【#NFTSchool】NFT情報コレクター/miinさんが語るNFT産業の変遷と最新トレンド 完全版
この記事はNFT情報コレクターmiinさんにNFT産業の変遷と最新トレンドと題した取材を行い、書き起こしたものです。
また、ここに出てくる言葉の定義や、時代区分、カテゴリの区分は今回のテーマに沿って分類されたもので、説明の便宜上分類したものになります。
PolygonJapan(@0xPolygonJapan)では、NFTアーティストの方や第一線で活躍する方々をお呼びして、#NFTSchool と言う配信をTwitterSpaseにておこなっています。
ゲスト:NFT情報コレクター/miin(@NftPinuts)
司会進行:PolygonJapanコミュニティマネージャー岡山佳孝 (@okayama1991)
今後のイベントの最新情報は下記のアカウントで告知します。ぜひフォローよろしくお願いいたします。
PolygonJapanTwitterアカウント(@0xPolygonJapan)
NFTの定義
岡山)そもそもNFTってどんなものなんですか?
miin)最近ネットで拡散されていた「NFTはSNSの青い認証マーク」というのが、しっくりきています。
たとえば、プロフィール画像に設定するのはただの画像にすぎないのですが、認証マークが付くとつかっているサービスが公式なものと、証明してくれていることになります。
公式感がつくことに、価値を感じる方がいるということだと思います。
また、これは1点に対する認証ではないので1つのオリジナルに対して複数の認証が生まれることもあります。
認証マークの根本(チェーンやマーケットプレイス)自体が、消滅することもあるので要注意です。
NFTが流行った理由?
岡山)世間的にはNFTに関して雑誌が組まれたり、日に日に注目度が増していますが、日本ではなぜNFTブームが起こっているのですが?
miin)去年の夏にNFTサマーと言われていた時期があり、日本人がつくったNFTを日本人が買う、という状態が一時的にあったように感じました。
お試しで、販売してみたNFTが売れたといった体験談も出回り、「NFTをつくれば売れるらしい」「無料でつくったNFTで一攫千金!」といった記事もでてきていました。
お子さんの絵をNFT化する親御さんが突然増えたり、YouTubeのサムネイルをNFTにするものなど、とにかく売れそうなものをNFTにしてみよう」というムーブメントがありました。
当然、買い手側が増えることもなく、1つも売れないものがほとんどという事態になっています。
いまの数字としては「買う人より売る人の方が多い」という状態になっています。
岡山)「買う人より売る人の方が多い」状態というのは、どういうことですか?
OpenSeaの場合、ゼロからNFTを買う場合は取引所にアカウント開設して暗号資産を買って、、、と初期費用と準備がかかります。
NFTを売る場合は、やり方によっては原資がなくてもできるので、参加している人の増加につながっています。需要と供給の問題なので、時間がたてば販売価格面も含めてバランスがとれていくのではないかと思います。
NFTを作成、販売している人の属性?
miin)公式的な分け方はないと思いますので、あくまで個人的に分類してみます。大きく分けて3パターンくらいでしょうか。
1,ジェネラティブアート(プログラミングしたコードをもちいて画像を生成するアート)やVRアートなどの作品を作っているアーティストさん
NFTが普及する以前はオリジナルがデジタル空間にしかなかったので、「なにをもって売買を成立させるのか」という課題があったのではないかと思います。
2,デジタルをオリジナルとしてるイラストレーターさん
商業作家の方でもオリジナルの作品を販売するのが難しいなどの課題がありました。
3,NFTという技術を利用して新しい取組みを模索しているグループ
コレクタブルNFTといわれる数千~1万点程度を同時に発行し、NFTをつかって「コミュニティ」をつくる取組みです。
NFTを使って何ができるのかの実験や、ブロックチェーンならではの表現方法が生まれつつあるようです。
NFT産業の成り立ち
岡山)NFT産業の成り立ちについて教えていただけますか?
miin)私も2021年の5月以降のことしか体験していないので難しい質問ですね。「なにをもってNFTというか」というのは人それぞれですが、イーサリアムチェーンのNFTだけでも分類すると7つのフェーズになるかと思います。
岡山)多いですね笑
miin)
フェーズ1,NFT黎明期
代表的な作品群は、2015年のEtheria(イーサリア)から2017年のクリプトパンクスまで。
いまでは、ヴィンテージNFTとして価値がついているものが多いです。
フェーズ2,猫の時代
おなじく2017年にクリプトキティーズというプロジェクトが大流行しました。
さまざまな種類の仮想猫を買って集めたり、さらに交配して繁殖もできるゲーム性があるNFTプロジェクト。
クリプトキティーズは当時としては画期的な体験だったようです。NFTを知り可能性を感じて、この後のプロジェクトを立ち上げるきっかけになったという方も多いようです。
フェーズ3,名付けるとすれば第1次NFTブーム
次の熱狂は2021年3月にはじまりました。Beepleというアメリカの現代芸術家のNFTが75億円で落札。これは大きな話題をよびNFTへの注目が集まりました。
同時期にNBA Top Shotという、NBA選手のNFTトレーディングカードが発売。一般層の購入体験にも紐づくNFTが発生しました。DecentralrandやThe Sandboxなどメタバースに関連したNFTの売買が活性化しはじめたのもこの時期だったのではないかと思います。
フェーズ4,氷河期
3月の熱狂は長くは続きませんでした。NBA top shotが盛り上がったが次に盛り上がるプロジェクトがでてこなかったということだったのかもしれません。
氷河期というと少しネガティブな印象ですが、この期間に色々なコレクタブルズNFTなど今のトレンドの原型となるようなNFTプロジェクトが産声を上げていました。
期間としては2021年4月から6月ごろ。いまではランキングの上位を占めるBAYC、Meebits、Hashmasks、Coolcat、Veefriendsなどが生まれたのはこの時期です。
フェーズ5,NFTサマー
2021年7月ごろからは、多くの売り手と買い手の流入がありました。
具体的な作品群としては、Pudgy Penguins、Mekaverce、Loot、world of Women、CyberKongs、0n1Forceなど。
特にPudgy Penguinsは、値段の急騰やニューヨーク・タイムズの誌面にとりあげられたこともありトレーダー層を多く呼び込んだ印象があります。
Visaが Cryptopunksを購入し、クリプトへの理解ある姿勢を示したことも大きな話題となりました。NFTサマーでできた流れが、フェーズ6へ引き継がれていきました。
フェーズ6,有名企業の参入
2021年12月ごろからだと思うのですが、NFTサマーの盛り上がりや、Visaなどの動きを見て企業がNFTのマーケティング活用を始めました。
具体的には、Adidasの「INTO THE METAVERSE」、NIKEによるNFTブランド「RTFKT」買収、その後もGucciやPRADAなどのブランド参入が続いています。一般企業がはじめたことでの安心感が与えた影響は大きいと思っています。
岡山)最近だとRTFKTが、大爆発してますね笑
miinさんのNFTリサーチ方法
岡山)ありがとうございます。自分の感覚としてもしっくりきてて、miinさんの俯瞰力と説明力がすごいなと思いました。
ちなみにトレンドが早すぎて、調べるのも相当大変だと思うのですが、どのような方法でNFTに関する情報を収集していますか?
miin)あまり特別な事はしてないですが、人並みに色々ニュースは見ていると思います。
具体的には、よく見るサイトはgoogle検索(英語/日本語)です。【NFT】で検索して1ページ目を定期的にみれば、大きなニュースはまとめてトピックとして表示されるので、どこかひとつのニュースメディアに頼るよりも見逃しは少ないかと思います。
また、twitterではフォローしているタイムラインだけの情報に依存しないようにTwitterの機能である「トピック」をみるようにしています。(トピック:非代替性トークン)
よくみるインフルエンサー(日本/海外)ではzenecaという海外インフルエンサーですね。彼は元々ポーカーのプレーヤーで、あまり特定のプロジェクトを煽ることもなく、「NFTの考え方」を発信してくれています。
メールマガジンを翻訳して日本で発信する許可をいただいたので、時々私のnoteで紹介しています。
現在のNFTの主要カテゴリ
岡山)現在一括りにされている"NFT"と言っても色々な種類のものがあると思いますが、俯瞰した時にどのような分類分けをしてみればいいですか?
miin)分類は人によってそれぞれだとおもいますが、思いつく順にしゃべっていってみますね。
1,1/1アート
イラストやCGで1点のみのNFTを発行するものです。
Foundationやsuperareなど招待/認可性のマーケットプレイスでオークション形式で販売されるものも多いです。
2,コレクティブNFT
具体的には、BAYC,CryptoPunks等の1,000体~10,000体程度を同タイミングで販売するものです。
すべてが異なるキャラクターとなり、レアリティで価値が異なるのが特色です。ジェネレーティブNFTといわれる「キャラクターの各パーツを用意しプログラミング技術で画像生成する」ものが大半ですが、手書きで10,000体をつくるプロジェクトもあります。
コミュニティ形成や持続的な活動が重視されるため、クリエイターによるNFTアートとは本質的な部分が異なります。
参考:コレクティブNFT/ジェネレーティブNFTってなに?
3,ゲームアイテム
アクシー・インフィニティや、DeFi Kingdoms、Gala Gamesのタイトルなど。最近耳にすることが多い方もいるかと思います。いわゆるブロックチェーンゲームにNFTを活用したものとなります。
4,メタバース(土地)
The SandboxやDecentralrandのようなメタバース空間の土地。またそのプラットフォーム側が公認で販売するアバターやウェアラブルアイテムとなります。
3つ目のゲームにも含まれる要素が強いですが少し違和感もあるため、あえて分けてみました。
5,チケット
リアルやオンラインでのチケットをNFTと紐付けるものです。
最近ニュースにもなった「 コーチェラ・フェスティバル」という世界最大級の音楽イベントが生涯パスをNFTとして販売していました。
また日本でもオンライン配信プラットフォームのzaikoやavexがNFT付きの配信チケットをはじめています。まだまだ発展途上ですが、NFTをつかう理由が確立できれば広がっていくのではないかと思います。
今後のNFTトレンド
岡山)ありがとうございます。
また、現在のトレンドだと先ほど上げていただいた5つの分類がニュース等でもよく賑わっていると思うのですが、miinさんが考える今後のトレンド等はどのようなものがありますか?
miin)国内では、価格的にも体験としてもハードルが低い一般消費者向けのNFTが増えていくんじゃないかなと思います。
現状主流となっているNFTでは単価やガス代も高く、また仮想通貨が必須となると興味があっても購入までいたらない方が多いかと思います。
次のフェーズでは、仮想通貨を使わなくても購入できるものが使われるターンがくるのではないでしょうか。本質的な意味でNFTとしてのディープな体験ができるかはさておき、「とりあえずNFTというものを体験してみたい」というニーズを満たすことはできるのではないかと思います。
大企業がNFTの新規事業をやるときに陥りがちなミスと典型的なパターン成功方法
岡山)これから多くの企業がNFTの新規事業を発表していく流れがあるとおっしゃっていましたが、NFTを始める時に陥りがちなミスや気をつけるポイントはどのようなものがありますか?
miin)あくまで「数百点~数千点のコレクティブNFTを企業が販売する」という前提の上で考えてみます。
1,NFTコミュニティ文脈を無視しての展開
昨年、米国・大手飲料メーカーの「Pepsi」が、約2,000個のNFTをリリースしたのですが一部のNFTコミュニティから批判の声があがりました。
理由としては、まずNFTを発行することからはじめてしまったこと。無料(ガス代のみ)で手に入れることができたのですが申し込みが殺到し、入手できなかった方も多数。
参加したけど手に入れられなかったという僻みもありそうですが、「NFTコミュニティへのリスペクトがない」「プロモーションとして利用されただけだ」といった批判もあがってしまいました。
先ほども事例としてあげましたが「どうしてVisaがクリプトパンクスを買ったのか?」ということに繋がるかもしれません。IP側がNFTを買うことからはじめることで、企業として上からのアプローチではなく既存の文化へのリスペクトや同調がコミュニティへの入り口になっているのかと思います。
ボクサーのマイク・タイソンもスムーズな流れをとることができました。「NFTを買う」→「SNSアイコンを買ったNFTに変える」→「クリプトアーティストとコラボをしたコレクタブルNFTをリリースする」こういった段階的なアプローチをとりました。
どこまで計算しての動きだったのか、いまとなってはわかりませんがマイク・タイソンのリリースしたNFTは完売していました。以降、タレントがNFTコミュニティに入っていく際の王道的な動きになった印象があります。
2,「誰かが買うかもしれない」で販売スタートし、ユーザーのペルソナがみえていない
日本でも著名人のキャラクターをつかってNFTをリリースが増えてきましたが、思ったより高値がついていないというものが多々あります。
その著名人にwalletを持っているファンがいるか、またどんなアイテムであれば欲しがるのか、もしくは既にNFTを買っている層がターゲットなのかどうかなど、分析ができていなかったのかもしれません。
「誰が購入するターゲットなのか?」がみえていないと、流行っているからという理由でデジタルアイテムをつくっても売れないのは現実のグッズもNFTを同じだと思います。
3,プロモーションに予算を投下しない
そのままなのですが、例えばECでものを売ったりするときに、広告費をかけるのは割と事業的には織り込んでスタートさせると思うのですが、NFTでは、マーケティングやプロモーションに予算を一切かけないことが多いのではないかと感じています。
2つ目であげた「誰かが買うかもしれない」という期待だけでは、誰でも買わないという状況になってしまいます。他のグッズや商品とおなじように、ある程度宣伝にも予算を使うべきだと思います。
コレクション1000点が完売すれば300万円くらいの売上になるという企画であれば、その20%くらいは広告宣伝費としてあてるほうが自然なのかもしれません。また逆にリターンの割合が多すぎるプロジェクトの場合は、その後の展開にも期待ができないともいえます。
海外であれば、販売時にインフルエンサーへの有償プロモーションや、専門サイトへの広告サイトへの掲載などスタンダードなやり方となっていますが、日本の場合は、なかなか宣伝の正攻法が生まれていないという状況もあるかもしれません
お問合せフォーム
PolygonではPolygonStudioという、NFTに特化したチームを組成しており、animocabrands,The Sandbox,Decentralandなどの支援実績ノウハウをNFTアーティストの方や、企業様向けに提供しています。
対象
・Polygon活用をご検討中の企業の方からのご相談
・すでにPolygonを使っている国内プロジェクトからのご相談
・協業、提携などに関するお問合せ
・メディアの方からのお問合せ
法人向け:Polygon お問合せフォーム