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そもそも「会社」って何? | 会社法から見た会社の定義と、その種類

 こんにちは。なおきんちゅと申します。スタートアップやベンチャーで働く人にも、何かの形で株式や事業に縁がある人にも会社法の概要理解は重要であると思います。しかし、勉強の取っ掛かりを掴むことが難しく感じる人も多いと思います(私がそうです)。

 そこで、この会社法ブログシリーズでは、会社法を勉強したことない人を対象に簡単な概要を説明していきます。私自身が勉強しながらアウトプットを兼ねて投稿しているので、間違いがありましたらTwitterまでお願いいたします。


会社法の成り立ち

 会社法自体は比較的新しい法律です。最初の会社法は、明治時代に作られた商法旧第2編会社を骨組みにし、有限会社法と商法特例法を融合して2005年に制定・2006年に施行されました。その後、2014年制定(2015年施行)版・2019年制定(2021年施行)版の二回の改正を経て、現代の「改正会社法」に至ります。

「会社」の定義

 商法旧第2編会社では、会社は「商行為ヲ為スヲ業トスル目的ヲ以テ設立シタル社団」として定義されていました。現行の会社法はこの流れを汲んでおり、その条文から現行の法における会社は「営利を目的とする社団法人」と定義できます。「営利」「社団」「法人」は以下のことをいいます。

  • 営利:事業を通して利益を追求すること

  • 社団:人の集まり

  • 法人:その名義のもと権利と義務を持つ資格があること

 会社は必ず法人格を持ちます。法人格によって、会社に関する法関係が「個人の集合体vs相手」から「法人vs相手」となり、簡便化される等大きなメリットがあります。

「会社」の種類

 会社法では、「会社」の種類が明確に4つ定義されています。

  • 株式会社

  • 持分会社:合同会社、合名会社、合資会社の3つの総称

 株式会社と持分会社の違いは、会社の所有と経営が一致しているか否かです。株式会社はそれが分離され、持分会社はそれが一致しています。
 2020年では全国で会社が約120,000社設立されましたが、株式会社はその約72%を占めています。また、持分会社のうちほとんどが合同会社です。なぜ株式会社と合同会社が人気なのかを、それぞれの形態の特徴を説明しながら紐解きます。

株式会社

 株式会社は、会社が「株式」を発行して資金を調達し、運営する会社です。(株式は、会社の構成員としての地位や権利を表します) 株式会社の大きな特徴は3つで、所有と経営の分離株主有限責任の原則株式による権利の大小決定です。

  • 所有と経営の分離

    • 株式会社の所有者は、株式を持つ株主です。実際に業務を執行する者は、取締役会や取締役です。所有者と経営者を分けることで、カネを持っている資本家が分散して会社を所有し、実力を持っている経営者が実際に会社を運営すると適材適所の形をとれるようになります。

    • ※所有者と経営者は同一人物でも問題ありません。例えば、創業したての段階では創業者のみが出資者となるため、創業者が100%の株式を保有します。ここから増資をしてくれる投資家やVCへの外部流出、創業メンバーへの生株付与やストック・オプションの行使等によって株式の配分が変化し流動性が増していきます。

  • 株主有限責任の原則

    • これにより、株主の義務は株式の引受価格を限度として出資するだけになります。例えば会社が債務を負っても、弁済する義務はありません。

  • 株式による権利の大小決定

    • 株式一つ一つの価値は原則均一で、株主同士の権利の大小はその保有数で決まります。例えば、株式の51%を保有していると会社を実質支配できます。

 以上のように、株式会社は株式の概念によって所有者の流動性・分散性を高め、さらに株主の責任を最小限(=出資義務に限定)にすることによって、会社の所有に参加するリスクを最大限小さくしていることがわかります。

持分会社

 持分会社は、原則出資者全員が業務執行に携って運営される会社です。持分会社の大きな特徴は所有と経営の一致です。また、3つの形態によって所有者の責任範囲が異なります。また、出資額による持分の大小決定があります。

  • 所有と経営の一致

    • 正式な言葉ではありませんが、持分会社は原則所有者と経営者が一致しています。つまり、出資者全員が社員であり、同時に業務執行をします。

  • 社員の責任範囲

    • 合同会社:社員は全員有限責任を負います。

    • 合資会社:社員は無限責任、または有限責任を負います。

    • 合名会社:社員は全員無限責任を負います。

  • 出資額による持分の大小決定

    • 社員一人の持分はあくまで一つで、持分自体の大きさが出資額によって決まります。株式の保有数で権利の大小を決定する株式会社と対照的ですね。

 無限責任の場合、会社の債務についての責任が個人にも全て問われますが、有限責任の場合自身が出資した額にのみ責任が問われます。例えば、会社が150万の債務を返済するとき、100万出資した人はその100万を失うことになりますが、残りの50万の弁済を問われることはありません。

株式会社と持分会社の比較

 話が長くなってしまったので、以上の議論をまとめましょう。

 上の表から、株式会社と合同会社が人気な理由の一つは、構成員の責任範囲が全て有限であるため、会社を運営するリスクが相対的に低いからであるとわかりました。

終わりに

 今回は会社の定義と種類、そしてそれぞれの特徴について簡単にまとめてみました。各記述に細かい例外等も存在しますが、全体像をつかむきっかけになれば幸いです。次回以降は3編ほどに分けて株式会社を深堀りしていきたいと思います。

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