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50年間塀の中で過ごしたブルックス [くま日誌]162号


「ショーシャンクの空に」という映画がありますが、ご覧になったことがある方も多いのではないでしょうか。名作ですよね。

その中で、モーガン・フリーマン演じるレッドの名言があります。

「 (刑務所の壁を)最初は憎む。しかし、だんだん慣れてくる。
 そして、時間がたつと頼るようになっちまう。 」


刑務所という特殊な環境においても、人間は慣れ、そこに最適化していくんですね。

映画の中に、ブルックスという50年も塀の中で過ごし、そして仮釈放された囚人が出てきます。刑務所の中では図書係を務め、周囲からも一目置かれている存在でした。

仮釈放後は、用意されたアパートに住み、斡旋されたスーパーの仕事をすることになります。しかし、その生活に慣れることができず、つらい日々を過ごすことになります。


そのような、外の世界の生活に耐えかね、アパートの壁に
「BROOKS WAS HERE(ブルックス、ここにありき)」と彫り、首をつってしまいます。

この構図を少し引いてみたときに、もちろん私たちは塀の中にはいないのですが、

ある種の環境に過度に最適化することは、それ以外の世界で生きる力を徐々に失っている、とも見ることができないでしょうか。


ブルックスのように、私たちもある日突然、全く違う環境に放り込まれる可能性がないとは言い切れないですよね。

それが50年間、慣れ親しんだ環境だったとしても、突然起こるブラックスワンにより、強制的に環境を変えざるを得ないこともあります。


昨日、「反脆弱性」という言葉を学びました。

依存先を分散し、成功も失敗も弱点も、(許容可能な)損失もすべての不確実性を飲み込み、それを超えたところにある強さを手に入れること、

と理解しました。


一つの環境に過度に適応/依存することは強固ではあるが脆い。一方で反脆弱とは、一見脆いように見え、依存先が分散されているので強い。

私たちが目指すべき一つの理想としては、たとえブラックスワンが起ころうとも、その変化に対応することで

どのような環境であろうともサバイブする力をつけることではないでしょうか。


人生のど真ん中に、弱さの連環ともいえる反脆弱性を置く、というイメージを持つことができました。


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