正常のPV

以前少し触れたんですけど、私がsyrup16gのPVで1番好きな作品は正常です。
ダントツで好きです。
今日は正常のPVについて語ります。

まず長さについて。
6分7秒の映像です。
これはHELL-SEE(6分41秒)とも動脈(5分32秒)とも異なります。
HELL-SEE版の0分49秒で聞こえる笑い声のような音が、PVでは0分9秒で聞こえるので、イントロが約40秒カットされています。
あれ、41-7=34でカットされた40秒と計算が合わないじゃないと思ったあなた。
残りの6秒については後ほどお話します。

では映像の中身について。
「 正 常 」
解散前のPVあるある
黒地に白い明朝体で曲名紹介。
さくらとニセモノは白黒逆だね(泣)

HELL-SEEのジャケットがゆらゆら
前述の文字が消えてから約20秒間真っ黒の画面になります。
テレビがアナログ放送だった時代の砂嵐っぽいザラザラ具合です。
その後HELL-SEEのジャケットがゆらゆらと歪む映像に切り替わります。
最初はメイン羊のアップから始まり、次第に引きの画になります。
HELL-SEEのジャケットってただでさえおどろおどろしいのに、歪む加工なんて施されては不穏の一言に尽きます。
この時点ではまだ前菜もいいところなのに、もう不穏。
最高。
最終的には画面中央に吸い込まれていきます。
これも不安になる映像で最高。

③起床~出発
羊ちゃんを堪能したあとはいよいよメインディッシュです。
正常のPVの良さはここから。
ここから先、基本的にカメラは視点人物の目の役割を果たしているのです。
視点人物が見ている世界がそのまま私たちに提供されている(という設定)なのです。
は~最高じゃん…。
これの何が良いかって、没入感がすごいんですよ。
正常のPVはODを描いていると読んだことがあるんですけど、ODを表現したいなら客観的視点で撮ることだってできたと思うんです。
患者の観察映像風にするとかね。
でも視点人物の視界をそのまま撮るというコンセプトによって、観る者にダイレクトに伝わるんです…。
最高。本当に最高。 
視点人物の視界以外が画面に存在しないから、他の情報が遮断されてそこにのめり込めるの。
最高。
JAWSや一人称主観の小説でも見られる形式です。

さて羊ちゃんが吸い込まれた画面は数秒間真っ赤な世界を映し出します。
徐々に視点は下の方へ。
天井、壁、台所らしきスペース、床、ベッドの柵。
どうやらここは部屋の中のよう。
ベッドの上で頭側から足の方を見ているみたいです。
でベッドの柵に目が行くんですけど、これさあ、一般家庭で使われてる普通のベッドじゃないよね。
足元に柵がついてる。
最初「病院のベッドだ!」って思ったけど、保健室のベッドのほうがイメージとしては近いな。
病院のベッドは柵じゃなくて板だから。
PVに出てくるベッドは病院より簡素な作り。
いずれにせよ医療に関係のあるベッドということです。

さて。
ところでこの間も画面はぐわんぐわんしたままだし、赤く濁っているしでとても見づらい映像です。
正直見ていて気持ち良くなれるものではありません。
それがいいんだよ!!!!!!!!

ベッドの柵を映した後、映像がまたも切り替わります。
箱状の物に時計などが乗っています。
サイドテーブルのようなものものでしょうか。
詳しく見てみましょう。

まずサイドテーブルそのもの。
木箱っぽい。
テーブルとして使うための家具ではなさそう。
海賊っぽい無骨なデザインでかわいいです。
普通に簡素なサイドテーブルを置いたほうが部屋の世界観は統一されると思うのですが、なぜ木箱にしたのでしょうか。
違和感は良い方向に作用する場合も往々にしてありますがそれを狙ったということでしょうか。

続いては1番目を引く時計。
数字なし12本の線ありのシンプル且つ機能的なデザインです。
3時38〜39分を指しています。

時計のすぐ前にある中ぐらいのお皿。
薬らしき錠剤がいくつか載っています。

その前の小さなお皿。
灰皿かな?
タバコの吸い殻っぽいものが置かれています。

時計の右側に置かれているのは銀色っぽいコップ。
持ち手ついてるし多分そう。
これで寝る前に薬を飲むということでしょうか。

コップの前。
ミルクピッチャー…?
と言ってもこれも銀色っぽいので、ミルクというよりはガムシロのイメージが強い。
いやでもなぜここに?
時計薬灰皿コップはわかるけどミルクピッチャーはなぜ?
ミルクピッチャーで飲む薬ってあるの?
ミルクピッチャーじゃなくて咳止めシロップの容器か?とも思って画像見てみたけどこういう形してないっぽい。
どうなの?素直にミルク≠ガムシロ=シロップってこと?
それとも意味ない?

サイドテーブルから視点が戻ってきて視点人物が行動を始めます。
ベッドのすぐ脇にビニール素材のスリッパが置いてあり、それを履きます。
ここ個人的に違和感がある。
私が家の中では裸足人間だからかもしれないけど、起床即スリッパってリアリティない。
ここまででもほのめかされているようにこの部屋はリアリティがない。
それがいい。
ちなみにベッドのシーツはマットレスの下にしまうタイプではなく、垂れ下がりにするタイプのようです。

さて視点人物は洗面所に向かいます。
画面に映った情報から、洗面所の右側がユニットバス、左側がお手洗いと考えてます。
で洗面台の鏡に五十嵐が映ります。
ここでやっと視点人物が五十嵐(という設定)と明かされるのです。
ちなみにシルエットではないメンバーがはっきり見えるのはここの数秒間だけです。
五十嵐はパーカーに白いシャツを着ています。
で、視点人物は手を水で濡らし始めます。
手を出したり引っ込めたりしてます。
これ最初顔洗ってるって気が付かなかった。
だって五十嵐の服パーカーだよ。
そんなんで寝る人いるか?(いたらごめん首絞まらないように気をつけてね)
外出かけられる格好だからお出かけ前に手洗ってるんだと思ってた。
お出かけ前に手洗うのもよくわからんが。
正しくは寝起きに顔洗ってるだけでした。
この服よりMy SongのPVの衣装のほうが絶対寝間着っぽさを演出できたと思います。
これだけ言ったけど服はあまり関係ないですごめんね。

話を戻そう。
顔洗ってる最中色も歪みも正常に戻る、かと思いきやまたすぐに異常へ。
顔洗ってすぐ部屋に戻る。
一瞬部屋全体が映るシーンがある。
異様に家具が少ない。
例の普通じゃないベッド、サイドテーブルしかはっきりと認識できない。
画面向かって右側の黒いやつ何?
テレビに似てると思ったけどこの時代薄型テレビないよね?
後から出てくるクローゼット?
画面には映ってないけど左側にはキッチンがあると思われます。
生活感のない部屋ですね。
普通の部屋ではない。

CDをかける。

https://open.spotify.com/album/54DjkEN3wdCQgfCTZ9WjdB?si=spKSHQs8RP-lp9adgWtvqg

扉を開ける。
クローゼット。
服を着替えるようだ。
黒い上着。

CD止める。
流し始めたシーンではプリンスのアルバムしか置かれていなかったのに、このシーンではプリンスの上に黒いジャケットのCDが置かれてる。
画面上では着替えしかしてないから時間の流れを感じられないけど、CDが増えてるってことは着替え以上の時間が経ったってこと?

さていよいよお出かけ。
ここ注目ポイントです。
私は初めてこのPVを見たとき、部屋を病院だと思ってたんですけど、ドアなどを見るに病院ではない。
まず形。
この部屋は開き戸です。
病院ってだいたい引き戸じゃん。
それだけではなく防犯用のスライドラッチがついてる。
さらにお向かいさんのドアには換気口がついています。

部屋の外に出ます。
もし病院ならナースステーションや広いエレベーターホールがあるはずですが、そのようなものは存在しません。
エレベーターに向かうシーンで右側の壁に何かシールが貼ってあります。
一瞬なので読みにくいのですが、「荷物厳禁」と書いてあります。
荷物厳禁=人だけということは、乗用エレベーターと考えていいでしょうか。

https://www.toshiba-elevator.co.jp/elv/mechanism/elevator/use/

上のサイトにもあるように、病院のエレベーターは、ベッドで運ばれる方や車椅子の患者さんがいるため大きめでないといけないはずです。

エレベーターを降りて1階につきます。
右側の壁には掲示板が、左側には郵便受けらしき箱があります。
ここにもナースステーションや受付はありません。
以上のことからここは病院ではなく、ごく一般的なマンションと考えられます。

でもマンションにしては部屋の中の様子が不可解なんですよね。
あまりに生活感がなさすぎる。

(後に根ぐされや遁世をレコーディングすることになる部屋で撮影したのかな)

お外に出ます。
少し歩いたところで手のひらに薬3錠を取り出します。
次の瞬間映像が色も歪みも正常に戻るため、路上で飲んだと考えられます。
やべーなこいつ。

お薬を路上飲みした場所は駅らしき建物の近く。
一面ガラス張りの窓が特徴的です。
車は多く走ってるけど人はあまりいません。
郊外の駅なのかな。
京王下北沢駅がガラス張りなんだけど、ここがそうかはわかりません。
鉄道ガチ勢に聞けばわかるかな。

エスカレーターに乗って移動。
屋内であること、地下鉄特有の看板があることから東京メトロの建物にやってきたと考えられます。
看板に「B16↩」って書かれてるので検索してみたら新宿駅と出てきました。
16は偶然?それともミルクピッチャーと同じでsyrup16gを暗示しているの?
次のシーンでは新宿駅であることを裏付けるように人人人。人の波。
「使えないものは駆除し排除されるよなぁ 雑踏その何割いらない人だろう」の部分で、日本屈指の人混みを映すところ本当に好きだよ。
ところで映ってる人たちはエキストラなのか映り込んでしまった通行人なのか。
通行人だとしたら、気が付かない内にビデオに撮られて自分の姿が残ってしまうってことでしょ?
ほとんど顔とかわかんないし、そういうところは意識して見ないけどこわいねぇ…。

また移動。
半屋内っぽい。
ここでも薬2錠を路上飲み。
色も歪みも元に戻りますが、サビに入ったこともあってか映像が飛びます

演奏シーン。
ここは客観的視点。
映像は一見まともに見えるが左右に行くほど大きくなっているので魚眼レンズっぽい。
カメラが前後に動くに連れて端っこの映像も歪みます。
後ろの壁に映し出された影がやたら大きい。
3人それぞれの真ん前に大きな照明が設置されてる。
まぶしそう。
最後は思いっきり後ろに下がってからの画面中央部辺りに吸い込まれます。
スペースマウンテンか?

間奏は起床からサビ前までの映像を早送りで。
2番。
映像的にも1番の続き。
半屋外のエスカレーターに乗っている。
ユニカビジョンの近くには半屋外エスカレーターがあるそうですがそれ?
その後階段を登り、下町っぽい雑多な場所に出ます。
向かって右側にビックカメラがあります。
ここでも薬2錠を路上飲み。
一瞬正常な世界に戻りますがすぐに元の壊れた世界へ。

でいつものように画面中央部に吸い込まれると、場所がスタジオに移動しています。
スタジオのドアを開けます。
中ではリズム隊の2人が演奏をしています。
スタジオの中とドアが同時に1つの画面に映るとき、ドアは普通の青なのに中は赤い世界なんですよね。
これスタジオのシーンの色味は照明で表現してるってことでしょうか。
メンバーの両サイドに赤い照明が置いてあるのでそうっぽいです。
このドアをくぐることで正常な世界から異常な世界に飛び込んでいることになります。

ここで視点人物と五十嵐の視点が離れ、五十嵐が演奏のためにメンバーの方に向かいます。
3人揃っての演奏。
五十嵐、ライブの真空や天才のPVを彷彿とさせる暴れっぷりです。
左足も炸裂。
またマイクスタンド蹴り飛ばしてる…(9ヶ月ぶり2度目)
リズム隊はライブと同じように普通に演奏してるのでギャップが発生しています。

で最後のシーン。
ここが最初に言った6秒のズレ。
天井、壁、ベッドの柵。
そう、最初に戻ってきたのです。
繰り返しの暗示。
ヤダコワイ!最高!最高!!!!
終わることがないという恐怖。
は〜最高です。
ここが無音なのも最高です。
ありがとうございます。

正常のPVはこれで終わりですが、ex.人間のPVの最後に正常のイントロの雑音が使われてます。
ふわふわが炎上する絵と相まって怖いです。
好きです。

以上です。
想定していたより長くなってびびってます。
みんなも見よう正常のPV。
(ライブでも聴きたいです)
(でもこれが収録されてるブラックユーモアは廃盤だよ。私は中古で買ったよ)

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