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礼文島コンシェルジュ/観光スポット #3 スコトン岬


概要

礼文島最北端の岬『スコトン岬』
原名は、アイヌ語の『シコトントマリ』で岬の突端から西岸に500mほど南に下った入江の名称です。シ=大きな、コツ=凹み(谷)、ウン=である、トマリ=入江で“大きな谷の入江“という意味と『スーコタン=夏の村』という意味の2つの説があるそうです。

漢字で書くと『須古頓岬』。“ストコン“とは何と言うか、ひょうきんで面白いネーミングですね。

ここは、日本最北端ではなく『日本最北限の岬』です。それを示す標識も建っています。

海岸段丘よりスコトン岬を望む

夏、岬は、霧に覆われることが多く、海に突き出た地形のために突風が凄まじくて帽子が飛ばされることも。また、夕日を望む絶好の場所でもあり、晴れた日には、遠くロシアのサハリン島(樺太)を望むこともできます。さらに島内でスターウオッチングができる場所としても知られていて、見上げる北極星は、一段と高く、その輝きを見せてくれます。岬には、『日本最北限のトイレ』や『日本最北限のお土産店』もあり最果て感をアピールしています。

開放感を感じる“日本最北限の岬“

沖合いには、平坦な『トド島』(無人島)が横たわっています。以前は、船で渡ることも出来ましたが、現在は、残念ながら運航されていません。
岬とトド島の間の海には、時折、トドならぬアザラシが、その可愛らしい姿を現し観光客を喜ばせてくれています。

ここはまた、トレイルコース『愛とロマンの8時間コース』と『岬めぐりコース』の出発地点でもあり到着地点でもあります。

ブラタモリ的地形考証

『スコトン岬』の下の岩礁は、1000万年前(新生代新第三紀中新世後期)に海底火山で噴出のドレライト(粗粒玄武岩)の岩脈や岩床で構成されています。また、車石状の節理も見られます。

スコトンの集落は、標高20〜30mほどの平坦な海岸段丘の上にあります。
その成り立ちが、どのようなものだったかと言えば。
段丘面には、厚い堆積物がないことから「海食台」(波などによる侵食によって形作られた平坦な地形)であったと考えられます。
この海食台が、いつ頃に形成されたかは、よく分かっていません。
仮に12万年前の最終氷河期における海食台が形成された標高と段丘の堆積物から推定される当時の海と陸の境界線の高さ(汀線高度)より考えると、12万年の間に海と陸との境界線は、約30m上昇したことになるのです。
段丘面がスコトンからトド島へと北に向かって緩く傾斜しているので大昔の海は、今よりも北方の沖合にあったことになります。

ゆるやかな坂をくだってスコトン岬へ

日本最北限と日本最北端

宗谷岬は、北緯45度31分22秒、スコトン岬は、北緯45度27分51秒。
よって、宗谷岬の方が約3分31秒、距離にして約6541m北に位置しています。以前、宗谷岬もスコトン岬も共に“日本最北“を名乗っていました。
しかし、最新測量の結果、宗谷岬が『日本最北端』と判明したので、スコトン岬は、“苦しい表現ですが“『日本最北限』を名乗るようになったのです。

日本最北限の標柱

トド島

スコトン岬の約1km北に平坦な島が横たわっています。これが『トド島』(無人島)です。岬から見ると樹木の影も見えない風景は、北辺の寂しさをかもし出しています。島内には灯台があり現在も稼働中です(1959年/昭和34年11月設置)。

ドド島灯台


島は、周囲約4km、面積0.21㎢、最大標高44m。明治時代までは、トドが群生していたといいます。

1960年代に北岸の湾と南岸を中心に昆布漁やウニ漁のため6月〜8月に漁師たちが移住して使用した番屋が約20戸や民宿もあったそうです。番屋の一部は、1980年代まで使用されていたそうです。

昭和時代、観光目的で船泊港より船に乗船して島へ渡ることが出来ましたが、現在は、残念ながら実施されていません。

もし再開されたなら『トド島キャンプ体験』や『トド島日帰りBBQ』など
面白い体験メニューが企画できそうですね。

トド島の南東には、「マンジュウ岩」、南西には、「メナシトマリ岩(タタキ岩/最大標高21m)が位置しています。そのすぐ北西にある岩礁群は、「三ツ島」と命名されています。

スコトン岬とドド島周辺の地図

種島

スコトン岬から見ることは出来ませんが、トド島から約3km北に『種島』(標高3m)という岩礁群があります。
昔、船泊村が編纂した「郷土」では、明治時代の中頃まで種島にはトドが群をなして棲息していたという記述があります。
1925年までは、トドの繁殖が確認されており、日本国内で唯一の繁殖地だったといいます。現在では、トドの上陸は稀のようです。

トド島と種島の間にある岩礁群の中に「平島」、「中ノ礁」と呼ばれる岩礁があります。ここもトドの上陸地になっている可能性があります。
正確に言えば、種島が礼文島における“最北端“(北緯45度30分19秒)と言えますが、しかし、位置的に宗谷岬より約2kmほど“南国“のようです。

ドド島より南側のスコトン岬方面を望む

北の最果てをアピール

スコトン岬には、『日本最北限のトイレ』や『日本最北限のお土産店』、『日本最北限の駐車場』があり北の最果てを訪れる観光客にアピールしています。
トイレには、『日本最北限のトイレ』の木製看板が掲げられており、その前で記念写真を撮る観光客が絶えません。トイレを背景に写真を撮るなど礼文島だけでしょうか?
『日本最北限のお土産店』の人気商品は、“昆布ソフトクリーム“。かすかに“礼文ブルーの海の味“がします。また、礼文島といえば昆布。それを使用した“昆布重ね巻き“が売れ筋だそうです。当然、礼文島産ウニ使用の“ウニ丼“も大人気です。

人気の昆布ソフトクリーム

岬の下の“ワイルド“な民宿

スコトン岬の真下に『民宿スコトン岬』があります。
ここの観光客へ向けての注意喚起の看板がユニークです。
看板には、「この下民家あり。石を投げないように」。
民宿は、期間限定で宿泊することができます(2023年は6月1日〜9月30日)
経営は、「日本最北限のお土産店」と同じです。
民宿の“セールスポイント“は、「アザラシが見える宿」。“ワイルドな民宿“ですね。

Information
■位置 礼文町船泊字スコトン
■アクセス 
香深港より北へ約30km。路線バスで約60分。終点スコトン下車


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