何も残さない

いつか終わりが来たら、雪のようにきれいに消えてなくなりたい。

そう思っている。何も残さず、きれいに消える。人の記憶に残りたいとは思わない。

自分がそんな考えを持っていることに気がついたのは、友人の一言がきっかけだった。どんな話の流れでそんな話題になったのか、今となっては記憶もおぼろげだけれど、彼女は言った。「教科書に名前が載るような人生を送って見たい。」

それを聞いた私は、心底驚いた。そんなことを考えたことは1度もなかったから。

歴史上の人物は私にとってちょっと可哀想な人だった。プライベートな情報 (例えば恋文や日記の内容) が後世でこんなに多くの人に知れ渡るなんて、私だったら憤死だ。(歴史上の人物はすでに死んでいるけれど。)

何を求めるかって本当に人それぞれだな、と思う。人生に結果や目的を求める人もいれば、ただ生きる過程が目的だって人もいる。正解なんてない。

だから自分で決めてしまおう。
私はただ、終わりが来るまで自由に生きたい。

そしていつか終わりがきたら、
なにも残さず綺麗に消える。

それってすごく幸せだと思う。

#エッセイ



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