人間失格 太宰治 青空文庫

私の母が小学五年生の頃読書感想文を人間失格で書いただとか。暗く、書きにくかったと言っていた記憶があり、手に取ることが億劫になっていた一冊。ついに!
読みやすかった。一日で読み終わった。小説を読むと主人公に共感してしまうことが多いのだけど、私は主人公に感情移入しやすいタイプなんやろうか?今回も葉ちゃんにひどく共感した。人間を恐れ、その裏返しに人間の機嫌を伺いながら常に人間の好意を買ってきた彼が、ついにその道化に限界を迎え、酒と女と薬とに依存し、壊れていく話。まず人間が怖いと言うのは、すごくわかる気がする。私の場合特に初対面の相手に対してはとりわけそういう節がある。さして面白くない冗談を交えながら相手の機嫌を伺い、話題が途切れないようにする。私のような人間は多いと思う。だから初対面の人と喋ったあとめっちゃくちゃ疲れるんよな、、、
前半の書記は彼の子供ながらにいかにも冷めた感じがあらわれてて、めちゃくちゃ好きやった。自分のする全ての言動が人間に対する恐怖への裏返しであることが事細かに書かれてて、自分でも信じられないくらいスラスラ読めてしまった。特に、自分を取り繕うことなく恐ろしい絵画を描き、本来の自分を曝け出すことの快さを感じるシーンは印象的やった
後半は、ひたすら酒や女や薬に依存して壊れていく様子が描かれていて、人間に対する恐怖なついての記述が少なかったように感じた(気のせい?)、それらへの依存によって誤魔化されていたんかな、?ただ傍からみたらただのゴミクズカス男やろ、、心中しようとしたのに自分だけ生き残るのもエゴでなんか良い、、(えらい淡白な感想!!!)まあ人間が怖いだの言いながら、終始女のことは舐めてたよね。超個人的な意見にはなるけど、私も目が死んだような、なにか目の奥に闇が感じられるような、気怠げな男性ってすごい魅力的に感じてしまうんよな、女から好意を寄せられる彼にもそういう魅力があったんかもしれんなー。


めっちゃ印象に残ってる一節で、

『恐怖すればするほど好かれ、そうして、こちらは好かれると好かれるほど恐怖し、皆から離れて行かねばならぬ、この不幸な病癖ー』

てのがあって、これ、割と真理やなと思った。自分が恐れてる対象って、母親でも学校の先生でも先輩でも上司でも、怒られないように、嫌われないように、機嫌を取って自分のことを少しでも気に入ってもらおうとするけど、そうやって向こうが自分のことを気に入ってくれるほど、相手を多かれ少なかれ欺いてる自分に対してひどく幻滅したり、罪悪感だったり、自分に騙されている相手が滑稽に思えたり申し訳なく思えたり、こう、真っ直ぐじゃない気持ちが芽生えてきて、さらに気持ち悪く、居心地悪くなるというか。一度そうなったからには、また機嫌を損なわぬようにしなあかんから、自分への負荷も増えるし。一生をかけて欺き続けないといけないこともあるかも。そう思うとめちゃくちゃ怖いな。私の考察が的を得てるかはわからんけど、この一節はめちゃくちゃ印象に残った。

今まで読んでなかったことをひどく後悔した。てかこんなに読みやすいものやと思ってなかった。太宰治についてももうちょい調べてみたいな、そしてこの幼稚な感想がいつになったらかっちょイイ感想になるのかな^_^

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