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漫画好きはカイゼンのコミュニケーションを交わしたい

一度でも「改悪」と言ったことがある人へ

ボクが今やってるTwitterアカウントは、ほとんど漫画家の方々だけをフォローしています。

必然的にこのTLはクリエイター色が強いと思うんですが、存外その「改悪」って文字が何度も目に写ったので書こうと思ったんです。
ちなみにTwitterのUIというか恐らくアルゴリズムについての文句でした。

まあ実のところ、ユーザーにとって前より使いにくくなる「アップデート」って、どのSNSやサービスでもたくさんありますよね。

今日も今日とて「よけーなことしやがって仕様」があちこちで誕生してるのは事実です。


それでも「クリエイターはサービスやプラットホームに改悪って言わない方がいいよね」って思います。

うーんまあ

言うのは勝手なんですが、「改悪」と言い捨てる人たちを圏内とする「フォロワー」「ファン」って、あなたのこともすぐ損得で切るんじゃね?って。

ある途端に連載マンガの方向性が変わる
絵柄を意図した上で変える
主人公が読者の求める相手と引っ付かない

それらにバッサリ「改悪だわ。もう読まない」って言われたら、作り手として嫌じゃないですか。

もちろん作品をどう思うかは読者に委ねられるのですが…作品の表面には写せない考えや、何かしらの事情込みで絶対そうしているにも関わらず、お客様目線で「悪い」とだけ評されるって。

そしたらもうトラウマになって、保守的な考えや創作になっちゃう一方な気がします。それでも突き抜けられるなら、それは強さと呼べます、きっと。

Twitterも作ってる人がいるんですし。

「いやTwitterにとって自分はユーザーなんだから言う権利がある」

無料で使って、Twitterで潰した暇はカンストしてて、結果たくさんのフォロワーを手にした恩恵があっても?

「使用頻度とか代金の有無や大小じゃない。名誉毀損とかじゃなくサービスへの評価だし」

みたいなサイクルなんですよね。
対価は払わない、ゴリゴリに使う、「改悪」はどんどん唱える(被害者的に)…。
これは決して、ボクの目にする小さな世界に限らずどんなTLでも沢山ある景色なんだと思います。

Twitter社にとってはそんなの屁でもないかもしれないです。
でもその貧しいお客様目線がこの国の創作の仇になっちゃってるよねえ〜って、いろんなジャンルの世界で聞きません?

チップがどうやったら流行り根付くのか考えてる日本人は沢山いて、でもなかなか全然普及しないよねってのも現状です。


で、クリエイターが「クリエイターアカウント」を使ってどーせ言うなら「カイゼン」が良いよねって話を、漫画家でもない意味わかんないわけわかんない自分が言い出すのが、この記事の内容です。


noteで絶大な人気を誇るけんすうさんのTwitterより

きっと参考にはならない創作的なコミュニケーションの始まり方


ボクは昔、トヨタ自動車に入社しクルマを作っていました。バリクソの現場系、ライン工・期間工って奴です。

ボクが述べる「トヨタ」って完全に重箱の隅の規模であり、しかも7~8年前のたった1年間の景色です。今は違ったり、当時でさえ別の工場・勤務先・国によってばらつきはあっただろうな…って話です。(前置き)

トヨタには用語が多く存在し、それをまとめた本なんてのもざらに見かけます。
「カンバン」「4S」「現地現物」…
そんなの全然聞いたことない人の方が多いとは思いますが、例えばnoteにもある「カイゼン」なんかはトヨタが世界に広めた言葉・概念の筆頭と言われてます。(おそらく)

「あの仕事もっと効率的に直せそう」
「なんでここは事故が起こりやすい場所なんだ?」

そんなありきたりなことを見つけては考え、馬鹿みたいに話し合います。そして実行して良くする。のち発表する(シェアする)。

もっと小難しい話をたくさん並べた上での「カイゼン理念」も、しこたま見聞きした元トヨタマンですが、それ以上に畏まったヘリクツを現場では共有できっこないので端的でいいんです。

端的でいいからとことんやります。
毎月「創意くふう」というカイゼン提案書を提出すると、カイゼン一つに最低500円の給与が付きました。(当時の期間工は)

提案と言っても本当に簡単なことで、

『部品AとBの形が良くに似ていて間違えそうになる。なのでそれぞれが入った部品箱を物理的に遠ざけ、離れた場所に置いておくことで誤った判断をしないように変えた』

小学生でも考えつく「創意くふう」です。もちろんもっと内容の凝った物も出せるなら出していいです。

それとは別に班活動としてのカイゼン活動も行います。それは残業としての業務です。午前0時を回ってから詰所で班のみんなでカイゼン話を小一時間するだけですが、もちろん残業手当が付きます。

時期によってはカイゼン活動の発表会や、それを工場内にあるモニュメントみたいなコーナーにまとめては、みんなでそれを業務中に見学しに行くことも普通にあります。中学生みたいな活動を、クルマを作っている手を止めてまでやってました。


トヨタはカイゼンに対し、しっかりお金を払ってでもアイデアを求めていたわけです。
ボクは非正規19歳で会社の末端の末端でしたが、世界のトヨタにカイゼン案を投げる権利は等しく与えられていたので、結構不思議な体験だと当時から思ってました。

けっきょく言いたいのは「カイゼン」の中身よりも、気軽に対等になんでも話せる風土、問題点を上司が徹底的に吸い上げる注意力など、「カイゼン」に対してのプレーヤーを増やすことが狙いだった気がします。

マジで馬鹿でかい組織です。期間工という月単位で入っては去る人間が大勢いる。だからこそ仕事や社風に興味関心を持たせ、自分ごとにするための仕組み化、とでも言いましょうか。


それを実際現場で見たからこそ、上で挙げたnoteのカイゼン情報の共有みたいなことって大事だよなあってしみじみ思う人間です。

古典は知っている

トヨタの話はクリエイターさんに1ミリも届かないつもりで長々と書きました。実際言いたい部分って自分でさえどこにも見当たらないです。
トヨタの太っ腹経営とか一個人のクリエイターのどこに刺さるんだって話です。

いや、まあなんか「改悪」を口にするクリエイターさんが、一人でも考えを揺らいでくれたら儲けもんだなっ〜て思いひとつで、古い記憶を引っ張り出しわざわざ数時間かけながら書いてます。

ここでじゃあせめて解決策ってほどじゃないんですが、理想的な話を。

Twitterはもちろん、Amazonのインディーズマンガランキングでもよく見る漫画家の川尻こだまさん

で、この「カイゼン」投稿がたまらんよねってシェアです↓


最高です笑 欲にまみれた最高の創作です笑

知らない人も多いかもしれませんが、上の投稿に似てる「漫画ってこういう作られ方だったなあ」って思える昔の作品があるんですよ。

『ドラえもん』っていうんですけど。

おんなじですよね。
世の中にあったらいいな、を漫画にしちゃってるんですから。


すごく呑気な読者としては、クリエイターさんにしてほしい創作コミュニケーションやセッションって、そういう昇華のさせ方なんですよね。

ボクも「カイゼン」をほんのり紐解いて、視点が少し広がる手伝いになったらいいなと、創作しております。

存在の欠点を悪と名づけるTLよりは、どーやったら良くなるかを自分なりに考え示してくれる人をフォローしたいし、とっぴな発想で笑いたいし、そういう人をクリエイターと呼びたいなあと思いつつ。

また創作をそれなりに褒め合えたら最高ですね!

創作の片手間に飲むコーヒー代にさせていただきます!また作ろうって励みにさせてもらいます。