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時間について考えること

「過去」

誰しも1度は思ったことがあるだろう。
「あの頃に戻れたら...」「あの頃は良かったな」
こんなこと考えても仕方ないし、思ったところでどうしようもない。
それなのに、どうしても過去を思い出す。

かなり前のドラマで「プロポーズ大作戦」というのがあった。
友人の結婚式に呼ばれた主人公の岩瀬が、学生時代本当は花嫁のことが好きだったにも関わらず、何も伝えられないまま卒業し、そのことを後悔するところから物語が始まる。そこから妖精の力を借りて過去に戻って、やり直そうと試みるのである。

現実に、過去に戻れる「ハレルヤチャンス」があったら、どこの自分に戻るだろうか?
学生時代?社会人1年目?

逆に、どこの自分までは許せるのだろうか?

このドラマの主題歌の桑田佳祐さん『明日晴れるかな』の一節に
「在りし日の己を愛するために、思い出は美しくあるのさ」という歌詞がある。大好きな歌詞だ。

これは本当に核心を突いていると感じる。
美しい思い出はその頃の自分を肯定する。逆に、思い出が美しくなっていないということはその頃の自分をまだ肯定できていないのかもしれない。


「未来」

誰しも1度は思ったことがあるだろう。
「この先どうなるんだろう」「将来このままでいいのか?」
こんなこと考えてもすぐに分かるわけでもない。

「プロポーズ大作戦」の岩瀬は、過去のやり直しに何度も失敗する。
過去を変えても案外現実の変化は小さい。
「未来」の変化なんてもっと小さいのかもしれない。
いや、「未来」が変わったかどうかは実際分からない。
変わる前をそもそも知らないから。


「現在」

誰しも1度は思ったことがあるだろう。
「あー、早くこの時間が過ぎればいいのに」
「最近つまらないなー」

そう思うなら動けよ!って思うが、実際この思考に陥ると抜け出せないものだ。
そして、その後「〜の頃に戻りたいなー」「このままでいいのかな」と続く。無限ループだ。

岩瀬は、何度やり直しても結局変わらない。やり直すべきは過去ではなく、今だと気がつく。
ドラマの結末としては割と平凡な展開な気もする。
ただ、その展開がすごく刺さるのは、自分もその平凡な考えにひどく共感するからだ。

過去に戻ることはできない。
あるのは「今」だけ。
今できることは「思い出を美しく」保つこと、未来に期待すること、今あるチャンスを逃さないこと。

「あの頃は…」と思うことは決して悪いことではない。それは過去の自分を認められているということだ。
「このままで…」と思うことも悪いことではない。それはこれからの「ハレルヤチャンス」を摑もうとしているということだ。


そんなことを考えながら、おかわり無料の定食屋で、さばの味噌煮定食を待っている今の自分も悪くはない。
お腹空いた。貪欲に生きよう。


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