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「変化をチャンスと捉える」くま日誌 345号


もう年末ですね。環境の変化に対応したり、自ら新しい環境の変化を選択したりと「変化する」ことを来年の目標にしようと考えておられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「変化する」というのは自然と「今あるものを失うこと」にフォーカスされがちなんですよね。公平に考えれば「今はない新しいものを得る」ことにも同時にフォーカスすべきですよね。

これもまたどこにフォーカスするのか、という視点の問題になると思うのですが、できれば失うものよりも可能性に焦点を合わせていきたいものだと考えています。


特に「環境の大きな変化」があったり、もしくは自ら選択する時は、意識的に失うモノよりも、得る可能性に目を向けるようにしてはいかがでしょうか。

これには「損失回避バイアス」が影響しています。

参加者には、以下の選択をしてもらいました。
▼実験1:
A:確実に50ドルを受け取る
B:50%の確率で100ドルを受け取る or 50%の確率で何も受け取らない

→多くの参加者はAを選択。

▼実験2:
A:確実に50ドルを失う
B:50%の確率で100ドルを失う or 50%の確率でなにも失わない

→多くの参加者はBを選択。

(出典:プロスペクト理論 1979 ダニエル・カーネマン・エイモス・トベルスキー)


これには、人間が「今ないモノを得るチャンスよりも、今手元にあるモノを失うことの回避を重視する」という意思決定における強い動機があることを示しています。

背景には、現状維持に対する強い本能的な欲求があります。太古の昔から、人間は未知のことに出くわすことで、生存が脅かされてきたのだろうと推測されます。

現状維持を選択した方がより生存確率が高かったという進化の淘汰を経て、このようなバイアスが醸成されたのだと思います。当時の人からすると、まさか多くの人が現代のようにオフィスワークをしているとは想像しなかったでしょうね。


同じバイアスをマクロの視点から見ると、環境の変化を求めて未知に挑戦する人は少数派であるとも言えますね。

ということは、二重の意味で環境の変化はチャンスであると考えることもできます。

つまり、
・失うモノと得るモノを公平に見ることにより、実は自分が思っていたよりも大きな可能性があるという意味

・環境の変化をチャンスと捉える人の数は相対的に少なくなるため、競争が少なくなるという意味

このようなメカニズムを理解しつつ、変化はチャンスと考えていきたいですね!


■まとめ
・人間には「損失回避バイアス」があり、逸失利益よりも確実な損失を重視する傾向にある。

・これは未知の世界に飛び込むことが生存確率を下げていたという人類の進化の歴史に起因するメカニズムである。

・だからこそ現代において変化をチャンスと捉えることは、公平性の観点からも競争の観点からも有利になるのではないだろうか。

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