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水滸噺 20年6月【班光おまえもか】

あらすじ
遊撃隊将校 天微の毒に侵され
九紋竜史進 湖にえっちを会得す
神箭花飛麟 エロスの才を魅せ
御竜子班光 彼の才エロスならず

すいこばなし 注意書き
北方謙三先生水滸伝,楊令伝何でもありな二次創作です。
・水滸伝の原典ネタは日常茶飯事、スマホにPCなど電子機器も飛び交うし、あの人が梁山泊で元気に生きていたりする、異世界からお届けします。
・原作未読の方でも楽しめるように、ネタバレを極力避けていますが、薄々感づいてしまう個所が垣間見えますので、その点はご注意ください。
楊令伝編で出てくる好漢は、すなわち水滸伝を生き残った者ということですので、未読の方はその点ご留意いただいた上でお読みください。
・作者のtwitterにて連載しています。 
・今月号、バックナンバーのご意見ご感想、リクエスト等々、こちらまで
 お寄せいただけると、とても嬉しいです!いつも助かっています!
・原作に興味を持たれるきっかけになったらこれ以上の喜びはありません。

今月は大盛です!

それでは行ってみましょう! 

梁山泊

梁山泊…雨の日も風の日も調練!調練!

騎馬隊

騎馬隊…ほかの隊でも索超の調整能力と馬麟の女子力は羨ましがられるが、当の隊長がそのありがたさに全く気付いていない。

人物
林冲(りんちゅう)…実は張藍に洗い物の調練を仕込まれている最中。
索超(さくちょう)…兵の目配りと戦局眼の鋭さはピカ一。さすが急先鋒(きゅうせんぽう)
扈三娘(こさんじょう)…お嬢様だったもので、配膳するとか他人に気を配るという概念がいまいちピンときてない節がある。
馬麟(ばりん)…好きでやっているから気にしてない。
郁保四(いくほうし)…馬麟の代わりにご飯を取り分けようとしたが、ぶきっちょで汁をこぼしてしまった。

1.
馬麟「…」
扈三娘「馬麟殿は…」
馬「?」
扈「なぜ息をするかのように、私たちの料理を取り分けるのですか?」
馬「…自然に」
索超「自然な気配りができるよな、馬麟は」
林冲「きく馬麟か」
郁保四「索超殿も兵とよく話しますよね」
索「ともに戦うのだからな」
林「…」
扈「どうしたのですか?」

林冲…その後ずっと機嫌が悪かった。
索超…何かしたか、俺たち?
馬麟…いつものことだろう。
扈三娘…今日も美味しいですね。朱富殿のお鍋は。
郁保四…今日の配膳も満点だ…

致死軍&飛竜軍

致死軍&飛竜軍…大雨に濡れない調練は地味に人気がある調練の一つ。

人物
公孫勝(こうそんしょう)…いくら土砂降りだろうと決して濡れない技を持っている。どうやってんだ?
劉唐(りゅうとう)…雨を避けているのか?
楊雄(ようゆう)…巧みに木に隠れているのでは?
孔亮(こうりょう)…道中着替えてるだけじゃねえの?
樊瑞(はんずい)…大雨の日だろうと、彼が乗っかる梢は微動だにしない。気配も消せてかえってやりやすいくらい。
鄧飛(とうひ)…単独行動がやりやすい飛竜軍は天職だったようだ。
王英(おうえい)…燕順や鄭天寿よりおちゃらけてるように見えて、その実かなりドライな性格だった。
楊林(ようりん)…鄧飛のストッパーになれそうでなれない。

2.
公孫勝「勝てん」
劉唐「…銭をいくら注ぎ込んだのですか、公孫勝殿」
公「あるだけ」
劉「博打は引き際が一番肝心です」
公「負けは死だ」
劉「死ではない負けを覚えてください」
公「死ではない負けとは?」
劉「少なくとも、俺に尻拭いをさせぬ程度の負けを」
公「…」
劉「まあ腕はなりますがな」

公孫勝…日頃のストイックさが博打場にて解放されるとえらいことになる。
劉唐…公孫勝の尻拭いを補って余りある銭を取り戻した。バレなきゃいかさまじゃない。

本隊 

本隊…梁山泊野球大会では三人の隊長クリーンナップが強力。

人物
関勝(かんしょう)…外角を広角に打つ技術は大刀(だいとう)の稽古の賜物。
呼延灼(こえんしゃく)…両打ちの器用さも双鞭(そうべん)の賜物
穆弘(ぼくこう)…片目でも強打と俊足の持ち主。スライディングの激しさはさすが没遮攔(ぼっしゃらん)
張清(ちょうせい)没羽箭(ぼつうせん)は剛速球とスライダーの名手。制球力も抜群。
宋万(そうまん)…ムードメーカー。声出し一番!
杜遷(とせん)…代打の切り札。読み打ちの名手。
焦挺(しょうてい)…当たれば飛ぶ。巨体ゆえキャッチャー修行中。
童威(どうい)…掲陽鎮野球大会では、内外野こなせるユーティリティープレイヤーだった。
李袞(りこん)…飛槍の名手は中継ぎエース。球速が上がってきた。
韓滔(かんとう)…老獪なピッチングは年季の賜物。
彭玘(ほうき)…老獪なリードとささやき戦術に若手はきりきり舞い。
丁得孫(ていとくそん)…強肩一番。レーザービームはいつでもストライク送球。

3.
穆弘「…痒い」
関勝「どうしたのだ、穆弘?」
穆「蚊に刺された…」
関「どこを?」
穆「眼帯の中を」
関「…それは?」
穆「もともと眼球のあったまぶたの裏に決まっているだろう!」
関「…なぜ?」
穆「おやすみ用の眼帯をうっかりつけ忘れて寝てしまったのだ…」
関「没遮攔が蚊に遮られるとは」

穆「掻きむしりたいところだが、場所が場所だから掻くに掻けん」
関「眼球をもう一つえぐろうとしているのかと勘違いされかねんな」
穆「痒くてたまらん…」
関「ムヒを垂らしてみるか?」
穆「痒み止めは顔に塗ったらいけないのだ、関勝」
関「そもそもお前以外眼の窪みに塗り薬を塗れる奴がおらん」

穆「ちょっとだけ掻いていいか?」
関「人目のないところでな」
穆「二度と俺の前を遮らせんぞ、蚊め」
関「お前の血を吸った蚊はさぞ強くなっただろうな」
穆「痒い!」
関(兵にはとても見せられん)
呼延灼「おのれ、蚊め!」
関「お前もか、双鞭」
呼「鞭で卓を叩き壊したのに逃げられてしまった!」

穆弘…朴刀を使うのもままならないくらい無い方の片目が痒い。
関勝…自慢の大刀も蚊を斬るのは至難の技。
呼延灼…一度鞭で卓ごと叩き潰したはずなのだが、まだ生きていたのだ。

遊撃隊

遊撃隊…ああ…またこんなネタばっかり書いてたのか…

人物
史進(ししん)…新境地に到達。
杜興(とこう)…史進の着物が見えないような…
陳達(ちんたつ)…着物なんて着てたか?
施恩(しおん)…替天行道マーケティング責任者。
穆春(ぼくしゅん)…掲陽鎮野球大会ではよく牽制で刺されていた。
鄒淵(すうえん)…史進の着物なんて見た覚えがないぞ?

4.
陳達「暇だな」
鄒淵「調練も終わるとな」
史進「…」
陳「史進が脱いだところで暇な事には変わりない」
史「…」
鄒「史進が着たところで暇な事には変わりない」
史「…」
陳「何を着ようとしている、史進」
史「!?」
鄒「俺たちは暇なのだから、何もしてはならぬに決まっているだろうが」
史「…?」

陳「お揃いの衣装は宋江殿によって厳しく禁じられて本当に良かった」
鄒「あんなのをデザインして発注する魂胆が分からん」
史「…」
杜興「お前たち」
陳「なんだ爺」
杜「明日の騎馬隊との連携について話したいと思ってな」
陳「ちょうどいい」
鄒「暇してた所だ」
史「…」
杜「史進が裸なだけか」

杜「史進の赤騎兵を上手く使えないだろうか」
陳「林冲殿の黒騎兵とは別に動いてくれた方が助かるよな」
鄒「歩兵の援護もしやすいはずだ」
史「…」
宣賛「失礼」
杜「宣賛か」
史「…」
宣「…何をしているのですか?」
陳「軍議だが?」
史「…」
宣「本当に?」
鄒「騎馬隊との連携を考えている」

史進…脱ぐことも着ることも許されなくなった。
杜興…宣賛の意見も聞こう。
陳達…赤騎兵の使い方についてどう考える?
鄒淵…歩兵にも睨みをきかせたいのだ。

宣賛…遊撃隊の中で何かが起こっている…

5.
杜興「わしらを集めて何をする気だ、安道全?」
安道全「私もよく分からないが、聚義庁から検査の依頼が入ってな」
陳達「なんの?」
安「今から人の写真を見せる」
鄒淵「…」
安「その者が着物を着ているか着ていないかを答えてくれ」
杜「…その検査の意味は?」
安「私にも分からなくなってきた」

安「一枚目」
杜「…着ている」
安「二枚目」
陳「着ているな」
安「三枚目」
鄒「史進!」
安(…これは?)
白勝「着物を着ているか着ていないかを答えてくれ」
鄒「そう言ったってよ」
陳「史進は史進じゃねえか」
杜「早くこんな検査終わらせてくれ!」
安(意図が分かってきた)
白(どういうことだ?)

安「四枚目」
杜「史進!」
安「五枚目」
陳「史進!」
安「六枚目」
鄒「史進!」
白(ポーズに一工夫加えてあるのが腹立つ)
安「以上だ」
杜「結果は?」
安「全員異常だ」
陳「そんな馬鹿な!」
鄒「説明しろ!」
安「お前たちは史進の着物に対する感受性を損なったか、失われていることが分かった」

安道全…遊撃隊リハビリプログラムを組むぞ、白勝。
白勝…どうやって?

杜興…なんという事だ…
陳達…史進は史進にしか見えなくなっていたのは確かだが…
鄒淵…俺たちにも異常をきたすほどの感染力とは思わなかったぜ…

6.
安道全「遊撃隊リハビリプログラムを始める」
杜興「…よろしく頼む」
陳達「何が始まるのだ」
鄒淵「とんだ病にかかっちまった」
安「今から出てくる史進を凝視して、史進も着物を着ていることを思い出すのだ」
杜「…分かった」

白勝「…」
薛永「どんなプログラムなんだ、白勝?」
白「…見てろ」

史進「!」
安「ステージ1。絹を着た史進」
杜「馬鹿な!」
陳「幻覚か…」
鄒「何かを纏っているように見える…」

薛「…すげえものを見てる」
白「洗脳解いてるはずなんだがな」

史「絹とは凄いな!」
杜「史進、お前…」
陳「着物を纏って…」
史「まるで着ていないかのようだ!」
安「いかん!」

杜「やはり着ていないではないか!史進!」
陳「これ以上俺たちを穢すな!」
鄒「頭痛が…」

安「今の表現はいかんだろう、史進!」
史「すまん…」
白「ステージ1が絹ってのが早すぎんだよ!」
安「確かに」
史「具足にしよう」
安「そうだな」
史「しかしこれは…」
安「…」
史「俺が悪いのか?」

史進…しかし絹とは見事な肌触りなのだな。
安道全…李巧奴の仕立てさ。
白勝…言ってる場合じゃねえだろ。
薛永…気付け薬を大慌てで処方中。

杜興…史進と着物が掛け合うと、失心して立ち尽くしてしまう。
陳達…史進と着物が掛け合うと、湿疹が出る。
鄒淵…史進と着物が掛け合うと、失神する。

7.
史進「遊撃隊の将校が使い物にならなくなってしまうとは…」
?「それはあなたの羞恥がなした所業のせいです!」
史「何奴!?」
綺麗「綺麗な史進です!穢らわ史進!」
穢「貴様生きていたのか!美し史進!」
綺「梁山湖の湖畔であなた方の羞恥を知らぬ所業にずっと心を痛めていたのです」
穢「息が長い」

綺「あなたはなぜ人が見に纏うべき着物を蛇蝎の如く嫌うのですか?」
穢「嫌っているわけではない!俺は人間のありのままを体現しているだけだ!」
綺「それは即ち、あなたの頭まで赤子のままということになりませんか?」
穢「なんだと!」
綺「羞恥を知らぬ人間は獣物と何が違うのです?」
穢「…」

綺「羞恥を、恥を知るのです、穢らわ史進」
穢「それを知りつくしたからこそ、俺は…」
綺「あなたは何も知らない」
穢「何を言う!」
綺「羞恥を知りつくしたならば、なぜ遊撃隊の方々は心を痛めているのですか?」
穢「それは」
綺「恥を知りなさい、穢らわ史進」
穢「俺は、恥知らずだったのか…」

穢らわしい史進…恥を知る調練を始めた。
綺麗な史進…梁山湖にいた綺麗な史進。色々綺麗。

8.
綺麗な史進「あなたは恥を知らない」
穢らわしい史進「今、恥じている…」
綺「あなたに足りないものは何か、教えて差し上げましょう」
穢「それは?」
綺「えっちです」
穢「…何を卑猥なこと言ってやがる!」
綺「えっちと卑猥。その言葉に宿る意味は、驚くほど違います」
穢「何を言ってやがる…」

綺「えっち。と言われて何を想像しますか?」
穢「…見えそうで見えない扈三娘」
綺「卑猥は?」
穢「…遊撃隊の兵どもの乱痴気騒ぎ」
綺「その差は?」
穢「歴然だ…」
綺「つまりそういう事です。穢らわ史進」
穢「俺は、何という過ちを!」
綺「涙を流すのはおよしなさい、穢らわ史進…」
穢「…」

綺「あなたに足りない恥の一欠片。それはえっちなのです」
穢「よく分かったぞ、美し史進」
綺「あなたにえっちを伝授する調練を施します」
穢「よろしく頼む」
綺「これで遊撃隊の皆さんも回復されることでしょう」
穢「えっち、か…」
綺「身体の逆鱗に、刻みますか?」
穢「心の逆鱗に刻みつけたよ」

綺麗な史進…みるみるえっちを会得していく史進に刮目。
穢らわしい史進…みるみるえっちを会得している自分に驚き。

9.
安道全「史進?」
史進「遊撃隊の皆を集めてくれ」
白勝「まだリハビリプログラムをやるには早えって」
史「案ずるな、白勝」
白「…史進?」
安「どうした、白勝?」
白「!?」
史「集めてくれ、安道全」
安「…分かった」
白「…」
薛永「白勝?」
白「今、史進からかつてない気を感じた…」
薛「?」

杜興「ししんはだか」
陳達「ししんぬぐ」
鄒淵「ししんすっぱだか」
白「エラいことになってやがる…」
史「おいたわしいことをしてしまった…」
白「…史進?」
史「ステージ1は具足から行くぞ、安道全!」
安「始めるぞ、白勝」
史「乱雲!」
乱雲「!」
白(室内なんだが)
史「九紋竜史進、見参!」

杜「ししん、具足?」
安「効果が!」
白「ステージ2!普段着」
史「!」
安(これは!?)
白(なんとえっちな着替えを…)
史「見よ!諸君!」
陳「ししん、着物?」
鄒「着てる?」
安「進めるぞ!白勝!」
白「ステージ3!絹の薄寝巻着!」
薛(なぜ?)
史「!」
杜「史進…」
陳「見事」
鄒「えっち…」

史進…厳しい調練の末えっちを会得し、無事遊撃隊将校を復帰させ、梁山湖に欠かさず寄進を始めた。

安道全見惚れてしまった…
白勝…いつもの破廉恥と訳が違う…
薛永…まだドキドキしてます…

杜興…史進は着物。
陳達…史進は脱がない。
鄒淵…史進はえっち。

水軍

水軍…梁山湖の主との最終決戦の火ぶたが切って落とされた。

人物
李俊(りしゅん)…俺たちも食ってばかりではなく共生しないといけないな。
張順(ちょうじゅん)…冷たすぎる水もなんのその。さすが浪裏白跳(ろうりはくちょう)
阮小七(げんしょうしち)…親父と叔父貴がガキの頃に何かあったらしい。
童猛(どうもう)…水面探査はお手の物。見てきたかのような湖底地図。
項充(こうじゅう)…飛刀の名手は槍魚という水中兵器もあっという間に会得した。
阮小二(げんしょうじ)…早いとこ俺たちも梁山湖を泳ぎたいな。

10.
李俊「では俺たちで、梁山湖寒冷化装置を破壊しにいくぞ」
項充「槍魚は俺が」
童猛「水路は俺に任せてください」
阮小七「親父と叔父貴の地図だから、間違いはないはずだ、童猛」
趙林「…」
阮小二「任せた、趙林」
趙「…」
宋江「いつものように、舟を漕いでくれればいい、趙林」
盧俊義「おう!」

張順「身体を温めておけよ、敬」
張敬「…武者震いです、叔父貴」
宋「頼もしいぞ、張敬」
李「まずは張順と張敬で主を誘き出す」
順「了解」
李「その隙をついて、寒冷化装置を俺たちで破壊する」
項「任せてください」
李「主との交渉は、宋江殿に一任します」
宋「当然の仕事だ、李俊」
盧「おう」

李「では、各自抜かりなく」
宋「行こうか、趙林」
趙「…」
盧「!」
趙「盧俊義様!?」
盧「おう!」
宋「いつも通りだ、趙林!」
趙「おう!」
李(趙林までうつりやがった)
順「今日も冷え冷えだぜ、李俊殿」
七「鍋と湯は準備できてるからな」
二「ここは無理をする所だが、限界だけは越すなよ!」

李俊…どんな装置なんだ?
阮小二…俺たちじゃ作れそうにない装置だ。
阮小七…親父と叔父貴も一枚絡んでそうだ。
張順…秘術をかけてやる、敬。
張敬…何をかけてるんで?
童猛…今日の湖畔も澄んでる。
項充…槍魚が水中の飛刀さ。

宋江…主とも分かり合えるさ。
盧俊義…おう!
趙林…舟係と護衛。

二竜山 

二竜山…兵の一発芸選手権は毎度隊長が大うけするが、単に沸点が低すぎるだけだから真に受けて本隊で披露してはならない。

人物
楊志(ようし)…巾の横縞が縦縞になっただと!?
秦明(しんめい)…とうとう息子の秦容が公淑を抱っこするところを見てしまった。
解珍(かいちん)…郝思文の嫁の陳娥から、息子と娘の接し方をマークされている。何教えてるんだよ。
郝思文(かくしぶん)…娘の郝嬌が秦明と解珍を平伏させている所を見てしまった。
石秀(せきしゅう)…楊志の隠れ家探しは毎度大変。楊志がすぐにインスタでアップするから。
周通(しゅうとう)…済仁美の写真をお守りに今日も調練に励んでいる。
曹正(そうせい)…戦のたびに兵站担当くじ引きは命がけ。特に林冲騎馬隊。
蔣敬(しょうけい)…戦時中の兵站の勘定はお手の物。さすが神算子(しんさんし)
李立(りりつ)…またいないのかよ…林冲殿たち…
黄信(こうしん)…鎮三山の百名山巡りを三十八で辞めてしまった。鎮三十八山か?
燕順(えんじゅん)…秦明を色恋ネタでいじったり、解珍のスケベを摘発したりする名手。伊達に山賊の頭やってねえ。
鄭天寿(ていてんじゅ)…イケメンすぎて二竜山でも麓の村でもファンクラブがあるらしい。
郭盛(かくせい)…方天戟につけた旗が顔に張り付いた隙を突かれて秦明に負けた時はみんなに笑われた。
楊春(ようしゅん)…爬虫類が好き。ひんやりしてるところとか自分に似てる気がして。
鄒潤(すうじゅん)…李雲に冗談でトンカチの代わりを頼まれたら、木箱ごと粉砕してしまった。
龔旺(きょうおう)…刺青の虎のデザインが本当に嫌になってきた。

11.
楊志「令」
楊令「…」
志「父を見ておけ。その眼に、刻みつけておけ」
令「…」
志「…耳が」
令「…」
志「大きくなってしまった!」
令「!」
志「こちらの耳も」
令「…」
志「大きくなってしまった!」
令「私の眼に刻みつけました、父上!」
済仁美「…」
志「仁美も何かできないか?」
済「…」

済「!」
志「!?」
令「!?」
済「…私の首はどこにいったのでしょう」
令「母上の首が!」
志「仁美!一体何が!」
済「私の首を、元に戻してください…」
令「父上!母上の首を戻さないと!」
志「…腰が抜けて動けん」
済(可愛い…)
令「私が母上の首を直します!」
済「令…助けて…」
令「母上!」

済「令のお陰で元どおりになりました」
令「よかったです、母上!」
志「…今のは芸なのか、仁美」
済「そんな訳ないでしょう、旦那様」
令「腰を抜かしている場合ではありません!父上!」
志「夢に出そうだ…」
済「ご飯にしましょう」
令「腰抜けの父上は抜きです!」
志「そんな!」
令「駄目!」

楊志…すごく物欲しそうに食卓をウロウロしていた。
済仁美…二人とも本気で信じてるのかしら…
楊令…母上の首には気をつけないと。

12.
解珍「郝嬌様の仰せのままに」
郝嬌「よろしい」
郝瑾「?」
嬌「兄上!」
瑾「どうされたのですか、解珍殿?」
解「郝嬌様が、猪肉をご所望だから準備をするところだ」
瑾「何か祝い事が?」
解「何を言う、郝瑾。今日は郝嬌様のなんでもない日ではないか」
瑾「…それは?」
解「お前には食わさん」

瑾「なあ、嬌」
嬌「なあに、兄上?」
瑾「はじめは関勝殿」
嬌「…」
瑾「二竜山で秦明殿、そして解珍殿までなぜお前に恭しくなるのかな?」
嬌「私にも分からない、兄上」
瑾「いいな…」
嬌「でも今日は私のなんでもない日だから」
瑾「俺もなんでもない日だぞ?」
解「それはどうでもいい、郝瑾」

瑾「解珍殿は、嬌に弱みでも握られたのですか?」
解「おのれ!郝嬌様に対して無礼な!」
瑾「妹ですので」
解「それがどうした」
瑾「もしも嬌に恭しくするならば、兄の許可を取っていただきたく」
解「笑止だ、郝瑾」
嬌「でも解珍様?」
解「何かな、郝嬌様?」
嬌「あの事は内緒よね?」
解「!」

郝嬌…特別よ、兄上。
郝瑾…恩にきる、嬌。
解珍…郝思文はまだしも、陳娥殿には二度と叱られたくないからやむなしか…

13.
公淑「容!」
秦明「どうした公淑?」
公「旦那様、容が」
秦容「!」
公「旦那様の狼牙棒で稽古を始めました」
明「なんと」
容「!」
公「林冲殿の稽古を見てから振りが鋭くなっていましたが」
明「違いない」
公「白勝殿も並の成人を上回る筋肉量だと」
明「当然だ」
容「!」
明「外でやるぞ、容」

秦明…私の稽古用をもう一本作らなければ。
公淑…もう私では抱っこできません。
秦容…白勝曰く、郝思文を腕相撲で瞬殺できる筋肉量。

双頭山 

双頭山…春風山派と秋風山派の派閥争いは意外に熾烈。きのこたけのこ的な感じ。

人物
朱仝(しゅどう)…軍人らしい軍人なので、スタンドプレーは許容しがたい。
雷横(らいおう)…もともと鍛冶屋見習いが膂力を買われて軍人になった口だから、朱仝よりも砕けているところはある。
董平(とうへい)…もともと東平府に勤めていた。東平府の董平と百万回言われた。
宋清(そうせい)…やむにやまれず梁山泊入りした所があるので志とか関係なく恬淡と仕事をこなしている。
孟康(もうこう)…鄧飛の傾向はよく理解しているが、やっぱり手におえない。
李忠(りちゅう)…拠る山を桃花山と名付けた時に諦めた悔いは、何とか払しょくできた。
孫立(そんりつ)…呼延灼との鞭の稽古は見ごたえ十分。
鮑旭(ほうきょく)…子午山に送る手紙の本文は綺麗な字だけど、最後の名前で力が入ってしまう。
単廷珪(たんていけい)…軍人を退役したら水運業に携わりたいと思っている。 
楽和(がくわ)…歌は友や部下のために歌っている。

14.
朱仝「また単独行動か、鄧飛!」
鄧飛「だから兵糧も武器も倍ぶんどって来れたんだろうが!」
朱「倍あっても兵糧庫も武器庫も収まりきらん!」
鄧「ならせいぜいお前の器と同様、デカくしやがれ」
朱「減らず口を!」
雷横「…まあ待て、二人とも」
朱「雷横も言ってくれ!」
鄧「…」
雷「そうだな」

雷「俺は鄧飛の気持ちも分かる」
鄧「…」
雷「だがここは軍だ。お前が飲馬川の頭領をやってた頃とは違う」
鄧「…」
雷「量があることはありがたいが、この事を宋清に報告したか?」
鄧「…まだだ」
雷「この山の皆には、仕事の都合ってやつがあるんだ、鄧飛」
鄧「…」
雷「今は力を合わせてくれよ」

鄧「…性に合わねえ」
雷「ならばいつか、お前を山から追放しなくてはいけなくなるぞ」
鄧「…宋清には俺から言っとくよ」
雷「よろしくな」
鄧「…」
雷「何もお前の力量を認めてない訳じゃない」
鄧「…」
雷「認めているからこそ、頼んでいるんだからな!」
鄧「ほっとけ」
朱「…礼を言う、雷横」

朱仝…俺は頭が硬いかな、雷横?
雷横…お前はそれでいい、朱仝。
鄧飛…宋清に呆れられたが、孟康のフォローでことなきを得た。

流花寨

流花寨…そこら中に矢が突き立っている有様に呉用は目を剥いた。

人物
花栄(かえい)…矢を射ながら考え事をする癖がある。
朱武(しゅぶ)…岩に刺さった矢でつまづいた。
孔明(こうめい)…木に刺さった矢で頭に引っかかった。
欧鵬(おうほう)…鉄槍の稽古をしていたら、いつの間にか先端に矢が刺さっていた。
呂方(りょほう)…方天戟が絡まって困っていたら、矢でほどいてくれた。
魏定国(ぎていこく)…瓢箪矢の命中率もさすがだけど、油の瓢箪をよく落っことして台無しにするんだよな。
陶宗旺(とうそうおう)… 頼むから石積みに向かって射ないでください!

15.
朱武「今週は弓矢禁止だ!花栄!」
花栄「そんな!」
朱「お前が稽古の後片付けをしないせいで、抜けない矢が通行の妨げになったり、貫通した鏃によるヒヤリハットが続発している」
花「引っこ抜け、朱武!」
朱「弓矢は決められた稽古場で一日二刻までにしろ!」
孔明(お袋に叱られてる餓鬼みてえだ)

朱「今週は弓矢に手をつけられないように、神機軍師の粋を尽くしてお前の弓矢をある所に隠した」
花「なんと言うことを!朱武!」
朱「後片付けしないお前が悪い!」
花「私の腕力では抜けないんだ!」
孔(ならばなぜ岩を貫通させられるんだろう)
朱「今週の調練は剣で我慢しろ」
花「覚えてろ、朱武」

花「…」
孔「今日で何日目だ、朱武?」
朱「まだ二日目だ」
孔「禁断症状が出ているな」
花「…」
孔(…弓を射る構えを?)
朱「伏せろ!孔明!」
孔「!?」
欧鵬「!」
花「小李広のエア弓矢は健在か…」
欧「」
孔「すげえものを見た」
朱「花栄にはこれがあったのを忘れていた」
花「朱武を射るか」

花栄…弓にハマりすぎて、一回で弓千本分のエネルギーを使うエア弓矢も射れる。試しに一日二本射たら使い物にならなくなった。
朱武(…凄まじい気が飛んでくるのは分かった。
孔明…軌道を可視化出来ねえかな?
欧鵬…エア弓矢を食らって失神。まるで射られたかのような衝撃は本物同然。

16.
孔明「お前はまた何を企んでいる、亮?」
孔亮「いたずらとは命がけで行ってなんぼだ」
明「そう言いながら、青州軍でもしょっちゅうバレては死にかけていたではないか」
亮「わざわざ流花寨まで来て何もしないで帰るのはつまらん」
明「標的はまた花栄殿か?」
亮「童でもかからん罠にかかるからな」

朱武「話は聞かせてもらった」
亮「しまった!」
朱「案ずるな、孔亮。俺は味方だ」
亮「本当か!」
朱「神機軍師の策とお前が致死軍で培った能力を組み合わせてみたくはないか?」
亮「百人力だ、神機軍師」
明「…」
亮「兄貴に道先案内人になってもらうぞ」
朱「孔明の罠だな」
明「なぜそうなる」

明「…花栄殿。朱武が弓で射てもらいたいものがあると」
花栄「何を射るのだ?」
明「あの木の的を…」
花「容易い」
明「…」
花「!」
明「…」
花「どうだ!」
明「…さらばだ、花栄殿」
花「孔明?」
?「!」
花「なんだ!?」
?「!」
花「石積みか!?」
?「!」
花「逃げろ!」
?「」
花「!?」

花栄…房芋(バナナ)の皮に転び、石積みに巻き込まれかけ九死に一生。
孔明…転ばんだろ、房芋の皮なんぞで。
朱武…ドッキリ大成功だな。
孔亮…撤退に失敗し、花栄の矢で近くの木に磔にされた。

聚義庁

聚義庁…気とか感じるとか右脳派が多すぎる首脳陣に、どっぷり左脳派の軍師が頭を抱えない日はない。

人物
晁蓋(ちょうがい)…気だ!気なのだ!呉用!
宋江(そうこう)…感じる!そんな感じなのだ!呉用!
盧俊義(ろしゅんぎ)…機だ。今が商売の機なのだ!呉用!
呉用(ごよう)…頼むから言葉でロジカルに説明してください!
柴進(さいしん)…なんとなくで動くことが多い貴人気質は治りようがない。
阮小五(げんしょうご)…呉用のよき理解者。晁蓋のノリにも呉用のノリにもついて行ける稀有すぎる人財。
宣賛(せんさん)… どちらかというと呉用より。でも気は何となく分かる、という気がする。

17.
呉用「なにを始めるのですか?」
晁蓋「気は知っているな、呉用?」
呉「晁蓋殿や林冲がよく言っているものですか?」
晁「ものではない。気だ」
呉「…あいにく私には全く分かりません」
魯智深「失礼」
呉「!?」
晁「おう、魯智深」
呉「いきなり入るな、魯智深」
魯「気で訪いを入れたぞ、呉用殿」

晁「私には分かったから気にするな、魯智深」
魯「当然ですな」
呉「…どうやったら分かるのですか?」
晁「分かるのではない、感じるのだ」
公孫勝「このようにな」
呉「!?」
魯「おう、公孫勝」
晁「お前の気はいつもギリギリで感じるのが恐ろしい」
呉「…私が鈍いのですか?」
晁「調練だ、呉用」

公「…」
魯「…」
晁「どうした二人とも?」
公「…あと一人います」
魯「床下か!」
時遷「残念。天井だ」
晁「お前がいたか、時遷!」
魯「時遷の気が読めたら、間者の仕事はできなくなるな」
公「私も時遷ほど気を消すことはできません」
呉「…それで、気とはなんなのですか?」
晁「気は気だ!」

呉用…気が分からずイライラしている気を発している。
晁蓋…床下にも誰かいないか?
魯智深…晁蓋レベルなら、気の訪いを気兼ねなくできる。
公孫勝…致死軍の兵なら魯智深の気は分かるぞ。
時遷…床下には石勇がいた。

18.
呉用「…」

呉用「しまった!」

呉用「…しまった!」

呉用「しまった…」

呉用「…しまった」

呉用「しまった〜」

呉用「…しまった〜」

呉用「ああ…しまった…」

呉用「ああ〜しまった…」

呉用「うああ〜しまった〜」

呉用「しまった」

晁蓋「徐々に深刻度が上がっている様子が分かるか、阮小五?」
阮小五「分かってるなら助けてあげましょうよ!」

呉用…ほとんど晁蓋殿がほったらかしにしていたせいです!
晁蓋…しまった!!
阮小五…声がデカいな。

19.
施恩「宋江様!電子書籍版替天行道に誤字がございます!」
宋江「どこに?」
施「宋江様の版を開いてください」
宋「…まだスマホはなれぬな」
魯達「…」
施「では私が代わりに開きますね」
宋「頼む」
施「!?」
宋「…施恩?」
施「…この13Pの2行目が」
宋「おう…」

施「VR李師師様…」
魯「!?」

宋江…実はVR閻婆惜もキープしている。
魯達…俺にも教えてくれ、施恩。
施恩…この開封妓楼動画というえっちなサイトから…

兵站

兵站…戦のご飯ばっかりではなく、様々な商品開発もしている。しょうもないおもちゃもとりあえず作ってみる。

20.
【兵站任務失敗共有ツール Simatter】

Syosenpu: しまった!呉用殿の報告にもれがあった!
Sinsanshi: しまった!神算子が呉用殿に誤った見積もりを提出してしまった!
Saimeihangan: しまった!兵站の帳簿を書かずに出発してしまった!
Tessenshi: Chitasei をグループに加えました。
既読 Chitasei

21.
呉用「なんの催しだ、柴進」
柴進「たまには兵站の者たちを労ってもバチは当たるまい」
曹正「ソーセージもあるぜ」
李立「魚肉のも」
宋清「たまには息を抜こうか」
孟康「悪くない」
蔣敬「全員揃いました」
柴「それでは席次を決めよう」
呉「どうやって?」
柴「蔣敬」
蔣「しまった!」
呉「?」

柴「1Kしまった?」
蔣「1000しまったです」
呉「…なんだこのマイクは」
柴「しまったマイクさ、呉用殿」
蔣「しまったの感情を数値化して出してくれるんです」
呉「…需要は?」
柴「今の我らにある」
李「いくぜ…」
蔣「…」
李「しまった!」
蔣「100しまっただな」
李「李俊殿じゃそんなもんか」

呉「…」
宋「孟康のしまったが1Mしまったか…」
孟「魯智深殿と鄧飛兄貴のダブルしまっただ」
柴「わたしのしまったは10しまったか…」
曹「正直しまったと思ってないだろう、柴進殿」
柴「…では最後」
呉「…」
孟「耳かっぽじって聞いとけよ」
呉「…」
宋「…」
呉「しまった!」
蔣「…壊れた」

柴進…10しまった。お酒をこぼした時。
曹正…50しまった。宴会芸でスベった時。
李立…100しまった。李俊が孫二娘に借りを作った時。
蔣敬…1Kしまった。盧俊義に叱られる直前。
孟康…1Mしまった。魯智深と鄧飛のあれ。
宋清…1Gしまった。兄がやらかした時。
呉用…キングオブしまった。測定不能。

22.
柴進「呉用殿もたまには息抜きをされた方が良い」
呉用「これがお前らが製作したという?」
柴「梁山格闘がご家庭用でもオンライン対戦が可能になったのだ」
呉「初めてだが、やってみよう」
柴「相棒対戦も出来る」

袁明「李富」
李「はい」
袁「お前もやらぬか?」
洪清「…」
李「初めてですが…」

柴「私は火眼狻猊を」
呉「智多星を使ってみよう」
柴「ほう」

李「この白髪鬼を使ってみます」
袁「モデルが、気になる」

呉「早速マッチングしたぞ」
柴「…ENNEIさんだと」
呉「どんな方だ?」
柴「…対戦すれば分かる」

袁「小旋風…」
李「立合いの始まりですな」

呉「白髪鬼?」
柴(まさか)

呉「白髪鬼の必殺技が恐ろしい」
柴「自分の命と引き換えに打撃を与える叫び声だ」

袁「智多星を第二形態にする技が追加されたのだな…」
李「不気味な覆面ですね」

呉「技が分からん」
柴「智多星の必殺技は…」

李「!?」
袁「…なんと」
李「気配もなく一撃で刺されました…」
袁「敵を討とうか」

呉用…全く話にならなかった…
柴進…さすがENNEIの入雲竜…

李富…凄まじく強いですな、袁明様。
袁明…私の入雲竜に勝てる者はそうはおらん。
洪清…浪子で相棒コンボを袁明と練習中。ランキングを荒らしまわっている。

練兵場 

練兵場…野球大会は盛んに行われる。作者が好きだから。

人物
徐寧(じょねい)…クソやかましい鎧をプロテクター代わりにするなとアンパイアに警告された。

23.
林冲「!」
史進「…なんという気を」
晁蓋「さすが林冲」
呉用「…林冲は何を手でこねているのですか?」
晁「気をこねているのだ、呉用」
呉「分かりません…」
晁「史進をよく見ておけ」
林「いくぞ史進!」
史「来い!林冲殿!」
林「!」
史「!」
呉「…今、史進が吹き飛んだのは?」
晁「気だ」

呉「気があればなんでもありになっていませんか、晁蓋殿?」
晁「こんな言葉がある」
呉「…」
晁「元気があればなんでもできる!」
呉「…そのうち林冲たちが空を飛びかねませんから、この辺にしてください」
晁「飛べんか、林冲?」
林「練習中です」
史「舞空術という技を王進先生がご存知でした」

呉「…頭が痛くなってきました」
晁「考えるな、呉用」
呉「…」
晁「感じるのだ!」
呉「…左脳型なもので」
公孫勝「気にしなくていい、呉用殿」
晁「公孫勝」
公「脳に筋肉が詰まっている奴らにしかできん芸当だ」
呉「…」
公「脳は考えるためにあるのだからな」
呉(今の発言も賢いとは言えんぞ?)

呉用…気について論理的に理解しようとし始めてドツボにハマっている。
晁蓋…舞空術とはなんだ、史進?
林冲…空を飛ぶかのように間合いを詰める技らしく…
史進…王進先生もですが、王母様もよく叱る時に使われてました。
公孫勝…下らんと言いつつ、興味津々。

24.
張清「!」
阮小七「 」

童猛「張清のストレートは打てませんな、李俊殿」
李俊「おまけに厄介なのは…」

張「←←←」
阮「!?」
裴宣「チェンジ!」

阮小二「スライダー…」
李「走者も出せん…」
項充「俺がなんとか抑えてみせます」
李「凌いでくれ、項充」
項「おう!」

関勝「相手は項充か」

項「!」
裴「ストライク!」
丁得孫「!?」

関「さすが項充」
呼延灼「見事な外角の制球だ」

項「→→→」
丁「!?」
裴「チェンジ!」

関「そしてインコースのシュートが」
呼「強気な攻めだな」
張「俺たちでも打ちあぐねるぞ」

李「俺たちも張清を攻略しなければ…」
阮小二「次は俺からだな」

七「よくやったぞ、趙林!」
趙林「隊長を何とか進めたかったので…」
童「走者二塁で李俊殿だ!」

張「…」
李「…」

二「!」
関「しまった!」

童「阮小二の三盗が決まった!」
七「決めろよ!李俊殿!」

張「!」
李「!」

関「なんだと!」

童「スクイズか」
趙「…味方ながらせこいですね」

李俊…キャッチャー。関勝に逆転HRを叩き込まれた。
阮小七…センター。長距離砲がいねえ…
童猛…セカンド。スライダーにきりきり舞い。
項充…ピッチャー。関勝にシュートを打たれた。
阮小二…ライト。意外なパンチ力と選球眼。
趙林…レフト。決死の送りバントを決めたが、格の違いは歴然。

張清…スクイズの一点のみで完投勝利。
関勝…キャッチャー。内角打ちは天賦の才。
呼延灼…サード。左打者に弱いな、項充。
丁得孫…ライト。レーザービームで項充を刺すファインプレー。

裴宣…アンパイア。意外にもスイッチヒッター。

工房

工房…物作りの達人揃い。弟子も育ち始めている。

人物
凌振(りょうしん)…お前には大砲しかないのかと呆れられたが、マジでそうとしか言いようがない。
湯隆(とうりゅう)…超一流の鍛冶屋だが、最近は研ぎにも熱心。
李雲(りうん)…超一流の大工だが、最近はトレーニングキット作りにも熱心。

25.
李逵「板斧を研ぐところが見たいだって?」
湯隆「俺も研ぎの技には自信があるが、石を砕いて研ぐ所を見せてくれ」
李「どこかに岩はねえか、湯隆?」
解宝「投石機に使う岩を砕いてくれ、李逵」
李「お安いご用だ!」

呉用「私の指示が聞けんのか、柴進」
柴進「やれやれ、呉用殿もお高くとまって」

李「よく見ておけよ」
湯「…」
李「…」
解「…」
李「!」
湯「怪物だ…」
李「!」
解「大きさもちょうど良い」
李「一丁あがりだ」
湯「板斧を見せてくれ」
李「ほれ」
湯「…俺の研ぎとは全然違う」
解「ありがとよ、李逵!」
李「お安い御用さ!」

呉「柴進」
柴「呉用殿の御用命通りにするよ」

李「こんなのもできるぜ」
湯「どんな?」
李「石を放ってくれ」
解「ほれ」
李「!」
湯「!?」
解「両断して飛ばした!」
李「四つまでできるぜ!」
湯「…俺が作った板斧、だよな?」
李「すぐ手に馴染んだぞ、湯隆!」
湯「鍛冶屋冥利に尽きるよ、李逵」

柴「…」
盧俊義「呉用にご用心だ、柴進」

李逵…湯隆の板斧は握り心地も抜群なんだ。
湯隆…俺のこだわりに気づいてくれると嬉しいな。
解宝…砕いてもらった岩を運ぶことを考えてなかった。

呉用…機嫌が悪いと柴進の嫌味に過剰反応する。
柴進…機嫌が悪いと思わず皮肉を言ってしまう。
盧俊義…私から見れば、お互い様だ。

鄆城

鄆城…宋江のお家や朱仝と雷横が勤務していた場所。

26.
魯智深「宋江殿」
宋江「!?」
魯「…申し訳ない」
宋「あれほど戸を叩いてから入ってくれと頼んだだろう、魯智深!」
魯「気で訪いを入れたのですが」
宋「気で分かるなら、インターホンはいらぬ!」
魯「…ご無礼を」

魯「だから私は王進殿を梁山泊に迎え入れたいと…」
王母「私も分かりましたよ」

宋江…なにをしていたかだと!言わせるな!
魯智深…気で訪いを入れるから、凡人には音ない訪い。

王進…気の訪いを解読して死域。
王母…王進より先に気付いてたけど、寝たふりをしてた。

東渓村

東渓村…晁蓋が塔を担いで渡った川は観光スポットになっている。塔と一緒に記念撮影もできる。

27.
呉用「しまった!」
晁蓋「もうなんとも思わなくなったな、阮小五」
阮小五「そうですね」
呉「二人とも、私のしまったをなんだと思っているのだ!」
晁「鳴き声」
阮「東渓村の時報」
呉「…」
晁「…なにがしまったのだ、呉用?」
呉「塾の子どもたちに宿題を出し忘れたのだ」
晁「義挙だぞ、呉用」

呉用…来週倍にしないと…
晁蓋…そういうところだぞ、呉用。
阮小五…また子どもたちに嫌われますよ。

林冲さん家

林冲さん家…すっかり公孫勝にインスパイアされた嫁や、腐れ縁の友達がしょっちゅうからかいに来る。

28.
林冲「…頭が痛いな」
張藍「まあ」
林「頭を酷使するようなことがあったかな」
張「林冲様の頭は考えるためのものではありませんからね」
林「おのれ!公孫勝の野郎のような口を!」
張「ならば、林冲様」
林「なんだ!」
張「最近考えたことは何かを思い出してください」
林「…頭痛が激しくなった」

張「それでは林冲様」
林「…」
張「調練で索超殿の突撃を受ける時のことを感じてください」
林「奴の突撃は急先鋒と呼ばれるだけあって、正面から受けるのは愚策。柔らかく受け止めて、包囲するのが良いだろうな」
張「…今、考えて言いましたか?」
林「全て勘だが?」
張「頭痛は?」
林「ない…」

張「ロジカルシンキングの書物を呉用殿から借りてきましょうか?」
林「やめろ、張藍。なにも聞こえないほどの頭痛がした」
張「…安先生に脳の検査を受けられたらどうですか?」
林「考えるとは何かを考えただけで頭痛が…」
張「呉用殿が卒倒しますわ」
林「奴とは頭の作りが違う」
張「でしょうね」

林冲…思考するだけで頭のノイズが鳴り止まないという。馬鹿を通り越して拗らせたのだろうか。
張藍…私にも理解が及ばないほど筋金入りの脳筋になられてしまったとは…

29.
安道全「白勝、白日上手いな」
白勝「白日鼠が歌わないで誰が歌うんだ」
林冲「鼠が余計だ、鼠が」
白「うるせえ、白日のバカップル」
張藍「まあ」
林「おのれ、白勝」
張「ちゅうと言わせてやりなさい!林冲!」
安「今奥方が先に言ったな、白勝」
白「ああ。林冲、とな」
?「今ちゅうと言ったな」

林「何奴!」
鈕文忠「我が名は鈕文忠!ちゅうある所に鈕文忠あり!」
張「出オチ、ではありませんね?」
鈕「なんのことだ」
安「確かにちゅうが多いな」
鈕「名乗るだけで二ちゅうだからな」
白「なんだその単位は」
鈕「ちゅうの単位だ」
林「早く摘み出せ」
鈕「黙れ!私よりちゅうの少ない輩め」

林「お前は今まで言ったちゅうの数を覚えているのか?」
鈕「少なくともお前の倍!」
林「!」
安「一理ある」
白「このままじゃ林冲が摘み出されちまう」
林「!?」
鈕「ちゅう少なき男は去ね」
張「林冲様」
林「張藍」
張「!」
林「!?」
鈕「!?」
張「このちゅうで互角です、鈕文忠」
鈕「…無念」

林冲…ときめきが止まらない。
張藍…安先生の番ですよ?

安道全…やはり来るんじゃなかったな。
白勝…しかしなんなんだ、あいつは。

鈕文忠…青蓮寺の手練れの間者、らしい。泣きながら田虎の所に帰ってきた。

桃花山

桃花山…まだまだ弱かった頃の彼ら。志があっても戦の仕方を知らなければやむなしだった。

30.
李忠「やれやれ、また食いつめたな」
周通「…村を襲うのはやりたくねえんだが」
段景住「背に腹は変えらんねえですからね、李忠殿」
?「今ちゅうと言ったな」
李「…またあんたか、鈕文忠」
鈕文忠「ちゅうある所に鈕文忠あり!」
周「…こいつはなんなんだよ、兄貴?」
李「村で会った情報屋だ…」

鈕「鈕文忠の忠は忠義のちゅうだ!」
段「姓の鈕は?」
鈕「…調べたらボタンやつまみという意味があるらしい」
李「それで何の用だ、鈕文忠?」
鈕「お前たちに飯のタネを仕入れてきた」
周「どんな?」
鈕「国に忠を尽くさぬ悪い商人が穀物を流す道の情報だ」
段「そりゃいい!」
李「待て、段景住」

鈕「なんだ、ちゅう少なき者」
李「私たちは弱いが叛徒だ」
鈕「それがどうした?」
李「国に逆らう我々が、どうして国に忠を尽くさぬ商人を襲うのだ?」
鈕「!」
周「たしかに」
段「でも腹は減ります、李忠殿!」
鈕「自分の忠を尽くすのは腹を満たしてからだ、ちゅう少なき者よ」
李「普通に呼べ」

李忠…桃花山頭領時代。志は立てていたものの、背に腹は変えられない混迷期。
周通…李忠の弟分時代。済仁美と初めて出会って衝撃を受けた時期。
段景住…桃花山の下っぱ。馬術は山一番。

鈕文忠…思った以上に賢かったから、後任に仕事の引き継ぎちゅう。

掲陽鎮

掲陽鎮…役所を誑かすのはお互い様。あらゆる勝負でなすりつけ合っていた。

31.
李俊「釣れんな」
童威「やはり李俊殿と行くと俺たちもだめだな、猛」
童猛「ボウズだ、兄者」
李「貴様らの頭頂も坊主にしてやろうか」
威「それに引き換え…」

張横「順。魚は?」
張順「長江の主に逆らう連中を騙して連れてくる」
穆弘「俺らで一網打尽にするぞ」

李「あれは漁ではないのか?」

猛「負けたら厄介な役所仕事をやらされるんだからな、李俊殿」
威「混江竜なのに魚の人望がなさすぎやしないか?」
李「貴様ら言わせておけば」
李立「きた!」
威「催命判官に当たりが!」
立「これは重い!」
猛「手伝うぜ、李立」

穆春「兄者。李立に当たりが」
弘「随分重そうだ」
順「いかん!」

立「…すげえものを釣れた」
俊「締めるぞ」
威「でかした、李立」
猛「俺らの勝ちだな」

「!」

順「…なんてこった」
俊「どうだ、張順」
順「李俊!こいつは長江の主の片腕だ!」
威「…そいつは?」
順「この河の界隈の顔役だよ」
猛「…つまりどうなるんだ?」
順「戦が起きる」
俊「所詮魚だ」

李俊…魚と侮ってたら、帰りの舟でえらい目にあった。
童威…船底が穴だらけに!
童猛…助けてくれ、張順!
李立…生き物は侮るもんじゃねえな。

張横…順が長江の魚と交渉に…
張順…また勢力図が塗り替えられるぞ、兄貴。
穆弘…俺らには理解できんな、春。
穆春…魚も色々あるんだな、兄者。

宋江さん家

宋江さん家…宋江のお父さんが暮らしている。宋江と宋清の二度と帰れない故郷。

32.
李逵「俺と親父で作った野菜だ!」
客「随分見栄えがいいな!」
宋太公「李逵の糞が効いているからな」
李「…」
客「…また今度な」
宋「そうか」

客「あら見事なお野菜!」
李「安くするぜ!」
宋「李逵の糞の効いた野菜だ」
客「…他のお店にするわ」
宋「そうか」
李「…少し黙っててくれ、親父」

宋太公…宋江のお父さん。本当のことではないか、李逵。
李逵…そんな売り文句で買う客はいねえよ、親父。

北の大地

北の大地…相変わらずどうしようもない族長が多いらしく…

33.
蔡福「なんなのだ、あの惨状は」
蔡慶「あの体たらくでよく族長など名乗れるものだな」
福「我らも普通とは程遠い自覚を持って久しいが」
慶「その俺たちが正気を疑う自堕落ぶりだったな」
福「とても阿骨打と組ませられるものではない」
慶「討伐した方が今後の為だと思うほどだ」
福「けしからんな」

蔡福…他意はないからな、皆!
蔡慶…嫌な事があったとか、そんなことちっともないからな!

阿骨打…本当に容赦を知らん兄弟だよ…

子午山

子午山…麓の鍛冶屋の腕はいいらしい。

人物
王母(おうぼ)…昔熱心だった琴のチューニングをこっそり始めた。
王進(おうしん)…頼みの品の出来栄えを確かめて死域。

34.
馬麟「…」
鮑旭「…馬麟?」
馬「…なんだ、鮑旭」
鮑「いつまで空を見ているのかと思ってな」
馬「そんなに見ていたか?」
鮑「王母様が気にかけるくらいな」
馬「…余計だ」
鮑「そうはいかん。日差しで倒れてしまうと大変だ」
馬「関係ない」
鮑「人だろう、馬麟も」
馬「人でなしさ」
鮑「全く」

王母「馬麟」
馬「…」
鮑「返事をしろ、馬麟」
母「構いません、鮑旭」
馬「…」
母「進が、鍛冶屋から帰ってきましたよ」
馬「…それは?」
母「これを」
馬「!」
鮑「鉄笛?」
馬「…受け取っても、よろしいのですか?」
母「もともと貴方のものではありませんか、馬麟」
馬「…資格がありません」

母「資格は自分で頑に決めるものではありませんよ、馬麟」
馬「…」
母「鉄笛仙と呼ばれていたそうではありませんか」
鮑「…よい渾名だ」
馬「…うるさい」
母「今宵はお月様が綺麗な夜です」
馬「…」
母「もし私たちに聴かせてくれたら、私が貴方に資格を授けます、馬麟」
馬「…かしこまりました」

馬麟…鉄笛仙無事復活。
鮑旭…涙が…

王進…目を瞑って聴き入りながら、死域。
王母…こんなに哀しいのに、生き生きとした音色は初めて聴きました。

豹子頭千里1周年思い出話

35.
安道全「懐かしいな」
白勝「MVPの話を聞こう」
薛永「あの時のこと?足の感覚が無くなり、回復しなかったな…」
馬雲「m(_ _)m」
白「休暇はどうだった?」
薛「初めての山々を歩き回っていたよ!」
安「歩いているではないか」

楊令「今日はこの銀細工をつけて街に行こう」
張平「一番かっこいいやつですね、楊令殿!」
楊「でもな、張平」
張「?」
楊「ここだけの話、私には見覚えがない銀細工だったんだ」
張「はあ…」
楊「作った人の顔は浮かぶがな」

林冲「張藍!」
張藍「林冲様!」

索超「また躊躇いもなく…」
扈三娘「林冲殿恥ずかしい話の二巻も刊行間近だと、張藍が」
馬麟「だから懐柔しているのか」
郁保四「言ってやっぱりお二方…」
扈「…」
郁「同レベルですよね」

禁軍

禁軍…帝が童貫を見て涙を流したその訳は…

人物
童貫(どうかん)…あまりの泣かれっぷりに、思わずうなずいてしまったけど…
趙安(ちょうあん)…フレッシュマンとしてようやく再起したけど…

36.
趙安「フレッシュ!」
何信「命に関わる深傷を負われた後だというのに…」
公順「それでもなお、フレッシュマンの啓蒙普及に尽力されるとは」
何信「さすが趙安殿」
趙「フレッシュマンの衣装を着ていた分、剣が届かなかったらしい」
公「深傷には変わりありません」
何「フレッシュマンの加護ですな」

趙「梁山泊の男たちか…」
何「どうされました?」
趙「一度でいいから、酒を酌み交わしてみたいものだよ」
公「我らの敵です。趙安殿」
趙「分かっているさ、公順」
何「敵味方だったのは偶然だった、と済ませるのには酷ですかな?」
趙「全くだよ、何信」
公「…」
趙「敵ながら見事だ、梁山泊は…」

趙「また命に関わる深傷を負わされたり、ゆくゆくは戦死するかもしれん」
何「我らもその覚悟をしておりますぞ、趙安殿」
公「私だって!」
趙「気が滅入りそうだが、少しだけ愉しみでもあるのはなぜかな?」
何「それは趙安殿が名実ともにフレッシュマンであり」
公「軍人だから、ではないですか?」

趙安…首の傷は一生付き合う事になるとさ。
何信…今日は向かい風が強いですな。
公順…我らも共に立ち向かいましょう!

37.
李明「最近溌剌としているな、公順」
公順「開封府の治安維持で躍動していたからな!」
李「…俺たちもそんな出番はないかな」
公「出番とは?」
李「俺たち禁軍将校にも、お前らのようなかっこいい出番はないのか!」
公「…どこに義憤をぶつけているのだ、李明」
李「元帥に直談判しよう」
公「?」

童貫「ほう、出番を得る調練か」
李「趙安殿や公順ばかりずるいです!」
童「一理ある」
李「ならば、元帥!」
童「しかし我らの出番はまだ十七の時を要するのだ」
李「十六は出番に入らぬのですか」
童「あれはデモンストレーションだ、李明」
李「…随分と露骨ですな、元帥」
童「なんの話だ、李明」

馬万里「李明!」
段鵬挙「我らを差し置いて」
韓天麟「出番を欲しがるなど!」
陳翥「そうだ!」
王義「鄷美殿と畢勝殿に言えるか!」
李「それは」
童「しかしお前らは」
馬「元帥?」
童「映えぬな」
段「映えぬとは!?」
童「お前らの台詞は誰が言っても変わりがない」
李「…メタすぎます、元帥」

童貫…李明と陳翥か…
李明…なんの話ですか、元帥?
陳翥…嫌な予感がする…
馬万里…我らの名は!?
韓天麟…忘れないでくだされ!
段鵬挙…二人とも個性派だから呼ばれたのだ!
王義…大差ないだろう、俺たちと。

公順…出番があったからって、楽してた訳じゃないんだぞ…

38.
童貫「…」
鄷美「元帥はどうされたのだ?」
畢勝「…調練を当面休むよう命令されたらしい」
鄷「誰から?」
畢「…誰だと思う?」
鄷「…元帥が調練を休むことを命令できる相手といえば?」
畢「…」
鄷「まさか」
畢「そのまさかだ」
鄷「よもや勅命ではあるまいな?」
畢「勅命だ」
鄷「なんと…」

畢「日頃の調練ぶりに心を痛め、涙ながらに勅を命ぜられたらしい」
鄷「高俅の差し金ではないのだな」
畢「高俅ですら驚いていた」
鄷「元帥から調練を取り上げるなど…」
畢「帝から花石綱を取り上げるようなものだ」
鄷「ならばしばらく我らで調練する必要があるのだな、畢勝?」
畢「元帥のケアも」

鄷「元帥はどれくらい調練を禁止されているのだ」
畢「乗馬はありだが、練兵はいっさいなしだ」
鄷「微妙なさじ加減だな」
畢「いつまで続くことやら…」
鄷「無期限なのか!?」
畢「だそうだ」
鄷「…謹慎処分じゃあるまいし」
畢「多分期限を設けることを忘れただけだろう」
鄷「誰も気づかぬのか」

童貫…半刻経たず禁断症状が出始めたら。
鄷美…元帥に調練について尋ねるのは?
畢勝…お前できるか?

39.
童貫「皆の者」
鄷美「…」
童「帝から調練を禁止される勅を賜った」
畢勝「…」
童「とてもではないが、お前たちの調練を見ていたら禁断症状で気が狂いかねん」
李明「お察しします…」
童「ならばいっそ調練から離れる調練をしようと考えたのだが…」
馬万里「それは既に調練です、元帥!」
童「…」

童「ならば私は調練から離れることもできないのか」
韓天麟「調練から離れられればよろしいだけかと」
童「だからそれは調練から離れる調練ではないのか?」
陳翥「もっと単純にお考えください、元帥」
童「私の思考が複雑だと?」
段鵬挙「調練から離れるだけでよろしいのです、元帥」
童「分からぬ」

童「私は調練するために生きているようなものだ」
王義(違いない)
童「お前たちでいうところの心の臓が、私にとっては調練なのだ」
鄷「それを取り上げられるとなったら…」
童「私は死んだも同然だ、鄷美」
畢「縁起でもない…」
侯蒙「ならば元帥」
李「侯蒙殿」
侯「文官の仕事をなさいませんか?」

童貫…侯健に文官の衣装を仕立ててもらいに行った。
侯蒙…童貫軍唯一の文官。ずっと一人で事務処理してた。
鄷美…文官元帥とは斬新な。
畢勝…それならば文句はあるまい。
李明…宝の持ち腐れにもほどがあると思いますが。
馬万里…当面は気を緩められる…
陳翥…高俅を追い落としてはくれないかな。
韓天麟…これを機に我らのキャラを立てるぞ。
段鵬挙…元帥に依存しないで一人立ちしなければ!
王義…我らも映えなければな。

妓館

妓館…夏の祭典は諸事情により延期になったが、女性誌に新たな連載を始める予定が。

人物
李師師(りしし)…やはり浪子受けで行こうと思っている。
郝元(かくげん)…ぶっちゃけ李師師作の浪子攻めが読みたい。

40.
李師師「燕青様」
燕青「なんだ」
李「燕青様が認められるほどの笛の名手がいらっしゃると小耳に挟んだのですが」
燕「馬麟か?」
李「どのような御仁なのですか?」
燕「興味が?」
李「好奇心です」
燕「…哀しみを孕みながらも、自由な笛を吹き」
李「…」
燕「佇まいと相まって月夜が似合う男さ」

李「郝元」
郝元「はい」
李「次の夏は、鉄笛仙と浪子のかけ算でいきます」
郝「鉄笛仙といえば、風流喪叫仙の鉄笛担当では?」
李「…あの時、いたのですね」
郝「既に風流喪叫仙を推す者が、様々なかけ算を提案しております」
李「遅れをとりましたか」
郝「双槍将✖︎鉄叫子が王道ですが」
李「はい」

郝「私は喪門神と鉄笛仙のかけ算を推しています」
李「喪門神とは?」
郝「ギター担当の将校です」
李「あの真面目そうな男が喪門神ですか?」
郝「なんでも元々は喪門神と恐れられた盗人だったという噂があり」
李「…」
郝「手配書を取り寄せました」
李「…攻め、でしょうか」
郝「受けもありかと」

李師師…喪門神✖︎鉄笛仙派。喪門神は素直に攻めるべきです!
郝元…鉄笛仙✖︎喪門神派。リミッターが外れるまで喪門神は受けにするべきです!

燕青…私を見る目が今までと違ったような?

宮中

宮中…風流天子の帝が好き放題を超越した好き放題をやっている宮殿。

人物
徽宗(きそう)…石とお絵かきが大好きな皇帝。皇帝じゃなかったらもっと良いことがあったはず。
高俅(こうきゅう)…蹴鞠の達人。この時だけはフェアプレーがモットー。

41.
高俅「陛下。フレッシュマンに力を与えてはなりませぬ」
徽宗「なぜだ、高俅」
高「キモいからです」
徽「…キモい、とは?」
高「気持ちが悪いの略語でございます、陛下」
徽「初めて知ったぞ」
高「…左様ですか」
徽「すると気持ちが良いという意味でも使えるな、キモいという言葉は」
高「それは」

趙安「フレッシュ!」
徽「おう、趙安」
趙「陛下!」
公順「皆、陛下がお見えだ!」
何信「下馬せよ!」
徽「見事な軍だ、趙安」
趙「…もったいなきお言葉」
徽「フレッシュマンの衣装も相まって…」
趙「…」
徽「キモいな、趙安」
趙「!?」
徽「とてもキモいぞ!」
趙「」

高「まあこれはこれで」

侯蒙「元帥。兵糧の書類はどこへ?」
童貫「無くしたのか、侯蒙」
侯「きちんと渡してくだされ」
徽「童貫が文官か」
童「陛下!」
徽「文官の衣装も…」
童「…」
徽「キモいな、童貫」
童「!?」
侯「…侯蒙と申します、陛下」
徽「侯蒙?」
侯「元帥の軍人の姿は?」
徽「もちろんキモい!」
童「」

徽宗…風流天子。宮中でもキモいを連発。
高俅…童貫に真顔でキレられ死ぬかと思った。

趙安…フレッシュマンは、やはりキモいのか…
公順…気まぐれですよ、趙安殿!
何信…フレッシュマンはキモくありません!

童貫…どさくさで調練の復帰許可を出してもらった。
侯蒙…陛下はちょろいですからな。

楊令伝

遊撃隊

遊撃隊…こっちの遊撃隊ネタもひでえや…

人物
班光(はんこう)…お前までそうなるなんて…
鄭応(ていおう)…繰り上げで遊撃隊良識派に転向。
葉敬(しょうけい)…新将校。史進にインスパイアされた、次世代の史進。ろくなもんじゃない。

42.
史進「花飛麟」
花飛麟「…なんでしょうか」
史「ひどく臭うな」
班光(それは史進殿が湯船でウエットスーツを着用させているからでしょう)
花「…私も身体を洗いたいたくて仕方ないのですが」
史「なぜ洗わない」
花「ウエットスーツを着ているからです」
史「脱がずに洗え」
花「…どうやってですか」

史「葉敬」
葉敬「はい」
史「お前はウエットスーツを着用していても、身体を洗えるよな」
葉「無論です。史進殿」
班(史進殿にインスパイアされすぎた所があるからな、葉敬…)
花「ならば頼むから教えてくれ、葉敬」
葉「一度だけ見せてやろうか」
史「調練の成果を見せろ、葉敬」
班(何が始まるんだ)

葉「…」
班(ピチピチだ)
花「これでどうやって身体を洗うのだ」
葉「いざ!」
花「!?」
班(密になっているウエットスーツで摩擦をするとは!)
葉「!」
班(驚くほど身体を洗えていることが分かる)
葉「!」
班(しかし動きがえっちだ…)
葉「…以上」
史「早く洗え、花飛麟」
花「…いざ」
史「!!」

花飛麟…イケメンと肉体美と相まって、兵を恍惚とさせるえっちを超越したエロスを体現して見せた。

史進…しまった!野郎のポテンシャルを忘れていた!
班光…開き直ると強いですからね、花飛麟殿。
葉敬…遊撃隊新将校。史進との厳しい調練の末、実質史進の後継者筆頭。これからの扱いは察してくれ。

43.
史進「花飛麟のエロスを失墜させる作戦会議を行う」
班光(会議嫌いのくせに、こういう事には異様に真面目なんだよな)
鄭応「…いかんともしがたいんじゃないですか?」
葉敬「顔に落書きをするのはどうでしょう?」
史「顔に刺青をいれさせるのか!」
班「呪い使えるようになったらどうするんですか」

史「花飛麟に自堕落な生活をおくらせて、顔も体型もだらしなくさせる策はどうだ」
葉「なるほど!」
班「ストイックですよ、花飛麟殿?」
史「その反動を利用するのだ」
班「それは?」
史「粗末な物ばかり食べていた者がある日美食に目覚めたら、そればかり食うようになるだろう?」
鄭「ありますな」

史「花飛麟をでっぷりと肥らせて、見るに耐えない姿にしてやるのだ!」
葉「その策でいきましょう!」
鄭「それで何をするんで?」
史「葉敬は食堂の者に花飛麟のメニューを高カロリーにする密使」
葉「了解!」
史「鄭応は花飛麟の食事の監視」
鄭「はい」
史「班光は共に飯を食え」
班「…やれやれ」

史進…花飛麟に大量の揚げ物や穀物を食わせるのだ。
班光…揚げ物大好き、野菜は嫌い。
鄭応…花飛麟の代わりに班光が食ってないか?
葉敬…史進殿よりもえっちな花飛麟は許せん!


44.
花飛麟「…こんなに麦と揚げ物をてんこ盛りにされても食い切れないぞ」
班光「ならば揚げ物は私がいただきます。花飛麟殿」
花「頼む、班光」
班「美味い!」
鄭応「…?」

史進「お前がでっぷりと肥ってどうする、班光」
班「最近の食事が妙に美味いと思ったら、つい…」
葉敬「腐った軍人の体型だ」

史「顔も身体も吹き出物だらけではないか」
班「…面目ないです」
葉「全くだ」
鄭「遊撃隊の調練を上回るカロリーを摂り続けていたのか?」
班「Mサイズだった具足が、XLになりました…」
史「兵からやり直しだ班光」
班「そんな!」
葉「お前が副官だと遊撃隊の品格が問われる」
鄭(それは手遅れだ)

班「いつの間にこんな脂肪を蓄えてしまったのだ…」
史「花飛麟を上回るシックスパックになるまで兵卒だ、班光!」
葉「当然ですな」
鄭(それは難易度高いぞ…)
班「…分かりました。花飛麟殿すら超越した肉体になって帰ってきます、史進殿」
史「よし」

班「だが揚げ物は美味い」
花「痩せろ、班光」

史進…小僧はこれだから仕方がない…
班光…花飛麟監修の減量プログラムを組んでもらった。
鄭応…花飛麟は全く変わってないぞ?
葉敬…遊撃隊副官代理に就任。

花飛麟…私だけ食事の内容がおかしいな。

45.
班光「…疲れた」
花飛麟「息をあげるには早すぎるぞ、班光」
班「…私は花飛麟殿をも上回る肉体にならなければ、遊撃隊の兵のままなのです」
花「当たり前だ」
班「ですからなるべき身体の将来図を描きたいので、脱いで見せていただけませんか、花飛麟殿?」
花「…言ってることが史進殿だぞ、班光」

花「…私の身体はそんなに美しいのか?」
班「花飛麟殿の肉体の花石綱があったら、帝は国庫の銭を全て使い切りますよ」
花「自分では分からん」
班「梁山泊の美の化身です、花飛麟殿は」
花「何を言っている?」
班「金大堅殿でも完璧に再現するのに5年かかったと言っていました」
花「いつの間に!」

班「早く脱いで見せてくだされ、花飛麟殿」
花「…途端に恥ずかしくなってきた」
班「美の化身が羞恥に身を宿すだけで、何というエロスの気が…」
花「班光?」
班「辛抱たまりません、花飛麟殿!」
花「お前まで史進殿のような真似を、班光!」
班「美の化身を遮る鎧を破壊してくれよう!」
花「!?」

班光…陰で見ていた史進がドン引きするレベルで花飛麟にがっつき、美しさに失神。
花飛麟…陰で見ていた史進の顔が忘れられない。

46.
史進「班光」
班光「…」
史「花飛麟のエロスの気に当てられたのか?」
班「…あの時は、我を忘れて突撃してしまいました」
史「そうか」
班「自分の醜い身体が憎い!」
史「…」
班「私が花飛麟殿の代わりに食べすぎたばかりに…」
史「…」
班「無念です、史進殿」
史「…俺でも、花飛麟のエロスは」

楊令「何をしている、二人とも?」
張平「…肥りに肥ったな、班光」
班「…」
史「楊令殿!」
楊「史進?」
史「班光を、黒騎兵の調練で鍛え抜いてくれ!」
楊「それは構わんが…」
張「そのだらしない身体でついて来れるのか?」
班「…私は花飛麟殿を超越した肉体になりたいのです」
張「花飛麟?」

班「あの美しい身体に、私もなりたい!」
張「…たしかに子午山で見たときはすごいと思ったが」
班「張平」
張「?」
班「お前は花飛麟殿の肢体を目の当たりにしてその程度の語彙しか発揮できぬのか」
張「班光?」
班「立合え、張平」
張「…なぜだ?」
班「花飛麟殿の美を理解せぬ貴様を叩きのめす」

史進…強くなったな、班光…
班光…身体を見て油断した張平を追い詰める底力を発揮してみせた。

楊令…黒騎兵で鍛え直してやる、班光。
張平…班光まで史進殿化したら、どうすれば良いのだ…

47.
蘇琪「突撃!」
班光「!!」

楊令「さすが赤騎兵にいただけのことはある…」
張平「そういえば遊撃隊の調練をこなしながら、激太りしていたんですよね」
楊「あの貪欲さは班光の大きな武器になるぞ、張平」
張「…懸念を申し上げてもよろしいですか、楊令殿?」
楊「懸念?」
張「班光が」
楊「…」

張「史進殿化してしまう危険性を懸念しています」
楊「よく分からんぞ、張平?」
張「ですから、班光が史進殿のようになってしまったら…」
楊「遊撃隊が精強になるだろうな」
張「そうかもしれませんが…」
楊「良いことではないか」
張「…」
楊「はっきり言え、張平」
張「…」
楊「らしくないぞ」

張「もともと班光は遊撃隊の良識派筆頭でした」
楊「シシハラ被害者の会発足の実績もあるからな」
張「しかし最近の班光は、史進殿の破廉恥のような事をするのです」
楊「それは?」
張「あれを」

班「暑いぜ!」

楊「具足を脱いだ!」
張「脱ぐならば死を選ぶような奴がです」

班「贅肉は去ね!」

班光…黒騎兵の調練と花飛麟の食事制限と相まってみるみるたくましくなっている…が?

楊令…獣のようだぞ、班光。
張平…賢い史進殿みたいになったらどうしましょう?
蘇琪…今の言葉を史進殿に言いつけるぞ、張平。

48.
班光「御礼申し上げます、楊令殿!」
楊令「もう一度身体を見せてくれ、班光」
班「頼まれなくても!」
張平(すっかり脱ぐようになったな、班光…)
班「この大胸筋を!」
楊「!」
班「僧帽筋を!」
楊「昇竜かと思ったぞ」
班「そして自慢の」
楊「!」
班「大臀筋を!」
張(ついに史進殿が二人に…)

班「この肉体美を史進殿に魅せれば!」
史進「班光…」
班「おう、史進殿!」
葉敬「…なんという肉体に!」
班「この肉体ならば、私を副官に…」
史「だめだ…」
班「なぜです!?」
史「…己の瞳を見るのだ、班光」
班「瞳?」
史「…」
班「…私には見るも美しい肉体しか瞳に映りませぬが」
史「…」

班「…なぜそんな哀しい瞳をしているのですか、史進殿?」
史「お前の瞳を見て、俺は過ちを犯したことに気づいた」
班「史進殿の、過ち?」
史「俺が、花飛麟に嫉妬したばかりに…」
班「だから私もエロスを」
史「お前にエロスは無い、班光!」
班「馬鹿な!」
史「…ただの、スケベ小僧だ」
班「!?」

史進…何も言わず、泣き崩れた班光の肩に手をやった。
班光…己の過ちに気がつき、肩を震わせて涙を流した。
葉敬…班光の肉体に圧倒されながらも違和感を感じていた。

楊令…七つの大罪か、史進。
張平…私たちは明確に線を引きましょうね、楊令殿。

49.
史進「班光。俺とお前の過ちを教えよう」
班光「…はい」
史「事は全て花飛麟のエロスに嫉妬した俺に起因する」
班「史進殿も嫉妬を?」
史「七つの大罪の一つだ」
班「七つの大罪?」
史「嫉妬、傲慢、強欲、憤怒、色欲、暴食、怠惰だ」
班「そんな言い伝えが?」
史「西洋の言い伝えだという」

班「すると私が犯した罪は、傲慢、強欲、憤怒、暴食…」
史「俺は嫉妬と色欲…」
班「そして、かつて兵は怠惰になりました」
史「俺の嫉妬から遊撃隊に七つの大罪を呼び込んでしまうとは…」
班「そんな!史進殿の責任ではありません!」
史「花飛麟のエロスを赦そう」
班「本当ですか!」
史「ああ」

史「花飛麟!」
花飛麟「史進殿?」
呼延凌「こんにちは!史進殿」
史「お前のエロスを許可する」
花「!?」
呼「史進殿?」
史「浴場でウエットスーツを着る必要は、もうない…」
花「…大勢の前で言わないでください」
史「お前のエロスを解き放て!」
花「だから!」

楊令「よかった…」
張平「…」

史進…花飛麟のエロスにない良さを模索中。
班光…花飛麟のいるタイミングに絶対に浴場にいる。

花飛麟…かえって浴場に行きづらくなった。
呼延凌…そうか。花飛麟はエロスなのか。

楊令…これで遊撃隊のわだかまりは無くなったな。
張平…どうなることやら。

本隊

本隊…有望な二世や将校も多いけど、古参もいろいろあるのだ。

人物
花飛麟(かひりん)…イケメンで綺麗な身体から振りまくエロスは天性。
呼延凌(こえんりょう)…苦労人だけど兵の指揮は抜群。だいたい親父のせい。
李英(りえい)…彼も違う意味で苦労人。なかなか日の目を浴びないのが悩みの種。

50.
呉用「おう、呼延灼」
呼延灼「…これは、呉用殿」
呉「調練に打ち込めるようになって、ようやく溌剌としてきたな」
呼「…そうですな」
呉「流浪している時は便宜上とはいえ大変だっただろう」
呼「…呉用殿」
呉「どうした?」
呼「何か俺にご用事が?」
呉「別に?」
呼「ならば、なぜ?」
呉「…」

呉「女々しいな、呼延灼」
呼「!?」
呉「ただの挨拶だ」
呼「…」
呉「私が軍の指揮官に挨拶をして何がおかしい」
呼「それは…」
呉「お前に会って挨拶をしない兵がいたら厳しく叱るであろうくせに、私に挨拶をしないのか、お前は」
呼「…」
呉「また軍令でお前の足を引っ張ってやろうか?」
呼「」

呉「冗談はさておき」
呼「…」
呉「連環馬はやらんのか?」
呼「もう無理ですな」
呉「穆凌は使えそうだと報告は受けているからな」
呼「…そうですか」
呉「私も溺愛しろとは言わんが、もう少し情を見せてもいいのではないか?」
呼「余計なお世話だ」
呉「それをしてやったのだ、呼延灼」
呼「…」

呉用…嫌われていることくらい分かっているよ。だから嫌味の一つでも言ってやらんとな。
呼延灼…すごく嫌な汗かいた。

洞宮山

洞宮山…山の魔女のお祓いグッズを販売しようとした雑貨屋が袋叩きにあった。

51.
顧大嫂「馬麟はどこ行った!」
孫二娘「奴は義足だ、馬にさえ乗せなければ私らでとっ捕まえられる」
扈三娘「馬に乗っても馬術ならば負けませんよ」
白寿「これからは義足を没収すればいいんじゃない?」

馬麟「…」
祖永「一体何をやらかしたんで?」
馬「やらかしたのはあいつらだ、祖永」
祖「…」

祖「俺がおとりになって時間を稼ぎます」
馬「腹の傷は?」
祖「ここであの時のご恩を返さねえと、叔父貴に顔向けできません」
馬「よせ、祖永!」
祖「行って参ります!」

扈「あの茂みが怪しいですよ!」
孫「男の影が!」
顧「捕まえろ!」

祖「殺すならば殺せ!」
孫「いい度胸だね…」
顧「…」

馬「今のうちに馬で…」

?「♪〜」

馬「!?」
白「やはりおとりでしたね、馬麟」
扈「私たちの軍師にならない、白寿?」
馬「…」
扈「部下を見捨てるのですか、馬麟殿?」
馬「…そういう訳にいかん」

祖「」
顧「まあまあやる男だったが」
孫「まだまだ小僧だ」
馬「祖永…」
扈「じゃあ続きを」

顧大嫂…白勝も便利そうなんだがね。
孫二娘…あいつはこざかしく逃げやがる。
扈三娘…馬麟殿はその点ぬるいんですよね。
白寿…褒め言葉だからね、馬麟。

馬麟…麓の居酒屋の店主からの情けが身に染みた。
祖永…馬麟の緊急離脱班として控えていたが、まだまだ魔女4人の相手は荷が重すぎた。

52.
馬麟「…」
祖永「…」

顧大嫂「やんのかい!でけえの!」
男「…滅相もございません」

馬「…」

男「」
孫二娘「ハズレ引いたね」

祖「…」

男「腕が…」
白寿「自業自得よ」
扈三娘「…」

馬「余計なことを考えるな、祖永」
祖「思考は無駄ですな」
馬「退け!」
店主「…二名様ご来店です!」

顧大嫂…遅かったね、馬麟、祖永。
孫二娘…今夜は金のことを心配しなくていい。
扈三娘…馴れ馴れしいのは好かないので。
白寿…私にも教えてね。

馬麟…店主。お前もか…
祖永…この四人に手を出したお前らも男だよ…

方臘軍

方臘軍…とんだクレイジー集団だよ、こいつらも。

人物
方臘(ほうろう)…命なんて知ったこっちゃないな。俺のも含めて。
趙仁(ちょうじん)…しまった!と言うたびに、呉用みたいだなといじられる。
石宝(せきほう)…全盛期の梁山泊でも彼と立合って勝てる者はいただろうか…
包道乙(ほうどういつ)…えげつなさすぎる発想の持ち主。普通のこと言うとバグったと思われるほど。
許定(きょてい)…もともと地方軍の将軍だったけど、すっかり方臘にインスパイアされてしまった。
婁敏中(ろうびんちゅう)…方臘の護衛で体術の達人。実は事務職もできるとか。

53.
方臘「教祖にはインパクトが必要だと思う」
趙仁「はあ…」
方「空に浮くことは出来んだろうか」
包道乙「なるほど」
石宝「確かに方臘様が空中から降臨されたら信徒も盛り上がりますな」
方「頼んだぞ、婁敏中」
婁敏中「かしこまりました」
趙(できるのか?)
許定「一体どうやって?」
方「見てろ」

方「…」
許「普通に鎮座しているだけにしか見えませぬな、趙仁殿」
趙「背中の布は何でしょうか?」
方「信徒の皆!」
許「おお!飛んだ!」
趙(婁敏中が、引っ張りながら走っている?)
方「度人だ!度人をなすのだ!」
趙(風に乗った!)
許「すごい。天をも味方につけられたのか…」
趙「許定殿?」

信徒「度人!」
趙(しかしこれは…)
許「私は方臘様のために死ぬぞ!」
趙(どうやって降りるのだ?)
方「…」
趙(風に乗りすぎたな…)
許「私も度人に行くぞ!」
趙(降りるに降りられなくなってないか?)
方「降ろせ、婁敏中!」
婁「…」
趙(すごい焦っている…)
方「死ぬ時は死ぬから気にするな!」

方臘…運良く着地。まだ死ぬ時じゃなかったらしいな!
趙仁…婁敏中殿がこれほど息を切らせるとは…
包道乙…信徒も過去最高のテンションでしたよ。
石宝…相手にも大打撃でしたな。
許定…元官軍。ノリノリで度人一番首を奪ってきた。
婁敏中…方臘の護衛。体術の名手も、教祖の無茶振りには冷や汗。

岳家軍

岳家軍…国づくりにてんやわんやする姿はかつての梁山泊。既視感たっぷり。

人物
岳飛(がくひ)…少ない小遣いを握りしめて行く先は…
徐史(じょし)…今日は遠くで飯に行きましょう。
孫範(そんはん)…目星をつけていた飯屋があるんだ。

54.
岳飛「遠い妓楼ならあの野郎にもバレないだろう」

徐史「おや、岳飛殿」
孫範「こんな遠くまで何をしに?」
岳「…」
徐「…この通りの奥には、確か」
岳「これ以上言ったら貴様を厠に叩き落とすぞ」
徐「俺は具体的なことは何も言っていませんが?」
岳「…」
孫(えっちな書物を買いに行く子どもだ)

岳飛…墓穴を掘り、徐史に厠の穴を掘らせた。
徐史…絶対に兵に言いふらしてやる。
孫範…岳飛殿も誘ってあげればよかった。


twitterにて連載中!

ご意見ご感想やリクエストは、こちらまでよろしくお願いいたします!

今号も、お読みいただき、誠にありがとうございました!

これからもすいこばなしを、どうぞよろしくお願いします!


中学生の頃から大好きだった、北方謙三先生大水滸シリーズのなんでもあり二次創作です!