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【fromラボ】エリスリトールが“わきのニオイ”を抑制 ロート製薬

 ロート製薬はこのほど物産フードサイエンス(愛知県知多市)との共同研究で、糖アルコールの一種「エリスリトール」がわきのニオイを抑制する効果があることを突き止めた。また、今回の研究ではわきのニオイが発生する要因として、菌バランスが関係していることが示唆され、エリスリトールはこの菌バランスを整える効果があることもわかったという。ロート製薬は「従来の殺菌や制汗だけでなく、エリスリトールにより菌バランスを制御することでニオイを抑制するという新たなアプローチで、より効果が高く、安全性の高いデオドラント製品の開発ができる」と期待している。

 わきのニオイの原因は腋臭菌による代謝物とされている。制汗剤はこうしたニオイを抑制するため、様々な殺菌効果のある成分を使用してきた。一方、糖アルコールは保湿剤などにも使用されている成分で、古くから“虫歯菌”の抑制効果があることで知られており、その安全性の高さから食品などに広く使われている。しかし、糖アルコールにおける腋臭菌への効果はあまり知られていなかった。そこでロート製薬らは様々な糖アルコールが腋臭菌に対する効果を調べ、さらに腋臭菌に対して効果のあったエリスリトールにおいて、実際にわきのニオイへの効果を検証した。

 試験では培地に各糖アルコール(エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、スクロース)0%、5%、10%、15%を添加し、30℃で23時間浸透培養後、濁度(OD660)を測定し、腋臭菌に対する抑制効果の濃度依存性を調べた。その結果、複数の糖アルコールにおいて腋臭菌の抑制効果が確認され、濃度依存的にその効果が高くなっていく傾向を確認した。なかでもエリスリトールは高い腋臭菌の抑制効果が確認され、その効果は虫歯菌に効果があることが広く知られているキシリトールよりも高いことがわかった。

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各糖アルコールにおける腋臭菌抑制効果の比較

 また、わきのニオイの強い被験者18人を選定し(16~60歳の日本人男女から選定)、入浴後に右わきにエリスリトールを含む試験液を、左わきに含まない試験液を塗布し、左右のわきのニオイの変化を臭気判定士によりニオイの強さを0~4でスコア化し、評価した。その結果、エリスリトールを塗布していない左わきでは時間経過によってニオイが発生したのに対し、エリスリトールを塗布した右わきではニオイの発生が抑制されたという。

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エリスリトールの塗布なし、ありにおけるニオイの強さスコアの比較

 さらに、被験者のわきの菌叢解析を行った結果、わきのニオイの強い人は、弱い人とは異なる菌バランス状態となっていることが示唆された。また、エリスリトールにより菌バランスの状態が改善されることが確認されたという。この結果、わきのニオイを改善するためには、腋臭菌を殺菌するだけではなく、菌バランスを改善することが重要で、エリスリトールは菌バランスを改善することでニオイを抑制している可能性があるとしている。



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