘れるな、我が主。

本隊

本隊…有望な二世将校がチラホラ。

人物
花飛麟(かひりん)…梁山泊エロスの象徴。
呼延凌(こえんりょう)…やたら男子厠で父親と一緒になる率が高い。
李英(りえい)…部下の人望は厚いのに、いかんせん間が悪いのが悩み。

32.
穆凌「…あれは、父上」
呼延灼「…」
穆「何をされているのだろう」
呼「!!」
穆「?」
呼「!!」
穆「双鞭を誰かに捧げるように?」
呼「何奴!」
穆「しまった!」
呼「!」
穆「失礼します!」
呼「待て」
穆「!」
呼「…」
穆「…」
呼「…」
穆「…」
呼「行け」
穆「?」
史進「不器用め」

穆凌…久しぶりに父と目があった。
呼延灼…見つめ合うと素直におしゃべりできないとか言ってる場合でも齢でもない。
史進…ヘタレな親父だな…

金軍

金軍…作中最強の将軍はあらゆるものに懐かれるらしく…

33.
麻哩泚「…」
蕭珪材「何を隠している、麻哩泚」
麻「殿!」
蕭「懐に何を隠している」
麻「…怒らないでくださいますか?」
蕭「場合による」
麻「街で捨てられていて、忍びなく…」
蕭「よもや拾い食いではなかろうな」
麻「こちらを」
蕭「なんだ」
猫「…」
蕭「…」
猫「…」
蕭「…」
麻「殿?」

猫「!」
蕭「!?」
麻「おう、殿の懐に」
猫「!」
蕭「やめろ、くすぐったい」
麻「懐かれましたな、殿」
猫「!」
蕭「なんだ!」
麻「初対面なのに随分と懐かれて…」
猫「!!」
蕭「やめろ」
麻「…」
猫「!!!」
蕭「助けてくれ麻哩泚!」
猫「!!!!」
蕭「参った!」
麻「懐かれすぎだろ」

蕭「麻哩泚」
麻「はい」
蕭「この猫の名を決めていいか」
麻「どうぞ」
蕭「護国」
麻「剣の名では?」
蕭「私は国ではなく、この猫のために剣を振るおうと思う」
麻「問題発言にも程があります」
猫「!!」
蕭「いいよな、護国」
麻「ダメと言っても決まっているでしょう」
蕭「無論だ」
護国「!!」

蕭珪材…護国の剣の斬れ味が段違いになった気がする。
麻哩泚…なんにでも好かれますからな、殿は。
護国…猫ちゃん。知らぬうちに金国の命運を握ってしまった。

34.
楊令「蕭珪材は?」
麻哩泚「すぐお見えになります」
楊「珍しいな」
麻「…」
蕭珪材「…」
楊「やっと来たな」
麻「!」
蕭「…待たせました、楊令殿」
楊「しわくちゃだな、蕭珪材」
蕭「訳がございまして」
楊「聞いてもいいか?」
蕭「護国!」
護国「!」
楊「おう、見事な」
麻「?」

蕭「この護国が暴れると大変なのですよ」
楊「…それは?」
蕭「あたり構わず走り回り、あるもの全てを薙ぎ払うのです」
楊「護国で?」
蕭「おまけに誰彼構わず切り払うので、迷惑もしているのですが」
楊「罪に問われないのか?」
蕭「さすがに陛下とはいえ、護国を罪に問うことはありますまい」

楊「奢っているのではないか?」
蕭「否定はできません」
楊「貴様」
蕭「しかし、この肌触りを味わってしまうと全てを許してしまうのです」
楊「お前はこの国で何をしているのだ!」
蕭「楊令殿?」
麻「猫です!楊令殿!」
楊「猫は関係ない」
麻「護国が名なのです」
楊「剣のな」
麻「ああもう!」

楊令…護国を猫の名だと気づくまで、とてつもない気を放っていた。
蕭珪材…護国を傷つけられたら楊令とて許さない気を放っていた。
麻哩泚…楊令と蕭珪材二人の凄まじい気を浴び死にかけた。

護国…猫ちゃんの方。暴れん坊で蕭珪材を制圧している。
護国…剣の方。蕭珪材のご先祖様由来のすごい剣。

35.

蕭珪材「護国!」
護国「♪〜」
麻哩泚「すっかり相棒ですな、殿」
蕭「お前には教えておこうか」
麻「何をですか?」
蕭「剣の方の護国だが…」
麻「はい」
蕭「…」
麻(大木の前に)
蕭「…」
麻(まさか)
蕭「!」
麻(斬った…)
蕭「これほど斬れるように」
麻「殿!倒れます!」
蕭「!!」
護「!」

蕭「斬った後のことを一切考えてなかった」
麻「どうするのですか」
蕭「護国の家にしよう」
麻「誰が運ぶのですか」
蕭「…お前は正論しか言わないのだな、麻哩泚」
麻「殿に現実を見ていただきたく」
蕭「どうしたものか…」
麻「斬る前に考えてください」
蕭「…今、考えてる」
麻「全く」
護「…」

唐昇「蕭珪材殿?」
許貫忠「この大木は?」
麻「殿が斬りました」
蕭「言うな!」
唐「なんと」
許「こんな大木を…」
蕭「何かに使えませんか」
唐「細工するにも大きすぎますな」
許「蕭珪材殿。懐になにが?」
蕭「護国です」
護「♪」
許「猫?」
蕭「護国で斬り倒してしまい…」
唐「猫で?」

蕭珪材…とりあえず部下の兵に調練場に運ばせた。めっちゃ邪魔。
麻哩泚…加工できる職人を探している。
護国…蕭珪材の飼い猫。可愛いいから何しても良いと思っている節がある。
唐昇…剣と同じ名前?
許貫忠…意外に愛嬌がありますな。蕭珪材殿。

twitterにて連載中!

ご意見ご感想やリクエストは、こちらまでよろしくお願いいたします!

今号も、お読みいただき、誠にありがとうございました! 

これからもすいこばなしを、どうぞよろしくお願いします!

中学生の頃から大好きだった、北方謙三先生大水滸シリーズのなんでもあり二次創作です!