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信じがたい事(Chapter1-Section2)

 2001年、某掲示板で「ブラック企業」の言葉が社会現象化になりました。その10年も前に、ブラック企業の被害にあったのですから、ボクは少数派の部類に入るんだと思います。少数民族しかり障がい者しかりLGBTしかり、周囲の理解が得られないことはマイノリティーの辛さです。
 
 被害にあった話をしても「お前に何かしらの落ち度があったのだ」と言われ凹みました。会社がそんな事をするなんて、当時の誰もが信じがたい事の1つでした。企業ありきで人生設計した団塊世代にとって非正規雇用は信じがたい事で、「正社員になれないお前に落ち度がある」と言われた人も少なからずいると思います。
 
 団塊ジュニアのボクにとって、バイトテロは信じがたい事に映りました。一体、何の得があるというのでしょう。ただ、株価は暴落したので、仕手筋集団が闇バイトを雇い、空売りしかけに使えると思いました。
 仕手とは、人為的に相場操縦することで、株をやり始めた時に手を出したアラビア石油が仕手化して青ざめた経験があります。

 子どもの時分、共働き世帯の子が「カギっ子」と呼ばれていました。その子に何の罪もありませんが、社会の風潮が何やら悪いように言っていました。性別役割分業意識が根強かった時代の話で、今はそんな風に言いません。
 1999年、日産に就任したカルロス・ゴーンがリストラを敢行しました。株価が下がると思って相場を見ていましたが、予想に反して上昇。とても不思議な現象に映りました。

「株は悪材料で買い、好材料で売る」という格言があります。「逆じゃないの?」と思いますが、これも信じがたい事の1つです。
 
 企業のリストラは、株式市場では「コスト削減による利益率の上昇サイン」として捉えられ、株は買われます。大勢の人生を狂わせての株価上昇は、やるせない気持ちになりますが、これが市場原理というモノ。

 先日、中古車販売大手の「ネクステージ(3186)」の株を買いました。ビッグモーターの不正同様、不適切な保険契約事案が発覚して急落。ビッグモーターは未上場ですが、連想の早い投資家はネクステージの空売りをしたはずです。2000円ほど下がったので、100株の空売りでも20万の差益を獲得した計算になります。
 ボクは逆張りで、1960円で拾ったので今日の差益だと+14200円。ちなみに、信用取引が出来ないと空売りは出来ません。

 さて、話を路上生活時代に戻します。
 1991年はガラケーも存在してなく、携帯電話が普及したのは1993年。電話帳は寮に置いたまま、友人に連絡さえ取れず。また不運なことに、うちは離散家族だから親に頼ることも出来ません。
 幸いなことに営業中の渋谷区役所に駆けこめて、事情を説明しましたが救済策はないとの説明を受け「利息付きで3万円の貸付は可能です」と言われて立ち去りました。

 ボクは親との関係が悪くて、高2で家を出て自活。夜勤のバイトをし、学校で寝る。そんな生活を送っていました。
 最初から、父と不仲だった訳じゃない。第一次ベビーブーマーの両親は、高度成長期と共に繁栄を享受し、離婚するまでのボクは幸せな幼少期を過ごさせてもらった。
 1980年代は、株価と地価が高騰(バブル)した金余りの時代で、NTT株の高騰で大金を手にし、それで家を手にした人もいました。チューリップの球根が、NTTに代わっただけです。
 最近25分割しましたが、数十年後のNTT株は、家を買えるほど株価が上昇するかもしれません。2000年のITバブルで、ヤフー株が1億なった事もあります。株の世界は、そんな信じがたい事が起こります。

 バブル期は、銀行員が「お金を借りてください」と頭をさげた時代でもありました。何を血迷ったのか。父は借りなくてもいいお金を半ば銀行員にそそのかされて借金し、1帖程ある大型コピー機を1000万で購入していた。中学生の時分でも「それ必要ないんじゃない?」と思うほどだった。
 景気が悪くなると、暴力を振るうようになって一緒に住めなくなった。それが家を出た理由。その後、貸し剥がしに遭ったのは言うまでもない。
 借金や経済的要因が、家庭や人間関係を壊し人生を狂わせる。お金が発明された時から、その因果関係は変わっていないと思う。
 
 ボクにとって借金は忌避するもの。だから役所で借りなかった。消費者金融も利用しなかった。貸付以外の救済策がないと知った時はショックで、3万でどう身を立て直せというのか。役所の対応に呆れてしまった。
 
 コンビニで履歴書なしでOKな警備員のバイトを見つけた。「研修4日目に2万円支給!」の見出しに惹かれ、制服貸与は着替える事ができる機会でもあった。早速、面接をとりつけ、4日の辛抱だと意気込んだ。

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