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一寸先は沼

2019年10月18日金曜日午後7時40分頃。
記念すべき私の心がめちゃくちゃにされた日です。
私はその瞬間まで四六時中syrup16gのことを考えてしまう人間になるなんて露ほども思っていませんでした。
沼は入るものではなく落ちるもの。
ネット上にはそんな格言もありますが、今それを痛感しています。

沼に落ちたのはつい最近ですが、私がシロップを知ったのは2016年のことです。
生きているよりマシさがYouTubeのおすすめ欄に表示され、タイトルで興味を持ち、軽率に再生しました。
そして「ふーん、syrup16gええやん」と思い、他の曲も聴いてみようとなった次第です。
そして次に聴いたのが生活でした。
はい。優勝。
1番好き。
良すぎる。
完璧。
神。
その後も翌日とか吐く血とか聴いていました。
で、ある日中古でCOPYを手に入れます。
仮にアルバムとしてそんなに好きになれなくても、生活のためだけに買う価値があるって考えてた。
甘い。
何が「アルバムとしてそんなに好きになれなくても」だ。
シロップが1曲だけで許してくれるわけないだろ。
COPY、神。
1番好きなアルバムです。
控えめに言って大名盤だし大げさに言えば聖典。
シロップではCOPYだけ聴いてきた時間の長さが違うから、その分思い入れも大きいです。
私の葬式では絶対にShe was beautifulを流してくれ。
その後ブックオフでdelayedeadを購入します。
しかし当時の私には刺さりませんでした。
なんか怖かったんですよね。
クロールのイントロ。
今ではクロール好き(かっこいいよね)だけど、当時は怖かった。
COPYとdelayedeadってシンプルなバンドサウンドという点では共通してるんですけど、アルバム全体の雰囲気は違う気がします。
COPYのほうがポップで聴きやすい。
delaydeadはロックに寄ってる。
クロールのイントロに恐怖を植え付けられた私は、delayedeadをろくに聴くことなく棚の奥に仕舞い込みます。
もったいなあああああああい。
きこえるかいなんて当時の私でも好きになりそうなもんだけど。
今も当時もアルバムは曲順通りに聴きたいという考えを持っているので、1曲目でアウトになってしまい、先に進めなかったんですね。
delayedeadで懲りた私は他のアルバムに手を出すこともなく、COPY+αの曲を聴いて満足していました。
買ったのがdelayedeadではなくdelayedだったら違ったのかなあとは考えます。

そもそも私がシロップのライブ情報をリアルタイムで把握しだしたのは十六夜のころからです。
十六夜がCOPY16周年ツアーってことはリアルタイムで知ってた。
十六夜行かなかったの心の底から後悔してるけどそれは以前書いたから今回はスルー。
で、詳しくは覚えてないんだけど、冥途でのお休み期間中にライブ映像を見たらしく。
「シロップも活動再開したらライブ行ってみたいな、こわいけど」
というツイートが残っております。
他に
「映像見たら社会不適合者感薄かった」
「でもRebornのPV目死んでるな」
とも申しております。
とんでもなく失礼な感想を抱いてるな。
社会不適合感薄いというツイートをした日のYouTubeの履歴には翌日のPVが残っているので、これを指して言っているのでしょうか。
翌日のPV好き。
こういうのでいいんだよこういうので。
でも1番好きなPVは正常です。
単純に映像作品としておもしろくないですか?
あのPV、JAWSと似た部分があるなと思って。
JAWSはサメの視点で海面を映すことで、観客に見えない恐怖を植え付けていると読んだことがあります。
正常も同じ手法が用いられてますね。
患者の視点で撮影することで、観る人が疑似体験させられる。
1人称主観の語りの小説もそう。
客観性が薄いから没入感が高い。
正常のPVのあの画面が歪む表現は患者視点でないとできないことだし、あれがあるから映像だけでも異常性がわかる。
すごく完成度の高いPVだと思う。

閑話休題。
さて冥途でお休みしていたsyrup16gに動きがあったのは今年の6月1日のことでした。
そうですサブスク解禁です。
この時点で私はsyrup16gのファンではなくとも好感は持っていたので、サブスク解禁は素直に嬉しかったです。
これを機にいろんな曲を聴いていきたいなとワクワクしていました。
しかし問題が発生します。
私は当時Google play musicを使用していました。
syrup16gはGoogle play musicには解禁していません。
もうね、私からしてみれば大問題。
どうすりゃいいんだ。
私がGoogle play musicを使っていたのは、使うだけでバックアップになることと(アップロードしたCD音源がGoogleアカウントに紐付けられるのです)Googleのアンケート機能で得たお金をそのまま流用できるという2点が主な理由でした。
今でこそGoogle play music以外のサブスクもプレーヤーとしての機能があると知っていますが、当時の私はよくわかっていませんでした。
さらに私はスピッツが好きなのですが、当時スピッツはサブスクを解禁していませんでした。
困りました。
どうする私。
Google play musicにシロップがあれば1番いいのになあ。
そんなことを何度も考えました。
しかし現実問題どうにもなりません。
そこでSpotifyの無料版を試すことにしました。
しかしやっぱりメインはGoogle play musicなわけですから、あまりシロップは聴いていませんでした。
私にとってSpotifyはおすすめの曲を教えてくれるアプリでした。
無料版Spotifyで未知の良い音楽に出会い、Google play musicで当該楽曲をプレイリストに入れて楽しむという方式です。

さてサブスク解禁から10日後のことです。
syrup16gが冬眠から目覚め、ツアーが発表されました。
各地を2daysずつ回り、初日と2日目では全く異なるセトリを披露してくれるとのことでした。
私は「とりあえず行っとくか」程度の軽率極まりないノリで名古屋の2日間に応募しました。
確かオフィシャルサイト先行で初日は当たりました。
2日目は全く当たりませんでした。
各プレイガイドの先行全部応募したけどご用意されず。
土曜日なんて来るわけない。

いつ頃か忘れたけど、夏から秋にかけてSpotifyメインのGoogle play musicサブに切り替えました。
Google play musicは無料版に切り替え、Spotifyのプレミアムユーザーになりました。
スピッツやGoogle play music storeで購入した曲を聴きたいときはGoogle play musicを、それ以外はSpotifyをというように使い分けていました。
スピッツ熱は一時期よりは落ち着いたのでGoogle play musicよりSpotifyと仲良くする時間のほうが増えました。
でも私はシロップを聴きませんでした。
そもそもシロップ以前に音楽をあまり聴いていなかったような気がします。

さてそんなこんなでライブが近付いて参りました。
さすがにライブ数日前は予習のために知らない曲も聴きましたが付け焼き刃にすらなりません。
100曲以上あるしねえ…数日で予習しようとしたのが間違い。
10月18日時点で確実に私が知っていたsyrup16gの曲は以下の通りです。

・COPY全曲
・天才
・センチメンタル
・Reborn
・末期症状
・月になって
・ex.人間
・吐く血
・翌日
・I Hate Music
・生きているよりマシさ

YouTubeの履歴やSpotifyのお気に入り欄を見ると他の曲も聴いた痕跡があるけど確実に知ってたのはこれぐらいだと思われ。
YouTubeの履歴見たところ大学受験前日に「これで終わり」を聴いてて呆れた。
いや受験勉強もこれで終わりだけどさ。
受験前日に聴く曲じゃないだろ。
センチメンタルは、シロップが新木場サンセットに出演していたことを知り、セトリを調べたところ草野マサムネがこの曲リクエストしたからというエピソードに惹かれ聴いた記憶。
ロック大陸漫遊記の「暗くて美しい曲特集」みたいな回でもかけてたよね。
私ねセンチメンタルはCDよりライブのほうが好き。
ライブだとCD版のエコーみたいなふわふわした音がなくなるからシンプルなバンドサウンドでかっこいいです。
生還を観ろ。
あとサビのコーラスが好きです。
解散ライブは弾き語りだからコーラスなくて寂しい。
あれもあれでいいけどね。
I Hate Musicはシャッフルで流れてくるうちに耳に馴染んでいた。
私が知ってる曲たちの中で明らかに浮いてて笑える。

まあねこれを見て思うのが、お前こんな状態でライブ行ったの?ということですよね。
私も思う。
本当にばか。

でライブ当日なんですけど整理番号がかなり良くて2列目で観ることができました。
開演時間までは坂口安吾の堕落論を青空文庫で読んでいました。
ゼミで使うから。
周りの人からはさぞ五十嵐大好き人間に見えたでしょう。
違うんです。
純粋にゼミで必要だったから読んでただけで、五十嵐が読んでたもの読みたい♡とかいう気持ちではないんです…。
でも私ゼミで安吾の白痴を発表したんですけど、白痴を選んだのはシロップの吐く血が白痴から来てるって知ってたからなんですよね…。
五十嵐が安吾読者ってのも確か知ってたし、そう考えると純粋な気持ちではないな…。
え、つら。

肝心のライブはというともう最高〜〜〜!!!でした。
印象に残ってるポイント

・開演前五十嵐のマイクスタンドを見て、ピック多くね?と思った。が、私が他のギタリストを知らなさすぎるだけかもと思い直し、Twitterやらブログやらには書かないでいたが後々ライブ映像を見たら他の人もピック多いって言ってて安心した。
・五十嵐タオルの使い方アグレッシブだな…
・1曲目の天才で(お、天才)と思った。後から振り返って見ると1曲目知ってるというのは大きかったのではないかと思う。
・初めましてタイムでたいこに殺られる。(あーこれやばいやつだ絶対好きになっちゃう)と思いながら手振った。2度と初めましての人になれないの悲しいね。
・ライブ終わったら即Twitterフォローしよって誓った
・ドラムセットが透けてる!!!あんなの初めて見た!!!
・月になって!!!!!!!!!!!
・月になって……月になって…………泣
・生の月になっては本気でやばい。
・やばすぎる。
・なんだあの曲讃美歌か?
・「赦し」じゃん
・自分という存在をゆるしてくれてる気がした
・あのライブでシロップに激ハマりした最大の要因だと思う
・もちろんCDもライブ映像も素晴らしいんです、でも生で聴いてみ?もうね、なんか本当頭真っ白になる。何も言えなくなる。
・絶対また聴きたい…月になって愛してる…
・本編最後のscene through、メロディは明るくて軽やかなのにめちゃくちゃ寂しくなってしまった
・当時の私はラストアルバムのゴタゴタなんて知らないから純粋に曲がそうなんだな…あとは本編最後って察して寂しくなったのもある
・確かアンコールで五十嵐が「名古屋また来るからまた来てね」的なことを言ってくれて、「来る来る絶対来ます!」って心の中で約束しました。絶対行くので絶対来てください。
・(I'm not) by youも神聖な空気ですごく素晴らしかったです…
・スーパーベーシスト様職人すぎでは…?
・「マキリン」って可愛いあだ名とのギャップよ…まじで職人

放心状態でパルコを出た私は「明日も観たい」と思いました。
2列目ということでもみくちゃにされ、身体の節々が痛みました。
17曲中3曲しか知りませんでした。(本当に申し訳なく思っています)
でもそんなの関係なくsyrup16gに魅せられてしまったのです。
明日も観なきゃ嘘でしょと思ってしまいました。
土曜日のチケットは持っていませんでしたが世は大SNS時代ですからその点はどうにかなるだろうと思っていました。
しかしやはり知らない曲だらけでは楽しさも半減してしまいます。
そこで考えました。
生活をやってたら行こうと。
名古屋より前の公演のセトリを検索しました。
やってました。
行きます。
自分で自分の行動力に驚きますが、知らない人にリプを飛ばし、チケットを譲っていただくことができました。
Twitterやっててよかった。
よくよく考えたら生活のために5000円出すってなかなかなお金の使い方ですね。
何も後悔してないし有意義な使い方だと思っていますが、他人に引かれても文句は言えない。

それからMC中に誓ったTwitterフォローの件、帰りの電車で即実行しました。
さらには、スマホを変えたのをきっかけにインスタ断ちしていたのに、たいこをフォローするために入れてしまいました…。
で、このとき「syrup16g メンバー」で検索したり公式サイトを見て確認したりすることなくアカウントを見つけたんですよ。
どこで知ったのかなあ?って不思議だったんですけど、シロップに関する記憶とか思い出してたら判明した。
ファンの人の文章だ。
シロップが再結成したときにファンの人が書いた愛憎あふれるブログを読んだことがあったんだ。
それにフルネームが出てきてた。
多分それが印象に残ってた。
解散以前からシロップを追ってた人が、シロップに動きがあったときにぶちまける愛憎溢れる文章が本当に好きです。
賛美じゃなくて戸惑いとか混乱とか怒りをメインに書かれたもののほうが好きです。
全員書いてください。そして私に読ませてください。

さて迎えた翌日。
私はこの日グッズを買いました。
私にとってグッズを買うってすごく大きな意味を持ってるんです。
その人たちを応援するという点でもそうだし、その人たちを好きだった証を残すという点も私にとっては大きいです。
グッズって形に残る物だしそれなりの熱量がないと買えない。
それを買ってしまった。
ちなみにCタイプのTシャツ(スパム缶のやつ)です。
普通に可愛いと思って買いました。
お習字Tシャツを買う勇気はありませんでした。
今になってみると誤字Tシャツ買っておけばよかったと思いますが、あれは使い道なさすぎるので買わなくてよかった気もする………でもほしい……
でライブの中身なんですけど良かったです。
生活聴けて大満足。
syrup16gが目の前で生活を演奏してくれているという事実で胸がいっぱいになりました。
ちょっと泣いちゃった。
その後翌日をやってくれたはずだけど全然覚えてない。
生活で頭真っ白になっちゃった。
生活大好き人間だから仕方ないね。
あ、でも空をなくすでミラーボールが回りだしたのはびびったし印象に残ってる。
え、そういうバンドなんですか?

さて見事なまでに叩きのめされた私は何かに取り憑かれたようにシロップを聴き始めました。
ここまで一気にハマれたのはサブスク解禁してくれたことが大きいので感謝しています。
Free Throw、COPY、coup d'Etat、delayed、HELL-SEE、Mouth to Mouse、delayedead、syrup16g、Hurt、Kranke、darc、delaidback。
全部に感想書きたいけどもうすぐニコ生が始まってしまうのでとりあえずは強く思ってることだけ。
私は音楽について知識0なのでそれを念頭にお読みください。

Mouth to Mouse
1番語り甲斐がある作品だと思う。
HELL-SEEの売上が伸びず、打開策としてシングルカットされたりして、syrup16gの音楽が「消費」される側面が出ていてやるせない。
バンドとしても転換期ということがサウンドに表れていると思う。
打ち込みとか。
複雑な表情のアルバムだと思うんですよね。
そういうところを含めて好きです。
Mouth to Mouse、スピッツのフェイクファーと重ねて考えてしまうんですよね。
Mouth to Mouseもフェイクファーも過渡期、迷いが見える。
そういう時期だからできた作品なんだろうね。
どちらも混沌としていて面白い作品です。

delayedead
ジャケットに「Warning:it's too late to listen to this.」って書かれてるのがさいっっっっっこうに興奮する。
この文入れた人のセンス抜群じゃん。
「遅れて死ぬ」
「これを聴くには遅すぎる」
は〜〜〜好き……………。

syrup16g
解散にまつわる、余分な(余分ではないかもしれないけど)知識がない状態で聴きたかった。
ラストアルバムがセルフタイトルなの重いね。
セルフタイトルといえばファーストアルバムのイメージなんですけど、ラストアルバムがセルフタイトルなの好きです。
生きた証って感じがする。

Hurt
syrup16gの作品なのに救いがある!!!!!!
すげえ!!!!!!
再発1枚目がそういう作風なの嬉しいね。

delaidback
今のsyrup16gが昔の曲をやっているギャップがおもしろいです。
delayedやdelayedeadだってそうなんだけど、delaidbackは時差が大きいから。
だからそう感じる。

私は再発後の作品だとdarcが1番好きです。
delaidbackは最新のアルバムではあるけれど中身は未発表曲集なので、最新の曲だとdarcということになります。
なので次の「年刊俺」、期待して待ってます。

この4ヶ月半、「最近何してた?」と聞かれたら「シロップ聴いてるよ」と答えたくなるぐらいシロップ漬けの毎日でした。
とても楽しかったです。
これからライブに行ったり音源リリースを待つのもすごく楽しみです。

軽率にチケットを取り、軽率に2列目で待機していたときはこんなことになるなんて夢にも思っていませんでした。
ここまで心をかき乱されるのは想定外だったけれど、幸せなのでオッケーです。
あのとき軽率に動いてよかった。

気が向いたらいろんな映像作品やアルバムごとの感想を追記するかも。
でもあと2時間で開演だから今はそのことで頭がいっぱいです。
楽しみです。

追記
ニコ生最高でした。
私は両日チケット取っていたので、本当なら全部生で観れたのに…とすごく辛くなってしまいました。
しかしあのセトリを生で聴いていたら、新木場をさまよい続ける亡霊になり果てていたと思うので命拾いしました。
6月の延期公演、行けるかわからないんですけど、行けるか行けないかじゃなくて行くんだよ!!!!!!!!という強い気持ちを持ってそれまで生きます。

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