エクレアの中の空洞 のようなものが好き。
エクレアの中の空洞 のようなものが好きだ。
エクレアを一口かじり、中を覗いた。
そこには空洞があった。
ずっとここにおりましたよ。と、すまし顔で底に佇むカスタード。
その頭上にある空間。
このエクレアの空洞は、生産されてからずっと、
パッケージされてコンビニに並んで、
彼に自転車で運ばれて(彼がおやつに買ってきてくれたのだ。)、
うちの冷蔵庫に入っている間ずっと、そこにあった。
誰にも知られずにそこにあった。
私がかじって中を覗かなければ誰にも見つからなかった。
そんな空洞なのだ。
そういう存在に目を向けてみることが好きだ。
ショートケーキに挟まれたイチゴとか
壁のペンキの剥がれたとことか
誰もいない夜道で、ひとり変わり続ける信号とか
時計の針が動く瞬間とか
目の前にいる人の、無意識の動きとか
そういう、誰にも気づかれない、(かもしれない)ような存在に。
そういうものを見つけたとき
私は、世界の端っこを見つけたような気持ちになる。
広がり続ける世界の中で、そこだけが時が止まったような、時空が違うような
そんな感覚になる。
確かに今、そこには小さな世界があって、私だけはそれに気付いている。
そのことが、まるで自分だけの小さな世界を見つけたようで、ちょっと嬉しいのだ。
それに、誰にも気付かれずに消えていくかもしれないものたちに、
少しでも日の目を見させてあげられたような気持ちにもなって、ほっとする。
私はみてるよ。気付いてるよ。って。
私たちの周りにはそんな小さな世界がたくさんあるのだと思う。
私たちとは違うリズムで、違う法則で、ただ淡々と現れ、消えてゆく。
忙しなくすぎていく毎日に、ちょっと力を抜いて、そんなものをみようとしてみる。
何も気にしなければ、パクリと食べてしまうような、
通り過ぎてしまうような、見過ごしてしまうようなものを
あえて見ようとしてみると、そこにある面白い世界やストーリーに出会えるのだ。
そんな小さな気づきが、
ちょこっと、毎日を面白く豊かにしてくれるような気がする。
実和
miwa ✳︎ instagram
ヨガをしたり、絵を描いたり、デザインをしたりしています。
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