「朝陽が昇るまで待って」Vol.5
映画『渋谷行進曲』(*)スピンオフ作品。
自分を「テルミン」と呼ぶ演劇プロデューサーの輝義と、ヘアメイクアップアーティストの千人(セント)。二人のオトナな純愛を小説とも脚本とも詩ともいえる自由なタッチで描いた作品をmosaique-Tokyoの俳優、吉木遼・松谷鷹也が”朗読アクト”として映像化。
読んで、見て、聞いて。一度で3度おいしいパッケージです。
テルミンが千人と結ばれようとしないのは、過去にある男を「殺した」から。その事実を知った千人。好きな人の”事情”を知って、知らない顔に出会って絶望して、それでもなお受け入れて好きでいられるのか。男×男ゆえに一層透明度が増す世界観をぜひ体感してください。
脚本)中井由梨子
出演)テルミン:吉木遼 / 千人:松谷鷹也
石田瑛太:橋谷拓玖(東京やんちゃボーイズ)
撮影・編集)松浦正太郎
(*)SCT製作映画『渋谷行進曲』。2020年のコロナ禍。公演中止の劇場内で繰り広げられる人間ドラマを描いた作品。2020年12月27日、渋谷でたった1日のプレ公開を行い、多くの方に共感をいただきました。今年の本公開を控えています。https://www.shibuyakoushinnkyoku-sct.com/
「朝陽が昇るまで待って」Vol.5
瑛太「こんにちは!」
テルミン「久しぶり!元気だった?」
瑛太「はい、テルミンさんもお変わりなく」
テルミン「相変わらずよ、入って入って」
瑛太「模様替えされたんですか?」
テルミン「ええ。ちょっと気分転換に。今、お茶淹れるわね」
瑛太「おかまいなく。急に押しかけてすみません」
テルミン「全然平気よ、一人で予算表と睨めっこしてたら疲れちゃって。ちょうど休憩しようとしてたから」
ほんの数分前まで一人で泣いていたの、なんて言えないし。
瑛太「テルミンさんの好きなロールケーキ買ってきました」
テルミン「ありがとう!嬉しいわ、覚えててくれて」
こうして無理にでも自分を作れば、明るくて楽しいテルミンを作っていれば、忘れられる。
自分に嘘をつくことなんて、もう慣れっこじゃない。
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