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コレクター

最近はめっきり回していないけれど、中学生の頃友達のお母さんが集めていたのをきっかけにガチャガチャ「コップのフチ子」にハマる。シュールで結構面白いので好き。集めすぎて、フチに飾るはずのOLをプラスチックのコップにガサッとひとまとめにしているのには若干の罪悪感を抱いている。田舎だからか意外と出会えないので、自分の歳を気にしながらもショッピングモールでは子どもに混じって一応一通りラインナップを眺めるようにしている。そんなもん手に入れてどうする、ていう変なやつこそ欲しくなる。実例: 公衆電話のミニチュア

いつからか、父の影響なのか神社が好きだ。京都に住んでいた頃に親友を招き、同じタイミングで御朱印帳を買って神社巡りをした。御朱印は個性があって楽しい。書き置きもあれば直に書いてもらえるものもある。インクは朱色に限らずピンクや青や緑もある。イラストが描かれていたり歌が詠まれてあったり、季節限定ものも。並んだ凛々しい墨書きを見返すと何だか力がみなぎる。旅と参拝の記録をこれからも増やしていこうと思う。

むかし、大好物がマーブルチョコだった。あの粒を食べ進めると筒の内側に1枚「世界のシール」が入っている。試しに棚を探してみるとニュージーランド×3、ネパール、ケニア、エジプト、オーストラリア、ペルー、スペイン、南極、ブラジルがあった。こんなもんじゃない。全盛期はもうすぐコンプリートする勢いで、何枚もダブりを出しながら(もちろん食べ)集めていた。全49種、夢はくじで引き当てた国へ旅行に行くこと。久しぶりにあの頃のワクワクと再会したいなぁ。

わたしの職場にはコレクターがやって来る。男の人が多いけど、たまには若い女性も買っていく。バイクで旅する集団、電車が好きそうな2人組、
きっと県外からのお客さんも。記念きっぷ(専用のホルダーもある)、ステッカー、缶バッチ、おまけに無料で押せるスタンプ。働いてみるまでは存在を知らなかったが、一定数ファンがいるようだ。○○ありますか? ○○ください!と言われると、毎回嬉しくなる。どなたも満足そうにいい顔をして去っていく、素敵な趣味だ

そしてわたしは唐突に出会う。それは仕事終わり気になっていた本屋さんに足を運んだ時のこと。テレビで何度か紹介されていたのを母が見つけて教えてくれた。小さな店内に並ぶこだわりの本と文具、目に入るどれもが好みど真ん中。テーブルにはティラミス、店主は常連(もしくは店員さん?)と親しげに話していて、2人分のコーヒーを入れながら接客をしてくれた。ゆっくりと流れる時間が愛おしかった。

普段だったらどれを買うか迷って時間がかかってしまうけれど、そこではすっと手が伸びた。レジ前に置かれた蛍光ピンクの表紙。タイトルを知っていて、そういえば欲しかった本が探さずとも置いてあることに小さく感動した。何気なくカウンター横を眺めていると目を引くものがあった。

御書印

なんだこれ。御朱印じゃなくて御書印?そんなものがあるのか。しかも200円...安い。御朱印と同じ感覚で紙を1枚貰うのだろうと想像していたが集めるのは初めてだと告げると御書印帖ごと頂けた。あったかい気持ちになってセレクトショップを後にし、帰路についた。

こんなプロジェクトがあったなんて。本好きには堪らない。本屋に赴くのが、新しい本を手にするのがより楽しくなりそう。胸が躍るものを見つけると、人生がじんわりと明るくなる。さて、次はいつ幸せのカケラを集めに行こう。

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