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読書室の窓辺から (1)

こんにちは。富岡です。
こちらは、課題図書型読書会「対談読書室」の1回目「課題図書『プリズン・サークル』を語り合う (1)」の振り返り記事になります。

第1回 参加人数

・スピーカー :5名
・リスナー* :4名
*スピーカーによるディスカッション中は聴き手に徹し、読書会の全体の振り返り時に任意で発言可

読書会が初めての方から、『プリズン・サークル』に特化した読書会に何度も参加されたことのある方まで、幅広い読書会経験層の参加者が集まりました。
スピーカーの方はもちろん、リスナーの皆さんからも熱いご意見・ご感想をいただいた、大変盛り上がった会となりました。

読書室の風景

『プリズン・サークル』の課題範囲を読みながらの反響をご紹介していきます。

プロローグ「新しい刑務所」

スピーカーからは、プロローグの xvii ページに共感が集まりました。

『プリズン・サークル』の舞台は刑務所だが、これは「刑務所についての映画」ではない。語り合うこと(聴くこと/語ること)の可能性、そして沈黙を破ることの意味やその方法を考えるための映画だと思っている。

『プリズンサークル』坂上香(岩波書店)xvii ページより

私たちは、どこかで語ることを諦めてきたのではなかったか。それ以前に、語ることを諦めさせられてきたのではなかったか。

『プリズンサークル』坂上香(岩波書店)xvii ページより

1 ある傍観者の物語

スピーカーからは、6ページに共感が集まりました。

あなたは今まで黙って見ているだけの「傍観者」だったかもしれない。しかし、コミュニティにおいては、どんな人にも重要な役割があり、感情面、肉体面、知的面とすべてにおいて、積極的に参加することが求められる。それは掃除などの生活面から、グループ内の話し合い、新しいメンバーを迎え入れることまでの全般を指す。問題を抱えた人が自分の成長に積極的に関わっていくことは、コミュニティの成長にもつながる。傷を治癒するのは、医者やカウンセラーではなく、コミュニティ自身である。

『プリズンサークル』坂上香(岩波書店)6ページより

この文章の「傍観者」を参加者自身の「自分事」として受け止める方が多かったこと、そこから発展して「主体的に生きるとは何か」が主な論点に挙がったのも、興味深い点です。
そのために必要なこととして、一般市民にも「家でも職場でもない『第3の居場所』が必要なのではないか」という居場所論に発展していきました。

2 感情を見つめる

スピーカーからは、「エモーショナル・リテラシー」に注目が集まりました。
「子どもの頃に、道徳などで、この単語に出会いたかった」「いざ、エモーショナル・リテラシーが必要といっても、自分のなかの語彙がまだ豊富ではない」といった意見がでました。

また、自分のなかのモヤモヤを「名付ける」ことによって初めて人は自分のモヤモヤを「感情」として「扱う」ことができるのではないか、という指摘も出ました。

今回の課題範囲を振り返って

スピーカー、リスナーから、様々な感想が寄せられました。
一部抜粋してご紹介します。

  • コミュニティでの出会いや縁を大切にしたいと思う。しかし、この気持ちを「大切」という語彙以外でも表現できるようになりたい。

  • プロローグでは「語ることの大切さ」、第1章では「心理的安全性」、第2章は「(自分の感情を)消化する」ことがキーワードだったように思う。

  • 本で示されている「繰り返し語ることの大切さ」。繰り返し語ることによって、その人個人の体験談を消化していく瞬間が訪れることもあるかもしれない。

  • 「傍観者になるとはどういうことか?」から話が始まっていく、この本の構成が良かった。

  • 28ページで「感情の筋肉」の8つの要素が具体的に書かれている。素晴らしい理論。本の中の訓練生だけでなく、自分も言葉にできていなかった。

  • 「傷を見つけることが大切だ。見つめて、認めるには勇気がいる。傷は、あなたに方向を指し示す。出発点を示す(29ページ)」は希望が持てた。本人が、外部に阻害されずに、本音を口に出せることが大事である。

主催者からのメッセージ

途中休憩を挟んだとはいえ、約2時間という長丁場があっという間に感じられるほどの熱量で読書会が終えられたことを嬉しく思います。
皆さんの、「話したい!」という思いを共有できた、良い機会になったと思います。次回以降も、よろしくお願いいたします。