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君の面影を見た
忙しい日々と体調不良の日々が繋がった。
家事が間に合わず、生乾きのバスタオルが部屋の物干し竿に連なっていた。うちにあるバスタオルは、そこにかかっているもので全てだ。
一番小さいバスタオルがまだ湿っぽいとはいえ使えそうだったのを確認して、浴室へ。
シャワーを終えてそのタオルに手を伸ばす。たくさんの猫が描かれたその中の一匹と目が合った気がした。
でんと横になった茶トラの猫。なんだか「やれやれ、仕方ないな」みたいな顔をしているような気がした。
そのタオルは、一人暮らしを始めた頃に新調したものだった。実家に住む猫と離れ離れになるのが耐え難く寂しくて、箸やらしゃもじやらとにかく猫の絵柄や形の生活用品を選んでいた。そうして手に入れたバスタオル。たくさんの猫が思い思いの格好で描かれている。
僕が君の世話を焼いて、君に世話を焼かれることなんて無かったはずだけどな。と思う一方で、とはいえたくさんありがたいと思うことはあったなと気がついて、やっぱり世話は焼かれていたのかもしれないと思い直す。
線香をあげよう。あの日あげたいと思ったモンプチは間に合わなかったけど。
もう1年が経とうとしてるなんて。