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20代の社畜のオタクが白血病になった

白血病になってちょうど一年になるので、備忘録としてnoteを書こうと思う。

これを読んで、なんか調子悪いな?って思った時に早めに病院へ行く手助けになればいいなと。私自身、もう少し病院へかかるのが遅ければ最悪死んでいたので…でも今は生きててラッキ~~!


自覚症状が出てから、入院するまで

私が急性前骨髄球性白血病と診断され、速攻で病院にぶち込まれた忘れもしない2019年5月28日までのGW明けからの流れを書いていこうと思う。

私は映像系の制作アシスタントをしているオタクである。
まあご想像の通りに昼夜を問わず走り回って、会社で風呂も入らず寝泊まりすることもある、という感じの仕事である。公開間近の作品を担当していること、別作品も並行して動き始めていたので、かなり忙しかった。

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初期症状

初めの症状は、歯が痛い、だった。
虫歯をしたことがなく、たまにいく歯医者では歯石取りくらいしかしない。
これが俗に言う虫歯なのかと思っていたが、虫歯はないという。ついでなので、歯石のクリーニングはしていくことにするが、やたらと血が出る。
にぶちんの私は、この衛生士は下手だなあ、歯茎削ってるなあくらいにしか思っていなかった。

次の症状は、頭が痛い、だった。
元々頭痛持ちなので、ロキソニンはたくさんもっていた。睡眠不足や低気圧でも服用していたので、気軽に飲んでいたし、飲めばひとまず痛みは治まる。

なんだかおかしいかもしれない、と思い始めたのは枕が血まみれになっていた時だ。
寝ている間に鼻血でも出したかなと思ったが、よくよく調べるとなんと唇からの出血だった。唇の皮が捲れただけなのに、枕一面が血まみれになるほど出血していたのである。
ここまでが5月14日までの話になる。

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元気な社畜の日常の一コマ


そして、下がらない微熱が続き、貧血症状として代表的な立ち眩み光がまぶしく見える、白血病の代名詞あざが現れるなど不調という不調が体中に出始めた。
しかし、大病もしたことなく元から鈍感な私は風邪くらいにしか思っていなかった。こんだけ忙しくいりゃあ、体も不調になるだろうし、仕事を納品したら病院に行こう。ここで寝込んだら、人の迷惑にもなるし。
風邪じゃないなら、恐らくストレスから自律神経でも悪くしているのだろうという認識だった。(この時は不規則な生活から、精神安定剤と睡眠薬を服用していたので、ありえそうな話だった)

決定的だったのは、歩くのが辛くなってからだ。
同居人と同じ速度で歩いてるだけなのにどうにも私ばかりが息が上がっているし、脈もおかしい。彼女のすすめもあり、とうとう病院へ行く決意をして、5月27日にその足で近所の内科へ向かった。


病院へ

医師に上記の不調を伝え、自律神経がおかしいかもしれないと相談したところ、念のため血液検査と心電図をとっておこうとなった。献血が趣味の私だったので、注射は怖くない。血液とればなんでもわかるし。
一週間後に結果が出ると聞いて、その日は帰宅した。

翌日の5月28日の朝、内科からの電話に起こされ、できるだけ早く病院にくるように伝えられた。
なんとなく嫌な気配を感じながらも、自分だけはまさかそんな深刻なことにはならないという謎の自信があった。白血病という病気を知識として知ってはいても、そんな儚げな病気がこんなに元気なオタクに当てはまるとは思えなかったのである。
「血液の数値がよくないです。大きい病院で検査したほうがいいですね。紹介状書いてますので、今すぐに。」
寝起きの着の身着のまま、ちょっと近所まで行くだけですよというようなTシャツとステテコにスリッパ、財布と携帯を手に持っただけの私は、ぽかんである。
この格好で??? この格好で……
でも医者がそういうなら仕方ない。私はタクシーをすすめる医者を説得して電車で大学病院へ行った。(お金がないから)
大きな病院の待合室という場の深刻な空気を感じながらも、私の頭を占めていたのは、明日会社に行けないかもしれない!だった。誰より先に上司に明日会社を休むかもしれない連絡をした。社畜はそういうものなのだ…。

いざ診察室へ入ると、医師が口頭一番
「ご家族は?」
え、家族必要なやつなんですか?一人で来てしまった。じわじわと嫌な予感がしてくる。もしかするともしかするのかもしれない。
「恐らく血液の病気です。このまま検査入院してもらいたいんですが、あいにく満床で…紹介状を書くので今すぐ向かってもらえますか?」
ま、まじか~~~~!驚きすぎて、まじですかしか言えなかった。そんくらいしか感想は出てこない。驚きが大きく、ショックで泣くとかそんなことはなかった。思ったよりも冷静に、明日は会社を休む連絡を入れなくてはならないことと、これから遠方の父に連絡して来てもらわないといけないなと算段をたてていた。
各所に連絡しつつ、紹介先の病院へ向かった。たらい回しかよ~と文句も言いたくなるが、血液内科はそんなに多くない。仕方ない。道中の電車で、白血病かも笑 って身内にジャブは打っておいた。


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マジで着の身着のまま、この服と財布と携帯だけの装備



入院

紹介先の病院で、さっそく血液検査骨髄検査を行った。
骨髄検査は、骨髄穿刺という方法で腰の骨に穴をあけて、そこから髄液をとるという、痛そうな処置だ。
実際、そこそこは痛い。でもどちらかというと尻子玉を抜かれるような奇妙な気持ち悪さのほうが目立つ気がする。
そして、血液検査の結果が出ると早々に輸血をされた。人生初めての輸血だというのに、そこまで緊張はしない。
ただ血液が入っていくのを見ながら、もう献血できないんだなあと少し残念に思った。
この時、18時11時に内科を受診してからのスピード入院である。
それから輸血をされながら、医師から急性前骨髄球性白血病でほぼ間違いないだろうとの告知を受けたのだった。

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わかる人にはわかる、数値のヤバさ。血小板なさすぎで草。


よくドラマとかでは、受け止めきれずに泣いたり嘆いたりヒロイックになっていたように思う。
でも実際に自分がその立場になると、体調不良の原因がわかったことで不思議と納得するところもあり、冷静に受け止めることができた。まだ現実感がない、とも言えるかもしれない。
やはりこの時まだ頭を占めていたのは、仕事どれくらい休むんだろう、会社首にならないといいなあということ、そしてやべえまじ金ねえどうしよう!だった。

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そしてオタクはツイッターに書かずにいられない



急性前骨髄球性白血病について軽く


白血病にはいくつか型があり、リンパ性だの骨髄性だのは誰もが聞いたことのある名前だと思う。私のは、白血病の中でもそこそこ珍しいタイプの型で、急性前骨髄球性白血病という、血液中の前骨髄球が変異してしまう白血病だ。
正常に血液が作られないので、赤血球が足りなくて貧血になる、血小板が足りなくて出血が止まらない、好中球が足りなくて抵抗力が落ちる、などが起こる。頭痛発熱立ち眩みあざ、これら全て白血病が原因の症状だった。
また急性前骨髄球性白血病が他の白血病との特徴的な差異として、血液が固まりにくかったり、逆に固まりすぎたり、血液の凝固性がバグってしまうということがある。つまり、放っておくと、突然血栓ができて臓器不全、はたまた出血してそのままお陀仏してしまう。すぐに輸血されたのはひとまず、臓器不全を防ぐのが目的である。
自分で正常な血液が作れないので、これからも輸血はもちろんガンガンされていく。

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輸血と抗がん剤と補液を入れられる図



終わりに


治療が終わってから考えると、自力で病院へ行けた時点でかなり生存率が上がっていたんだなということだった。
これが臓器不全で倒れて救急搬送とかになると、多分かなり厳しい。
なぜなら、白血病は他のがんに比べて進行が鬼のように早い。どれだけ素早く治療に入れるか勝負なところがある。
ほんの数週間でガラッと体調、そして人生変わってしまう。
若くて元気な人でも、体調不良や気になることがあれば病院にかかるのを強くすすめる。
今はステイホームだなんだでなかなか難しいかもしれないけれど、進行の早い病気もあるんだよということが伝わればなと思ったので。
需要があれば、入院中こんな治療をしたよとか、オタクは入院に向いているとか、飯がまずくてつらいとか、こんだけ金がかかったよとか、そういうのも書きたい。

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ちなみに退院した日、喜びがすごい

治療は続くので、薬価の高いお薬の足しにさせてください~~!