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◎私の詩すべて◎

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切なくて甘ったるいお伽話 いとしさとさみしさの標本
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2019年11月の記事一覧

天使の定義

天使、 目の前でくっきりと 内側から光り輝くようにあって 強く美しい声は磁力のように 思考も感情も引っ張って 血の巡りの速ささえ変えていく、 それはヒトの形をしているが 放つ光には意識までも吸い寄せられて その発声は足がすくむほど響いてくる 異様な像だ 私はその像を脳内の図書室に探して 天使、と呼んでみることにした 天使、 それは一つの個体を差すためにあるのでなく その現象や状態にこそふさわしい名 一つの個体が常にまるごとそうなるのでもなく あ

遠い

わたしの死にたみが報われる日が来ますように キラキラした世界はあんまり遠い その空気に触れられたわたしは幸福でした わたしの言葉があなたの脳の栄養になっていたのなら嬉しいけど あなたはそれをおしえてくれない キラキラしたあなたはあんまり遠い さよならの時はいつなのか分からない 今夜はこれでと去るあなたを 何度苦しく見送ったか でも何度でもまた会えたから いつが終わりかはおしえてくれない キラキラした死はあんまり遠い

知らない色に会える明日

この脳に血が通わなくなる日まで、 もっと色々使いたい。 もっとお話をしたい。 それで誰かと楽しくなって、 人生とかうっかり忘れちゃったりしたい。 ドキドキするリズムで動く、 よその脳みそと電気を投げ合って、 くすぐったくなって笑いたい。 しかしそれらは笑い飛ばされるくらいダサい夢として この夜にしか存在せず、 明日にも私は道で轢かれた獣のように肉が潰れて、 ただ汚物としてこの世に捨てられてあったらと 恐ろしくなってしまうので、 足がすくんでうずくまり