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2016年 愛でた展示

((旧ブログから移設した記事です))
2年ぶりです。
よかったとか、気になったではなく「愛でた」展示です。でも、基本的に行ってよくなかったとかいう展示なんてほとんどないので、「最も愛でた展示」ですね。5個選んでみました。今年はいろんなタイプの展示を見たな、という気がしています。見せ方って本当にたくさんあるんだな、と。

1.村上隆のスーパーフラット・コレクション ―蕭白、魯山人からキーファーまで―
2016年 1月30日- 2016年4月3日 横浜美術館
これ、もう去年の展示じゃないの?くらいのイメージですが…ちょっと時期ずれて森美術館の村上さんの「村上隆の五百羅漢図」展と一緒に見た人も多いのではないでしょうか。まぁ、いろいろな批評がありましたが、森美の展示も間近で村上さんの作品を見られる貴重な機会でした。それで、この横浜美術館の村上さんのコレクション展ですが、これは、彼の作品のアイディアやエネルギー源になっているような、作品が生まれる村上さん自身の内面的な趣向が見られる点で素晴らしかったのです。村上さんはもう本当にインターナショナルな〝文化人″だなぁ、と改めて思います。自身の作品も国際的に展開・成功しているし、自身の膨大なコレクションも持っているし、アート業界内での雇用も生み出しているし、国内メディアとかでもっと文化人〝有識者″として重宝されてもいいのになぁ、と思います(有識者というのは時には大衆から批判されて炎上したりするけど、やっぱり一目置かれる人ってイメージで)。展示内では、個人的にAnselm Reyle(アンセルム・ライル)の作品とかとてもよかったです。

2.Volez, Voguez, Voyagez – Louis Vuitton」(空へ、海へ、彼方へ─旅するルイ・ヴィトン)展
2016年4月23日- 2016年6月19日 麹町特設会場
現代アートの企画展ではありませんが、世界最大級のラグジュアリーブランドコングロマリット企業ですよ、ルイヴィトンさんは、憎いですわぁ。という訳で、LVの歴代の鞄にフォーカスした展示でしたが、豊かな物語性・蓄積された歴史・高い工芸技術の集結を惜しみなくみせつけるような展示でした。アート見ない人もきっとたくさん行っただろうと思いますが、展示自体は、美術館・博物館的なルールに乗っ取り、ただのブランド史の陳列じゃなく、とても気品ある感じに、楽しめる見せ方をしていました。それは、永らくLVがアート業界への積極的な支援をしていたり、コラボレーションをしていたりする所以だろうと思わせるし、ぐうの音も出ませんが、負けてらんねぇ!みたいな気持ちになります。

3.ANTIBODIES Collective Installation&Performance「惑星共鳴装置」
2016年10月1日、2日 東京都庭園美術館
秋の気持ちがよい日よりに庭園美術館の庭で行われたダンス・インスタレーションパフォーマンス公演です。庭園美術館がリニューアル記念で行っている連続企画の1つなのだが、庭園で行われたのはこの企画のみでした。公立の美術館が先鋭的でオープンな企画を行うのって都内・年間でみても、とても少なくて、まだまだ日本の公立美術館ってお堅いなぁ、って気がします。そんな中での、このような企画はどんどん推していきたい。ちなみに、この庭園美術館の庭は長く改装中で、現在は一部しか立ち入れないけれども、昼には親子の団体ピクニックとか地域の憩いの場になっているようで、開放的で素敵です。パフォーマンスは、芝の部分を大々的に使い、様々なパフォーマーが同時にいろいろなことをしていて、前とか後ろなんてないようなものでした。何かがはじまるとそこに観客が輪をつくり、作品とともに見る人も移動するようなカーニバルのような市場のような不思議な空間でした。また、こんな公演やって欲しいなぁ、という願いも込めて。

4.Chim↑Pom 『また明日も観てくれるかな?』〜So see you again tomorrow, too? 〜
2016年10月15日 – 10月31日 歌舞伎町振興組合ビル
解体予定とか廃ビルや住宅利用最近増えてますよね、個人的にはそれだけで安易に楽しいし好きで、街中に一時的に現れるマレビト的な作品という存在っていうのにとてもわくわくします。ですが、この企画は、Chim↑Pomのエリィさんをはじめ、彼らにとって歌舞伎町はホーム的な場所だっただろうし、TOHOビルができて様変わりした歌舞伎町をきっといろいろな想いで眺めていたのだろうなぁ、と思わせる、すごい気合を感じる企画でした。展示は、まぁ、いうまでもなく相変わらずの迫力なのだけど、とにかく期間中に行っていた定期的なイベントがいろんな人をあの場に呼び寄せるきっかけをつくっていたようで魅力的でした。道の角のスペースでちょっと離れた斜め向かい側には交番があるようなところで、はじまるライブやパフォーマンスに見に来た客が群がり、通りすがりの客も足を止めて参加したりして作り出す熱狂が本当に胸熱でした。写真はずっと忘れられない悪魔のしるし危口さんの100人切りのパフォーマンスの様子ですが、見てる多くの人が笑顔、いいなぁ。

5.「サイトスペシフィック疲れと、場所の憑かれ」 展
2016年11月25日 – 2016年12月11日  ゲンロン カオス*ラウンジ五反田アトリエ
昨年から福島県のいわき市平地区を舞台にカオス*ラウンジが取り組んできた市街劇という名のツアー型インスタレーション作品群にとても興味があったのですが、なかなか行けないんですよねー都外…。という訳で指をくわえてスクリーン越しにその様子を見ていたのですが、今回の展示は、今年カオス*ラウンジが行った各地での(瀬戸内芸術祭といわき市の2016年の企画)の総括展示ということで、都民としては嬉しかったです。そして、「疲れ」というキーワードで問いかける地域調査型作品への疑問という視点もとてもよかったです。展示でわかるのは、サイトスペシフィックな広大な展示を凝縮すると本当にアーカイブと残骸みたいになるということであったが、「再構成」の模索って大事だと思いますし。個人的に、ここ数年でみると、地域の歴史を掘り起こして大規模な企画に仕上げるのはやはりカオス*ラウンジ集団がいちばん強い気がしています。

あとは、年をまたいでBARRACKOUTとか期間延長しているよかった展示もありますね。
来年もたくさん見るぞー、たくさんエネルギーもらいまーす!

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