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百卑呂シ言行録

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日常を切り出して再構築したもの。
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#3行日記

うさぎとMacBook(2024/03/10)

 まともに休める休日は久し振りだから、珈琲を飲みながらベランダでうさぎと遊んだ。  このうさぎは、元々の気性の荒さに近頃いよいよ磨きがかかったようで、普通に餌をやっているのに噛みついてきたりする。随分油断がならないから、用心しながら頭を撫でてやった。  撫でられるのは好きなようで、そうすると頭を下げてじっとする。やめると、もっとやれとばかりに鼻でつついてくる。  そうしていたら娘が出てきて、うさぎの耳の間をわしゃわしゃと撫で始めた。 「この子はこうするのが好きなんだよ。お父さ

土手を歩いて眼科へ行った(2024/03/02)

 網膜剥離の経過観察のため、土手を歩いて眼科へ行った。天気が良いから歩いていても気分が良い。  眼科はいつも混んでいるが、今日は存外空いていた。これなら早く終わるかも知らんと思いながらゆったり座って待っていたら、受付から「飛蚊症が急に増えたんです」と聞こえてきた。  どうやら同年代の女性である。きっと自分と同じことになっているのだろう。不安げな様子を見て、何だか急に、一段上に立ったような心持ちになった。  その人が隣に座ったから「同じですよ」と言いたくなったけれど、「え、そ

溺れる子供(2024/02/24)

 午前中に眼科へ行った。随分混んでおりまた遅くなるかと思ったが、経過は幸い順調で、写真を撮るだけで昼前には終わった。  昼間に少しうさぎと遊び、その間はぽかぽかしていたのだけれど、夕方になると段々寒くなったから、久し振りにスーパー銭湯へ行くことにした。このところ、休みの日は夜まで家で仕事をしているか安静にしているかだったから、久しく銭湯へも行っていなかったのである。  銭湯は存外混んでいた。  ジェットバスに浸かってから露天岩風呂に入り、外の壺風呂でのんびりするのがいつもの

夜、庄司君、狐(2024/02/19)

 パスタ屋店員だった社会人一年目に、冬のボーナスでゲーム機を買った。  それで格闘ゲームをやり出したら随分はまり、終わるタイミングが掴めないままとうとう徹夜をした。  ちょっと不安だったけれど、大学時代には徹夜で遊んでいたのだから仕事だって何とかなるに違いないと思ってそのまま出勤しておいた。  その頃のポジショニングは、自分が料理を作ってバイトの庄司君が麺と和えて盛り付けるようになっていた。  自分としては、庄司君はバイトといってもベテランで大いに頼りになるやつだからきっと大

ロック縛りの眼科(2024/02/14)

 眼科の待合室で、席が空いても立っている女性がいた。  年は恐らく自分と同じぐらいで、黒いトレーナーを着ている。トレーナーの胸に皺の寄ったような書体でROCKと書いてあり、そう思って見たらロック好きな人のようにも見えた。  全体、席が空いても座らないなんていかにもロックっぽい。自分も昔は電車の中でそうしていた。  この人はやっぱりSHOW-YAとか聴いてたんだろうかと思ったが、ロック女子だからといって女性バンドのファンとは限らない。  SHOW-YAは自分が高校から大学へ上

横になっている(2024/02/11)

 この連休中は安静にしているよう医師から云われて、終日寝ている。  時折、食事や茶を飲みに起きることもあるが、基本的に寝ている。ずっと仰向けに寝ていると腰が痛くなる。それで少し体勢を変える。  目は、何度か軽い鈍痛があった。それがいいのか悪いのかわからない。わからないことをいいのか悪いのか考えたって不安になるだけだから考えないことにした。  noteへは寝ている間に見た夢のことでも書けばいいだろうと思っていたら、随分リアルな仕事の夢を見た。面白くないのでそれは書かない。

関節を決めながら(2024/02/10)

 目の奥を焼いた後を診てもらいに眼科へ行くと、どうも厄介な方向へ進展していた。それで再度同じ手術をして、連休明けにまた診察を受けることになった。  前回よりも施術時間が長く、少しくつらかった。これでも駄目なら連休明けに外科手術なのだそうだ。  外科手術となるとちょっと怖いし、noteの毎日更新どころではなくなる。今回ので片付くよう連休中は安静にしていることにした。  帰宅後は妻が敷いてくれた布団に入り、終日寝た。  寝ている間に、セイブというプロレスラーの引退試合に立ち会う

目を焼く人(2024/02/07)

 飛蚊症は幼い頃からあったけれど、一昨日から急にひどくなった。何だかふわふわしたゴミみたいなものが左目の前を漂っている。多分、壊れかけのロボットの視界はこんな感じだろうと思っていたら、今日になって全てが霞んで見えてきた。  これはさすがにタダゴトではないので仕事を休んで眼科に行ったら、網膜剥離の一歩手前とかいう話で、やっぱりタダゴトではない。  網膜剥離なんて、ボクサーがやるものだと思っていたから随分意外な気がした。何しろ殴り合いなんて中学校以来やっていない。一体何が原因で

負荷、時の流れ(2024/01/31)

 上司のネルソン氏に同行してもらい、面倒くさい得意先へ面倒くさい件の話をしに行った。  ここは何が面倒くさいと云って、こちらのできないことをいつまでも要望してくるからいけない。  代わりにこういうのはどうですかと別案をいくつか提示してきたけれど、その都度いやそれではダメですよ、やっぱり元の通りでないといけない、と元の話に戻そうとする。全体、できないと云っているのだからできないものだと理解すればいいのに、変に勘繰っているのか頭が悪いのか、いつまでも元の話に固執する。実に面倒極ま

人の縁(2024/01/16)

 学生時代の日記帳を読み返していたら、33年前の今日は木寺と友達になった日だとわかった。それで当人にLINEで教えてやった。 「日記を書いてたのか」 「書いてたさ。今ではなかなかの猛毒文書に成り果てたよ」 「まぁ、それはそういうものだろう」 「あんまり毒性が強いものだから、取捨しながらデジタルに転記して原本は神社でお焚き上げしてもらおうと思っているのさ」 「ブツとしても持っておいたらいいだろう? そのうち毒性も薄れるさ」 「俺が生きてるうちには薄れそうにないぜ?」  何だか、

ルイヴィトン、羊羹(2024/01/15)

 朝から会議で気分がどんよりして、午後からも何だかややこしい話が目白押しで随分疲れた。  あんまり疲れたから帰りに何だか甘いものでも食って行こうと思ったら、財布がないことに気が付いた。どうも家に忘れて来たらしい。  財布がないでは仕方がない。加山君に100円を借してくれないかと相談したら、加山君はお安い御用ですよとルイヴィトンの財布から100円を出してきた。自分はありがとうと受け取った。  大学時代、区役所へ歩いて行く途中で『留美豚』という中華料理店を見つけた。 「るみぶた

ガラスとはんぺん(2024/01/03)

 義父から誘われて、みんなで南知多へ行って食事をご馳走になった。  店に着くと満席で、受付で名前を書いたら、あんまり感じの良くない女将が一時間待ちですと云う。それで待っている間、店の前の海で娘が貝殻を探すのに付き合った。  あいにくフジツボとかサザエばかりで、娘が求めるきれいな貝殻はあんまり見当たらない。一方、自分は、はんぺんを焼いたような石を見つけて「どうだね、はんぺんみたいだろう」と妻に見せた。妻は「面白いから持って帰りゃぁ」と云い、それならと持って帰ることにした。

新装(2024/01/02)

 広島から名古屋へ戻った。  往路は一刻も早く到着するつもりで早い時間に出たけれど、帰りはそんなに急ぐ理由もない。夕方着けばいいだろうと午前10時に出発したら、まんまと渋滞に巻き込まれた。結局帰り着いたのは午後8時だったから、とても夕方どころではない。大いにげんなりした。  荷物を下ろした後、妻に連れられてクローゼットへ行くと新しいコートが掛けてあった。妻が娘の卒業式に着て行く服を買う代わりに買っておいてくれたのだという。 ※  社会人一年目の冬に黒いトレンチコートを買

緊急放送(2024/01/01)

 昨夜、noteの下書きがあらかたできて布団の中から公開するつもりでいたのだけれど、そのまま寝てしまったらしい。  夜中に一度目覚めたら、何だか胃が痛かった。揚物の食べ過ぎに違いない。  胃薬を飲もうにも、帰省中で親が胃薬をどこにしまっているのかわからない。それで夜中に起こすのも気の毒だし、随分心配されても面倒だ。今のところはまだ我慢できるレベルだからと、しばらく様子を見るうちにまた寝てしまった。  次に目覚めたら朝で、胃はすっかり何ともなくなっていた。  町で一番大きな