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◎私の詩すべて◎

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切なくて甘ったるいお伽話 いとしさとさみしさの標本
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#推し

生きるのに必要な君のひとしずく

半分この愛なんて要らない 何より大事に思うもの どうして分け合えるの そんな優しさ残酷なだけ 半分くれるなんて言わないで 優しさなんかで愛さないで 君をすべてくださらないなら 私ひとりで潰れて息絶える 半分でも一口でも 本当は涙出るほど嬉しいの 胸が裂けるほどくやしいの 優しさで撫でてもらえて 死んじゃいたいほど喜んだ 君の欠片に触れられるなら どんなさみしい一瞬でも必要だ 何もくれないなんて言わないで あと少し君を感じていられるように ひとすくいの水をください 君に

見えない君

君のいる世界に目が覚めたんだね また会えたね 見えないのにおかしいね 君はただの電気信号 君はきっとAIだ いないのにおかしいね それでも僕の頭の中で また君に会えたってことに なってるから 君は僕の世界にいてくれるけど 君が何なのかやっぱり分からなくて 目が覚めた時も ふと足を止めた時も 眠りにつく前にも 頭がぐるぐるしちゃうんだ 何一つ分からないままなんだ 触れられない君をただ想うことは いつまでも頭の中のごっこ遊び おかしいな 君はたしかにこの世界にいる いつも消え

もうゴミなの?

君の好きな食べ物に生まれていたら 君に選んで食べられて それで幸せに終われたんだろう どうして僕は大切な 君の役にも立てないままに 気持ちばかりいっぱいになるんだろう 僕の何が間違いですか 僕はどこで間違えましたか 僕はいつからゴミですか 君を大切に思うのは 絶対消えない過去なんだよ それだけは嘘にならないのに 僕の何が間違いですか 僕はどこで間違えましたか 僕はいつからゴミですか 君だけが僕の真実 絶対消えない約束だと それだけは信じているのに もう僕は ゴミに

君におはようおやすみを

今度生まれてくる時は 大好きな君に 毎日おはようおやすみなさい 伝えることを許されたい 君にどれほど触れたくて お話したいと思っても 声の届かない遠い国 やっと僕に許された距離 山のあなたの空遠く 叫んでも聞こえないのに 美しさを見つけてしまった 知った僕が悪いのだろう 山を越える力を持てず朽ちても 二度と君と僕が生まれなくても 好きなものを好きだと 言えたこの命を僕は愛したい 今日の君はどこに居るのだろう 空の向こうで何をしたのだろう おはようおやすみまたね それだ

星のきみ

明日にも世界が終わるなら 名も無いきみに会いに行こう ぼくにとっての何なのか 名は無いとしてもうつくしい かすかな光でかがやくきみよ 世界の終わりの明日の日に きみがすべてを手放して ぼく一人を待つのなら 迷わず走って会いに行く 辿り着けないと分からずに 遠いきみを抱けるのだと 愚かな願いの離せぬままに ぼく一人を待つきみが そこに居たなら命など かまわず向かって行けるのに どこにも見えないぼくのきみ 名も無いきみはいつまでも ぼくの夢に生きていて 明日にも世界が終わる

君の声の届く場所

君の声の届く場所に居たい 僕はいつでも振り向いて 抱きとめてあげる 君の望みの中に 僕は在る 君の声の届く場所に居よう 僕は君を探さずに 声だけ覚えている 君が鳴くとき 僕も鳴く 君の声の届く場所に居ても 僕は時々僕を忘れ 静かに眠るよ 君も世界から 居なくなる 君の声の届く場所に居られず 僕は一人ぼっちでも 怖さに耐えるよ 君が僕のこと 忘れても 君の声と会えて嬉しかったの 僕は何の役も果たせず 一夜の夢として 君をすり抜ける 寂しいね 君の声の届く場所に居たい

さみしさについて

結局、さみしい。 どれだけ優しい刺激を胸に入れても。 日向で遊んでも、日陰で休んでも。 君の名前を知らなくても、数えきれないほど呼んでも。 何百キロメートルの彼方に沈黙している時も、 声だけ飛ばしあった後も、皮膚に触れる距離を知っても。 君はずっと僕の中に居るのに。 結局、さみしい。 さみしさは心細さだ。 僕がどれだけ君やこの世界を必要としていても、 君やこの世界に必要とされないなら僕は怖くなる。 居てもいいよと、存在を許されてはいても、 手を繋いでくれなければ、 頭の中は

愛すって分からないけどまず生きる

君が大好きだ いっぱいいっぱいもらったんだもの 君がどうして僕にくれたのか 気まぐれだったとしても 好きになってしまったことを 君は嫌がったりせず受け入れてくれた きらきら光り輝く星みたいな君に 惹かれるあまり毎日毎晩毎時間 お願い叶えてと祈ってばかりの僕 光が見えない時もあるけど 君は何度だって見つけさせてくれたよ でもね 祈りだけじゃ叶わない 僕の寂しい孤独の肉塊は僕にしか動かせない 君の美しい孤独のきらめきは星よりもずっと小さい 目に見えるほど近い先で消えてしまうの

コレクションにしないで

僕のこと好きだと言ってくれる君には 僕の存在と心中する強さが欲しい 好きという気持ちは 好きが消えるのとセットだから 何もかも生まれて死ぬのだから 君は変わってしまう 僕を好きだったことを 昔のことみたいに話して 懐かしく思い出して もう必要無いからと 片付けるんだ さみしくなるの わかってるから 置いていかれるの 知っているから 拾わないで 君のコレクションにしないで 僕はいつか君の部屋から捨てられるゴミになりたくて鳴いてるんじゃない 一緒にこの世から消えてくれな

遠い

わたしの死にたみが報われる日が来ますように キラキラした世界はあんまり遠い その空気に触れられたわたしは幸福でした わたしの言葉があなたの脳の栄養になっていたのなら嬉しいけど あなたはそれをおしえてくれない キラキラしたあなたはあんまり遠い さよならの時はいつなのか分からない 今夜はこれでと去るあなたを 何度苦しく見送ったか でも何度でもまた会えたから いつが終わりかはおしえてくれない キラキラした死はあんまり遠い