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first love

遠い昔の思い出
潮の香りと巻貝
夏の思い出

鮮やかなブルーと
どこまでもクリアな水飛沫
それだけが思い出される

ジンジャーエールは
スパイシーで甘い

失った恋のひとつ
その時は
痛くてしゃがみ込んで
もう立ち上がれないと思っていた

けれど

何度も恋をして
同じだけ
恋を失った

美しい思い出ばかりではない
怒りも
憎しみも
無関心も
練りこまれたどす黒い塊が
心の倉庫に積まれている

失ってしまえば
なくなってしまえば

痛い
悲しい

自らが別れを望んだとしても
いろんなダメージは受けるもの

それでも

時は流れ
淀みは少しずつ薄れていく
(完全になくなることはなくても
痛みや傷は薄くなる)

初恋を失い
泣く私を
今の私なら
抱きしめることができる

そして

初恋の巻貝は
螺鈿の箱に
今もなお
大事にしまってあることを
教えてあげることができる

透明で
何も知らなかった私

だからこそ

その思いは
心の海の底に沈み
まだ光をはなっている

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