見出し画像

【音楽レビュー】 BABYMETAL / [ THE OTHER ONE ]

BABYMETAL 「THE OTHER ONE」

約5年ぶりの4枚目のオリジナルアルバム。

硬派で重厚かつ濃厚で、初の世界観重視のコンセプトアルバム。

https://amzn.to/48OXYcD

Tracklist
01. METAL KINGDOM
02. Divine Attack -神撃-
03. Mirror Mirror
04. MAYA
05. Time Wave
06. Believing
07. METALIZM
08. Monochrome
09. Light and Darkness
10. THE LEGEND


「METALVERSE」という仮想現実あるいは拡張現実、転生系に属するコンセプトアルバム。

いままでのBABYMETALのアルバムの立ち位置としては外伝的作品になるため、古株のファンであれ賛否が分かれる。


「一つの物語を描いている」というわけではなく「もう一つのBabymetal」という「アルバム制作におけるコンセプト」が掲げられている。全10曲、それぞれパラレルワールドに存在するBabymetalだそうで、テーマとしての統一感および世界観なので、楽曲全体の統一感や、曲同士の世界観の連続性あるわけでは無いし、アルバムとしての世界観の構築美があるわけでも無いが、各楽曲から漂うダーク感とシリアス感が垣間見える。ようはおふざけ無しパロディ無し。

「METALVERSE」というテーマをベースに、楽曲ごとの「別世界のBABYMETALはこんな感じだった件」「あったかもしれないBABYMETAL」「なにかがあったBABYMETAL」「BABYMETALがパラレルワールドへ飛び込んでみたらこんな感じだった件」の解釈が正しいだろう。


ざっくり統括すると


・硬派で重厚かつ濃厚で世界観重視のコンセプトアルバム。「METALVERSE」がテーマ。

・過去作のアルバムと比較すると曲数が少なく収録時間も過去最短の40分の構成でコンパクトに収まっている。

・良くも悪くもBABYMETALの持ち味のひとつである「ナンジャコリャ!」感が極めて少ない。

・強いて言えば「METALISM」が今作の実験作で「ナンジャコリャ」感が強い曲。

・全体的にダークでシリアスであり、歌詞にも遊びの要素がなく、リスナーによっては「ハズした曲」が無いことに疑念するかもしれない。

・楽曲自体の構成の複雑さは過去作と比較すると割と少なく、プログレ要素もあるにはあるが結構ストレートだったりする。

・それでも相変わらず、一流の楽器隊でも演奏するのは大変そうだなと思わざるを得ない(神バンドおつかれさまです。ありがとう!)。


各楽曲面においては曲展開自体の複雑さはあまり感じないため割とストレートであり、シンセサイザー等の外部音や、他ジャンルおよび他メタルの要素を上手くブレンドし血肉となり、違和感なくシームレスに展開される曲の完成度は非常に高く、耳が肥えていて寛容のあるメタラーや音楽好きのリスナーに対しても口角上がってしまうような満足できる仕上がりだと感じた。私個人的にも全然満足しており、LIVE 版を聴きたいぐらいである。

その楽曲に対応できるSUーMETALの歌唱力も素晴らしい。特に今回は引き出しを増やすよりかは、培ってきたものをより深化させた印象が強い。前作のアルバムから5年のブランクや封印期間のブランクを感じさせない。

2nd Album [METAL RESISTANCE]をより硬派にかつ、世界観重視で「ナンジャコリャ!」感をさらに削ぎ落とすとこうなったというアルバム。とはいえこのアルバムがリリースされて数ヶ月後、遊び要素満載の「メタり」が配信曲として展開されたことを考えたら、5枚目のアルバムは2〜5年後なのかは不明だが、3rd Album「METAL GALAXY」のようにバランスの取れたアルバムを展開されてもおかしくないし、「ナンジャコリャ!」感に振り切ったミニアルバムを出してくれてもいい。


※各楽曲ごとの解説はしません。このレビューを見たうえで聴いてみて体感してくださいって話です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?