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恋人はアンバー

 ルイス・ウェインがあまりに良すぎたので、2日とあけず1日あけて、同じ映画館で映画観てきた。
 この映画もずっと観たかった。だってポスターで飴をしゃぶり、予告編で走るアンバーが可愛すぎるもの!

 90分では短すぎるくらい、アンバーとエディの関係性は苦くてむず痒くて、でも2人のプリクラは世界一の宝石みたいにキラキラしていた。笑って肩を抱き合う姿は本当の恋人同士にしか見えなくて、それが悲しかった。

 アンバーは強くて賢くて美しい。自分で「ヤリ部屋」を同級生に提供して上京資金を貯めるし、エディを街に連れて行くし、自分はきちんと恋人を見つけて、母親にカミングアウトもする。そしてエディに別れを告げるけど、最高の「彼氏」だったエディを最後まで勇気づける。

 だから、アンバー程の強さがない、いつも音楽で耳を塞いでゲイバレを怖がって異性愛者のふりをする痩せっぽちのエディに、つい腹が立ち、ヤキモキしてしまう。なぜあなたはそんなに周囲を怖がるのか、と、観ててイライラした。軍隊に向いてないの分かりきっているのに父親に倣って自分は軍隊に入ろうと頑張る姿にも。周囲のアドバイスに耳を傾けなくてすごく頑固で、一人で悩んで周囲を傷つけるくせに、アンバーがいなければ街に出ることもできなくて、情けないほどナイーブだ。

 彼に苛立ちながら、私もまた、親の期待を内在化して、自分が思う「普通」に固執して、周囲を傷つけたりしていたと思った。

 私はたぶん異性愛者だけど、アンバーにキスされたらどうだか分からない。恋に落ちていたと思う。そして、私はアンバーに憧れてもそうなれない、エディに良く似ている気がした。
 イメージで言うと良くないかもしれないけど、痩せていてナイーブなエディの姿が少しだけエヴァの碇シンジに重なった。

 エディに苛立ちながら、私は同性愛のことをわかってないんだろうなと思う。というか、自分がそうありたいかどうかは別としてそうでしかあれないことに対して悩むことへの許容範囲が狭いのかもしれない。

 女性を愛しているアンバーも、男性とキスするエディもどっちも素敵で綺麗だったのに、それが認められない世界の方がおかしい。
 dating、お試し期間の恋人だったアンバーは、エディの友人であり続けて欲しいように思う。とても。