信玄入道出撃

  受付から内線が入る。

 「CEOー!内線です。おつなぎしてよろしいでしょうか!?」 
  おう、と受付につなぐように伝える。

 「あ、CEO!ついに武田の信玄入道が遠江に進出しました!」

 「で、あるか。ご苦労。」

 上杉を打倒できなかったため、このままではジリ貧なので動くしかなく、チャンスをうかがっていたのだろう。物流の拠点は全て押さえてしまっているからだ。物資の供給が滞っては生産も流通もままなるまい。このままでは臣従せねば経済が停滞して破綻するのが目に見えている。中継である堺、津島や熱田は抑えてしまっている。陸路も日本海や近江までは遠く、さらには雪が降ると閉鎖されてしまう。岩村城は囲まれているがしばらくもちこたえてくれればよい。海運は駿河、相模は伊勢湾で止めてしまえばよい。いくら金があっても何も調達できまい。とるべき道は義元と同じで熱田に向かうのか?世間では武田、武田と言うが戦は経済力である。なるほどいまは多方面に敵を抱えているが持久戦でしのげば道は開ける。何と言ってもそれだけの経済力が当社にはあるのだから。冬の間に信玄が熱田を攻略できねば持つまい。

 とりあえずは鳴海、大高野線までで次の春までもちこたえれば補給がもたずに撤退するであろう。ここは佐久間部長に任せるか。彼とっても存亡の危機だ。なんといっても彼の領地を通る。頑張るだろう。

 「ようし、信盛部長に伝令だ。援軍に向かわせろ。よいか。進撃を遅らせて相手の補給が尽きるのを待たせるのだぞ。」

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