テイルズオブデスティニー 2 〜運命の始まり、再び〜

テイルズオブデスティニー 2の二次創作です。ジューダス視点です。


何の因果だろうか

再び覚めることはないと思っていた目が覚めた時、目の前は暗かった…闇?

否、かといって真っ暗闇ではなく、ただ暗い場所というだけ

戻ってきた五感から耳を澄ませ、聞こえてきた会話から推測して気づいた

ああ、おそらくここは

僕が生まれた場所

夕焼けが輝いている。暗闇のような排水溝を抜けてようやく出口にたどり着いた。
「あーあ」
後ろにいる金髪のハリネズミのような髪型の少年が呟いた声に僕は記憶の中から戻ってきた。
「どうしたんだ?カイル」
そのさらに後ろにいるもう一人の銀色の短髪の青年が声をかけた。
「ロニ。ううん、結局あの子誰だったんだろうって思って」
「お?おまえ〜やっぱりさっきの子に惚れたか??」
おもしろそうにちゃかす青年に、違うよと少年がムキになりながら答える。
「おまけにこんな遅くなっちゃったし早く帰らなきゃ」
「だな、まぁ確実にルーティさんの説教三時間コースってとこか」
げっという少年の声に青年も深いため息をついた。青年の言葉にわずかながら反応してしまった僕の息遣いに腰元の相棒もなにか言いたげだった。
「今はダメだ、シャル」
小声で短く言い終えた時、後ろから声がかかった。
「ジューダス !」
僕は目線だけ後ろに寄越すと、そこにはハリネズミ頭の少年が笑顔で立っていた。
「ジューダス 、本当ありがとう!」
屈託のないその声に動かされた心を頭を振って誤魔化す。
「…礼を言われる筋合いはない」
「そうかな?でも、うん。本当に助かったよ!」
僕の冷めた態度に臆することなく接してくる少年に否応なしに居心地の悪さを感じてしまう。
「カイルー?そろそろ行くぞー」
少年の後ろから歩きながら声をかけた青年が促した。
「あ、待ってよロニ!それじゃね、ジューダス !どこかでまた会えたらいいね!」
「…カイル」
気づけば僕は少年を引き止めていた。僕は、僕はおまえと一緒にーーー
「ん?なにジューダス?」
やはり少年は曇りのない笑顔で僕を見ている。居た堪れない。
「…いや、なんでもない。子供はさっさと帰ることだ」
それだけ言って僕は走って彼らの前から姿を消した。

彼らから完全に姿が見えなくなったのを確認した僕は腰元の相棒を手に取った。
「どうした、シャル?なにか言いたげだな」
「ぼっちゃん。ついて行かなくて良かったんですか?」
いつになく遠慮がちに問う相棒に僕は少し息を吐いた。
「僕にはその資格がない」
「ぼっちゃん…でもさっき一緒に行きたいって言い」
「気まぐれだ、どうかしていた」
相棒の言葉を遮って僕は自分にも言い聞かせるように言い切った。相棒の剣に鏡のように写る自分の目は仮面越しとはいえひどく歪んで見えた。
「それにしてもさっきの金髪の少年はよく似ていましたね」
僕のことを気遣ったのだろう、相棒がわざと明るめの声で話し出した。僕もそれにのることにした。
「…そうだな。さっきのあれはあの親譲りの能天気DNAに僕があてられたんだろう、全く」
「ふふ、そうですね」
全く、本当にこの相棒は僕の相棒らしすぎるな。
「ぼっちゃん。これからどうするんですか?」
「僕にはやるべきことがある。すまないが、付き合ってもらうぞ、シャル」
「はい!もちろんどこまでもお供しますよ、ぼっちゃん。僕のマスターはぼっちゃんですから」
子供の頃から何度も聞いた相棒のありがたい言葉に僕は微笑み、来た道を引き返した…。

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