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私と彼のこと②

私(初婚30歳)
彼(シングルファーザー47歳)
17歳差。


私は、今の彼と出会う前に歳下の彼と付き合ってた。
その歳下の彼と、恋人になってすぐに周りの人達の押せ押せもあって、どんどん話が進み、付き合って
1ヶ月経つか経たないくらいの時には、「結婚」という言葉が聞こえてきた。
自分でも不思議なくらい速いスピードで、色んな事が進んでいった。



付き合ったばかりで、私に敬語で話していた彼。
「もう彼氏なんだから、タメ口でいーよ」
って私が言うと、
「いや、まだ敬語で話したいんです!」
って言ってたね。新鮮?だったのかな。


「私この人と結婚するんだー。」
姉さん女房。
「うちの母と同じだ」
なんて当時思ってた。


彼と付き合い始めたのは数年前の3月。
私は転職して新しい職場へ。
彼もまた、長期転勤で車で1時間くらいかかる
新しい場所で働き始めてた。

若いし、体力もあるから、
仕事覚えるために色んな場所で経験
積まされてるんだろうなって思ってた。

お互い、慣れないところでのスタートだけど
「がんばろーね」
って。

彼には、仲の良い上司がいた。
歳の離れた兄のように慕っていて、仕事を通り越してプライベートでも一緒にいるくらい。
初めて彼が最後までやった仕事を
取引先の、人に褒められて一緒に大泣きしてくれた上司がいるんです。

どんな上司なんだろ?
そいえば、彼女になってからまだ、誰にも紹介して
もらってないな。

なんて、軽く考えてた。


ちょーど、付き合って1ヶ月。
彼はプロポーズしてくれた。

彼の帰りはいつも遅くて、朝も5時起きだった。
5時半に同じマンションに、住んでるおばぁちゃんと朝ごはんを食べてた彼。
この時期、花粉症もひどそうだった。

お互いの体調を考えて、「週末だけ会おう」って
私は言ってた。

「週末会えるのを楽しみに、仕事頑張ります!」って、何度も言ってくれてたね。


彼と付き合って、1ヶ月と少し経ったある日。
「今夜、会わせたい人がいるんです。」
突然メールがきた。

彼のお母さんだった。
初めてお会いした、彼のお母さん。
嬉しかった。とても頼もしく感じた。
「結婚考えてお付き合いさせてもらってるから」

お母さんの笑顔が忘れられない。
3人で美味しいお酒を飲んで、
彼のお母さんを見送って、
「泊まりたいけど…明日も仕事だし今日は帰ろう!土曜日、仕事終わったら会おうね。」

車内から彼の背中を見送ったのが、
最後の姿だった。


会うはずだった、土曜日の早朝、
5時半に朝ごはんを約束してるおばあちゃんの部屋に
彼は来なかった。

おばあちゃんから電話がきて、
「起きてこないんだけど、そっちに泊まってるの?」

ただ疲れて寝てるだけなんだろうな、って
思ってた。
私はいつも通り自分の職場に出勤。
仕事しながら、
「まさかね、大丈夫だよね」
って思ってた。
11時、休憩に入り携帯を開くと
何件も着信が入ってて
彼が亡くなっていたことを知った。
眠っている間の、

急性心筋梗塞…
だった。


私が見えている、世界がいっぺんにして変わった。
信じられなかった。
信じたくなかった。
意味がわからなかった。

あんなに、元気だったじゃん?

2日前、お母さんに私の事、
紹介してくれたじゃん?

1週間前、プロポーズ
してくれたじゃん?

どういうこと?


気持ちが追いつかなくて…あの時どんな感情だったのか言葉でうまく表せない。

ただ、
「彼が1番悲しんでる」
「彼はまだ、自分が亡くなったことに
気づいてない」


「1人にしちゃいけない」って思った。
最後の最後まで、寄り添いたいって思った。
それから、
枕経
お通夜
お葬式
火葬

全て出席した。
ずっと隣にいた。
「大丈夫だよ、1人じゃないよ」
「怖くないからね」
自分にいってるように彼に何度も言った。
彼は、穏やかに眠っているようだった。

枕経…まくらきょう
亡くなった人が、迷う事なく天国に旅立てるように願いを込められたお経。
身体を綺麗に拭いて、正装に着替えさせる。


亡くなった彼を初めて見たのが、
枕経のお部屋だった。
私が彼の傍にいたとき、
目を真っ赤にして会場に入ってきた男性がいた。

「会社側から勝手に行くなと言われたんですが、居ても立っても居られなくて来ちゃいました。すみません」

彼が言ってた仲の良い上司だった。
彼のご両親から頼まれて、
なぜかその上司と私とで、彼の身体を拭いて正装に着替えさせた。
火葬も、全て見届けた.
見送った.


どん底だった。
色のない日々を、何日も何日も
送った。

彼が亡くなって数ヶ月たった。

ふと、あの上司の人も
同じ気持ちなんだろうと思った。

連絡先知らなかったけど、
友達から聞いて私から連絡してみた。



「私と一緒に、お墓参り行ってくれませんか」

当たり前だけどこの時、
お互い何も思わなかった。

ただただ、彼の話を沢山した。
2人とも、亡くなった彼の事が
大好きだった。


こうやって、私たちは出会った。


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