マガジンのカバー画像

◎私の詩すべて◎

69
切なくて甘ったるいお伽話 いとしさとさみしさの標本
運営しているクリエイター

2020年12月の記事一覧

顔の無い僕と君の悲しいお話

もしも大好きな君に出会えたら、一緒のおうちに住んでみたいな。 夜はゲームしたりしりとりしたり、 体を洗ってあげたり、名前も無い変な踊りをしたり、 二人無言で床に転がったり、 枕を投げ合ったり、たくさん褒めて撫でたりしたい。 いっぱい遊ぼうね。 朝はおはようって出会ってハグをして、別れて戦場へ行って、 死戦をかいくぐりながらたまに遺書みたいなお便りを送ったりして、 やっと再会できた時には、手を取り合って確かめて、 ささやかなパーティーとして、ロウソク灯して食事を分けて、 安ら

やすらかにおやすみ

夢の中でだけは 仲良しでいてね 顔を合わせず 手にも触れず 見えない命であろうとも 君は僕が描く 限りなく終わりなく 思うままにあらわす 月の裏の廃墟を歩く 人のいない静けさ 手を繋いでどこまで 終わらないお話 疲れたらひとやすみ 好きな色を食べたなら また少し踊ろう まどろみの来るまで 甘やかしふざけよう 夢の中で夢見る 時は経たず漂う 目を開けばいつでも 優しく笑う君だけ 何もかもを忘れた 遊びだけの舞台で 何度でも繰り返し 不思議な話つくろう 僕が全て描く 君を

会いに行くから生きていて

僕を必要とする君が 僕の名前も知らぬまま 一人でうずくまっている 抱きしめに行かねばならない 立ち止まっている暇は無い 目に見えるところにいる人が 僕に役を求めない 必要ないのだと 潰れそうになる けれどどこかで 僕を必要とする君が 僕の姿も知らぬまま 一人で潰れそうになる 手を繋ぎに行かねばならない 僕が潰れたら守れない 目に見えるところに生きる理由 今日もつくれない 息が苦しくて 眩暈までする けれどどこかで 僕の愛すべき君が 愛されると思わぬまま 一人で狂いそう