とうとう、70歳定年の時代へ

オヤジのキャリアデザインの話です。

私は『「70歳定年法」 60代後半の就労拡大へ企業に努力義務』(日経新聞)という記事を読みました。とうとう、日本は70歳まで働かないと経済や個人生活が回らない社会になってしまったのでしょうか。「70歳定年」は、私個人も戸惑っていますが、業績が良くない会社も戸惑うことでしょう。

もともと、私が小学生のときは「55歳定年」だったと記憶しています。調べてみると以下の流れのようです。

【昭和初期】55歳定年がスタート
【1980年代】55歳から60歳定年に引き上げ(努力義務化)
【1990年】 定年後再雇用を義務化
【1998年】 60歳定年
【2000年】 65歳までの雇用確保措置(努力義務化)
【2006年】 65歳までの雇用確保措置(義務化)
【2013年】 65歳までの継続雇用を企業に義務化(対象:全希望者)

詳しくは以下のサイトも参照。

つまり、1976年生まれの私は、物心ついた小学校ときは「55歳まで働くのか?長いなあ」と思って、大学生で「60歳定年」になり、若手時代に「65歳定年が見えてきて」、サラリーマン中堅世代になると「70歳定年」になりました。もちろん、お金を持っていれば「仕事を辞めればいい」のですが、そのようなわけにもいきません。社会保障制度が不安定のなか、本当に自分の体が健康か、家族や親の介護は必要ないのか、など不安は尽きないので「仕方ない」と半ばあきらめ気味です。

そこで夢想します。

私が70歳になるのは、あと27年後です。西暦2047年です。人口も減少し続け、日本人口は1億人を割り、そのうち65歳以上の「高齢化率」は上昇し約4割に。渋谷スクランブルも原宿竹下通りも六本木交差点も、高齢者だけしかいない時代かもしれません。

そんな事業環境のなか、

今の会社はあるのか?

終身雇用がそもそも崩壊している

そもそも私のスキルは世に通用するのか?

ーーーーもう、不安しかありません。

仮に、事業が成立していたとしても、会社のヒエラルキーは変わっているでしょうね。若くて働き盛りがマネジメントする会社になっているでしょう。

社長は、若返りで50歳(70歳である私の20歳ぐらい下の歳)

役員は、45~50歳(70歳である私の25歳ぐらい下の歳)

局長は、40~45歳(70歳である私の30歳ぐらい下の歳)

部長は、35歳~40歳(70歳である私の35歳ぐらい下の歳)

課長は、30歳~35歳(70歳である私の40歳ぐらい下の歳)

社員は、50歳~70歳(70歳である私の20歳ぐらいから同世代まで)

つまり、私が70歳まで働いたときに、今の新人が「社長」になっているのです。これからの高齢社会では「上にぺこぺこする」ようでは出世できませんね。20個ぐらい下の後輩からどれだけ支持される行動や態度をとるのか?というのがサラリーマン人生をうまくやるかポイントかもしれません

もっと2047年の私の周りを夢想すると・・・。

おやじ(70歳)は、今年で会社を辞める予定だ。10年前に定年法は「80歳」まで延びたが、もうここらが体力と気力の限界だ。腰が痛い。親会社である本社は、当時、正社員が7000人いたのに、今は100人程度まで減った。いまは正社員は、若手の管理職や幹部や幹部候補生のみ。あとは、給料を下げるために作った「●●シニアカンパニー(以下、シニア社)」に出向して、そこで働く。シニア社の社員は、その8割が60歳以上という状況だ。20年前とまわりのメンバーは変わらない。
今、私はシニア社の契約社員だ。会社と1年更新で年俸が決まる。60歳になるとだいたい、上司から280万円の条件を提示され、毎年10万円ずつダウンしていく。今は190万円の年俸。もちろんボーナス込みの報酬だ。業務の成果に応じてオプションはあるが、若手にもAIにもかなわないので、そんな夢のようなことはほとんどない。
最近、シニア社内では、「AIハラスメント」が流行語だ。私の上司は、AIの課長だ。10年前から上司は人間ではなくなった。本社が提示した事業計画から割り出した個人のKPIがあり、そのKPIの指示が出される。そのモニタリングは「秒」で行われる。これをクリアできるか?だけが私の評価であり、次年度の年俸に跳ね返る。AI課長からは、モチベーションを高めるためという理由で、厳しい指示が出る。「君ね、AIでもできる仕事なのに、君に任せているんだからちゃんとやってくれ」とか、「人間なんだから、脳はだめでも、手足ぐらい使えよ」と。私は、ストレスでボケがはじまりそう・・・・。

悪夢のようなシナリオです。これからは、「自分の仕事と、自分の好きなことがブレンドされた状態」をつくることが出来る能力が、おやじサバイバルのカギになりそうです。

(最後に)

サザエさんの磯野波平さんは、54歳の設定のようです。囲碁・盆栽・釣り・俳句・骨董品の収集など多彩な趣味をもっている方です。70歳定年法は、彼に、「もう16年間、がんばることが可能ですよ」ということです。けっして法律が悪いのではなく(むしろサポートしてくれる)、日本社会がおかれた環境が厳しいのだと痛感します。

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