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ぱしゃりと短歌

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短歌一首+写真一枚のつぶやきまとめ
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液晶も窓も水槽も眼鏡も触ったぶんだけ汚れるね

しょうもないことでのこった傷跡も目印にしてまた会いましょう

ベルのなるほうへ走っていってしまったあなたの手の温度がまだ残る

宝くじがあたったあとにやることの話がじわじわまとまっていく

にんげんのことばがわかっているときの猫はぽかんとした顔をする

短歌/空き缶を持ったあなたが近づいてきて缶の色ばかり覚えている

短歌/ひだりてをあなたは握りしめてきてゆうやけだよとひらいてくれる

短歌/炒飯がわたしにだけこない夢をみてぼろぼろに泣きながら目覚めた

短歌/夜がくるとおしまいになるところからはじまりになるところへ向かう

短歌/「ワンワン」はヒト語でいえば「もうにどと雪はやみません」ぐらいの意味

短歌/今日中に今日がおわるか確かめるために閉め忘れている蛇口

短歌/これ以上ないセックスのあとでみる悪夢はバランスがとれている

短歌/蝶々たちが逃げきった夕立にこれからうたれにゆく君の肩

短歌/すこし濡れるぐらいじゃつまんないよとそこからはつなぎっぱなしの手