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わたしね、随分大人になったよ

これを書き始めた日は1月25日。
中学一年生頃から追いかけているアイドリッシュセブン和泉一織の誕生日だ。
推しの誕生日ということで、高校生の頃の苦い思い出のお話をしようと思う。

中学の頃は、高校生というものをとてつもなく大人のように感じていて、HoneyWorksの描くようなキラキラしたものだと信じて疑っていなかったし、自分もそうなれると思っていた。
自分次第ではあるけれど、私はキラキラした高校生活は送れなかったよ。
大学2年生の私より。

中学生からオタクとして生きてきた私。
アニメや漫画の世界にも推しがいた。
私は惚れっぽい性格なので好きな作品に1人はいた。いわゆるDD(誰でも大好き)というやつである。
アイドリッシュセブンの和泉一織を始めとして、ŹOOĻの亥清悠。
ハイキューの二口堅治、縁下力、及川徹、北信介。
にじさんじの剣持刀也。
挙げ続けたらキリがないので省略するけれど。


今挙げた推しはみんなもれなく歳を取らない、高校生だ。
彼らは歳を取らない、という現実に私はそれはそれは泣いた。
同じ時間を過ごして同じように歳を重ねられないことがあまりに悲しかった。
推しの誕生日には生誕祭をやっていたのだけれど、少しだけ寂しい気持ちだった。
Twitterの生誕イラストや祭壇を見ては変わらない年齢に現実を突きつけられて泣いた。
ハイキューでは未来の話が描かれているけれど、その未来の過程を同じ速度で過ごせないことにまた泣いた。
私が好きになった時は私より年上だったのに、いつの間にか追いついてしまって、あっという間に彼らより年上になってしまった。

当時高校生だった私は、北信介のリアコだった。
北信介の丁寧さ、真摯さ、強さ、優しさ、生き方に憧れた。そんな風になりたいと思った。
どうしようもなく恋に落ちていた。

好きになってからというもの、少しでも追いつこうと上を見上げて必死で背伸びをしていたのに
いつの間にか追いついて同じところに立っていて
気づけば彼を追い越して、振り返ってもどんどん遠くなっていった。
交わるのはほんの一瞬だった。


こんなに好きなのだからと、北さんのことをたくさん知っているつもりでいた。
漫画も全巻読んだしアニメも何回も見返した。アニメのサウンドCDをプレイリストにして毎日聞いたり、好きなシーンを何回も見返したり、ラジオなんかもYouTubeで探して聞いてみたりした。
だけど私は、切り取られた時間の中の描き出された彼しか知らない。
知っていたようで、彼の世界を、彼のことをほとんど知らない。
彼の温度も、体の厚さも、私は知らない。
現実を突きつけられる度ショックを受けた。

もし彼がここにいたなら
私が彼の世界に行けたのなら

教科書を忘れた私に「仕方ないな」って机をくっつけてくれたり
授業中に寝ている私に「寝んなや」って言ってきてくれたり
ふと目が合った時に微笑まれてどぎまぎしてしまったり
バレーをしている彼を密かに見に行ったり
宮兄弟の喧嘩を仲裁してる姿を見て頼もしいなぁと思ったり
女の子に囲まれて仲良くしているのを見てモヤモヤしたり
テスト前に勉強会をしたり
テストの結果で子供のように騒いだり
雨の日
傘に入れてくれた彼の横顔に見とれたり
肩がぶつかって少しだけ緊張した空気が流れたり
心臓の音が聞こえていそうなほど、雨の音がやけに静かに感じられたり
2人してずぶ濡れになって走って帰ったり
用もないのにLINEしたり、何気ない会話で笑いあったり
変えた髪型にすぐ気づいて褒めてくれる彼に惚れ直したり
彼のなんでもない仕草を変に意識してしまったり
真剣な彼の瞳を誰よりもまっすぐで綺麗だと思ったり
大人になったらお酒を飲んで昔話をしたり
仕事の愚痴をこぼしてみたり
飲みすぎた私を呆れながら介抱する彼に触れて愛おしさが溢れそうになったり

どこかにあるようななんの変哲もない生活の中に、彼がいる。
そんな幸せな生活を夢見てしまったこともあった。

優しい声で名前を呼ばれてみたかった。
名前を呼んだらこっちを向いて笑う顔が見たかった。
彼の笑顔の理由の一つになりたかった。
そばにいて、苦しさも悲しみも一緒に背負いたかった。
出来ることなら彼の1番の存在になりたかった。

だけど、そんなわがままは言わないから
私のことを知らなくてもいい
出会えなくてもいい
私だけが見つけて見つめているだけでもいい
なんの接点もなくてもいいから同じ世界で生きたかった。
世界のどこかに彼がいる、そんな世界で生きたかった。
同じ速度で歳を重ねて、同じ時間の中で過ごしたかった。
ただそれだけでいいのに。たったそれだけでよかったのに。
それすら叶うことはないってちゃんと分かってた。

話しかけても私に言葉は返ってこない。
触れたくても触れられない。
どんなに想っても届かない。
彼が流した涙を拭うことも
彼に言葉を届けることも
ありふれた日常でこぼす表情を見ることも
それを愛おしく感じることも叶わない。
という現実が苦しかった。

頭じゃ分かっていても心が追いつかない
現代で言うシンデレラボーイ現象みたいなそんな葛藤をずっとしていた。

この想いはきっと理解されないし、どんなに想っていても届かないけれど
私が隣にいることで幸せだと笑ってくれる顔を見られないのならせめて
せめて、世界で1番、誰よりも幸せになってほしいと思っていた。

ちなみに同じようなことを二口堅治や縁下力、亥清悠や和泉一織など、その時1番ピークだった推しに同じことを何回も何回も考えては泣いていた。
もはやリアコではないのでは?

そんな高校生活を送っていたっていうお話。

この時期はsumikaの「願い」を聞いてはボロ泣きしていた。
気持ちそのまんまだったんだもん。
どうしたらいいのと泣いてしまった。

そんな私も今年で21歳になる。
今考えると高校生という年下を推していることになるけれど
私が年齢を重ねても、いつまでも尊敬出来る推したちはどこまでもかっこいいなぁと何回も何回も恋に落ち続けている。

もう3年くらい前の話になるのかな。
時間の流れって早いね。
でもいまだに大好きなことは変わりないよ。
これから先の人生でも、私の彩りとなって、光となってずっと輝き続けていてね。
どうかずっと幸せでいて。
そう思えるくらいには
わたしね、随分大人になったよ。

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