ダブり〜2限目〜F

屋上へ着くとマミさんはポケットの中のタバコの
箱を取り出して
「ちっ、タバコ切らした。最悪だ」
と言ってカラ箱を潰した。

「ユウ、あるだろ?1本くれないか?」
「てか、未成年が持ってちゃダメだ!没収だ」
と言ってきた。

俺は、
「ありますよ。でもコレっスよ」
と言って電子タバコを見せた。

「なんだ?」
「お前生意気にこんなもん吸ってるのか?」
「こんなもん、タバコじゃないからいらねぇわ」
と辺りを見渡した。

「すみません。1本いただけますか?」
とその場にいた人にたかっていた。

「はい、どうぞ」
とその人からタバコをもらい
「ありがとうございます」
「ユウ、タバコとはコレを言うんだ!」
「お前も、吸うならコレを吸えっ」
と言ってタバコに火をつけた。

俺はそんなマミさんに
「未成年に、タバコをたかったあげく、銘柄を
指定してくるポリがどこにいるんだよ」
と言った。

するとマミさんは
「お前、さっきから何か勘違いしてないか?
俺は、ポリ公じゃなく刑事だ。」
「そこは、ちゃんとしといてくれよ」
と言ったが俺は
「はぁ?そんなことどっちでもいいだろ?」
と言った。

「よくない、それは失礼だからな!」
と煙を空に向かって吐き出して俺に言った。


「ところで、タケツは元気か?」
と聞いてきた。

なぜ?タケツさの話?と思った俺は
「マミさん、話ってそれか?」
「てか、かなり元気ですよ、あの人は」
「また、どうして?会ってないんですか?」
と続けて聞いた。

タケツさんとマミさんは同級生だ。

マミさんは
「最近は、会ってないなぁ。お互い忙しいし」
「だから、元気かなぁって」
俺は
「そんな、気になるんだったらスタジオに顔出せばいいじゃんか!?」
「ってか、話はそれっスか?」
と聞くと、マミさんはタバコを消しこう言った。
「オカウエは元気か?」
と聞いてきた。

俺は、
「ゴウ?あいつは相変わらずっスよ」
「まぁー無茶できるのも今だけだしな」

すると、
「そっか!?良かった」
「まー元気過ぎるのもアレだが無いよりマシか」
と言ってさっきの人とは別の人に
「すみません、タバコもらえますか?」
とまた、たかっていた。

俺は、そんな姿に呆れながら
「もしかして、あいつ何かやらかしたんスか?
逮捕されるとか?」
と聞いた。

それを聞いたマミさんは
「逮捕?そうだな、あいつらは少し目立つからな
1回ぶち込んでもいいかもな。」
と笑いながら言った。
「今、ディズニーだったか?あとチームジョー」
「同じ学校だから仲良くしろって事だぞ」
タバコをふかしながら言った。
「あと、今回の件は恐らく今俺たちが追ってる 半グレの仕業だ。だから高校生が入ってくるん
じゃないぞ。現に1人刺されてるしな。わかっただろ?奴らは、ガキだからって容赦はしないぞ。 だから、ここは大人に任せろ。オカウエにも
そう言っとけ」
と言った。

俺は、
「わかりました。お願いしますよ」
と言った。

するとタバコを消しながら
「悪かったなっ!時間とらせて」
「またタケツにもよろしく言っておいてくれ」

俺は、
「言っておきますよ」
「かなりタバコたかってましたって」
と言った。
マミさんは俺の頭をグシャーってして
「じゃー大人は忙しいから行くわな」
と離れようとしたが俺に
「ムラマツについて何か聞きたい事ないか?」
と聞いてきた。

俺は、ゴウからの頼まれ事もあったので
「無いこと無いなぁ」
「やけにゴウが気にしてましたよ」
「だから、俺も知りたいんスよ」
と言うと

「馬鹿野郎!」
と表情を変えて声を荒げた。

「お前、ムラマツがどんな奴かわかってるのか?」
「絶対、お前らが関わっていい世界じゃないから
奴とは関わるな。」
「約束しろ!?わかったな」
とムキになったマミさんを俺は初めてみた。

「わ、わかったっスから」
「でも、話くらい聞かせてくれてもいいでしょ?関わらずに知る方法はマミさんから聞くしかないでしょ?」
と俺は揚げ足をとった。

マミさんは
「お前との仲だ!」
「話だけなら聞かせてやってもいいがまだうちも捜査中で、詳しくはわかってないんだ」

「オカウエが奴をかぁ・・・」

「何かっ、、、」
俺は、何にかあったか?と聞こうとした時に
マミさんの電話がなった。
「ユウ、悪い!この続きはまた今度」
「あと、刺した奴らが特定したぞ」
と言って戻って行った。

俺は、ゴウに連絡した。
「おう、ユウか?」

「お前、動いてないだろうな?」
とゴウに確認した。

「ところで、さっきマミさんと病院で会って話してたんだけど刺した奴ら特定したみたいだぞ。
だから、捕まるのは時間の問題だから、あとは、刑事さんに任せとけって」
と俺が言うと

「そっか、じゃー後はどっちが早いか競争だな」
とゴウが言った。

俺は、
「お前、特定したのか?」
「相手は、半グレグループみたいだぞ」

ゴウは
「ここをどこだと思ってるんだ?好き勝手暴れて黙って見とけって、おかしいだろ?」
「おっさんには悪いが先に見つけるのは俺たちかもな!」
「ユウ、右腕に蛇が骸骨に巻き付いたタトゥー
これが刺した奴らの1人だ。見たら連絡くれよ」
「とは言え時間の問題だと思うけどな」
「じゃーまたなっ」
と一方的に話して電話を切った。

「右腕に蛇のタトゥーか?時間の問題だな」
俺は、サワナカの部屋へ戻った。


コンコンっ

「はいっ、どうぞっ」
とサワナカの声がした。
俺は
「入るぞっ」
と言ってドアを開けた。

サワナカは
「えっ!?会長、まだ居たんだ」
「ほんと今さっきリョウが帰ったとこだよ」

俺は
「さっきまでいたんだ。それはそうと」
「お前なんかあったか?」
と俺は聞いた。

するとサワナカは、
「どうして?別に何もないよ」
と言って平然を装っていたがその様子は
何かあった様に見えた。

俺は、
「なら、いいんだけど」
「でも、どうしてバイトばっかりしてるんだ?」「まぁ別にいいんだけど、何か欲しい物でもあるのか?」
と聞いた。

するとサワナカは
「欲しい物かぁ〜??別にないかなぁ」
と少し寂しそうな素振りで言った。
少し時間が空いて
「会長、わたしあの人が好きなの」
「欲しい物と言われたら、彼が欲しいかもね」

俺は
「物??ってか人だな」

サワナカは
「だねっ」
「会長は?欲しい物ってあるの?」
と、予想出来た質問に俺は答えを濁した。

「まー色々だな。いっぱいあるさ」
「てか、もうこんな時間か?」
「そろそろ帰るわ」
「とにかく今は無理せず、ゆっくり休め」
と言うと
「うん。そうさせてもらうよ。ありがとうね」
とサワナカは言った。


俺は、病室を出た。


でも俺の中で何か引っかかっていた。
何にひっかかったのかはわからないが、
とにかく気になったので再びサワナカの病室の
扉を開けた。

「サワナカ、悪いなぁっ、ちょっ、、」

恐らくだがサワナカは泣いていた。

窓の方を見て涙を拭い笑顔をつくる
彼女の姿を見て俺は、
「何があった?言ってみろ?」

それでもサワナカは
「大丈夫。やっぱり疲れてるんだね」

俺は、そんなサワナカにこう言った。
「サワナカ、これが最後だ。何があった?」
「お前をそうさせた事を俺に言ってみろ?」

サワナカは話した。

「あの人、お店やってるでしょ?その経営が
上手くいってないみたいで。そして、借金してるみたいなの。その事で彼、すごく悩んでて・・
どうにか私、力になりたくてバイト詰めて入ってたの。。でも、このざまじゃダメだよね」
って少し恥ずかしそうに話した。

俺は、
「そっか・・それは大変だな」
「でも学生から金をとるってのもどうだ?」
「おかしくないか?ましてや女から」
と言うと
「違うの、私が勝手にやった事なの。だからそこは勘違いしないでほしいの」
と言った。
表情を変えて言ったサワナカに俺は
「俺も恋だの愛だのには詳しくないが、お前が本気だって事はわかったよ!」
「とりあえず、無理はせずだな」
「俺らも出来る事は協力するから、何かあったら話してくれよ」
と言った。

サワナカは
「ありがとう」
と言った目にはもう涙はなかった。

その目を見た俺は
「じゃー俺、行くわ。また来るわ!」
と言って病室を出ようとすると
「うん。ほんとありがとう」
俺はうなずいた。
「あと、リョウには内緒にしといてね。あの子に
話すと【私も、協力するっ】とか言いそうだら」

俺は、
「だな!」と言って病室をでた。

2限目Gにつづく


















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