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元スポーツアナの週一コラム   vol.9              無防備さを守る心

無防備さを守る心


このところ
取り上げられた
カワウソ虐待の
ニュースを見て
思い出した事がある。

それは
躾(しつけ)と称し、
ラブラドールレトリバーを
女性飼い主が
蹴り飛ばす
シーンの映像!

聞けば
その犬は
16歳という高齢で、
家の中で
お漏らしをするから
ダメだと
教える為に
やったらしい。

言葉を話せない
犬にとって、
蹴る事が
理解させる
手段になるだろうか?
しかも
ラブラドールの寿命は
13歳から14歳と
言われているので、
人間なら
相当な長生きであり
ご老人である。

だから
90歳の方を
耄碌(もうろく)
したからといって、
蹴りつける人を
見た事が有りますか?
と言う疑問に

匹敵する事象! 

蹴る前に
長生きしてくれている
愛犬に
オムツをしてあげようとか
大きめのケージを
購入しようとか
飼い主側に
いたわりの
気持ちが
芽生えなかった事が、
とても
残念に思えたものだ。

犬からすると
飼い主に対しては
常に無防備な状態❗
無防備とは
危険や災害に対して
備えていない事で、
主人から
危険にさらされるとは
これっぽっちも
考えていないはず。

ほとんどの飼い主は
ペットを
購入しているもので、
その段階で
新しい命を
預かったと見るべき。
それ故
子供の様な
ものです!と
例える人も多く、
そんな存在を
果たして
しつけと言って
蹴り飛ばす行動が
出来るだろうか?

むしろ
相手の気持ちに
なれない
飼い主の
愛情欠如を、
痛みに耐えて
犬の方が
教えている様にも
見えた。

さて
プロスポーツの世界でも、
見た目は
全く違うが
仕組みは同じ様な
ニュースが有ったのが
蘇る。

それは、
松坂大輔投手
中日ドラゴンズ時代
沖縄キャンプでの
出来事。

練習移動中
ファンが群がり、
右腕を引っ張り
その後
肩に違和感が
出たと言うのだ。

プロ野球を始め、
プロ選手は
ファンの前では
常に無防備であり
信用している。

そんな関係性の中、
一部の心無い
ファンの振る舞いが
多くの人と
選手が築き上げた
絆を切ってしまう。
 
大多数の皆さんは
節度を守り
良い距離感を保って、
ご贔屓の
選手またはチームを
応援している。

応援を受ける側の
選手・チームも
出来る範囲の
サービスを考え、
お互いの気持ちを
埋めている。

だから
球場のネットも
時代の進化につれ
低くなっているし、
ファールグラウンドを
狭くしてまでも
選手を
間近で観戦出来る
フィールドシートが
増えたのも
良きリレーションシップの
表れである。

なので
ファンの前では
無防備な選手が
ペットの様な存在で、
そうなると
ファンが
主人の様な
関係になる。

ある程度の
ニーズに応えようと
チーム・選手は動き、
ファンは
出来る範囲の指示を
リクエストしていく。

そんな構図を描くと、
先に記した
ラブラドールレトリバーと
飼い主の関係と
似ている事に気付く。

お漏らしを
している訳では無いが、
飼い主側が
思い通りにならない事に
腹を立て
松坂投手の
腕を引っ張った
のであれば
無防備な犬を
蹴り飛ばした
行為と変わらない❗

プロ野球
長い歴史を見れば、
そんな
一部のファンが起こした
悲しい過去もある。

1956年
広島×巨人戦で
カープが大敗の試合後、
不甲斐ないチームに
怒りを覚えたファンが
グラウンドに
ビール瓶を
投げ込んだ。
これが
カープ・木戸よしのり投手に
当たり負傷❗
これにより
球場に
カン・瓶類の
持ち込みが禁止となり
紙コップに制限された。

更に
衝撃的で
暴動の様な
動きもあった。

それは
1996年
日生球場(大阪にあった)
近鉄×ダイエー
の試合後に起きた❗
思った様な
結果が出ない
王監督率いる
ホークスファンの一部が、
移動用バスの
窓に向かって
生卵を投げつけたのである。

それも
1個や2個では無い、
20個前後
ぶつけていたのだ。
バスに乗っている
選手・チーム関係者は
おののき(恐怖に襲われると言う意味)
ただ耐えるしかなかった!

正に
無防備な者に対して、
腹いせの行動を
取ってしまったのだ。

ただそこで
王監督は
「ああいう風に
 怒ってくれるのが
 本当のファンだ、
 あの人達を
 喜ばせるのが
 俺達の仕事なんだ!
 それが出来なければ
 プロではない」と
選手に言い聞かせた。

この点は
犬と違って
言葉で理解し合える
人間の特性を生かし、
又鼓舞する
リーダーとしての資質で
ファンとの絆を
キープした。

その後
カープ女子やTORAkOの様に
女性ファンも増え、
チーム・選手に
怒りを露にする
行為は激減した。

そんな
歴史もリンクして
改めて思う、
ペットは
飼い主有ってのもの。
それと同じように
プロスポーツは
ファン有ってのもの❗

偉そうになってしまい
本当に
申し訳ありませんが、
今一度
飼い主として
無防備さを守る心を
考えてみませんか?

主人の愛情は、
きっと
言葉無くしても
相手に伝わると
信じています。

カワウソを
木の棒で
叩いても
何も解決しない・・







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